前穂高岳北尾根アルパインクライミング
- GPS
- 31:39
- 距離
- 41.2km
- 登り
- 2,753m
- 下り
- 2,731m
コースタイム
- 山行
- 6:32
- 休憩
- 2:03
- 合計
- 8:35
- 山行
- 13:16
- 休憩
- 2:43
- 合計
- 15:59
- 山行
- 4:52
- 休憩
- 2:09
- 合計
- 7:01
天候 | 1日目〜2日目曇り、3日目快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
一緒にクライミングのトレーニングをしている会社の先輩に連れられて前穂北尾根、初のアルパインクライミングに行ってきました。
大ベテランのリーダーとバリエーションアルパイン初挑戦の3名、計4名のパーティーです。
7/15(一日目)
朝7:30、あかんだ駐車場で待ち合わせて今回のメンバー4人でタクシーを乗り合わせ上高地へ。
8:50バスターミナルを出発、いつもの横尾経由のルートで本日の幕営地涸沢ヒュッテを目指し16:00前に涸沢到着。
涸沢の幕営は今回初めてなので、たくさんのテントを前にテンションが上がる。
涸沢カールの残雪が予想外に多かったので、翌日の前穂北尾根5-6のコルへ上る急登がアイゼン無しで行けるか偵察に向かう。
結果、カール部の緩斜面にはしっかり雪が残っているものの、詰めの急登部は左半分がガレ場で雪が無かったのでリーダーから決行のGOサイン。
涸沢に戻りビールとウィスキーで前夜祭をし、19:00過ぎに就寝。
7/16(二日目)
今回のメインイベント前穂北尾根に向けて5:00出発、まずは5-6のコル(5峰と6峰の間のコル)を目指す。
前日の偵察通りカール部は雪渓を慎重に登り、詰めの急登はガレ場を体力を温存してゆっくり登っていく。
下部はトレースも薄く少し登り難かったが、上部はしっかりとレースがついており比較的登りやすかった。
5-6のコル到着後ハーネスを装着し、いよいよ前穂北尾根稜線の登攀開始。気合を入れる。
まずは5峰のリッジからスタート。
ここはロープを使う必要もなく比較的易しい。
易しいとは言いながら、昨年行った大キレットに匹敵する難易度。
ミスをすれば数百メートルの滑落、命は無い。
前日の雨で岩が湿っており、加えて濃い霧が立ち込めているのでミスをしないように一歩一歩慎重に登っていく。
4峰はルーファイの難しい岩場の連続。
湿った岩で危険なため、4箇所ほどでロープを出す。
滑り落ちるかもしれない緊張感の中、それでも上から確保されている安心感もあって何とか登っていくが、リーダーはリードで難なく登っていく。
ピーク付近でルートを見失いかけたがリーダーの的確な判断で3峰への下りのルートを見つけ事なきを得る。
3峰、いよいよ今回の核心。
見上げる岩壁は今までの5峰や4峰とは比べ物にならないほどの斜度、気合を入れなおす。
岩場の基部まで登り、ここでクライミングシューズに履き替え1ピッチ目スタート。
先にリードするリーダーのビレイをするが、いつものゲレンデでのビレイとは比べ物にならない緊張感で文字通り手に汗握る。
見えない先からのリーダーの「ここ難しいなー」の声に縮みあがる。
リーダーが中間支点に到着し、支点を構築し終わるといよいよ自分の番。
覚悟を決めて登り始める。
フェースとクラックの連続するルートをトラバースしていくが、左側は1000メートルを超える切り立った垂直の崖、落ちたら当然命はない。
確保されているとはいえ、足を踏み外したらここに宙づりにされると思うと生きた心地がしない。
純粋な難易度でいったらそれほど難しくないと思うのだが、極度の緊張感でなかなか次の一歩が出ない。
数メートル先にビレイするリーダーがいるのだが、そこまでがとんでもなく長く感じる。
中間支点に到着しセルフビレイを取ってようやく人心地がつく。
2ピッチ目。
ここは高度感もそれほどなく難易度も高くないので難なくクリア。
3ピッチ目。
大きなチムニーを登っていくルート。
高度感はないので恐怖心はないが、チムニーを抜けた後のフェースは結構難しく、純粋に難易度だけなら1ピッチ目より難しく感じた。
それでもいつも練習しているゲレンデに比べたら全然易しいので難なくクリア。
ここで核心部終了、一息つく。
3峰のピークは右からの巻き道を選んだためピークはいつの間にか通り過ぎ、2峰のピークに出る。
2峰の先は懸垂下降で下り、最後の短い斜面を踏ん張って登り切り、前穂の頂上に出る。
頂上では無事北尾根を踏破できた喜びをメンバーの皆さんと分かち合う。
北穂頂上からは紀美子平〜吊尾根〜奥穂〜ザイテングラート〜涸沢の一般ルート。
一般ルートの中では比較的難易度が高いところもあるのだが、北尾根を終えた後なので易しく感じる。
ただ、緊張感の連続で体力を相当消耗しているので、吊尾根のアップダウンは本当にこたえた。
ザイテングラートの途中でヘッデンを着けて、21時過ぎに涸沢ヒュッテに帰着。
本日もビールとウィスキーで乾杯。
お疲れさまでした。
7/17(三日目)
三日目にしてようやく朝から雲一つない快晴に恵まれる。
日の出前に起きていたらモルゲンロートが拝めたのに、ほとんど一睡もできなかったにもかかわらずテントの中でごろごろしていたため見逃してしまう。
テントを撤収して8:00過ぎに涸沢ヒュッテを出発。
体中相当疲労がたまっていたが、横尾まで2時間ちょっとで快調に下る。
ただ平地では猛暑日続出、上高地でも27℃まで上がる予報だったので汗が止まらない。
横尾から最後の気力を振り絞って上高地まで歩く。
途中徳澤ではお約束のカレーとソフトクリームを賞味。カレーを食べたのは今回が初めてで、下山後のすきっ腹というバイアスはあるにしろ、やはりおいしかった。
14:45に上高地到着、帰りは平湯の森で疲れを洗い流し帰途に就く。
今回の計画から始まり、三日間終始適切な判断で山行を成功に導いてくださったリーダーには感謝でお礼の言葉もありません。
ありがとうございました。
今後も鍛錬を重ねて、お仲間と一緒にいろいろなルートに挑戦できたらと思います。
※前穂北尾根は一般登山ルートではありません。安易に挑むと重大な事故につながりかねません。実際今回のルート上で悲しい事故にも遭遇しました。しっかりとした事前準備(体力と技術と知識)と経験豊富な同行者前提で登攀をご検討ください。
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