尾白川黄蓮谷右俣遡行(無氷雪期)
- GPS
- 14:55
- 距離
- 21.2km
- 登り
- 2,853m
- 下り
- 2,850m
コースタイム
- 山行
- 13:42
- 休憩
- 1:10
- 合計
- 14:52
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
●尾白川渓谷遊歩道(竹宇駒ヶ岳神社〜不動滝) 通行量が多く整備の行き届いた登山道。部分的に滑落注意箇所あり。道とは関係のない余談だが、各名所(神蛇滝や百合ヶ渕)には道を外して下降できそうに感じたもののロープを持った方が無難とも思われる内容。 ●不動滝〜尾白川林道〜入渓点 不動滝〜尾白川林道は旧登山道(現地看板は通行止め扱い)。尾根に乗るまでは沢筋を辿る。老朽化を感じるものの金属製階段などの整備が残され、ピンクテープも少ないながらある。踏み跡もしっかりしている部類。 尾白川林道(今回歩いた区間のみ)に悪場や藪漕ぎは無く、踏み跡も明瞭。3連トンネルは採光十分なのでライト不要。林道終点(尾白川への下降点)も地形図の通りで、位置の同定に問題はないと思われる。 下降点では急斜面中に1本フィックスロープがあるが、踏み跡は割としっかりしており、木々も豊富なため今回(無氷雪期では)需要を感じなかった。しかし感覚次第では懸垂下降となる。 ●入渓点〜本谷・黄蓮谷出合〜千丈ノ滝(下) 基本的に滑滝・滝壺・ガレ等の河原歩きで構成され、滝以外では傾斜が緩いため歩き要素が多め。滝の巻きは踏み跡やフィックスロープがあることがほとんどだが、必ずも明瞭でないため自身でのRFも求められる。黄蓮谷・本谷出合を過ぎて最初の直登困難な滝の巻道には苔生したスラブのトラバースがあり、フィックスロープはあるもののやや悪い。 千丈ノ滝が見えてきて近付くにつれ、これまでの滝は何だったのかというほど大きく感じられる。 なお、この区間の滝壺は基本的にエメラルドグリーンで、その深さに応じた濃淡が滑滝の岩質と併せてとても素晴らしい。下部にはおさかながいる。 ●千丈ノ滝〜坊主ノ滝〜二俣(右俣・左俣出合) 千丈ノ滝は水流を左に避けた辺りでの直登を選択。1,2段目は勾配が緩く困難は無いが、3段目は急になり、湿ったスラブ中の逆層ギャップを越える場面でホールドが乏しく苦労した。ただし、フリクションの利き具合や装備などで難易度は大きく変化すると思われる。ちなみに右岸から簡単に巻ける様子。 千丈ノ滝を過ぎて直登の難しそうな滝を左岸から巻く中に幕営適地(3,4張程度?)があり、恐らく遡行記録で登場頻度高めな千丈ノ滝上幕営地と思われる。 その先は程なく坊主ノ滝に至り、千丈ノ滝より傾斜やギャップが大きいため、他遡行記録と同様に左岸高巻きを選択。ちなみに右岸では坊主ノ滝上部にて出合う急傾斜スラブの沢形をトラバースする必要があるとみられ、安易な挑戦は控えた方が良いと思う。左岸高巻きは坊主ノ滝下にて出合う涸沢を少し遡ってから坊主ノ滝左岸尾根に取り付くと、傾斜もほどほど、藪漕ぎもほぼ無く効率的。 坊主ノ滝を巻いた先で行先を伺うと、また登攀の難しそうな滝が見えたため、まとめて高巻きを選択。急峻な尾根をトラバースする形で河原に降り立つためのルートを伺い、2m程度のギャップを飛んで下降するなどして、ロープなどは使わずに二俣へ降りることはできた。この高巻きが全区間中で最も懸垂下降の可能性が高いのではないか。 ●二俣〜奧千丈ノ滝〜烏帽子沢出合・インゼル 平均勾配が増し、谷のV字も際立ってきて高巻きも難しいような地形になっていくが、幸いにも水流中はそれほど滑りやすくないため、時にシャワークライミングなども含めて水中のホールドを拾っていける。 奧千丈ノ滝は勾配が緩くないスラブのため、万が一にも滑らないよう神経を使うが、フリクションの利きやクラック、草付きなどと相談して著しい困難はなかった。 その先も部分的なスラブ、ガレなど様々な内容で、急傾斜をよく含むため気は抜けない。烏帽子沢出合は通過時は名もなき枝沢と思った程の弱い流れで、それを越えるとインゼルに至る。インゼルは中州が幾つかあるような複雑な地形となっていて、ごく一部には他遡行記録の通り幕営可能地(1,2張?)もあった。 ●インゼル〜山頂 インゼルを過ぎて、やはり登攀困難と見られるスラブ主体の枯滝(?)を草付きや尾根に逃げてやり過ごした。ここではミヤマハンノキ、ダケガンバをホールドに助けてもらい、一部はそれまでと同様なかなかスリリングだった。 しかし、その先で沢形に降り立つともう困難は無く、天国のような(お花などが目立ってくる)様子に変わっていき、薄らと残る踏み跡を辿り山頂直下分岐を右へ選択すると、無理なく一般登山道へ合流する(山頂直下2,30m?) |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
千丈ノ滝の登攀ではボルダーの力量不足を突き付けられた印象で、ボルダリング的体力・技術を身に付けねば!と思いました(これは一般的な山歩きの速さ・距離長さとは質的に大きく異なるもの)。
この遡行で自分が取り組んだ登攀は世間の難易度で言えば全然難しくないものばかりだったと思いますが、(まだ時々しか行けていない)クライミングジムにて感じる筋持久力?の無さを、ほぼ同様に千丈ノ滝でも感じました。
正直、僕はロクにクライミングを知らないままこうした内容のルートに入っている状態です。
そのような内容に今後も取り組むのであれば、少しずつ解消していかないといけないように思います。まだボルダリングの力量もなく枠組みも理解しているとは言い難い身ですが、そうした体力(これは身体技術とも強い関連があるのでしょうが)があれば、きっともう少しは安全に・簡単に変わったかもしれないな、と。
つまり、もっとジムに通ってボルダーやリードの力量を増していかないとな、と。
今、自分はピークを目指すルート上にある登攀要素をこなせればよいとの思想が強いため、クライミング大会のような登攀そのものを目的にする姿勢とは異なると考えていますが、それでもより楽しく・安全にルートを通過するためにクライミング技術を集中的に強化する必要性を感じています。
そこにロープによって安全性を高める方法(俗に言うロープワーク)や、支点の作り方など、さらに広い知識と技術も織り混ざってくる訳ですが、それらも着実に習得していきたい所です。
あとは、、自分の性格的な問題ですがw
人前では萎縮しやすい傾向を自覚しており、有識者にズンズンとあれこれ示していただいたとしても、それを追う事ばかりに注意が向いてしまい、肝心の理屈や動機をキャッチできない経験を何度もしてきました。つまり、自分の場合、一方的なレクチャーだけでは主体的にその知識や技術を使うまでには至らない訳です。
そうした点から、ある程度自分1人で試行錯誤して、世間的なやり方を学ぶ(複数の有識者に教えを乞う)という両輪で回していくしかないのかな、と思う次第です。
ただ、この所の内容(槍・穂高の初級バリエーションや今回)で各技術の需要現場を随分と知ることができました。まずはこうした具体的な課題に対しての解を見つけることによって、上記さまざまな力量を上げてみようと考えています。
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