阿弥陀岳メインの赤岳 痛みを堪えてキレット初体験!
- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.0km
- 登り
- 2,310m
- 下り
- 2,368m
コースタイム
- 山行
- 8:50
- 休憩
- 0:35
- 合計
- 9:25
天候 | 8/16:曇りのち雨 一時的に雷 8/17:曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2014年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
復路:美濃戸口よりバスで茅野駅(片道930円)、茅野駅から小淵沢駅(現金/ICともに410円)、小淵沢駅からタクシーで観音平駐車場(3,000円程度) |
コース状況/ 危険箇所等 |
・押手川から編笠山までの急登が一番の頑張りどころ ・権現小屋手前の鎖場は、濡れていると滑りやすいので慎重に ・権現小屋から先の61段梯子は、しっかり固定されているので怖がらずに ・キレット小屋から先のガレ場、岩場、鎖場は、3点確保を心がけて特に慎重に進みましょう |
写真
感想
先週、初めての赤岳挑戦に成功して終始楽しく歩けたことと、駐車場として利用したやまのこ村の小屋の方から「赤岳は色々な道があって、お客さんなら権現岳からキレット小屋を通って赤岳に登れますよ」と言われたことから、2週連続となるけれど、赤岳界隈に挑戦することにしました。
ただし今回は、前回断念した阿弥陀岳をメインとし、キレットも挑戦することに。予定したコースは、観音平スタート〜編笠山〜権現岳〜キレット小屋〜赤岳〜阿弥陀岳〜行者小屋(泊)、行者小屋〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜夏沢峠〜東天狗〜西天狗〜唐沢鉱泉〜渋の湯ゴールでした。
前回と違って今回はお泊りセットを背負うし、距離もそこそこあるからキツイかもしれないけれど、初日に無事に行者小屋まで行ければ大丈夫(?)。
天気予報では、前線が停滞しているため不安定な天気とのことでしたが、八ヶ岳方面は8/16は晴れのち曇り、8/17は曇りのち雨だったので、キレットを越えるまで雨が降らなければ何とかなるかな?と自宅を出発しました。
ところが、中央自動車道の須玉ICあたりからパラパラと雨が降り出し、小淵沢ICを下りる頃には本降りになり、観音平に到着しても弱まりません。朝になれば上がるかな…。とりあえず寝ました。
5:20に目覚めても、雨の強さは変わっていません。パンを食べながら地図を眺め、出発予定の6:00を迎えても変わらず降り続けます。他の皆さんも車中待機状態でした。7:00まで待ってダメなら、編笠山・権現岳の周回コースに変更しよう。
6:30頃に雨が上がり、他の皆さんも様子見やトイレのために車から降りてきます。何人かの方とお話したところ「本当は北アに行く予定だったけれど天気が悪くて諦めた。でも、八ヶ岳方面は天気が良さそうだったからこちらに変更した」という方がいらっしゃいました。準備しているうちに1組の方が先に出発され、私もこれからの晴れに期待して、6:40に40分遅れで出発しました。
雨が降った後なので涼しいことを期待していたのですが、湿度が高くて風がないので暑く感じました。また、2週間振りにお泊りセットを背負っていることも影響してか、汗が噴き出ます。おかしいな?体調が悪いのかな?などと考えつつ、雲海に到着。雲海が見えるのかな?なんて樹林帯の隙間から覗いても、この天気では残念ながら何も見えませんでした。
ガスが出始めた押手川に着くころから汗が止まり、普通に歩いているとトレラン風の荷物を背負った3人組の方に追いつかれました。「どこまで行くのですか?」と尋ねられたので、「行者小屋までを予定しています」「私たちと同じね。赤岳の方に抜ける予定よ」とのこと。あまりにもサクサク歩かれているので、道を譲りました。同じといっても、荷物の重さが全然違うよなぁ。
編笠山の山頂手前は、かわいい梯子があったりと、かなりの急登となります。ここで、先に出発された1組の方たちに追いつき、渋滞となります。結構疲れたため、道を譲ってもらう余裕はなく、ほぼ同時に岩でゴツゴツしている編笠山山頂に到着しました。
う〜ん、何も見えません。とりあえず写真を撮りました。この間、先行した2組の方たちが話していて「皆さんも赤岳に行きましょうよ。編笠山までが一番疲れるところで、ある意味ここが核心部よ。権現岳を過ぎた梯子と赤岳手前以外は大したことないわ」とのことでした。確かに最初から疲れましたよ。でも、少し安心しました。
先は長いので、青年小屋に向かいます。青年小屋手前で大きな岩を忍者のようにピョンピョン飛びながら進むのですが、手前数メートルのところで油断したのでしょう。左足を滑らせて踏ん張ったのですがザックの重さに振られて、雪山の踏み抜きのようにズボッと股まで落ち、左太ももを岩にぶつけて負傷。力づくで抜け出し、外傷はないものの、力を入れると痛みを伴うようになってしまいました。
これでキレット通過できるかな?不安を抱えつつ、青年小屋のテント場と水場(乙女の水)を偵察しました。乙女の水まではなだらかな道を4〜5分歩くのですが、ここでは痛みは大丈夫でした。
青年小屋を出発すると権現岳までは急登があったりするのですが、やはり痛みます。傾斜がキツくなればなるほど、ズキンと痛むのです。権現小屋手前の鎖場で道を譲っていただいた3人組の方は「お風呂があるから赤岳展望荘まで行く予定だけれど、キレット小屋で諦めるかもしれません」とおっしゃっていました。足場が濡れているので慎重に鎖場を通過し、権現小屋の上の分岐を山頂かと思いましたが、皆さんのレコと風景が違うので先に進むと権現岳の標識が岩肌の上の方に見えました。これこれ。これが山頂だよね。でも、なんであんなに危ない岩肌にポツンと標識があるのだろうか。とりあえずよじ登って写真を撮りました。
引き返そうとしたとき、先ほどの3人組の方が身軽な格好で記念撮影に向かいます。あぁ、どうして私はザックを背負ったままこの上に登ってしまったのだろう?ひとつ勉強になりました。
さて、ここで観音平まで下山するか、キレットに向かうかを決断しなければなりません。左太ももは痛みますが、歩けないほどではありません。赤岳手前以外はそんなでもないのであれば、行けるかな。ダメなら戻ってこよう。結局、天気は持ちそうだし、挑戦することにしました。
先に進むと、途中から頑丈なワイヤーが下に向かって張られていて、おっ?もしや?と思ったら、噂の61段梯子の登場です。確かに高度感はありますが、しっかりと固定されているので特に怖さは感じることはなく「これにビビってはアルプスとかにある長い梯子には挑戦できない」と自分に言い聞かせ、きちんと下を見ながら一段ずつ下りました。ここで、そういえばギボシってどこにあったの?と気付かずに通過してしまったことにガッカリし、若干テンションが下がりました。
ここから先は、キレットのイメージとは程遠い、普通の道となります。一部に鎖場や通行しづらい岩があったりしますが、権現岳までの疲労を回復しながら、特に問題なく通過できました。ツルネに到着し、標識に「ツルネ」ではなく「ここはツルネ」と書いてあったので、「ここがツルネですか…」なんて標識に語る余裕がありました。
ツルネから先は、下りが始まります。ということは、鞍部にありがちなキレット小屋が近いということ。一度道迷いをしましたが、ピンクのテープを探して復帰。キレット小屋手前は道が細い鎖場となっていて、下の方に水場らしきものが見えます。
キレット小屋に到着です。キレット小屋は静まり返っていました。とりあえず、テント場を確認しに行くと、噂通り平らな場所は少なかったです。水場は少し下った場所、やはり鎖場から見えた場所にありました。
小屋まで戻って昼食にします。当初は、12:00までに到着する予定でしたが、12:40に到着。元々出発が40分遅れていたし、負傷を考えれば上出来でしょう。パンを頬張りながら、ここで泊まるか先に進むか考えましたが、CTでは15:00に到着するはず。行ってみることにしました。
キレット小屋を出発して少し登ると、目の前にガレ場と岩場が登場します。ガスで霞んでいて先が見えないのですが、結構な長丁場となりそうです。きちんとペンキマークがありますし、3点確保をしっかり守れば問題ありませんでした。五竜岳を先に経験しておいて良かったな…なんて思いながら進みますが、なかなか終わりが見えません。途中、上の方からお泊りセットを背負った若いお姉さんがルートファインディングだけでピョンピョンと下りてきました。「怖くないですか?どちらまで?」と尋ねると「少し怖いですね。でも大丈夫ですよ。キレット小屋で泊まります」とのこと。凄いなぁ。あのようになりたいなぁ。
ここを通過すると、鎖と梯子の二者択一を迫られる岩が登場します。ここで、ビビりました。鎖は足をかけるところが皆無に等しく、力づくで登る。梯子は少し揺れる上に真下が何もなく、平行移動で乗り移る。手や足を滑らせたら、そのまま崖下にサヨウナラ。躊躇していると、男性が追いついてきたので「どちらまで?あと、どちらがいいですかね」と尋ねると、「赤岳鉱泉までです」と言いながら、鎖と梯子を手で触って確認。「梯子の方が登り易いですかね」とピョンと乗り移ってスタスタと登り「気を付けて」と先に進まれました。ポツーンと独りぼっちになり、どうしようか悩みましたが、梯子に乗り移る際に患部がズキンときたら怖いので、鎖を選択。胴長短足の自分を恨みつつ、何とかよじ登りました。
私にとっての核心部を超えると、今度は道が細い鎖場が連続します。ここも若干ビビりながら、通過。普通の道になったかと思いきや、またガレ場が登場し、これが繰り返されます。
14:20頃にもう3/4は超えたよな…。と思っていると、向こうから一人の男性が下りてきました。「どちらまで?赤岳はあとどれくらいですか」と尋ねると「キレット小屋まで行きます。赤岳まであと1時間〜1時間半くらいかかると思いますよ」とのこと。
ショックでした。CT的には3/4を超えたはずなのに、まだ半分なの?しかし、ここで引き返すよりは先に進む方が良いに決まっています。気を取り直して進むと、ポツリポツリと雨が降り出しました。
まだ大丈夫かな?と思っていたら一気に強くなったので、足場が広いところまで進んで慌ててレインウェアを着ました。しかし、この間で全身がかなり濡れてしまいました。加えて、雷が発生。ピカッと光ったら2〜3秒で雷鳴が鳴り響きます。結構近い?マズイな…。どうしよう?今いる場所はテントを張るにはちょうど良い広さと平らな場所だったので、ここでビバークしようかとも思いましたが、ここだと風をモロに受けるので、突風が吹いたら心配です。他の皆さんも条件は同じだと、諦めて先に進みました。
進む道を雨水が川のように流れる中、何も掴まずに滑落するよりはマシと言い聞かせて水の中に手を突っ込み、手首からレインウェアの中に水が入ってきて気持ち悪く、まるで沢登りのようにガレ場を進みました。14:45に真教寺尾根分岐に到着した時、キレットを通過し終えたことがわかり、とても嬉しかったです。先ほどすれ違った男性は、どうしてあんなに時間がかかると言ったのだろう?一気に赤岳まで進みました。
一週間ぶりの赤岳山頂。雨は依然として強く、とても山頂独り占めを楽しむ気になれず、赤岳頂上山荘に逃げ込もうかと思いました。しかし、雷は光ってから5秒後くらいに雷鳴が聞こえるようになってきたので、さすがに阿弥陀岳は諦めて、行者小屋まで行くことにしました。
初めて文三郎尾根を通過しますが、地蔵尾根より優しい道ですね。ほぼ全てに鎖があって、阿弥陀岳を諦めたこともあり、マムート階段をゲットしつつ、のんびりと下りることができました。阿弥陀岳への分岐に着くころには雨が上がりましたが、雷が収まらないのでやはり行者小屋へ向かいます。ここで、ご夫婦らしき方が地図とにらめっこしていたので声をかけると「赤岳展望荘に行きたい」とのこと。あぁ、地蔵尾根の方が近いのにと思いつつ「とりあえず山頂に行ってください」と伝えました。
行者小屋に着くと、身体はびしょ濡れのため乾燥室を使いたい誘惑に駆られて素泊まりにしようかと揺らぎましたが、まだテント場は平らな場所が空いていたのでテントに決定。
受付を済ませているうちにまた雨が降り出してしまい、小屋に荷物を置かせてもらい、設営です。お隣のテントの方は小さなお子さん連れで、「夜は子どもうるさいかもしれませんが」とお断りがあったので、「大丈夫です。今日は観音平出発で明日天狗方面に抜ける予定ですので、今夜は爆睡していると思います」と伝えました。「失礼ですがおいくつですか」と聞かれたので「○○歳です」と答えると、驚かれていました。確かに私は老け顔ですが…。
急にお腹が空いてきたので、缶ビールよりも先に夕食にしました。夕食を終えて片づけていると、身体が冷えて寒くなってきました。雨は降ったり上がったりで、外の木に服をかけて干すこともできず。小屋の受付にあったストーブと宿泊者用炊事場(小屋泊用?)思い出し、そこで服を乾かしながら缶ビールを飲むことにしました。
ここで、千葉県から来たという方としばらくお話しました。私のバカ話に嫌な顏をせずにお付き合いしてくれる、気さくな方でした。お話しながら、患部をマッサージしていたのですが、筋肉の冷えとともに痛みが増してきたので、明日の渋の湯まで(14:50のバスに乗る、これに乗れなければタクシー)は無理だろうと判断。目的の阿弥陀岳に登ってから、御小屋尾根で美濃戸口まで下山する(11:20のバスの乗る、これに乗れなければ13:20まで待たねばならない)ことにしました。見事なヘタレっぷりです。
ストーブの周りには、同じく服を乾かすためにたくさんの方が張りつていて、私も2時間ほどこの場にいましたが、結局ズボンは乾きませんでした。
夜に何度か雨風の音で目が覚め、良く降るなぁ、これでは星が見えないなぁと二度寝。いつも通り4:30に起床としましたが、1時間程度まったりとしてしまい、朝食を済ませてテントを撤収。お隣さんは、沢の増水でお子さんの渡渉が心配だから北沢から下山するとのことで、同じく7:00に行者小屋を出発しました。
阿弥陀岳までは昨日の大雨の影響か、土砂が流されていて歩きにくかったです。本来はもう少し歩きやすい道であるような気がするのですが。中岳コルで中岳に行こうかと思いましたが、バスの時間が気になり、諦めて阿弥陀岳に向かいます。阿弥陀岳までは意外と大変でした。ガレ場のような所を通過しなければなりませんし、途中で道がわからなくなり、急ではあるが登れる場所を探して登ると違う場所にピンクのテープがあったりと…。こんなことの繰り返しで目的の阿弥陀岳に到着です。
阿弥陀岳山頂には石碑がいくつかありました。「阿弥陀」というくらいですから、妙に納得してしまいました。ガスで何も見えませんでしたが、今回はここが目的だったので、昨日の赤岳のように素通りせず、5分間ほど山頂独り占めを楽しみました。
さぁ、ここから一気に下山かと思いきや、いきなり昨日のキレット核心部を彷彿とさせるような鎖と梯子が登場します。しかも、先週と同じくらいの強風が吹き始め、いきなり心が折れそうになります。一度行者小屋まで下りて南沢で下山する方が楽かな?と思いましたが、これも経験の一つとして進むことにしました。
鎖と梯子をクリアすると、今度は岩肌のような場所にロープが延々と張られています。足下が滑るので、ロープを掴んで慎重な下りがしばらく続きます。ロープが終わっても、不動清水入口までは下りにくい道が続き、予想以上に時間がかかりました。
9:20に不動清水入口に到着したので、11:20のバスは間に合わないかな?と半分諦めで、時間がないのに水場偵察に向かいました。ここで顔を洗って、気持ちを引き締めます。
驚くことに、この先は道がなだらかで優しくなりました。ここで時間を稼ぐしかない!と、患部の痛み・息切れ・発汗を無視して、最近は禁じ手としていた早歩きを敢行。御小屋山に着いたときは9:50で、CTは1:10のところを40分短縮したことになり、ゴールまでのCTは1:30。ここで、よほど派手に転んだりしない限りバスに間に合うことを確信し、大福を食べて気合いを入れます。
あとはのんびり下山して、八ヶ岳山荘に11:05に到着しました。このとき、悪路を進んでくる1台の車がいて「下を擦らないようにね〜」と思っていたのですが、なんとお隣のテントの方でした。無事にお子さんとともに下山できたようで安心しました。わざわざ車から降りてこられたので茅野駅まで送ってもらえるのかな?と淡い期待を抱きましたが、この汗まみれの身体では申し訳ないので、「バスに間に合いました。お疲れさまでした」と伝え、笑顔でお別れしました。
バスの発車まで梅ジュースを飲んで休憩していると、今度は昨日お話した方がお風呂から上がってきました。2度の偶然が重なり、結局この方とバスで茅野駅までお話し、お別れしたのでした。
今回は負傷がありましたが、負傷していなくても少し無理な行程だった気がします。次回挑戦する際は、もう登りたい山をとりあえず制覇したので、編笠山を巻いて体力を温存し、赤岳から文三郎尾根で下山して行者小屋を通過して赤岳鉱泉泊、硫黄岳に登って〜渋の湯までにしようと思います。
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