2014は風雪に始まって風雪に終わる。ノートレースの阿弥陀岳越えと南八ヶ岳ゴールデンルート(赤岳横岳硫黄岳)縦走
- GPS
- 12:58
- 距離
- 24.9km
- 登り
- 2,496m
- 下り
- 2,485m
コースタイム
- 山行
- 5:38
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 6:01
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 0:38
- 合計
- 6:38
天候 | 12/30;雪 12/31;霧&小雪、赤岳鉱泉から下は時々晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2014年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
御小屋尾根;不動清水までは先行者4名(4名とも単独男性)のトレースあり。4名とも登頂を諦めて引き返してきたため、不動清水から先は新しいトレース無。おそらく前日のトレースが部分的に残っている状態。その後の降雪と風で森林限界から上はほとんどトレース無。常時膝くらいまでのラッセル、ときには腰まで潜った。 トレース無くホワイトアウト状態だったので ^ぬ鐶乏戮寮召慮から北へ延びる岩稜へ下りそうになった。 阿弥陀岳からの下り口が分からず、北稜へ間違えて下ってしまった。 赤岳方面は下り始めがはっきりした尾根になっていないので注意が必要。 阿弥陀岳の下り;とても急で、鎖やハシゴもほとんど雪に埋まっていて、 場所によっては後ろ向きに下ったりした。また尾根がはっきりせず、南の尾根に 下りそうになったが、すぐに気付いて雪の急斜面を下へトラバースしながら ルートへもどった。 行者小屋へは、夏道ではなく、沢沿いに下ったが雪が深く、太もも辺りまで 潜って、下りでも足を前に出すのに労力が必要だった。 文三郎尾根;トレースははっきりしていた。鎖は半分くらい雪から出ていた。 阿弥陀との稜線に出ると途端に強烈な風になった。 赤岳の下り;さらに強風。急坂は半分凍っていたので慎重に下った。ここは、 新雪に潜ることがなかったので、滑落したら止まらない可能性あり。 横岳縦走;先行者4名(3人組と単独男性)のトレースがあったが、 3人組はすぐに追い越した。その先日の岳のルンゼで単独男性を追い越し、 そこからはノートレースでルーファイ&時々ラッセルが必要だった。 日の岳のルンゼは雪が膝以上の深さで、下りの方が楽だったも思われた。 横岳の北側の岩場のトラバースは、雪がたっぷり付いていたので 稜線上には上らず、急斜面をラッセルして踏み固めトラバースした。 次のyoutaroさんのレコのコメントのやり取り参照 http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-402510.html#comment896968 硫黄岳から赤岳鉱泉は立派なトレースあり。 |
写真
装備
個人装備 |
12本歯アイゼン
ピッケル
手袋(大小)
ロングスパッツ
ストック
オーバーズボン
オーバーヤッケ
インナーダウン上下
タイツ
バラクラバ
ウール帽
予備靴下
GPS
ヘッドライト
予備電池
携帯
2万5千図
磁石
食糧昼食2回分
テルモス
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感想
今年ラストの山行は新年に引き続き、雪の八ヶ岳へと向かいました。そして、今回もまたずっと悪天となり、風雪に始まって風雪で終わった年となりました。
今回は本当はトレースばっちりの年末の人気の八ヶ岳で、楽々行ってくるつもりだったのですが、結果としてはまたまた非常にシビアな登山となってしまいました。
急遽年末に山へ行けることになり、12/30に赤岳鉱泉を予約しました。
前日までスキーをしていた野沢温泉を早朝あとにし、実家へ帰る妻と松本駅で別れ、一人美濃戸の登山口へ向かいました。中央道諏訪辺りは雪模様で八ヶ岳は見えません。 予定通り阿弥陀に登るか迷いながら登山口へ到着しました。
美濃戸口は駐車場はほぼいっぱい、バスもちょうど到着したところで、とてもにぎわっていました。登山計画書を提出すると、係員から御小屋尾根はトレース無い、新雪がいっぱい積もっている、今(10:15頃)からでは到底無理だから真っ直ぐ赤岳鉱泉に向かった方がいい、と盛んに忠告されました。確かに一般にはその通りなのですが、自分なりに計算した、確度の高い計画でしたので、自分のこれまでの実績を話て納得していただきました。また時間と位置から無理なら引き返すことを約束しました。
そんなやり取りで予定より10分遅れて10:25出発、先行者のトレースんをたどりました。
御小屋山まで予定より30分早い1:30で到着。ここまでに単独の4人の男性とすれ違いましたが皆さん不動清水までで諦めて引き返してきたとのことで、そこから先は本当にトレースがないそうです。
不動清水まではあっという間に到着、いよいよ単独ラッセル開始しました。それでも初めの内は
前日のトレースが残っていて、それほでもありませんでした。しかし、標高が2400mを越えると風に消されて無くなり、厳しいラッセルとなりました。腰までスッボリ埋まってしまいもがくとどんどん沈んでしまう状態になった時は焦りました。這松の上原のゆずを踏み抜いたようで、手探り足探りて這松を探してその上ん歩いて脱出しました。
阿弥陀岳手間にはロープのある急な岩場があり、右手側が切れていて緊張しました。痩せた岩稜では夏道が雪で全くわからない場所もあり、慎重にルートファイしました。しかし、濃い霧と雪で地形がよくわからず、メガネが曇って凍り足元すら見えない状態で、メガネは外した方がましでしたが、視力は0.3で乱視も強いので難儀しました。一度間違って岩峰に登ってしまい、先がどう見ても下っているので気付きました。よく見ると右側に山影が見えたので岩峰を下って戻り、そちらへルートを探しました。
阿弥陀岳にはそれでも不動清水から2:10で到着しました。反対側からのトレースを期待したのですが、残念ながらありませんでした。そしてどちらへ進むべきかわからないのには参りました。
山頂標識が示す方向に微かな踏みあとを見つけて、そちらへ下りましたがとんでもない急で両側が切れ落ちた痩せ尾根になり、しばらく後ろ向きになって下りましたが、いよいよ細い雪庇になって間違いに気づき、山頂まで登り返しました。GPS で北陵を下ってしまったことがわかりましたが、この時両脚の太ももがつってしまい、時刻も日没が近づいていたので、一瞬下山できず遭難の文字が頭を過りました。でもタイムリミットは15:30としていたので、まだ余裕はありました。
GPS で地図を拡大して見ながら、ルートから外れ無いように慎重に下りました。真っ白な世界で良く雪面が見えないのですが、良く見ると風に消されかかったわずかな踏み跡があり、これを探しながら下りました。鎖や鉄ハシゴがわずかに表出していて登山道であることが分かりましたが、とても急な下りで時には後ろ向きに下りました。
何とか中岳との分岐まで下りホッとしました。行者小屋への夏道はトラバース気味に行きますが、とてもそこをラッセルする気になれなかったので、沢沿いに下りました。それでも雪が深くて膝よりも上のラッセルで、結構急な下りでも、一歩一歩足を引き抜いて前に出す動作が必要で、時間と労力がかかりました。ただ、途中から登ってきて引き返したと思われるトレースに出て、そこからは楽になり、文三郎尾根からの道に合流すると高速道路のような快適なトレースとなり、無事に行者小屋に到着、赤岳鉱泉までもあっという間で、なんとか明るい内に行動を終えることができました。
赤岳山荘、昨年のGWに泊って名物のステーキが美味しかったので、年末の晩餐にと食事つきで予約しましたが、今回はホッケ干物でちょっと残念、でもこれも十分おいしく満足できました。単独行で食事つきの小屋に泊ったのはなんとこれが初めてでした。
さて翌日、天気の回復を期待したのですが、相変わらずの天気でした。それでもみんな登って行くので、わたしも予定通り反時計回りで周回することにしました。
稜線に出ると流石に風が強く、何とか赤岳までは行っても、この天気では横岳を縦走する意味がないなと、思いながら登りました。赤岳はそれでも結構にぎわっていました。地蔵尾根分岐まで来てどうするか考えましたが、横岳方面への数名のトレースもあり、時間的にも余裕だったので、予定通り行く気になりました。ところがすぐに3人を抜いてしまい、その先は単独の方がラッセルしているのが見えました。この方に日ノ岳ルンゼで追いついてしまい、先行してノートレースを行くことになりました。これは全くの予定外でした。夏にも最近は来たことがなく、ルートを良く覚えていませんでしたので、はたして間違えずにルートを辿れるか心配でしたが、歩いてみると、鎖やハシゴがあり、登山道部分の雪のつもり方も分かり、全く迷わずに行くことができました。後続者はあっという間に見えなくなり、それから先は完全な一人旅でした。横岳の北側の難所もラッセルトラバースで何とかクリアし、跡は硫黄岳の強風のみとなり、ここでようやく対向者とすれ違いました.硫黄の強風も、思ったほどではなく、一度だけ突風でよろけましたが、何とか真直ぐに歩ける程度。
硫黄岳からは立派なトレースとなり、登ってくる人々とすれ違いながらの下山となりました。赤岩の頭を過ぎてすぐにアイゼンを外し、あとは半分グリセードしながらショートカットトレースをどんどん滑り降り、あっという間に赤岳鉱泉へ戻りました。
赤岳鉱泉に預けた荷物を回収し、日が差す中を美濃戸口へ下りました。続々と登ってくる方々と50名位すれ違いましたので、年越しの赤岳鉱泉は超満員でしょう。
美濃戸へは14時前には到着、予定よりもだいぶ早く下山でき、こうして2014年の登山は風雪で始まり風雪で終わることになりました。
さて、今から南アルプス甲斐駒仙丈へ新年登山へと向かいます。
shigetoshiさん
お疲れ様でした!
トレース無いの?
私は明日からテント泊で何度か歩いている硫黄岳から赤岳に向かう予定ですが今夜も積雪ありでしょう
横岳からのトラバース…
あの岩から横岳へのやせ尾根(積雪だと)も注意ですよね
shigetoshiさんの写真の状態なら撤退するかも
直前レコ有難うございました!!
apoidakeさん、明けましておめでとうございます。
正月の八ヶ岳、無事に行けたでしょうか。
2日の朝まで、結構な降雪だったので、またノートレースになったと思いますが、
人が多くて早朝で先頭ラッセルをやらない限りは大丈夫だったと思います。
無理をしないことが一番ですが
予定通りいったのでしたら、レコを楽しみにしています。
今年もよろしくお願い致します。
shigetoshiさん、こんにちは。
またハードな山行でしたね 冬山は夏山以上に天気に左右されるという事を肝に銘じました。実は私の大阪のヤマレコ友達のtubataroさんが、shigetoshiさんとすれ違いの日程で赤岳に登っているのです。
http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-566412.html
日程は28日〜29日なので本当にすれ違いです。でもレコを見ると分かる様に全く状況が違います。こうも変わるものですね、冬山は
しかしこの天気でも計画を貫徹するのは流石shigetoshiさんです 自分だったら途中で撤退しています。
Futaroさん、こんばんは。
tubataroさんのレコ、拝見しました。
確かにずいぶん雪の付き方が違いますね。特に赤岳の南の鎖場は別の場所のようです。
私の場合、この八ヶ岳も、そのあとの仙丈もラッセルでしたが、特に苦にはならず、
むしろ道を切り開いていく感じがいいですね(って結構Mですね )
悪天での悪戦苦闘もその厳しさがあとの達成感の大きさに比例するので
悪くありません
なので、よっぽどの状況ではない限り(技術的、体力的に無理と判断しない限り)
天気による撤退はあまりありません(思っていますがもちろん好天がいいに決まってます )
shigetoshiさん
新年明けましておめでとうございます。
実家から帰宅してすぐに雲取山へ登っていたため、
訪問が遅れました。
みなさん、コメントされていますが、私の場合は
撤退まで行かず、天気を見て山行自体をやめて
しまいます。。。
赤岳から横岳はこのコンディションでも行けると
思いますが、阿弥陀岳のくだりは感想を読んでいて
手に汗握る感じでした。ルーファイ能力、動き続ける体力
厳しい状況に負けない精神力がそろっていないと
勝てない状況ですね。お疲れ様でした。
そして、すぐに南アですか。。。ここのところ、この
山へ向かう意欲が落ち気味で、まぶしく感じます
youtaroさん、こんばんは。
野沢温泉からの帰りがけがったので、天気が芳しくなくて、止めて家まで帰って
太平洋側の晴れた山へ登る手もあったのですが、
せっかく信州までいったし、雪山に行きたかったので、頑張って行ってみました。
阿弥陀岳山頂では下る道が分からず、正直ヤバいな、と思いました
それでも最悪は自分のトレースをたどって美濃戸へ戻る手があったし、
時間的には自分が考えたリミットにはまだ余裕があったので、何とかなると
落ち着いて対処できました
youtaroさん、雪山への意欲が衰退しているとのことでしたが、
次は湯の丸のBCスキーですね。
レコ楽しみにしております
shigetoshiさん
新年明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い致します。
やっとでじっくり読ませて頂きました
でもさすがにこの記録は怖いですね。阿弥陀岳からの下りは夏道でもちょっと怖い所だと認識していますが、ホワイトアウトの状態で下るのは相当怖いですね。本格雪山登山はした事がありませんが、私だったら中岳-阿弥陀岳-御小屋尾根の順にすると思います。
赤岳-硫黄岳の周回ですが感想を読むとルートファイにラッセルにとかなり大変だと思うのですが、それでもかなり早いですね。ちょっとびっくりです。私の調子のいい時と比較してもほとんど変わらないです。
難しい登山、お疲れ様でした。
aottyさん、こんばんは。
阿弥陀の下りは、最初は尾根と言えないような急な斜面をくだっていく感じだったので、ホワイトアウトだし、メガネも外しているしでルートがわからず、怖くはなかったのですが困惑はありました GPSが無かったらまず無理でしたね。GPSさま様です。
GPSが動かなくなったらどうするんだ、という問題は残りますが、その場合は、来た道を引き返したと思います。
逆コースでも阿弥陀の下りには少し急なロープ場がありましたが、こっちは半分以上ループが出ていたので、迷うことなく、捕まって降りられ、危険は少ないと思います。でも、行者からの北側の谷沿いの登りは膝から腰のラッセルで相当きついかな。文三郎尾根を登って、稜線伝いに阿弥陀まで行く手はありますが。
赤岳-硫黄岳は7年ぶりにあるいたので、詳細なルートはすっかり忘れていて、トレースなしで先頭を行くのは最初はちょっと不安がありましたが、行ってみたらほとんど迷うようなところはなく、鎖や梯子も結構出ていて安心でした。ラッセル部分も全体の半部以下でしたし。なので、結構すいすいと歩けましたが、抜いてきた後続が全く来なかったので、やっぱり速かったのだとは思います
アイゼン、ピッケルでしっかり雪面をとらえて歩くので、バランスさえ注意すれば、夏道よりも歩きやすく、危険も少ない感じでしたよ
shigetoshi さん
お邪魔します。(^-^)/
先程はコメントありがとうございました。
早速レコ拝見致しましたが、、、
同じ御小屋尾根からと言われていたのは
厳冬期真っ只中の山行だったのですね!
恐れ入りました。。。((((;゜Д゜)))
こんな凄い方からコメント頂いてしまい
改めて恐縮しております。m(__)m
しかも、こんなハードな雪山の直後に
南ア新年登山とは。。。\(◎o◎)/
もう凄すぎて絶句です。
他のレコにもお邪魔させて頂きますね。
【追記】
あ!やっぱりそうでしたか!(*^^*)
この地味な感じの山頂標…(笑)
何となく似てるなと思っていました。
いえいえ。。。
とても初歩とは。。。m(__)m
またお邪魔しますね。
sionさん、こんばんは。
さっそくのコメント有難うございます
御小屋尾根は初めてだったし、阿弥陀岳もなんと32年ぶりだったので全く
覚えてなく、雪が無いときのあの場所はこんな感じなんだ…
とsionさんのレコを拝見して納得していました
凄いなんて言っていただけるとうれしいですが、雪山のレベルはまだまだ
初歩です パワーで乗り切っている感じでしょうか。
もっとも、特に寒いときには疲労が一番の大敵ですが。
お仕事お忙しそうですが、お時間があるときにでも、また見に来て、
何か言っていただけると嬉しいです
ところで、私のプロフの写真は、酉谷山山頂でセルフで撮ったものです
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