小栗山から桜谷山へ☆冬枯れのブナ回廊を満喫♬
- GPS
- 07:53
- 距離
- 10.5km
- 登り
- 865m
- 下り
- 864m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
数台駐車可、トイレ無し |
コース状況/ 危険箇所等 |
小栗山上り下りの尾根は踏み跡薄い、疎らにマーキングあり、地図GPS必要。 【小栗山~桜谷山】小栗山は百里ヶ岳の北に位置し、桜谷山と吊り尾根で繋がっている山である。高島トレイルから外れているので訪れる人は少ない。小栗山~桜谷山間3kmに及ぶブナの純林があってブナ好きには堪らない空間となっている。 【神の谷】このコースのもう一つの見どころは「神の谷」源頭部の水流と複雑な起伏が醸し出す異次元空間である。谷間一面に落ち葉が深く堆積している。神の谷とはこの辺りに謂れがあるのかも知れない。 |
写真
感想
お水送りの鵜ノ瀬を過ぎて上根来の八幡神社に到着するとほどなくうりさん達も到着された。そらかなさんと初対面のご挨拶をしたら神社裏の尾根に取付く。寒いが直ぐにも陽が射し込みアウターを脱ぐ。
高度を100mほど上げると緩やかになり、自然林の中を朝陽に向かって登って行く。樹々の紅葉は色付き初めが多いが紅く染まった楓も散見される。今年の秋が短いせいで樹木も戸惑っているようだ。
カレンフェルトの岩稜帯を過ぎて神の谷の源頭部に入る。谷間では幾筋にも小さな沢に分かれて複雑な地形だ。水が伏流したかと思えばまた大岩の下に染み出している。沢に降りてみる。そらかなさんは楽しそうでウキウキしておられる。大岩を乗り越えた処の窪地に突如として池が現れる。紅葉した楓と落葉と無名池の佇まいは心を浄化してくれる。そういえば山猫さんがお勧めの場所だ。
西尾根と合流してもう一息、落葉したシデの主尾根を詰めていくと小栗山に到着する。広い山頂はミズナラの疎林となっている。葉が繁っていないので明るく千石山などが見渡せる。さてここからがお楽しみ尾根、ブナの巨樹の疎林が桜谷山まで続いている。冬枯れの尾根では陽が射し込み眩しいほどだ。感嘆の声を上げて皆さんの笑顔がこぼれる。季節を問わず素晴らしいブナの尾根だと思う。
桜谷山に到着すると三十三間山から武奈ヶ岳まで見渡せる絶景ポイントだ。南側には百里ヶ岳がデンと鎮座している。風も弱いのでここでランチタイム、そらかなさんが用意してくださった白湯スープの鳥鍋をみんなでつつく。雑炊付きのフルコース鍋はおかわりして満腹になる。美味しい鍋料理をありがとうございます。二時間も寛いだランチタイムをお開きにする。
小栗山までのブナ林をもう一度愛でながら下って行く。お腹がいっぱいで動けないと言ってたのに不思議と足取りは軽かった。きっと圧巻のブナ林のおかげだろう。帰路の尾根は神の谷左岸の尾根を下っていく。自然林の尾根で疎らなマーキングがあるのみ、うりさんは器用にルーファイしながら軽快に下りて行かれる。県道に直接下りたら八幡神社まではもう直ぐだ。
高島トレイルの若狭駒ヶ岳から百里ヶ岳にかけての稜線は美しく、殊に稜線上にはブナの美林がどこまでも続くので大のお気に入りだ。これまで何度歩いたことだろう。
その途中の桜谷山の北西に位置する場所に小栗山というピークがある。そこへ向けての稜線もまた素晴らしいブナの回廊が続いているらしいが、こちらには一度も足を踏み入れた事がない。
小栗山へは若狭の上根来や下根来の集落から訪れることができるルートがあるのだが、いずれのルートも自然林が美しい魅力的な森の中を散策出来るようだ。出来れば紅葉期に訪れてみたいものだと目論んでいたが、多忙にしているうちに少しタイミングを逃してしまった。だが冬枯れのブナ林の様相もきっと素晴らしい筈だ。訪れてみよう。
若狭の山、そしてブナ、とくればあの方に声をかけないわけにはいかない。暫くご無沙汰していた山友ナオジローさんをお誘いすると快くご同行くださることとなった。
下根来の八幡神社で待ち合わせの後、神社裏手から早速にも尾根に取り付く。初めから自然林である。植林地帯を歩くことに比べたら急坂とはいえ断然気分が晴れる。
やがて岩々が剥き出しの尾根となる。岩は石灰岩でこの地域にしては珍しいだろう。鈴鹿を彷彿させるような苔むしたカレンフェルトの岩稜帯を越えてゆく。
その後、傾斜は緩やかになり広々とした尾根となる。カエデやケヤキ、ミズナラ、クヌギ、イヌシデなどを見ながら、ナオジローさんから樹木についての色々なお話を伺う。ブナはもちろんだが、私が樹木好きになったのはナオジローさんの影響に他ならない。
痩せた尾根の脇に立つトチの大木を横目に谷の底部へと下ってみる。はっきりと形が残ったままの炭焼き窯跡のある対岸を見ると、大きな岩の隙間から水が滲み出て滴り落ちている。まさに源頭と思しき雰囲気だが、その上部に上がると広々とした源頭部が広がっており伏流ではなく細いが水流があった。緩やかな源頭部の風景は私の大好物だが、上部のうっすらと紅葉した林とのコラボレーションの様相はとても綺麗だった。そしてさらに突如現れた小さな池。その水面には青空と樹々の幹が映し出されて透き通るような輝きを放っていた。
西からの尾根と出合って、意外にも端正な山容の若狭三山・多田ヶ岳を振り返りみながら、緩やかに、そして爽快に尾根を登り上がる。いよいよ小栗山へと到着だ。自然林に囲まれた広いピークには道標と山名板、そして三等三角点の標石があった。樹々が葉を纏った夏場は鬱蒼とした森であろうが、落葉して樹々は皆んな裸ん坊である。明るく開放感のある山頂だった。
さぁこの先は益々すばらしい稜線でブナ回廊に悶絶しますよ、とナオジローさんが仰る桜谷山への道へ。今日のルートのハイライトに突入してゆこう。稜線は南に進み、やがて東へと向きを変えてゆく。ブナが増えてくる。濃くなる。どんどん美しくなる。すっくと伸びた若いブナ。高く聳える麗樹。大きく広く枝を張る貫禄の巨樹。見事なブナの美林。息を呑むほど素敵なブナの回廊、ブナのプロムナードが続いてゆく。
やがて偽ピークを過ぎて最後の上り坂を頑張れば、見覚えのある登山道に合流した。そして直ぐに桜谷山山頂のシンボリックなブナの大木が目の前に飛び込んでくる。
久々の桜谷山は快晴だ。若干霞があるが周囲の山々の眺望が抜群だった。南には百里ヶ岳の雄姿がドドーン。東に比良山地。蛇谷ヶ峰から蓬莱山までの南北の稜線が一望できた。この地から若狭駒ヶ岳への魅力的な稜線の左手奥には、湖北武奈ヶ嶽や三重嶽など高島トレイルの山々が。大御影山の反射板も確認できる。
禿げたように見える稜線は轆轤山の風衝草原だろう。するとその上部は三十山間山ということになるのだが、残念なことに風力発電設備設置に向けてこの辺りは目も当てられないほど酷い状態になってますよ、とナオジローさんが恨めしそうに仰る。
絶景を堪能しながら、さぁお待ちかねのランチタイムにしよう。今日はそらかなさんが白湯スープの鶏鍋の準備をしてきてくださったようだ。百均の数百円のものとは思えない立派なアルミの鍋に、白菜、椎茸、にんじん、豆腐などを入れてグツグツ・ぐつぐつ…最後に水菜を投入して…熱々鶏白湯鍋の出来上がり~。皆んなで突っついてフゥフゥ言いながら、う~ん、美味しい~。
〆はご飯をぶち込んで溶き卵を加えて鶏雑炊を。あぁ~お腹いっぱいだ。ご馳走様でした。
食後にコーヒーを淹れるのは当たり前。ナオジローさんからは敦賀ふわっセとやらを差し入れしていただく。珍しい敦賀産の蜜柑のジェリーがクリームと相まって秀逸だ。う~ん、美味しい~。
食後に記念写真を撮って名残りを惜しんだら、来た道を引き返す。小栗山への魅惑の稜線・ブナの回廊は帰路、下りの方がさらに美しく思えた。陽の当たり方からだろうか。それとも俯瞰気味に見る方がブナ林の魅力が映えるのか。傾きつつある太陽が源頭部の広いキャンバスに写し出す縞々模様の樹々のシルエットも綺麗だ。
小栗山を過ぎ、往路とは別の南西側の尾根を辿って下山しよう。こちらも最後まで自然林が続く尾根道だった。夕陽を浴びた黄葉のステンドグラスを見ながら下降してゆく。ラストは少しだけ急坂を慎重に下って県道に着地し、下根来の八幡神社まで戻るのだった。
前日の悪天候(風雨)から一転、予想を遥かに上回るお天気の好転。快晴の青空、穏やかなポカポカ陽気に恵まれて、素晴らしい山行になった。この山域へはまた季節を変えて、とくに積雪期に再訪したいものだと思った。
ご同行いただいたお二人に心から感謝。
コメント
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こちらにはこんなブナの尾根はないので羨ましいです。
さんれいさんは若狭を隈なく歩いておられたと思っていたのですが、桜谷山〜小栗山が未踏でしたね。
詳しくはありませんが石鎚山系にもブナはあるのでは。
若狭駒から百里ヶ岳はご存知のようにブナの疎林が秀悦ですが、この尾根はもう少し密度が濃く巨木が林立しています。大御影山から西の大日尾根も素晴らしいのですがこの尾根はそれ以上です。
今回は未踏の稜線をナオジローさんに連れて行ってもらいました。噂には聞いていましたがホントにブナが凄かったです。
若狭や嶺南の山々のブナ林は素晴らしいですね。徳島でのお仕事を務め上げられたら、また福井へ戻ってらしてください。
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