愛山渓〜北鎮岳《北海道百名山》
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- GPS
- --:--
- 距離
- 27.7km
- 登り
- 2,272m
- 下り
- 2,252m
コースタイム
- 山行
- 6:45
- 休憩
- 0:47
- 合計
- 7:32
天候 | 1日目(7/16):曇りのち雷雨 2日目(7/17):霧のち曇り一時晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
1日目(7/16)
マイレージや株主優待特典の利用制限が強化され計画し辛くなった。関空2番便で出発したときは晴れていたが富士山を見た途端、厚い雲が下界を覆ってしまった。東北地方に差し掛かって田沢湖、十和田湖だけは確認できた。JRの快速エアポート、特急カムイを乗り継ぎ旭川に達し、日産レンタカー(マーチ)を借りて愛山渓温泉に到った。昨年もこの宿に泊まったが今年から層雲峡ロープウェイを運営するりんゆう観光に経営が変わり、大勢のスタッフがいた。去年は国道分岐点にあるドライブインの経営で小母さんが一人で切り盛りしていた。
朝食を弁当にして欲しいとお願いしたが仕出しは一切できないと断られ自分たちで夕食のご飯をラップでおにぎりにした。今日は午後雨になるというので4時少し前に出発した。イズミノ沢沿いの林道を100mも行くと登山口で登山届に記入して踏み込んだ。当然今日の一番乗りだ。松仙園コースは通行止めの表示があったが此方は問題ない。
イズミノ沢沿いの登山道を進み三十三曲分岐に到った。明日下山して来る予定の道が右に分岐している。更に進むと昇天ノ滝が正面に見え上部の雪渓と合わせて大雪の山域に来たことを実感した。直下へ行くことができるようだが渡渉が大変そうでパスし、南西に向きを変えたイズミノ沢登山道を進んだ。
正面の壁が迫って来ると村雨ノ滝で、左岸を巻いて上部に出た。右岸へ飛び石で渡渉し、少し進むと沼ノ平への分岐があった。その名も“滝ノ上分岐”とある。此処からはイズミノ沢と別れ永山岳の西尾根の急登となった。少し登ると這松帯になり展望が良くなったがガスっぽくて霞んでいる。しかし愛山渓温泉の建物や沼ノ平の湿原を見ることができた。雪渓の沢の先端部に“銀明水”の水場があり壊れた標識が転がっていた。此の辺りからお花畑でチングルマが大群落を成していた。コマクサ、エゾノツガザクラ、ハクサンチドリなども咲き誇っていた。
ガスの中にピークが見えてくると永山岳(2,040m’)でしっかりした山頂標識が立っていた。暫く休憩してると晴れてきて眼下に歩いてきたお花畑の道を見下ろすことができた。東の方を見ると150mの標高差がある安足間岳の姿も薄らと確認することができた。安足間岳へは左側が大覗谷に連なる断崖でその縁を進んだ。またガスに覆われ、安足間岳(あんたろまだけ2,194m)山頂に達すると山頂標識もなく荒々しい奇岩群が屹立していた。当麻岳への道が南に分岐し、愛別岳分岐へと断崖の縁を進んだ。
7分程で分岐に到りザックをデポしてピストンするが急な砂地の斜面に付いた踏み跡を辿るがガスに覆われ何処までも下ってしまいそうな感じがする。岩場が混じり昭文社地図には難路とされ、同行者は恐れをなし上で待っていると引き返してしまった。前方に尖がり峰が見えたので愛別岳かと期待したが中間ピークでこれを越えると鞍部で標高は2,000m位で分岐から150m余り下降したことになる。ガレた稜線を進みガスが薄まりしっかりした岩稜のピラミダルな山が見えてきた。正しく愛別岳(2,112m)で踏み跡を辿り山頂に到ると3等三角点「三方崩」がありこの山の姿をよく現した点名が付けられていた。コマクサやハクサンチドリが迎えてくれがガスは周りの山の姿を隠していた。
同行者が待つ分岐に急いで引き返すとコースタイム往復で2時間40分のところを1時間8分で往復することができた。ザックを担ぎ5分で比布岳(ぴっぷだけ2,197m)に到った。我々の後、愛山渓から登って来た士別町の女性が分岐で追い越し休憩していた。愛別岳に行きたかったけど断念し此処から引き返すと云う。北鎮岳の方からカップルの登山者が登ってきた。昨夜は黒岳石室でテントを張ったそうでテン場、石室とも超満員だったと云う。
西斜面を下り傾斜が緩くなって来るとチングルマやエゾノツガザクラの群落が素晴らしいお花畑だ。ガスが薄れて前方に刃を逆立てた鋸岳の威容が現れその右手に今日登る最高峰、北海道第二位の標高を持つ北鎮岳(2,244m)も姿を現した。お鉢を辿って右の方に目をやると熊ヶ岳の尖がり峰の隣に北海道最高峰の旭岳(2,290m)も確認することができるようになった。鋸岳は険しすぎて縦走は不可能で南側を巻いて進んだ。東側の鞍部に荷物をデポし道は無いが雪渓を踏んで鋸岳(2,142m)に登頂した。同行者は頭から登る気がなく北鎮岳へと先行した。
北鎮岳の山頂に近づいたとき今までとは違う厚い雲が上空を覆い出した。山頂に着くと同時に雨がパラパラと落ちだし遠くの雷鳴が聞こえてきた。山頂標識だけを撮って雨具を着て大急ぎで今日の宿である黒岳へと歩を進めた。南の斜面を下りだすと雷鳴が近づきおっかない。退避姿勢を取った方がいいのではと考えていると、こんな天候になっても登って来る人がいた。北鎮分岐に荷物をデポしてきた男性3人組で一寸無謀な気がした。こんな人もいると逆に安心してしまい黒岳石室へ急ごうと決めた。
北鎮分岐に到ると右は旭岳への道で17年も前に歩いた道だが感傷に浸っている場合ではなく急ぎ足で東へと進んだ。お鉢の肩展望台では大雪山の中央火口(御鉢平)が雄大に眺められたがカメラを取り出すことができずそのまま通過した。雪渓の通過があり急斜面に付けられたしっかりしたステップを辿って下りられるのでアイゼンの必要なかった。雲の平のなだらかな領域になり左手に凌雲岳(2,125m)の雄姿を眺めながら進んだ。此の山は白水川の流れに隔てられ登路はない。雷が激しく鳴りだし身に危険を感じ出した頃黒岳石室に到着した。
狭い小屋で雨を避けて立ち寄っている日帰り登山者が大勢いたためだが寛ぐスペースが殆ど無く、割り当てられた寝床に入るしかなかった。小屋に入ると途端に大雨になり小屋の前は濁流の川のようになっていた。雷が鳴りだした11時頃から黒岳ロープウェイも止まっているようで宿泊を決めた人もいた。14時に運行を再開するという情報が小屋に入り日帰りの人達は皆出発して行き小屋は静かになった。この天候で黒岳から来る人はなく広々とスペースを確保することができた。11:27に小屋に着きすることもなく長い時間を過ごした。
2日目(7/17)
昨日の雨で沢の増水は避けられず赤石川とピウケナイ川の渡渉のあるお鉢一周、中岳温泉経由の計画ルートを変更し渡渉のない安足間岳から当麻岳尾根を下り、沼ノ平を通るルートに変更した。今日も午後は雨の予報で早立ちをしようと3時に起きたが湯を沸かすのに手間取り出発は4:20になってしまった。今日は濃霧で30m先が覚束ない。こんな状況で熊と出くわすと避けることができない。鈴を派手に鳴らして進もう。風もあり殆ど休むこともなく北鎮岳、比布岳と昨日来た道を辿り、安足間岳に到った。
永山岳への尾根と分かれて南へと進むと分岐付近のピークより高いのではと思われるところがあったが、安足間岳山頂は2,194mの標高が打たれた位置としておこう。稜線の先端で登山道は南西方向に向きを変え標高2,100m位まで下った時、突然上空の厚い雲が裂け青空が覗きだした。期待もしていなかったので大感激だった。前方にP2076の一寸したピークが朝日を浴びて美しい。周りにも展望が広がり、昨日歩いた永山岳の稜線は北側に並行しているのが見えた。P2076に近づくと更に先まで見通すことができ後で分かったが稜線上の当麻岳(1,967m)や南の方に目をやると旭岳の稜線が見えた。山頂部の雲は遂に取れなかったが朝日を浴びでいい感じだった。眼下は黄金原で旭岳の麓には姿見の池や地獄谷の噴煙、ロープウェイまで確認できた。
当麻岳は鋸岳のような岩峰で東側から登ることができた。山頂標識が岩の上に置かれ両側は絶壁だった。山頂域先端のコブから西に300m程下ると当麻乗越で黄金原、裾合平からの登山道が合流した。P1591まで来ると南側にピウケナイ沼が広がりいよいよ高層湿原帯への入口に到った。湿原地帯は池塘の美しさの反面、熊がよく出没する地帯でもあり、熊鈴を派手に鳴らして下って行った。此の辺りは這松の中から奇岩が点在し独特の雰囲気を持っている。
下り斜面から六ノ沼が見えるようになると夢のような世界で沼の端に設けられた木道を辿った。六ノ沼の標識のある所で愛山渓から歩いてきた男性と遭遇、日帰りで戻るそうだ。湿原の花はそれほど多くはなく静かな湿原を楽しむことができた。一段下がると半月ノ沼で登山道の脇を雪渓が覆っていた。年配のご夫妻が散策中だった。八島分岐で松仙園への道が分岐しているが松仙園は閉鎖されて久しいようで道は夏草に覆われ廃道化していた。
少し進むと沼ノ平分岐で昨日歩いた永山岳への道に繋がっている。愛山渓への道は昨日の雨のせいか登山道は川となり泥濘んで歩き難い道だった。やがて三十三曲の急斜面となりイズミノ沢沿いの昨日歩いた登山道に合流した。今日唯一の渡渉は、真ん中で折れ曲がった鉄橋が架かっており、危なっかしいが人の体重を支える強度は大丈夫だった。やはり雨の影響で昨日より水嵩を増していた。林道に達し昨日記入した登山届に帰着時刻を記入し愛山渓温泉へと帰着した。
入浴準備を整えていると雨が降り出した。登山中雨に会わずなんと幸いなことだろう。外来入浴500円を支払い誰もいない温泉に入り2日間の汗を流した。旭川への帰りには当麻鍾乳洞に立ち寄った。
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