富士山(吉田口五合目〜七合目泊〜お鉢巡り〜富士宮口五合目)【静岡県・山梨県】
- GPS
- 11:35
- 距離
- 14.7km
- 登り
- 1,671m
- 下り
- 1,605m
コースタイム
- 山行
- 1:51
- 休憩
- 0:11
- 合計
- 2:02
- 山行
- 7:04
- 休憩
- 2:26
- 合計
- 9:30
バスタ新宿1035=富士山5合目1302
●コースタイム
7/23
吉田口五合目 1302/富士山小御嶽神社参拝/1314 ― 泉ヶ滝 1325 ― シェルター 1337 ― 下山道合流 1345 ― 休憩 1408/1414 ― 花小屋 1423 ― 日の出館1427 ― 七合目トモエ館1430/1434 ― 鎌岩館 1441 ― 富士一館 1447 ― 鳥居荘 1455 ―東洋館 1504 (泊)
7/24
東洋館 031 ― 太子館 047 ―蓬莱館055 ― 白雲荘 113 ― 元祖室 120/122 ― 本八合目富士山ホテル 135 ― 八合目トモエ館 137/147 ― 上江戸屋 147 ― 御来光館 158 ― 九合目 221 ― 吉田口頂上 248 ― 頂上山口屋前で休憩 250/301 ― 成就岳 307/309 ― 御殿場口下降点 331 ― 頂上富士館前 336/朝食/352 ― 剣ヶ峯 410/440 ―白山岳の肩 451/453 ― 久須志岳 514 ― 富士山頂上奥宮 517/520 ― 頂上山口屋前 520/540 ― 頂上郵便局 600/郵便順番待ち/634 ― 御殿場口下降点 637 ― 御殿場口八合目 724 ― 赤岩館 743/靴補修/754 ― 富士宮口ルート・御殿場口ルート連絡路 801 ― 同連絡路終点 810 ― 元祖七合目山口山荘 838 ― 新七合目御来光山荘905/靴履替え/915 ― 新六合目 941/947 ― 富士宮口登山口 957 ―バス乗場 1000
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富士宮口五合目 1020 = 三島駅北口 1204(6分遅れ)
●行動時間
02:02+09:21=11:23
天候 | 7/23 曇り 7/24 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
(神戸=東京、東京=新宿、バスタ新宿=富士山五合目) 7/23 吉田口五合目―七合目東洋館(泊) 7/24 東洋館―吉田口頂上―剣ヶ峯―お鉢巡り―富士宮口頂上―赤岩八合館―新七合目御来光山荘―富士宮口五合目 (富士宮口五合目=三島、三島=神戸) ●登山口へのアクセス ○吉田口五合目 ・吉田口五合目への唯一のアクセスである富士スバルラインは、登山シーズンの殆どの期間はマイカーが規制される。マイカーの場合は、富士吉田IC近くの「富士山パーキング」を利用し、シャトルバスで吉田口に向かう ・バス便は、河口湖駅、富士山駅からの路線バスか、新宿、横浜、多摩などからの高速バスとなる ○富士宮口五合目 ・富士宮口五合目への唯一のアクセスである富士山スカイラインは、登山期間中はマイカーが規制される。マイカーはスカイライン入口近くにある「水ヶ塚駐車場」を利用し、シャトルバスで富士宮口に向かう (いずれの記述も2023.07現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○吉田口登山道(登り) ・本コースは、殆どの区間において登りと下りのルートが分かれている。六合目の先で分かれるとあとは御鉢巡りルートまで別々のまま ・登りでは、6合目と7合目の中間辺りから山小屋が頻繁に現れるため進度の目安にもなる。道標も細かく設けられている。コース脇を示すロープがずっとあるので、道迷いは起こりにくいと思われる ・インバウンドも含めて人がひじょうに多く、加えてみんな山頂部でのご来迎を期待するものだから、登山道の渋滞が発生しやすい。時間に余裕を持った計画が望ましいようだ。当方は余裕を持ち過ぎたようだが、仮にもっと後に出発していたらどれほど渋滞したかは分からない ・道は泉が滝までは平坦、その後は登り基調の道。最初は岩屑の転がる斜めの道だが、七合目付近からは無造作な火山岩の岩場を登り続ける ○お鉢巡り ・迷うような道ではなかろうが、濃霧あるいは夜の場合には、久須志岳や成就岳の山頂向きの道と巡る道との見分けが付きにくいきもかもしれない。なお、それぞれの下山道入口には大きな標記が建てられている ○御殿場口登山道(山頂〜七合八勺付近) ・岩屑の道だが、勾配が緩い ・道標は整備されている ○富士宮口登山道(八合目〜五合目登山口) ・岩屑の急な坂が主体。しかし岩場が少ないのでよじ登りの負担は少ない。ずっと山頂部までを見通しながら登ることになる ・道標は整備されている (いずれの記述も2023.07現在) |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・コンビニエンスストア:吉田口には土産物屋があるが、登山用の物品を買うに手頃なものではない ○飲食店:吉田口にはレストランがある 富士宮口には小さな売店のみ。一昨年の火事のためレストハウスがなくなっているとのこと。数年のうちには整備される見込みとのこと ●日帰り温泉 ・日帰り入浴施設、温泉 富士吉田には多数。富士宮側では、裾野や御殿場にある (いずれの記述も2023.07現在) |
予約できる山小屋 |
八合目池田館
|
写真
感想
○百名山九十九番
ずいぶん久しぶりに遠征を決めた。
長年タイミングを伺っていた富士山へと向かった。
当方にとっては百名山99番目の山となる。百山全踏破に向けての関門となっていた。最後の一座は出身地富山県の薬師岳にしようと決めていた。もう20年以上もそう思って登り続けてきたのだが、残る山の中でも富士山は折り合いが付かず行く機会を得られないでいた。今回環境が変わり、遠出も叶うようになったので、これぞ天佑との思いで行くことにした。
ところが、かねてニュース等でも騒がれているとおりで、富士山には戻りつつあるインバウンド客が大挙して押しかけているようで、大盛況とのこと。山小屋の予約がなかなか取れない。今月になってから決意したような奴には来てもらうことはできないよ、と山に言われているようだ。
今やネット予約もできる環境を利用し、数日にらめっこした結果、休みの取れる月曜日を活用したプランを立てることができた。
そうなると、あとは天候だけが問題だ。これも数日気をもんだが、曇りから晴れの予報を見て、いよいよ宿願達成に向けて出発することとなった。
行程は、吉田口から富士宮口に抜けるルートを基本に、更に宝永山にも立ち寄るプランを立てた。プラン二日目が平日であり、その翌日は仕事を休めないことと、帰着地が広島であることを考え合わせ、富士宮口に降りるほうが望ましいと考えた。
○靴の選択
宝永山のような礫岩の山を行くとなれば、靴はミドルカットのほうがいい。普段はローカットで快速を飛ばすことにしているが、遠出もできない中、お休みしていたミドルカットを持ち出した。靴底張り替え以来、数回しか使っていなかったために剥がれを心配したのだが、前週の試運転でも特に異変は生じなかった。問題はなかろうと判断した。
靴について心配するのには理由がある。22年前に槍ヶ岳から穂高岳への縦走をもくろんだ際、足裏が剥がれてしまい、途中からエスケープしたことがある。それ以来、3,4年で張り替えるなりメンテを続けてきたのだが、今回は張り替えからの期間としては長い部類にあたる。事情もあって使用機会がないままに置いていた靴だけに、また災難に遭うかもしれない。そう心配しつつも、日本一の山への敬意もあって、そちらを選定することにした。
これが後々大変なことになろうとは…。
○出発
吉田口でバスを降りると、ひとひとひと。視界の半分は外国人のようだ。バスの席予約も前日時点では半分に届いていなかったはずなのに、乗ってみると殆ど埋まっていた。当方の周りはすべて言葉の異なる方々だった。
この先の渋滞を気にかけつつ、ガスが漂う上方へと出発した。
六合目を過ぎると植生が途絶え、いよいよ砂礫の登りにかかる。最初のうちは急勾配の傾斜道が続く。ブルドーザ道ほどではないが、道幅がゆったりとしている。おかげでツアー客を躱して進むにも都合が良い。あまり渋滞することなく進む。
ところが七合目を過ぎ岩場の登りになると事情が変わる。狭隘な登りに限って道も細くなり、追い越しは困難になる。強引なことをする歳でもないので、そんな時には我慢して追随する。
ところがそんなときにガスの中にカモシカの角が見え隠れする。とたんに遅い集団の先頭もシャッターを切るのに夢中になり、遅いどころのことではなくなる。先行きが心配になったが、ツアーの皆さんは山小屋が現れるごとに一休みされるようだ。その機会を捉えて先へ先へと進んでいった。
結果、1日目の宿東洋館まではおよそ2時間で到着。概ね推測タイムで来ることができた。
宿は前評判通りにきれいな造り。中もカプセルホテルのような区切りがあり、個人空間が確保されている。投宿時に電子サインを求められただけではなく、ココアをいただくとICカード決済もできるようになっている。個人空間にはACコンセントも付いている。まさに隔世の感だ。こういった面で技術が進むことはありがたいことだ。
おいしい夕食をいただき、陽の高いうちから眠りにつく。聞けば、この入山状況から予想すると、頂上で御来光を見るには1時より前には出発したほうが無難だとのこと。幸いにも一番早い夕食時間だったので、深夜出発も可能だろう。そう思って眠りについた。
ところが、疲れが足りないのか、いつもほどにはぱっと眠気がやってこない。どうにか気を落ち着け一眠りしたと思ったら、ちょうど日付が変わる頃だった。
○日本最高所へ
出てみると、外は満天の星。麓の街々の明かりもきれいに並ぶ。遠く都心も見えているようだ。
それらの明かりに加えて、標高の低い山小屋からのツアー客の徒列も点々と並んでいる。
遅れまいと出発するが、すぐに先に支えてしまう。夜道の岩場だけに容易に追い越すこともできないが、ここまで同様に山小屋休憩などを利用しながら先へ先へと進む。
それにしても山小屋が多い。あとで調べると、かつての富士講の時代からの由緒あるものが多いようで、それだけ昔から人々を引きつけてきた山なのだと感じ入ってしまう。現代的には、世界遺産たる山にこんなにも人工物があっていいのかとも思うのだが、そのいっぽうで登りの際の時間的目安にもなっており、この山の安全をも支えているようにも感じる。
九合目を過ぎた頃、右の靴底が剥がれて無くなっていることに気がついた。山靴だからこそソールの外にも厚みがあり、今すぐ歩けなくなるものではない。しかしヒールがないため右だけよく滑る。バランスを気にしながら先へと進むことになった。
そしていよいよ吉田口山頂へ。鳥居をくぐり、奥宮に詣でる。残念ながら、夜闇の中では剣が峰の姿を目にすることもできない。日の出までにはまだ2時間もある。早すぎる到着もあり、頂上山口屋の前でしばし休憩することにした。
ここには飲料の自販機もある。驚きの光景だ。一本500円の缶コーヒーで温まるが、じっとしていると寒くなってくる。そりゃあそうだ。夏とはいえ、日の出前の3,700m、気温は7度しかない。汗ばんだ身には何もいいことはない。
夜闇の中ではあったが、成就岳に立ち寄りつつ、お鉢巡りへ。どうやら剣ヶ峯にはすでに人が居るようで、点す明かりが最高点を示してくれている。伊豆岳、朝日岳を回り込み、浅間大社奥宮へ。その前にある頂上富士館前には大勢がたむろしている。
もう一度ここで休憩。宿からいただいた朝食をここで広げる。そうこうしていても、じっとしていると寒いことには変わりがないので、少々早いが山頂を目指す。ところが、まだ30分以上はあるもののすでに空は白みかけてきた。
剣ヶ峯ではすでに周囲の人が見分けられるほどの明るさになってきており、日本最高所に立った喜びよりも、この混雑の中で御来光を見ることができるのかが気になるほどだ。
幸いにも、山頂標よりも奥に少々スペースが残っており、そこから日の出を見ることができそうだ。太陽の方向は、ちょうど成就岳と伊豆岳の間になるようだ。そちらを凝視し続けること20分で念願の日の出を見ることができた。
どこから見ても太陽には違いないのだが、この場所から見る火球は一際熱いもののように見えた。
○お鉢巡り、そして下降
剣ヶ峯を降り、火口をまわる。陽が昇って初めて視認できるようになった火口の内側は荒々しさを漂わせている。
火口縁のとりわけ東側には多くの人影が見える。みんなどこであれ山頂部からの御来光に期待して登ってきたのであろう。到底朝4時台とは思えない賑わいを遠目にしながら縁を歩く。
白山岳の手前からは、アルプス方面も見ることができる。南アルプスが眼前に横たわるがなかなか山座同定ができない。あとで確認すると、南アルプスの中に中央アルプスも紛れていたのだが、霞に遮られてその区別が付かなかったのだと分かった。
一周して吉田口頂上からは二周目に入る。富士宮口頂上まで来て郵便局に立ち寄る。ここも6時の開店早々から大賑わいだ。ずいぶん待たされる。
最後に剣ヶ峯を改めて拝んで頂上を後にした。
お鉢巡りをしていた際に、左の靴底も無くなってしまった。いよいよ下降には向かない靴裏のまま下降に臨むことに。一応予定した御殿場口への下山道へと進む。歩いてみると、ここは砂礫の道ながら勾配も緩く、滑る足裏でも耐えられそうな道取りであった。ところが、徐々に足裏のクッション材も剥がれ始める。どうにもならなくなって、八合目赤岩館にてヘルプを申し出た。
赤岩館のスタッフの方は、こういった靴トラブルにはなれているようで、いったんはガムテープ針補強をしていただいたものの、これでは下まで行けないだろうとサンダルも提供していただいた。下の山小屋では靴も売っているから、ダメそうならば寄ってみてはとアドバイスを受ける。加えて、サンダルでは砂走りも宝永山の砂地も無理だろうからと、この先での富士宮口コースへの転身を強く勧められた。
靴は致し方ないまでも、足を痛めては話にならない。ご親切や親身なご意見をちょうだいし、おとなしくそれに従うこととした。
迂回路経由で富士宮口登山道に出ると、そこは八合目の富士山衛生センターの裏手であった。合目が少々戻ってしまったが、気を取り直して一気に下降。御殿場口コースよりもこちらのほうが斜面が急なように感じる。振り返ると、山頂部までが一つの面のように見えており、この道を登るとさぞかし山に圧倒されることだろうと思ってしまう。
右だけのサンダルにも限度を感じ、新七合目の御来光山荘にて再びヘルプ。ここには靴の販売もあり、それを勧められる。すでに右同様の限界に達していた左も考え、靴を購入。山で靴を買うことになるとは思いも寄らなかった。そして、処分費を出すならば、壊れた靴も置いていっても良いとのこと。長年愛用の靴には名残惜しさもあったが、予期せぬ荷物には耐えられないこともあり、お言葉に甘えることとした。
登山靴ではないながら、外れかけた靴裏を気にしつつ慎重に下降するのとは違い、ひょいひょいと進むことができるようになる。砂礫の厳しい坂道をジグザグに降りていくと、やがて新六合目の宝永山荘へと到着した。
最後は土が目立つ開削道を降りて富士宮口登山口へ。靴を失ったのは残念だったが、足を痛めることもなく降りきることができたのは、山小屋の皆さんのおかげであり、感謝の念に堪えない。
バスで三島に向かうが、水ヶ塚駐車場までのシャトル利用者が降りると一人だけになった。富士宮口は公共交通機関で来るよりは、マイカーで来る人のほうが多いのかもしれない。
途中のグリンパ辺りで富士山を振り返ると、すでに山頂部は雲に隠れていた。なんともいいタイミングで登頂したことをありがたく思った。
○帰着
日本一の山に登り、その大きさを改めて実感した。山の民の心使いにも甚く感心させられた。さすがは日本一の山を守る方々だ。
いよいよ百名山もあとひとつ。50年に近い歳月をかけてきた。いつ達成することになろうか。
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