【回生作戦】夜叉神峠・薬師岳・観音岳・地蔵岳・広河原【甲46.2】
- GPS
- 08:25
- 距離
- 18.6km
- 登り
- 2,058m
- 下り
- 1,904m
コースタイム
- 山行
- 7:05
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 8:25
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
復路:広河原〜夜叉神峠登山口 840円+100円 |
コース状況/ 危険箇所等 |
夜叉神峠まで:やや急な登り。 夜叉神峠〜薬師岳:樹林帯の中。岩がゴロゴロしている所もあるが、平坦な道もあり、歩きやすい。 薬師岳〜地蔵岳:岩が風化し砂状になった上を上り下りするのがしんどい。オベリスクのてっぺんに上るには技術と度胸が要る。 高嶺〜白鳳峠:岩の急な登りの後は、白鳳峠まで一気に下る。下りも所々ガレガレで道が分かりにくいところも。 白鳳峠〜下山:引き続きガレガレの岩場下りの後は樹林帯の急降下。下山まで急な傾斜は終わらない。 |
写真
感想
今年は天候不良や睡眠不足等により満足のいく山行がなかなかできなかったところ、その退勢を挽回すべく、起死回生の大作戦を南アルプス方面において敢行。
先週末、福島から帰ってきたばかりではあるが、秋分の日は稀に見る好天との情報をキャッチし、出かけることにする。山域は、越後三山、谷川岳周回、浅間山、北八、国師ヶ岳〜甲武信ヶ岳、鳳凰三山と、いろいろ挙がったが、今年は2,500m以上の山で目ぼしい戦果が挙がっていないこと、単休日であることを踏まえ、鳳凰三山へ。
仕事は定時で切り上げて雨がぱらつく中、山梨へ急行。ガラガラの夜叉神峠登山口の端っこに車を止め即就寝。この夜も星空に恵まれ、寝付きも上々。眠りが深かったからか、たまたま夜中に来る車が無かったからか、車の音に煩わされることもなかった。
5時前後から車がポツポツ来るようになる。夜叉神ゲートの方も灯りがついて何だかザワザワしている。そんな中、いまだ空にまたたく星を仰ぎつつ当初予定通り夜明け前に出発。
道そのものは歩きやすいが、気温が低く、冬の朝によくある頭痛に襲われる。これはチャージをかけ過ぎたな、とペースを落とし、深呼吸をしながら時折側頭部をモミモミして歩く。樹林帯の中で夜明けを迎え、夜叉神峠では朝日に照らされた白根三山を望む。空は快晴、雲ひとつ無し。我が心も晴れ晴れ。
夜叉神峠からいよいよ主陵線へ。もとの標高がそれなりにあることもあり、傾斜は比較的緩やかで、平坦な道も多々ある。この日は絶好日である割には他の山行者が少ないように感じたが、鳳凰へ最も楽にアプローチできるルートであることから普段は多くの登山者で賑わうのだろう。歩きやすくて平前日でも安心して歩ける。標高2500m以上の山の導入として適しているかもしれない。ついつい先日歩いた奈良田〜農鳥岳の道と比較してしまう。あの道はなあ。陵線に出たところでばてるからな。それにしても、きちんと睡眠をとれたためか、身も心も軽いように思う。この調子なら今回は完踏できるだろう。
火事場跡から岩がゴロゴロとしてくるが、森林限界はまだ訪れない。南御室小屋裏手から急な登りとなり、登りきった陵線での巨岩のお出迎えを経、その後、一気に視界が開ける。砂払岳である。
いやはや、東側は雲が多いが、北は薬師岳から始まる鳳凰に甲斐駒ケ岳まで至る陵線、西は仙丈ケ岳から北岳、間ノ岳、農鳥岳と、さらに南へ連なる陵線が360度の展望で眼中に収めることができる。しかも陽光は穏やか、暑すぎず、風もほとんど無し。
この絶好の青天下、三山を歩いている間ずっと展望散策を楽しめるというわけだ。足元が砂状になって若干歩きにくくはなったが、得られるものの方が大きく、まだ苦にはならない。陵線上の巨岩怪石もまた楽しい。
しかし、薬師岳〜地蔵岳間はやや勝手が違ったか。一旦グンと下ってアカヌケ沢ノ頭の手前まで登り、また下がっていくのだが、これは結構大変だった。アップダウンがそれまでより大きい。
そしてオベリスクである。てっぺんまで行くかどうかはともかく、標識よりも高所なので誰しも岩場にアプローチするだろう。以前、鳳凰に来た時は、暑さと水不足もあり8合目くらいで終わったが、今回は体調万全。トップを目指してみる。しかし、ザラザラした岩肌のため、早速指が血でにじみ、気分が若干萎える。グローブは必須だ。次に斜めに傾いた岩の頭を手で押さえつつ、三足跳びで先の岩に移動。これは思い切りが必要。そして、最後の関門、ロープの垂れ下がった岩の狭間の前に立つ。
しかし、私はここで立ち止まってしまった。何事もテンポというのが大事で、順調な時はさっさと次のステップに進めば良いのだが、立ち止まってしまったことで、思案しているうちに不安が大きくなり、結局、その先に進むことはかなわなかった。
それもそのはずで、まず垂れ下がっているロープは立っている所からだと手が届かない。そして、先は垂直の岩肌以外に足を置く場所はない。つまり、岩壁に足をついて(立っている所から足が届くのは右足だけなので、左足については腹を決めて思い切りの良い跳躍をする必要がある)、突っ張り棒みたいな感じで体を保持しつつ、その間にロープを手に取らないといけないのだ。ロープを手にしてしまえば登るのは簡単だろう。しかし、私は降りる時のことも考えた。ロープを伝って降りてくるところまでは良い。しかし、ロープの下端部分に来ても、そこに地面は無い。先程の逆で、下端に来たら、最初右足を置いた足がかりに片足を置いて、あとはロープを手放すとともに、もといた始点たる岩の方へ跳躍だろう。
岩は滑る性質のものでないので、行こうと思えば行けるという気持ちはあるのだが、ロープまで跳躍しないといけないのと、ロープの上10m、下5mはあろうかという高度差に足がすくんでしまった。金峰山の五丈石は、最後にしっかりした足場から2mくらいの岩を上れば(しかも両手をかける窪みがある)トップに立てるが、オベリスクは段違いだ。
何事も思い切りが大事である。就職活動にしても婚活にしても、行動せずにウジウジ考えてばかりいると先に進めない。後先考えずにロープへ向かってジャンプだ。ただし、技術があることが前提であることは言うまでもない。西穂高や妙義山で、やたら腰が引けている中年女性を見たことがあるが、そんな人は、ほぼ確実に転落する。
地蔵岳で岩場の上り下り、行ったり来たりを繰り返していたら、結構体力を消耗してしまった。
アカヌケ沢ノ頭に登り返すと、高嶺に至る急傾斜が見えて、アレを登り返すのかとウゲッとなるが、相変わらず晴れた美空の大展望に気を取り直して最後のピークへ。
鳳凰三山の脇に鎮座する高嶺については気に留めたこともなかったが、山頂がこじんまりとしているからか、落ち着いた雰囲気だ。展望は360度。白根三山、鳳凰三山、富士山、甲斐駒ケ岳、仙丈ケ岳を全て視野に収めることができる隠れたベストポジション。
広河原に至るには白鳳峠もしくは広河原峠から下ることになるが、終わりも近くなってくると、どこまで行くか思案のしどころだ。白鳳峠までの下りは急で、岩のガレ場が開けるところでは、一瞬道が薄くなる。赤色の印も薄いので、立ち止まって確認。そんな下りの後にもう一山登るのは大変だなあと考えていたら、白鳳峠より赤薙沢ノ頭方面は崩落により通行止め。あー残念だなー(棒読み)。
北岳を前に大石原を下る。こんなだだっ広い石野原はそうそうない。空が大きく開けた斜面は、さながら舞台の如し。
岩野原を過ぎると傾斜角が増した樹林帯の急降下。上りにはあまり使いたくないほどの段差ある急坂が白鳳峠登山口まで続き、気が抜けない。
かくして、本山行は成功裡に完了するとともに、当初予定では1510時発の広河原発バスをメドにしていたところ、1410時発のバスに乗ることができたのであった。
夜叉神峠登山口という、やや標高が高めの所から歩き始めたということはあるが、この上ない秋晴れの天気の中、無難に歩きとおせたのは上々だ。秋山前哨戦はかくのごとし。今後10月、11月と戦果を着々と積み重ねていけることだろう。
〜おしまい〜
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