黒法師岳(野鳥の森手前より往復:笹藪と急登を越えて)
- GPS
- --:--
- 距離
- 23.1km
- 登り
- 1,949m
- 下り
- 1,942m
コースタイム
- 山行
- 10:51
- 休憩
- 1:42
- 合計
- 12:33
天候 | 晴れ一時曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
帰路は下山が遅くなることも想定、レンタ営業所が24時間の静岡へ返却のため、山住神社より県道389号を気田渓谷に沿って門桁方面へ。春野より走りやすい国道362号を下り、途中から信州街道(県道58号)にて新東名・森掛川ICへ。静岡駅まで約120km弱、2時間強の道のり。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
麻布山登山口に登山ポスト、トイレあり。水は県道途中の道路脇の沢で補給可。麻布山〜前黒法師山までは距離が長いものの、ハイキングコースの歩きやすい道(但しこの時期、冬眠明けのクマの活動が活発化、ルート脇にもクマの掘返し痕多数。朝夕の行動にはクマ鈴必携!)。打越峠への下降路の途中、広い尾根線でルートがはっきりしない箇所もあるものの、新しめの赤テープを辿っていけばほぼ問題なし。バラ谷ノ頭までの登路は前半が岩混じりの細めの尾根道、後半が笹混じりの半ヤブ、ルートはほぼ明瞭ながら、縦横に交錯する獣道に注意。 バラ谷頭〜黒法師岳間が本コース一番のハイライト、笹ヤブの急斜面は前向きに下降困難、横向きに下らざるを得ない区間あり。登りもルートはほぼクリアながら、山頂直下は笹を掴みながらの急登が続く。往路で体力を使い果たすと、帰路のバラ谷頭・前黒法師の登り返しがキツく、明るいうちの下山が困難になる恐れあり。 |
写真
感想
南ア深南部の名のある山へ登れば必ず望める、スックと形良く聳える名峰、変種の三角点や日本最南端の2000m地点など「日本○○」マニアには堪らぬ秘峰、そしてどこから攻めても長い林道・尾根歩きと笹ヤブ&急斜面、更に中腹のクマ&山ビル恐怖と多重のバリアを張り巡らす怪峰。いずれをとっても、名山巡礼者にとっては憧れの的、かつ高いハードルの黒法師岳。
今年もこの山を攻めるには最適の季節がやってきました。稜線の雪解け直後、笹ヤブの濃さもさほど気にならず、日が長く天候安定の上、山ビル活動期もこれから、ということで、ヤマレコの先達各氏の記事を注意深くウォッチすると、どうやら今期は頼みの戸中沢林道がゲート遥か手前で通行止めの模様。ロングコースの恐怖に怯みながらも、やむなく野鳥の森・麻布山登山口からのコースをチョイス。いずれのレコも、往復10‐12時間の苦闘の末に生還された達成感溢れるもので、否応なしにテンションアップです。
ということで、事前の準備として山ビル対策に虫除けスプレー&粒入り歯磨き粉(これ意外と気持ち良し…)、クマ鈴+へ電、笹ヤブ用の軽アイゼン(これは正直意味不明…)用意し、金曜夜の仕事終わりにそのまま新幹線で浜松へ、営業所終了間際の20時前に軽レンタ借り出し、中心街で入浴・着替え、買出しを済ませ、いざ臨戦態勢に。水窪までは国道を快調に飛ばし、登山口で水が汲めるか不安のため、県道389号の途中、道路脇の湧水地点でポリタンに水補給(実は少し先に「日本一美味しい水」のカンバンあり…)、とここまでは順調。途中、野生のシカ一頭が目の前に飛び出し一瞬ヒヤリとするも、これもほぼ想定の範囲内。ところが、「水窪ダム方面林道通行止、但し麻布山登山口までは行けます」の標識に従い、走りやすい舗装の林道を辿っていくと、何と登山口まで約1.5km地点で林道脇斜面からの倒木が行く手を阻んでます!手で動かそうと頑張るも、根こそぎ倒れた大木はビクともしません…。ただでさえ長大なコースが、往復で3kmもの「ボーナス区間」が増え、睡眠時間も減っていきなり戦闘意欲減退です(涙)。
ともあれ、翌朝、車中で孤独な朝食を済ませ、後着のお二人と「こないだの台風で倒れたか?水窪町が浜松市に合併後、林道の手入れが悪くなった…」と愚痴をシェアの後、東の空が明るくなると同時に出発。何と、団体客のチャーターバスもやって来て、この山の人気ぶりに少々面食らいながら、倒木を乗り越え、20分強で本来の登山口到着。トイレを済ませ、いざロングコースに足を踏み入れると、ヒメシャラ混じりの快適なハイキング道ながら、意外に細かいアップダウンがあって体力消耗。それと、早朝のせいもあってか、コース脇に新鮮?なクマの掘り返し痕が多数。点在するツツジを楽しむ余裕もなく、クマ鈴を意識して振りながら早足で進みます。
元々のコースが崩落しかかったガレ場の縁を通過、2時間近くかかってやっとこ社跡の残る麻布山頂に到着。件の団体十数名が三角点平地を占拠中、当方も証拠写真を撮っていただき、聞けば、今日は稜線ヘリポート付近にテン泊の由。年齢的には小生よりかなり年上の方ばかり、シニアパワーに脱帽です。パーティのお一人に「今なら藪も薄いので、黒法師まで日帰り可能だろう」と有り難いお言葉を戴き気力回復し、レコでは必出の「ご無事で」プレートに気合を入れ直して、戸中山~前黒法師山と歩きやすい稜線上のコースを快調に進みます。もったいない250mの下りの後、広い尾根道のルーファイを楽しみながら、打越峠からはいよいよ本コースのハイライトの一つ、バラ谷の頭まで500mの登り返し。ほぼ前後して登ってこられたソロの方はGPSを使用されていて、聞けば「カーナビを外して持ってきたが、すぐにバッテリが消耗してしまうので、迷いやすいポイントに絞って使っている」由。なるほど、その手があったか!
ともかくも、当方は野性のカンと赤テープに導かれ、やがて「待望」の笹ヤブゾーンに突入。勾配はそこそこ急ながら、笹につかまり手足両方をフル稼働し、喘ぎ喘ぎついにバラ谷の頭へ到着。途端、目の前に不動~丸盆~黒法師の「深南部オールスターズ」と南ア主稜線、そしてピラミダルな前黒法師岳(名前が紛らわしいです…)の左には、見事な富士山ドーン!憧れの光景が一気に目の前に拡がり、溜まった心身の疲労も吹き飛ぶ思いです。
ところが、本コースの本当の試練はここからでした。まずは笹ヤブの海を手探りで泳ぎ、すぐに正面向いて下れないほどの急斜面へ。笹にしがみ付き、やっとの思いで水場分岐のコルに辿り着くと、暫くは平和?な登りが続きますが、真新しい標識のある上西平山を過ぎると、いよいよ最後の試練・150mの笹ヤブ急登です。ここは文字通り砂を噛むような先の見えない直登、「明けない夜はない…」と心の中で唱えながら、出発点から7時間弱でついに久恋の黒法師岳山頂到達。定番の×印三角点をパチリ、後から登ってこられたソロの可愛いワンちゃん連れの方(笹ヤブはさすがにお連れ様はリュックに入れられてました)と証拠写真を撮影し合い、登山口に駐車してた車はどうやって倒木を突破し帰るのだろう、我々はラッキーだったかも、などとしばしのお喋りを楽しみます。
とはいえ、帰りも長丁場、昼飯もそこそこに山頂を早々に辞し、急斜面途中でテン泊大集団をやり過ごし、登り返しの波状攻撃に心身ヘロヘロになりながら、何とかまともな時間に駐車場所へ帰り着き、思わずバンザイです。ということで、このコースは噂に違わぬ半端ないチャレンジと達成感で、バラ谷頭の大展望に出会うためだけでも、この屈指の難コースにトライする価値大いにありです。戸中沢林道コースの不通に感謝したいぐらいですが、やはり日が長い上に藪が薄く、山ビルもさして気にならないこの季節がイチオシです!ヤマレコマニアの皆様も、ご体調や天候など条件の揃った時を選んで、是非とも人生一度はチャレンジを!
コメント
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山頂でお会いした犬連れの者です
たいへんな山行でしたね
でもいい山でした。富士山の絶景も見れたし
山頂、バラ谷もよかったけど打越峠あたりの林も神秘的でしたね
山ヒルはいなくてよかったけど愛犬はダニを連れてきました
ワンちゃん同伴でのロングコース踏破、お疲れ様でした。バラ谷の頭での絶景は、他の先達各氏にも絶賛されてますが、ヤブと急登との格闘直後だけに、本当に魂が洗われる思いでした。
倒木での歩行距離「ボーナス」はご愛敬として、クマや山ビルと遭遇せずに済んだのは幸いでした。帰宅してからは、激烈な筋肉痛とともに、腕や足回りが何となく痒くて仕方ないのは、お土産で持ち帰った?ダニのせいかもしれません。ともかくも、名山巡りが一段落したら、深南部の奥深い原始の静寂を求めて、また足を運んでみたいと思います。いつかまたお会いできると良いですね!
このコース、主人が4/26に行ってますが、
帰路の前黒法師山の登り返しは苦行と言っていました。
4月だと、例の三角点は雪の下…。
見れなくて残念がっていました。
さすがに1月後だと雪は無いですね。
さすが健脚の御主人、野鳥の森からの残雪ロングコースも踏破されてたのですね。確かに復路の前黒登り返しは息も絶え絶えでしたが、麻布山からの最後の尾根歩きが着きそうで着かず、地味なアップダウンもあってボディブローのようにこたえました。やはり百里の道は九十九里を以て半ばとす、ですね。これからも日の長い季節、ロングコースにチャレンジされますよう!
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