日本山岳耐久レース ハセツネCUP
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- GPS
- 16:53
- 距離
- 61.5km
- 登り
- 3,336m
- 下り
- 3,316m
コースタイム
- 山行
- 10:45
- 休憩
- 0:12
- 合計
- 10:57
- 山行
- 5:40
- 休憩
- 0:07
- 合計
- 5:47
過去天気図(気象庁) | 2023年10月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
Garminで走行距離66.64km/累積獲得標高4542m
完走タイム:16時間53分
休憩時間が少なく出ているが、実際にはもっと休んでいる。
ハセツネ。現在ではトレイルランニングの括りではあるものの、「ヒマラヤを目指すクライマーの登竜門」というのが元々のコンセプト。ヒマラヤは大袈裟にしても、トレランをかじっていて今後雪山をやっていきたい自分にとってコンセプトはぴったりで、一度は完走しておきたいレース。
狙ってはいなかったが4月のハセツネ30Kのリザルトで本戦の優先エントリー権が取れてしまったため(前年に色々トレランの大会に出てポイントを稼いでいたおかげで前方でスタートでき、渋滞に巻き込まれなかったのが原因)、この機会をみすみす逃す手はないので今年出走することにした。
完走できるか否かは天候次第と踏んでいた。制限時間は24時間と非常に長いため、怪我でもしない限り関門時間はまず問題にならない。完走できないシチュエーションとして最も可能性が高いのは脱水症状。自分は暑い時期が非常に苦手で、水分補給が追いつかずに何度も痛い目を見ている。
ハセツネは過去に最高気温が30℃を超えた事があり、そのようなコンディションであれば良い準備をしてきたとしてもまず完走できないと考えていた。
いざ、天気予報。気温10℃~15℃程度の曇り・雨予報。この時点で私は勝利を確信した。防寒対策で念の為ウェアを一枚追加し(結局使わなかった)、あとは走るだけだ。
前日に昼寝+7時間半の睡眠を取ることができ、万全の状態でスタート。
コースレイアウトからして、36km付近、コース中最高標高の三頭山を余裕を持って越える事ができれば、自動的にそのまま完走できると考えた。その他、大した戦略は無し。前半は余裕を残して三頭山を越えるペーシングと、どこでトイレに行くか、くらいしか考えていなかった。
いつもスタート後、割とすぐにトイレに行きたくなるので、予定通りに5km地点で早めのトイレin。その後22km地点、第一関門の浅間峠でもう一度トイレに行くつもりだったが、かなり長いトイレ渋滞が発生していたため、ここはパス。35km地点、三頭山避難小屋のトイレまで粘ることにした。結果、三頭山避難小屋のトイレは全く並びがなくすぐに入れたので、この選択は正解だった。
前半で印象的だったのは15km付近、醍醐丸での応援。登山道で多くの応援があり、ツールドフランスの選手気分。これもわざわざ大会に出る楽しさの一つ。
36km付近三頭山まで身体はレッドゾーンに入ることなくクリア。想定より少し疲労を感じるが、概ね予定通り(のつもりだった)。
42km地点、第二関門の月夜見第二駐車場。ここがコース中唯一の補給地点(水分1.5Lのみ)。手持ちの水分を整理し、余った水分を身体に流し込む。
関門から出ると、身体の調子がおかしいことに気づく。水分が吸収されずに胃に残っている感。身体の動きも悪く、若干吐き気がする。結局46km付近の御前山を登り切ったあたりで吐いて、出るものを全部出した。レース後の嘔吐はしょっちゅうだが、レース中は初めてかな。胃腸がこの調子ではもうエネルギーは取れないかもしれないが、残り20kmくらいなら問題ないだろう。
その後は胃腸の不調起因なのか分からないが、前半とは別人になったように急激に身体の動きが悪くなる。どれだけのランナーに抜かされただろうか。
フラフラになりながら、58km地点の第三関門、御岳山へ。この時点でかなりキツくなっていて、気を抜いた状態で関門に入るとその場の雰囲気で「あ、すみません、リタイアしま〜す。」とか言ってしまいそうだったので、「リタイアしない、自分は絶対にリタイアしない。」と自分に言い聞かせてから関門に入った。
関門を出ると残りは約12km。下り基調なので身体の調子が良ければ「一瞬やんけ!」と感じるはずの道だが、自分のスポーツ歴の中で最も忍耐を要求される時間だったと言っても過言ではない。動かない脚、下りでは走ろうと試みるものの、「これなら早歩きの方が早いのでは?」というスピード感、後ろからランナーが爽快にラストスパートを駆けてくる度に道を譲る、を延々と繰り返す。ラスト6~4km間は本当にキツくて、「なんとかしてこの場でレースを終わりにして完走扱いになる方法は無いか。」とか意味のわからないことを考えていた。
残り4kmの下り。もう下りでも走ることはできない。歩いても1時間はかかるだろう。無理。ここでリタイアという選択肢は無い。つまりあと4km歩き続ける以外に選択肢はない。いや、落ち着け。制限時間まであと8時間くらいはある。ここでもう一つの選択肢、それは…寝ること!
ということでラスト4km地点で、登山道脇の安全で邪魔にならなさそうなところでぶっ倒れて寝た。(オーバーナイトレースなのでこういう風に途中で仮眠している選手は珍しくない。)
当然ながら敷くものも被るものも無く、雨ざらしの中でただ倒れているだけだったが、この世の終わりのような疲れ方をしていたので、目を閉じるとすぐに眠る事ができた。
周りのランナーからしたら、「あと4kmなんだからゴールまで行っちゃえばいいのに」と思われただろうが、それが果てしなく遠い道に感じるほどに疲れていた。
睡眠時間は10分程度だったが、目を覚ますと嘘のように身体が動くように戻っていた。睡眠って凄い!
その後の4kmは下り基調の道を周りのランナーと共に爽快に走り、16時間53分で完走。
結局内容は大いに反省点の残るものとなった。ペース配分ミスというよりは自分の実力を見誤った、と考えるのが正しい気がする。レース中間の標高最高地点を余裕で越えられればそのまま行けるという見立ても、全体で40km弱くらいのコースであれば通用するが、70km弱のレースを同じ要領で考えたら上手くいかないのは当然の訳で。
一方で、積極的に攻めること自体は否定するものでもないとは思う。ただし登山で同じことをして屍になるのは完全にNG。
しかし、走り終わった後、当然疲労はあったものの、脚の状態自体は限界という感じでもなかった。そもそも10分間仮眠しただけであれほど劇的に調子が戻ったのはなぜ?前日しっかり寝れているので睡眠不足は主要因ではないはず。頭に置いておいて色々考えてみたい。
ともあれ、しっかり”完走”という結果を持って帰れたことは良かったし、新たな限界の扉を色々開く事ができた感じがして、”日本山岳耐久レース”の名に相応しい充実の16時間53分だったのではないでしょうか。。
こんばんは はじめまして
ハセツネカップ、お疲れ様でした!
先月御岳山のハセツネさんレリーフ前のポスターを見て、「どんな方々が挑戦するんでしょ?すごいなぁ〜!もう超人やな〜!」と思いましたが、本当にすごいです!超人です✨
どーしても「お疲れ様です!」とお伝えしたく…失礼しました🙇♀️
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