高尾ー景信山ー陣馬山ー(徹夜ハイキング)
- GPS
- --:--
- 距離
- 20.6km
- 登り
- 1,254m
- 下り
- 1,243m
コースタイム
23:40 高尾山口
16日
00:55 高尾山頂
01:00 高尾山頂出発
01:40 城山
01:55 小仏峠
02:20 景信山山頂
03:00 堂所山山頂
03:15 底沢峠
03:20 明王峠
03:30 奈良子峠
03:50 陣馬山山頂
04:00 陣馬山山頂出発
04:30 明王峠
05:05 大平小屋
05:50 与瀬神社
06:05 相模湖駅
天候 | 曇りのち雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
明王峠から与瀬神社までの下りは一部ざれていて歩きにくく感じました。また階段を作っているコンクリート製の丸太もびっくりするほどすべります。 夜間ハイキングの場合、高尾山頂からあとは水場や自販機がありません。 道をくもの糸が走っていて、顔にくっつくのがわずらわしいです。でも ヘッドランプに向かって飛んでくる虫はもっとわずらわしいものですが、虫の数は思いのほか少なくて救われました。 |
写真
装備
備考 | 虫除け、虫刺されの薬があるといいと思います。 ヘッドランプは夜間なので当然です。電池切れや故障に備えて、予備を持ちたいところです。最近は小型のLED懐中電灯が安価で入手できます。 |
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感想
高尾山は東京から手軽な距離にあり、難度は高くないものの登山の雰囲気を満喫できる故に、山レコのランキングでもいつもトップを争うことからもわかるように、最近の登山ブームの中でも特に人気の山である。しかし深夜に高尾山に登ろうという人はぐっと減る。まして今回のように天気予報が芳しくないときにはなおのことである。
夜中の11時40分に京王線高尾山口に着いた電車から降りた客は自分を含めて4人。山の格好をしていた人間は自分ひとりであった。ホーム階段を下りて改札へ向かうと、冬の間に工事していた改札周辺がきれいに改装されていた。最後に来たのは1月だからたった4ヶ月なのだが、もっともっと長い時間が経ったように感じられた。
時間の経過は登山道についても感じられた。裏高尾の道の中には木の階段が整理されたり、道に砂が入っていたりと、歩き易さはハイキングを超えて半ば公園のようにさえ感じられたのであった。さすがは超人気の山である。
そんな超人気の山をたった一人で、真っ暗な中歩き続けた。目的地は陣馬山。冬の間の練習不足で、果たして総歩行距離20kmを、ほとんど空身に近いとはいえ歩ききれるのか?不安は高尾山中でお腹がすくという形で現れた。陣馬山で食べようかと思っていたおにぎりを1個、早々と高尾山6号路で食べて、水を飲んだ。お腹がすいて動けなくなってからでは遅いのだ。もしかしたら今回は燃料切れ途中敗退になるかもしれない。燃料補給のために高尾山頂で山価格の500mLりんご加重入り清涼飲料を購入した。これが功を奏したのか、それとももともと食べ続けていたあめがだんだんと効いてきたのか、その後お腹が空いて困ることはなかった。
高尾山は山頂に向けていくつものコースがあるが、今回は先回に続いて6号路を通った。6号路は高尾山の懐深く入り込むコースであり、しかも、整備された登山道が多い中、6号路の後半は沢の中を飛び石伝いに歩く箇所があるのだ。うっかり登山道伝いに歩くと6号路から外れてしまうところも、ちょっとだけバリエーションルートのにおいがする(でも公認コースである)。今回のハイキングでは沢の入り口になかなかたどり着かないので、うっかり見落としてしまったのかと思ったが、何とか見つけてはいることができた。冬に比べると水量が増していたけれども、ゴアテクスのハイキングシューズなら沢に落ちても水没しない程度の水量であった。むしろ、湿った飛び石で足を滑らせて捻挫することに注意しなければならない。
6号路では沢に入るかなり前でどこかにつながっていそうなフィックスロープを発見した。最初は沢はこのあたりではいるものと思っていたが、そこには6号路の標識がなかったのだ。地図によるとあのあたりに廃道があるらしい。登ってみたい気持ちも起きたが、今夜の目的は歩ききれるかである。また今度調査することにした。
山頂に着いたのは午前1時。真夜中でも一人くらい人がいるものなのだが、今回は山頂には誰もいなかった。雨の予報が出ていることが大きいのだろう。裏高尾入り口には陣馬山までおよそ5時間であるという。1時からだと6時か。冬と違ってこの季節であれば陣馬山ではすっかり明るくなるであろう。夏場であれば、夜間ハイキングと入っても長い時間ではないのだ。
奥高尾は、高尾山から下ることによって始まる。いつもこの下りがなければ登り返しがなくて楽なのにと思うし、逆コースでここを登るのはいやだなあと思って通過している。くじけそうになるのは、ちょうどここから長い裏高尾の縦走コースが始まることによるのだろう。実際長い下りの後にちょっとした登り返しがあったりで結構くたびれた。それでも、高尾山までの間に積極的に飲み食いしたのが効果を出したのか、高尾山中で感じたような脱力感はなく、少しずつ昔の感覚を思い出すようでもあった。
城山の山頂には大きな茶屋があるのだが、一度も開いていたことがない。夜しか通過したことがないのだから当然だ。日中であれば大勢のハイカーが休憩しているのだろうけれど、真夜中では広い廃墟に過ぎない。ヘッドランプの光が届く範囲のものしか見えないので、道探しが少し面倒くさい。茶屋のエリアをぐるっと一回りしなければならないからだ。幸い、今までに何度か歩いているのでどちらへ向かえばいいかの見当はついている。見当を標識で再確認して、小仏峠へ向かった。
城山から小仏峠への道はどうも苦手だ。急な下りが続くことと、木の根っこでつまづくのではないかと用心を強いられるからでもあるが、それとは別に、どうもこのルートは気味が悪い。城山茶屋、小仏峠の茶屋、元茶屋といった、人の営みのあるところのほうが、なんとなく気味の悪さを感じてしまうのだ。
今回の総行程で気味が悪いと感じられるのは2箇所。今述べた城山−小仏峠間と、高尾山のケーブルカー駅から琵琶滝の少し先くらいまでだ。高尾山は霊場としても知られる山であり、その霊場というところに何か共鳴しているのかもしれない。まあヘッドランプの明かりの中にたくさんの赤い前掛けのお地蔵さんが浮かび上がるのはあまり気味のいいものでもないが(それでも手を合わせて道中の無事を祈ったのだが)。
なんとなく気味の悪い高尾山に比べると、城山−小仏峠間はもう少し積極的に気味が悪い。この間は茶屋のほうからヘッドランプの明かりが見えたので、同好の士がいたかと思って歩いていくと誰ともすれ違わなかった(おそらくヘッドランプの明かりではなく、遠くの町の明かりをヘッドランプと勘違いしたのではないか)。そして今回は鈴虫ののような鳴き声が一匹だけ鳴くのが聞こえてきた。鈴虫なら群れでないているはずだからあっちこっちから聞こえてくるはずだし、そもそも梅雨入り前のこの時期に鈴虫などなくのだろうか。そう思っているとなんだか鈴の音が熊よけ鈴の音のようにも聞こえてくる。しかもご丁寧に小仏峠を通過するまで、ずっと左前方の藪の中から聞こえてくるのだ。鈴虫や鳥であれば泣いている場所を通過すれば後ろから聞こえてくるはずなのに。もしや鳥がそういう鳴き声を出しながら移動していたのか。ふくろうなども移動しながらなくからそういうことはあるのかもしれない。
小仏峠で不気味な狸の写真を取り(狸さんゴメンナサイ)、裏手に回って景信山へ。自分にとってはここの登りのちょっと岩稜っぽい(実際は古い舗装道路?)がなんとなく好きなのだが、今回歩いてみると、林の中の土の道も結構あることを再発見。今回の全行程の中では珍しく、目の前に目指す山が迫ってくるところもお気に入り。
景信山の山頂からは東京の夜景が美しく見えるはずなのだが、深夜から天気が下り坂の状態では半ばガスったようになって大して夜景を楽しむこともできない。水分と糖分を補給して今回のハイキングの後半戦へ突入した。それと同時に、ちらほらと雨が降り始めた。
景信山から陣馬山までのコースは距離は結構長いのであるが、足もとが比較的平らなのと、アップダウンもあまりきつくないので、思わず走り出したくなるような快適なハイキングコースである、実際に冬のハイキングでは走り出したりもしたのだが、たいてい走ると隠れていた木の根に足を取られるのであぶないあぶない。ヘッドランプの明かりは地面の凹凸がわかりづらいのでつまづきやすいのだ。それでも何度かヘッドランプでハイキングしていると、その見え方の感覚がつかめてきて、凹凸のはっきりしない視界から木の根や岩などを識別する感覚を体が覚えてくれる。この感覚を身に着ける訓練も、わざわざ夜中に歩く目的のひとつなのだ。
景信山の次の自分にとってのチェックポイントは明王峠である。ここまでのコースには小さなピークが何個かある。ピークは通過することも巻くこともできるのだが、今回はピークを全部踏んでいくことにした。ピークはそれほどのものではないのだが、堂所山への登りが若干応えた。この小ピークは関場峠のほうへ抜ける道にもつながっていて面白いので、これからも訪れることであろう。ただし今回は陣馬山がメインなので、メインルートへ引き返した。
堂所山から明王峠まではすぐだと思っていたのだが、ひと歩きささせられた。明王峠に到着したのは3時20分。もしかしたら4時前に陣馬山に登頂できるであろうか。少し元気が出てきた。
雨が降り始め、木の葉がかさこそなっているのが動物でもいるみたいで若干緊張する。このエリアに熊はいないので基本的には心配ないのであるが、イノシシはいるだろうし、できればお互いばったり遭遇はしたくないものだ、手をたたいてこちらの存在をアピールしながら山頂を急ぐ。
奈良子峠を過ぎたあたりから、陣馬高原方面から人の声が聞こえてきたような気がした。そして時々高原側から強い明かりが目に入った。この雨降りの中、ご来光でもないのに筆者のような物好きがいるのだなあと感心したが、例によって人には会わなかった。陣馬高原キャンプ場が先にあるから、トイレか何かで早起きしただけだったのかもしれないし、筆者がさっさと通過してしまったためにすれ違ったということもありそうだ。
最終標識(と筆者が呼んでいる)和田峠分岐の標識を過ぎたのが3時45分。4時到着が微妙になってきた。4時前登頂を目指すのだというわけで、どこにそんな元気が残っていたのかという元気が出て、一段と歩くペースが上がった。その反面。最終標識から山頂まではすぐ着くはずなのになかなかつかない。尾根を左手に見ながら高さを稼いでいくと藤野方面への道と合流し、山頂直下の階段を上がって終点となるはずなのだが、まだ尾根を右手に見て歩いているではないか(これは正解)。時計を見ながらあせりだすが、幸い、ほどなく見覚えのある場所を通過して、さらに藤野からの道と合流。最後の力を振り絞ってお馬さんの彫刻がある山頂に到着したの3時50分であった。やれやれ、何とか目標を達成した。
天気がよければ真夜中でも富士山がドンと見ているのであるが、雨の中では富士山はまるで見えない。東京方面の夜景もまるでだめだ。おまけに雨脚が速くなってきたようだ。ここは給水だけ済ませて足許が悪くならないうちに下山することにしよう。
4時にもなるとあたりが明るくなり始める。深夜ハイキングでは、この徐々に明るくなる時間帯が楽しい。時間とともに急速に視界が開けて歩くのが楽になる。そして鳥が目を覚ます。なぜか夜の鳥のはずのふくろうまで元気に歌い始めるのだ。鳥は夜は活動しないせいか、夜のハイキングは実は非常に静かである。裏高尾ハイキングにおいても、一番よく聞こえた音は中央高速の自動車の音という情けなさなのだ。
濡れた土で2度ほど足を滑らせたが、幸い転ぶことはなく明王峠まで引き返した。ここからは急な下りが続く。雨も本降りになってきたし、今以上に気を引き締めなければ。森林の保水力はかなり高く、1時間ほど降っていても遊歩道の枯葉が乾いている場所があるのには驚いた。
次のチェックポイントは大平小屋。もともとは茶屋があったのだが、今はただの東屋になっていて看板などでわずかに茶屋の面影が残すばかりである。大平小屋までは広い林道を歩き続けるものと思い込んでいたのであるが、そのうち藪道っぽいところに入ってしまい、どこかで標識を見落として枝道に入ってしまったのかと不安になった。このエリアは枝道がいくつかあり、間違えればあさっての方向へ行って大きく遠回りすることもありえるのだ。幸い、思い込みよりも、実際の標識の確認が正しく、暫くすると藪道の向こうに東屋の屋根が見えてきて、安堵した。
大平小屋さえ過ぎてしまえば、後ははっきりした道が続くので道迷いの心配はない。しかし最後に急な下りがある。雨で道が滑りやすくなっている。特に階段をこしらえているコンクリートでできた人造丸太は乾燥していても滑りやすい。疲労していることもありおのずとペースダウンした。だんだん中央道の音は大きく聞こえてくるのであるが、視界の先は森ばかり。最終チェックポイントの与瀬神社の気配なかなか見えてこないのが少々辛かった。慎重に、だけど少しあせりながら下山して、最後に遠くに与瀬神社らしき標識が見えてきたときにはほっとした。
与瀬神社から登山道の入り口には、石の道しるべがあり何かが達筆な文字で書かれているのであるが、筆者の教養では判読不能であった。ともあれここまで無事に歩けたたことを神社の神様にお礼して、相模湖駅へ急いだ。おっと最後の危険箇所である与瀬神社の参道の石段で滑落しないように。ここは登山道並みに急なのだ。
石段を降りると中央高速と中央本線をまたぐ歩道橋に出る。歩道橋をわたり終えるとすぐ左に折れる小道があり。この道を中央本線の線路沿いに歩くのが駅への一番の近道である、民家の庭や道端に植えられたヤグルマギク、バラなどの花が美しかった。
かくして、相模湖駅に6時過ぎに到着した。
高尾山口駅から相模湖駅まで、人とすれ違うこともなく、高尾山、裏高尾を貸切りしたハイキングであった。
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