憧れのキリマンジャロ登頂(ウフルピーク5,895m)
- GPS
- 43:41
- 距離
- 75.1km
- 登り
- 4,351m
- 下り
- 4,299m
天候 | 初日曇り、のち快晴。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
飛行機
|
コース状況/ 危険箇所等 |
特に難しいところはありません。高山病対策が重要です。 |
その他周辺情報 | タランギレ国立公園で動物たちに出会いました。 |
写真
感想
・はじめに
海外登山はキナバルに続いて2度目となります。キナバルに登った時にガイドさんから「次はキリマンジャロでしょう」という話を伺って、気になっていました。
去年百名山を達成したのと、会社のリフレッシュ休暇がもらえたので思い切って登山することにしました。キリマンジャロに登るには個人で手配する手もあるのですが、今回は日本のツアー会社を使わせてもらいました。主にコミュニケーションに不安があったのと、ツアー会社のノウハウをうまく使って登頂に専念したかったからです。実際、キリマンジャロは他の国と同様、規定のガイド/ポーター/コックを付けなくては行けませんし、行程もそう変わるものではありません。ツアーと個人手配はまさしくコストの差ということができるでしょう(ただし、下山後の活動に自由度の差はありますね)。
キリマンジャロ登山にはいくつかのルートがありますが、マラングルート(別名コカ・コーラルート)となります。日本のツアーはほぼこのルートになるようです。このルートは4,700mのキボハットまでは非常に緩やかなルートであり、高度順応に適しています。その分、アタック日に負担がかかるとも言えます。またこのルートは小屋が充実しています(とは言っても避難小屋です)
さきほども書いた通り、登山には規定のサポーターをつけることが義務付けられています。今回のツアーは10名に対して、ガイド5名、コック2名、ポーターはなんと30名も動員します。ポーターは客の荷物(10kg程度)を持つ他に、食材やら食器、酸素などの登山道具を持ってもらいます。ポーターの食事も当然必要なので必要な人数は加速的に増えます。登山客が少なくてもサポーターは多く、2人でも10人くらい付くとのことです。ツアーで人数が多いと一人あたりの割り当てが相対的に減るし、食事のレパートリーも増えそうな感じです。この辺一長一短ですね。日本の登山ではどうしても自分の荷物は自分で持って行きたいと思うところですが、5泊6日の食事を用意するのは大変ですし、水の確保からして困難です。彼らのサポートなしに登山を行うことは難しいと言えましょう。
9/5(金)
初日は移動だけです。午後8:00に成田空港に集合です。自分はこの日はお休みにしていましたが、定時まで仕事しても参加できそうな感じです。成田では参加メンバーのうち6人が集まってドーハに出発します。ガイドさんは乗り継ぎのドーハで合流です(関空組と一緒)。飛行機はカタール航空で、サービス面での定評があるとのことです。あまり不満はありませんでしたが、USBコンセントからスマフォの充電ができないのが残念でした。食事はよかったです。
9/6(土)
*ここから先は日本から6時間遅れの時差となります。
ドーハで乗継となります。ドーハ空港は最近拡張したようで、やたら広いです。その分間がスカスカで飲み物を買おうと思って右往左往してしまいました。この空港、かなりの機体がカタール航空であり、カタール航空がセットで経営している感じです。ここで日本人ガイドさんと関空メンバーに合流です。ドーハからダルエスサラーム経由でキリマンジャロ空港に移動します。さすがアフリカは遠いですね。以前はナイロビ経由の便が多かったそうですが、ナイロビ経由だと予防接種を受けないといけないらしいです。直接タンザニアに入れるのは楽ですね。キリマンジャロ空港は標高が高いところにあるので、あまり暑くは感じません。ここで車でお迎えに来ていただき、マラングの登山口に近いロッジで初日の宿泊です。ロッジは特に建物に問題はありませんでしたが、お湯が出なくなるかもしれないから早めにシャワーを浴びたほうがいいと言われました。丸一日飛行機に乗ったので、汗を落とすことができました(ここから6日間風呂には入れないのだけど)。食事はパンとフルーツ、メインはカレーでしたが美味しかったです。また、キリマンジャロビールが美味しかった。どうやらドイツから技術指導を受けたらしい。食事を取ると翌日に備えて荷物を3つにわけて(置いてくスーツケース、ポーターに運んでもらう荷物、自分が担ぐ荷物)に分けて寝ました。
9/7(日)
いよいよキリマンジャロに向かってスタートです。とはいっても初日は軽めで11時くらいからスタートして夕方前に付く感じです。まずはガイドさんが登山者の申し込み(全員分手書きなんだそうな)、お弁当を待ってスタートです。ここで日本の着物をきた日本の青年に会いました。彼はこの格好で世界一週しているらしい。すごいなー。ゲートを越えようとするとレンジャーに呼び止められます。どうやらペットボトルの持ち込みが見つかったようで、回収されます。他は緩いのにペットボトルだけは異常に厳しい(捨てませんよ)。登り始めは樹林地帯です。ときどき滝も見えたりして、見慣れない花以外は日本とあまり違和感はありません。初日は2,700mまでなので高山病も気にせずにのんびり歩く感じです。途中の休憩ポイントでお昼ごはんです。渡された弁当の他に、コックさんが作ってくれたコーンスープを頂きます。温かいスープで豪華な気分です。お弁当はサンドイッチ、茹で卵、チキン、バナナ、柑橘系、ジュース、なぜかスニッカーズもついています。そんな悪くはないのですが、さすがに毎日これなので最後は飽きてきました。更に歩きますが、3時前くらいに初日の小屋であるマンダラハットに到着しました。森林の中の気持ちよい小屋です。小屋は奥まった小屋で、エントランスに2段ベッドが3台おいてあるのが男性の宿泊場所となりました。小屋には太陽電池が取り付けられており、夜の灯りに使われていました。小屋に着くと、さっそくお茶タイムになってお茶をもらい、さらにポーターさんが洗面器にお湯を注いで洗面ができるようになっています。お茶は紅茶、コーヒー、ミロなどがあり、今度はこれがスタンダードになります。夕食はパンと果物に、魚を揚げたものにポテトがついてフィッシュ&チップスです。この食事が一番美味しかったな(魚は傷みやすいので初日しかつかない)。食事を取るとすることがなくなるので、パッキングしたら寝ます。高所用に持ってきたシュラフはこの場ではちょっと暑い感じでした。
9/8(月)
この日は割と早めに起きて、例によってお茶と洗顔をします。朝ごはんはおかゆがでますが、ガイドさんがお茶漬け海苔と梅干しをもってきてくださって日本食と違和感がありません(こういうノウハウは重要ですね)。ここから3,700mのホロンボハットに移動です。このあたりから呼吸を意識するように言われました。いろいろ呼吸の仕方はあると思いますが、とにかく吐き出す息を気にして深い呼吸を意識するように言われました。登りだしはなんだか曇って景色が見えまえん。樹林帯を越えて植物の背丈が低くなっても遠くの山は見えません。ところどころ花が見えますので、なにか聞いてみるとキリマンジャリカという花を教えてもらいました。だんだんサバンナっぽくなってくると、花が黒くなっているものがあり、これは数年前に起きた山火事の影響だそうです。そして雲がだんだん晴れてきて、ぎざぎざなマウェンジ峰が見えてきました。この山はルートのあちこちでみることができて、影の主役とも言えるでしょう(登るにはロープが必要らしいです)。さらに雪を被ったキボ峰が雲間から見えると否が応でもテンションがあがります。そんな感じで3,700mのホロンボハットに到着しました。ここはもう富士山の山頂に近い高所であり、そろそろ高山病の心配をしなくてはいけないところです。自分は3000m峰を今年いくつか登っていますが、富士山の山頂には行けてないのでちょっと心配してました。ガイドさんが持ってきた酸素飽和メーターで84%(これは病院だとたいへんなレベル)でしたが、深い呼吸を繰り返すことで90%以上に持っていくことができました。ホロンボハットは都合3泊したので思い出深い小屋です。マウェンジ峰もよく見えるし、キボ峰も頭がちょこんと見えます。天候も回復しており、期待が高まります。本当は星空を撮りたかったのですが、ちょうどスーパームーンの時期であり、星空はあまり望ませんでした。
9/9(火)
この日は高度順応日でホロンボハットに連泊です。順応のためにゼブラロックというポイントまで歩きます。標高で4,060mくらい。このポイントからキボ峰が綺麗に見えました。天気は完全に回復しており、美しい氷河や山並みが望めました。
この日はお昼はハットに戻ってフレンチトーストとチキンシチューを頂きましたが、これも本当に美味しかった!その後は他の登山客と話したり、持ってきた小説を読んだりしてまったりと過ごしました。高度順応のおかげか、酸素飽和度は90%を超えていました。翌日からは未経験の高度に挑戦となり、緊張感が高まってきます。
9/10(水)
最後の小屋のキボハット(4,700m)への移動となります。サバンナ地帯を超えると森林限界を越えてザレ場をひたすら歩く感じです。傾斜は非常に緩いのですが、呼吸を気にしながらゆっくりゆっくりと歩きます。現地ガイドの皆さんは後ろでしゃべりながら気にせず歩いており、さすがという感じです。サドルと呼ばれる鞍部を右に巻き、ゆっくりゆっくり高度を上げていくと、最後のハットであるキボハットが見えてきました!しかしそこから標高差200mをあげる必要があり、早く付きたくもありますが、4500mを越えており、ちょっとでも呼吸に手を抜くと頭が重くなる感じがしており、深く呼吸します。小屋に着くとお茶を飲んでゆったりとし、山頂アタックの準備を行います。この小屋は男女同じ部屋でした。19時くらいまで寝付けませんでしたが、どうにか23時まで3時間くらい寝ることができました。頭が痛くなってたらどうしようと思いましたが、なんとか大丈夫でした。この小屋はだいぶ寒いと聞いていましたが、天候がよかったせいか、あまり寒さを感じませんでした。23時にみんな起きだして厳冬期装備を備えます。ガイドさんが格好を見せてくれましたが、厳冬期の赤岳よりあったかい格好です。これはハイクアップで急激に体温をあげられないための装備であることに気づきました。自分は長袖のインナーにフリース(R2)にアウターを付けました。下はブレスサーモにズボン、スパッツに雨具という感じです。小屋の外に出ているときにはあまり寒いとは感じませんでした。0時に登り始めましたが、本当にこのツアーはゆっくりあがるため、他のツアーにどんどん抜かれる感じです。ザレ場をジグザグにあがっていきますが、頂上には6時半につくという言葉を信じて上がります。体温があがらないので、風が非常に冷たくなります。寝不足なのか、疲労なのか高山病なのかわかりませんが、眠くて眠くてしょうがありません。ガイドさんは「みんな同じ気持です」といって励まします。特に3時から5時あたりが厳しかったです。富士山なら寝ちゃうかもしれませんが、すでに5000mを超えているので、ここで寝てしまうのは非常に危険なのです。外人さんでも停滞している人が何人かいました。6時をまわると空が白々と開けてきて、マウェンジ峰から日が上がってきてテンションが上がってきました。何度か休憩をとり、あそこがギルマンズポイントですよ!と言われて、力を振り絞ってあがりました。ギルマンズポイントは火口の一部であり、ここまでくれば一応の登頂認定がされます。ここでメンバーの一人がこれ以上は無理だ、と言い出しましたが、ガイドさんがまだ大丈夫、行けますよ、といって励ましました。ギルマンズポイントでは美しい氷河があまり見えないのです。次のステラポイントまで連れていって、その方は引き返しました。その他の9名は最高峰のウフルピークを目指します。お鉢巡りだからと舐めてかかっていましたが、山が大きいのでピークまでが非常に遠かったです。なんどかアップダウンを繰り返し、ようやく人が集まっている一番高いところ、ウフルピークが見えました!空はまさしく蒼穹といってよく、これほど美しい青空はみたことがありませんでした。そして5,890mの山頂に着くとみんなで握手をし、お互いの努力をたたえました。写真を撮ったりして30分ほど居たでしょうか。みんな下山を開始しました。こんなところに長居をしていてもなにもよいことはありません。自分はギルマンズポイントに戻るアップダウンでかなり疲労を覚えていました。他のメンバーの方の話だと顔が真っ青だと言われました。火口から降りる砂走りでペースがあがりません。踏ん張りが効かず、何度か転びました。ガイドさんに誘導してもらってキボハットに戻りました。ここでドリンクをがぶ飲みして撤収準備をします。食事をとってパッキングして一気に下のホロンボハットに向かいます。ここでメンバーの一人が目が見えないと言ってました。高山病の影響か、薬のせいかたまにこのようなことが起きるそうです。この方はガイドの手を借りて下山します。ホロンボハットは3,700mですから山頂から2,000mも降ります。ここまでくれば高山病の影響はないでしょう。食事の時間になりますが、疲れが出たのか、食事に飽きたのかあまり食が進みませんでした。とにかくさっさと寝たかったのでした。なんせ行動時間が15時間になりましたから。
9/11(木)
この日はホロンボハットから一気にマラングゲートまで降りますが、もう高山病の心配はありません。現地ガイドにまかせてひたすら降ります。自分にとっては普通の下山ペースでしたが、あまり登山に慣れてないメンバーにとっては早過ぎるペースだったようです。マンダラハットで昼飯をとり、マラングゲートに着いたのは13時くらい。これはガイドさんの想定より1時間くらい早かったようで驚いていました。ここで下山の受付をして、買い物をした後(登山バッヂが普通に売ってました)、広場で登頂お祝い会をしました。現地ガイドさんがみんなで歌ってくれて感動しました。お祝いのワインも美味しかった。全員登頂証明書をいただいて、無事キリマンジャロ登山は成功となりました。
その後アリューシャに移動し、6日振りのお風呂に入って美味しい食事をいただきました。体中砂だらけ、口はカサカサ、喉は砂で痛めていました。この日もキリマンジャロビールで乾杯しました。
9/12(金)
早朝に起きてタランギレ国立公園に移動してサファリを見学しました。多くの時間は取れませんでしたが、非常にラッキーな事にキリンや象など多くの動物達と会えました。その後、お土産を買って食事をして、キリマンジャロ空港から出国しました。あっという間の旅行でした。
・最後に
キリマンジャロ登山はそこそこ登山をやっている方なら不可能な山ではないと思いました。ただしきちんとしたガイドがついた場合です。そして真摯に取り組む姿勢が必要です。常に高山病との戦いを強いられるキリマンジャロの体験は日本の山では味わえないものだと思います。地球の裏側までくる価値は十分あります。より多くの皆さんがキリマンジャロを目指されることを望みます。
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