雨中の高島トレイル・ハーフハイク(国境〜水坂峠)
- GPS
- 20:00
- 距離
- 39.2km
- 登り
- 2,577m
- 下り
- 2,783m
コースタイム
- 山行
- 7:59
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 8:27
- 山行
- 11:08
- 休憩
- 0:28
- 合計
- 11:36
天候 | 雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
復路:保坂17:33−(JRバス)−近江今津 |
コース状況/ 危険箇所等 |
国境の登山口は、どうしても見つけられなかった。GPSの地図に載っていた、リフト中腹からの登山ルートを利用したが、非常に遠回りになり、時間と体力を大幅にロスした。 武奈ヶ嶽から水見峠までの急坂は、本当に急坂の連続。その上、枝尾根に降りないように非常に気を遣う。かなり下ってからも、一度尾根が切れるが、高島トレイルはその切れた尾根を登り直すのだが、間違って左右の道に行かないように。 反射板から先、高島トレイルの案内テープが激減する。更に、高島トレイルではない別の登山道のテープが貼ってあるルートに引き込まれやすい。反射板からは、右側へ、でも右側へは行き過ぎず、右よりの中央方面。慎重に探すと、5分以内に高島トレイルの黄色いテープがみつかるはず。 |
写真
装備
備考 | 防水袋 |
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感想
高島トレイルに挑戦したいなあと思い続けて数年。高島トレイルのベストシーズンと思われるGWは地元行事とぶつかるので、数日まとめて行くことが困難。今年も行けないかと思っていたが、社員旅行のため会社が金曜日に休みになったので、それを利用して急遽高島トレイルに挑戦することにした。
高島トレイルを挑戦するにあたって、一番ネックになるのは水の問題だった。6月ともなると、気温もかなり上がるので、晴れた日だと数日に渡るトレイルはどうやって水を確保するかが悩ましい。そこで、敢えて天気の悪い日を狙って(と言ってもたまたま会社が休みだったせいだけど)、高島トレイルに行くことにした。せめてハーフ、あわよくばスルーハイクで。(2泊3日の予定でスルーハイクまで考えるとは如何に無謀だったかを後で思い知らされるが)
マキノ駅からのバスで一人で国境のバス停で降りる。今にも雨の降り出しそうな天気の下、一人残される不安感でいっぱいになる。バスは間も無く折り返して行ってしまい、何かを尋ねようにも誰もいない。シーズンオフのスキー場は、建物ばかり並ぶだけで、かすかに抱いていた管理人のような人もいない。
いよいよ雨が降り出したので、軒下にて身づくろいをしていざ出発。何の案内も無いので、とにかく一番大きそうな右斜め前方のゲレンデを登っていく。高島トレイルの以前のレポートにもあったが、見つけにくいと言われる登山口は、ちゃんとみつかるだろうか。
リフト降り場までたどり着き、周囲を見回すが、確かに登山口らしきものは見当たらない。それでも、事前の情報に従い、右奥へ右奥へと進む。しかし、右奥にはちょっと潜り込むような暗い道とも言えないような道?があるのみで、思い切って入って行こうという気にならない。
それなら、いっそのこと上を目指そうと、目の前の崖に取り付くことにする。この崖、非常にザレていて、登っては滑り落ちる、登っては滑り落ちるで、20kgオーバーの荷物を背負っている身には非常にきつい。それでも高いところに登れば、高島トレイルの黄色いテープが目に入るのではないかと、20mほど登ったが、それでも新たに目に入るのは鬱蒼と茂った緑ばかり。到底登山道にたどり着けそうにない。初っ端から迷子になっても始まらないと、崖からの撤退を決める。
崖の手前まで何とか降りてきて、これ以上ここで迷ってタイムロスを食うわけには行かなかったので、GPSに示されている登山道に向かうことにする。登ってきたゲレンデを下り。リフトの下まで。しかし、今度はGPSの地図は登山道を行き過ぎていると出る。何とか行きつ戻りつして、ようやく登山道跡らしき場所をみつける。入口はほとんど塞がっている。とにかく、そこに突っ込むしかない。
一応道らしきものはあるが、ほとんど人も歩かないようで、沢を渡ったり、道が細かったり、傾斜が急だったり、肉体的にも精神的にも疲れる。赤テープやちょっとした人工物があると、それだけで感激してしまう。
ようやく、歩き始めて小半時間以上たって、先ほどまで自分がいた崖とリフト小屋が目に入り、そして間も無く、左手から高島トレイルの黄色いテープと共に正しい登山道が合流する。しかし、一体どこに正しい入口があったのだろう。もし次行く機会があったとしても、とても正しい入口にたどり着ける気がしない。
(どうか、登山道入口をもう少しだけでも目立つようにしてください。)
かれこれ、出発から1時間以上経過し、今日中に宿泊予定地である抜土まで到達できるのだろうか、と不安になる。と言うか、コースタイム的には全然無理である。深く考えると辛いので、とにかく一つでも前へ進もうと思い込むことにする。
序盤は、稜線に登るために、きつい登りが続く。天気も良くないし、気分も晴れない。いつもなら余り撮らない花の写真などを撮って、休み休み進む。
鉄塔をいくつも越え、道標を越え、ようやく一つ目の目標ポイントである乗鞍岳に到着。眺望は相変わらず無い。稜線を進んで、霧の中に浮かぶ電波塔が何かシュールな感じ。
そして、霧の中に最後の電波塔まで来たときに、そこへ車道が現れ、手持ちのGPSを見ると、その車道へと道は続いていく。しかし、それは高島トレイルの進むべき道とは全然違う方向。ここで軽くパニック。どこかで分岐ポイントを見落としたかと、数十m戻って高島トレイルの黄色いテープを確認したり、やはり進むべきはこの電波塔しかない。しかし、そこから先、黄色いテープが見当たらない。
しばらくして、いったん車道に降りて直ぐに高島トレイルの道が続いているのだが、霧の中ちょっとした事で冷静になれなかった。そして、これが悪名高い、無くても良い所にあるけど、本当に欲しい所には見当たらない黄色いトレイルテープ、の洗礼を浴びる。
出だしに加えて要らぬタイムロスをして、気持ちは焦るが、ペースは上がらない。トレイル脇に勢い良く芽吹く杉だかの新芽がムーミンに出てきそうな気になって、少し気分を紛らわせたり。
そんなこんなで、せめて早いところ大きな目標ポイントである黒河峠へと急ごうと樹林帯を歩いていたところ、何て事のない石の上に足を乗っけた際にツルンと足を滑らせ、あっと言う間もなく、左足のすねを強打してしまう。「ヤバイ!」誰もいないのに思わず口から漏れる。雨のせいで滑りやすくなっているところに、足を乗っけてバランスを崩すなんて、これまで無かったことだ。久しぶりのテント泊行だったり、荷物が重かったり、焦っていたり、後は年による体力の衰えか、とにかくこれまでにない強打であった。
最悪骨折による続行不能(≒遭難)も頭をよぎるが、幸いなことに傷みはあるものの、内部奥深くからのものではない。恐る恐る足に力をいれても、上辺の痛みだけで歩行上困難な痛みは無い。ひょっとすると、アドレナリンが出まくって痛みを感じないのかもしれないけど、とにかく単独行である以上、歩けるうちに歩くよりない。
その後も、2、3度は下り坂でズルッと足を滑らせ前のめりにつんのめって倒れるとか、尻餅をつくとか、当たり所が悪ければタダじゃ澄まないようなミスを重ねる。雨とか荷物の多さとか色々理由はあるけど、理由は何であれ歩けなくなったらアウトなのに。頭では分かっているのに、体がついていっていないことに嫌になる。
14:40、ようやく黒河峠に到着。予定より大分遅れているが、それでも大きなポイントに到達できたのは嬉しい。立派なトイレがあり、軒下に雨に濡れていないベンチがあり、そこで今日初めてまともに荷物を置いて座る。何て楽なんだろう。この後もずっと濡れっぱなし。この先も雨に濡れていない場所など無いだろうから、こういうスペースが近くにあるところでテント張ったら、とも思うが、それでは余りに短いだろうと先を目指す。
とりあえず、当初の目的地の抜土に着くのは無理としても、赤坂山くらいは越えておきたい。問題は、赤坂山を越えるにしても、抜土まで下れないとすると、途中テント適地があるだろうか。標高高いところだと、風が心配であった。
林道を少し進んで赤坂山登山口が現れる。まもなく、急坂が始まる。鎖場があったり、きつい傾斜の上り坂が続く。それでも、黒河峠を越えているというので、少しだけ気分が楽にはなっている。きつい登りがひと段落した辺りで三国山分岐が現れる。片道0.4km、往復で0.8km。ここは名より実を取ろうと、三国山のピークはパスとする。
傾斜はやや緩くなったとは言え、登りは続く。しばらくして、霧の中からそこだけ草木が生えていないところが現れ、あーこれが明王の禿と言われるところだな、と思ったらそうだった。時間があれば少しゆっくりしたいところだったが、写真だけ撮ったら直ぐに先へ。
赤坂山も同様に写真だけ。晴れていればさぞかし眺望も楽しめるだろうに、この霧の中では単なる通過ポイントでしかない。赤坂山を過ぎて下り始めて、アレっという感じで粟柄越に着く。
粟柄越がこの近辺で一番標高が低そうだったから、この周囲でテント適地を探すつもりでいたが、粟柄越付近は遮るものが何もない草原で、これは夜に風が強くなったらやばいと、先を進む。しかし、次に目指すポイントは寒風と如何にも風が強そうな名前がついている。この先不安だ。
徐々に登っていく。それに連れて風も強くなってくる感じ。日中から降ったり止んだり厚い雲に覆われていたから、日の明るさというのはあまり感じなかったが、間も無く夕方の5時になろうとしており、さすがにそろそろテント適地を見つけなければヤバイという気になる。そんな時、近くで鹿がピーと警戒音を発しながら去っていくと、ギョッとする。ついでに言うと、つい最近高島トレイルで熊が出てハイカーが襲われたという記事を読んでいたので、思い出すまい思い出すまいとしつつも不安が募る。
幸いなことに、寒風に至るまでに、いくつか樹林帯があり、2つ3つ過ぎて、更にもう1つ次を目指そうとしたところで、これ以上先を急いで欲張ってもテント適地がみつかる保証は無いぞ、とテント泊を決める。
尾根上ではあったが、それなりに幅もあり、平らなスペースも十分にあった。下は落ち葉と柔らかい土とでふかふかだったし。問題は風だったが、ちょっと窪みになっているのと周囲の木々のおかげで道中の風の強いところに比べれば大分マシそうだ。夜半に荒れたりしないことを願うのみ。
ほぼ2年ぶりのテント泊。徐々に暗くなっていく中で思うように作業も進まない。これまでノンストップで歩き続けて来たから寒さも感じなかったが、いったん停止して作業するとなると、頭のてっぺんから足の先までずぶ濡れ状態というのは、急速に体温を奪っていっている実感がある。一刻も早く乾いた服に着替えないと!
ようやくテントが組み上がり、濡れたリュックやら何やらをテント内に放り込み、ズグズグになった靴を脱いで、早速にお着替え。しぼったら確実にジャーと水が出てくるだろうが、それをするとテント内がエライことになる(かと言って外に出て絞る気力も無い)ので、そーとビニール袋に放り込む。この濡れた服、テント内で乾く訳でもないし、明日どうするのだろう…(今は考えるのは止めよう)。
さて、道中はあんまりひどいとショックで歩けなくなるのが怖くて確認していなかった左足のすねの状態とご対面。CWXにべったりと血糊の痕のようなモノが付いている。傷跡を確認すると、日中に怪我したのに、夕方になっても相変わらず血が止まっていない。普通ならとっくに瘡蓋が出来ている時間だろうに。何というか、血がしっかり固まらず、ゆるいゼラチン状になっており、ちょっと動いた刺激でそれが破れて中の血が滲み出すという感じ。これはテント内や寝袋内を汚しそうだな、と思うが適当な傷当は無いかとしばし思案し、先ほど穿き替えたばかりのパンツをガーゼ代わりとする。結局このせいで、翌朝も濡れたパンツをはくことになる…。
乾いた服に着替えたら、ようやく一息つける。6月とは言え、山中の気温は決して高くなく、長袖と半ズボンでは少々寒い。まずは何か食べようと、禁断のテント内コンロにてお湯を沸かす。慎重に慎重に。アルファ米が戻るまでの間に、レトルトの味噌汁を飲んでふーと息を吐く。
ご飯をかっこんだらすることも無いので、7時過ぎであったが、寝袋に入って寝ることにする。ウォークマンで「Last train home」繰り返し聞いていたら、気づくと8時半過ぎになっていた。周囲は大分暗くなっている。もちろん、星空など全く見えない。濡れた荷物に囲まれ、決して快適な環境ではないテント泊ではあったが、下が柔らかいのと、厄介な虫がいなかったのは救いであった。
2日目、気づけば5時近くになっている。昨日の遅れを取り返すべく早出のつもりだったのに。朝食をかっこみ、いよいよ出発準備にとりかかる。寝袋やらマットやらを一通り片付けたのち、いよいよ厄介ごとの着替え問題と直面する。
替えの利かないCWXと長ズボンは選択の余地無く昨日のびしょ濡れ服を身に着けるより無いのだが、問題はTシャツとパンツと靴下だ。Tシャツは替えがあったが、パンツと靴下は乾いたのは1つはしかない。それを濡らしてしまうと、次のテント泊の際にどうしようも無くなる。
この日もどうせ濡れるだろう、それならば、初めから濡れた服を着るのも一緒だ。着替え直後の一瞬の不快ささえ耐えられば、貴重な乾いた服も残せるし、濡れた服も荷物にならずに済む。ズボンにCWXに靴は否応無くびしょ濡れを履く。パンツに靴下にしても、乾いたのはあるが、次のテント泊のことを考えたら、昨日の濡れたのを身につけるしかない。選択の余地があるのはTシャツだけだが、ここまで来たらTシャツもいったれ!!
ということで、昨日の服を上から下まで再び身にまとったのだが、パンツとTシャツだけは、もう2度と濡れたのを再利用するのはごめんだと思った。そして、単に不快なだけではなくて、実質的にも濡れた服は体温をぐんぐん奪うので、大急ぎでテントを撤収しないといけなかった。幸いなことに、テント撤収時は雨が止んでいてくれたのは助かった。
6時に再出発。少しでも体を温めようとペース良く進む。5分と経たないうちに寒風に着く。更に進んでスタートから30分と経たずに大谷山。どちらも霧の中。間も無く下りが始まる。抜土への道は、途中で大きく左にそれて行き、道があっているのかと不安にかられるが、そういう時に限って黄色いトレイルテープが減る。ぐるりと回りこんで、抜土に到着。7時半過ぎ。スタートから1時間半だから、初日、出だしで躓かなければ、充分ここまで来れてたかも。まあ、林道そばは砂利が多くて、テント適地というにはちょっと落ち着かなさそうな感じはあるけど。
抜土から近江坂へと登る道もかなりきつい傾斜が続く。数歩進んでは休み進んでは休みをくり返す。大御影山への道標が現れた辺りから傾斜が緩まる。それでも中々楽はさせてくれない。抜土から1時間半ほどで、大御影山着。
大御影山からしばらく比較的平坦な道を進み、目の前にぬーっと巨大なオブジェが現れる。これが噂の反射板かと思うが、事前に分かっていても山中に突然現れる姿は、異様と言うか無気味ですらある。
そして、ここがルート外ししやすい要注意ポイントであるとは事前に調べてあったので、慎重にルートを探すが。確かに、無い。唯一はっきりとテープが張ってある方向は、明らかに目指す方向と違う。右往左往をしばしして、ようやく高島トレイルの黄色いテープが目に入った時は、本当にホッとした。ここは、事前の情報とGPSが無ければ、絶対に間違ったルートを選んでいたと思う。先人の知見と最新のテクノロジーに感謝。
反射板後の一つ目の黄色いテープはみつかったものの、その後は抉られた道を進み、なかなか次のテープが現れない。ようやく次のテープが見つかって、やれやれ、と思う。ここから、黄色いテープの出現頻度がグッと下がる。
テープが減るだけではなくて、トレイル上に張り出す草木の量も、それまでよりも大分増える。上からも横からも下からも。更にトレイルの幅が20cmも無いようなところもあり、足が交差してバランスを崩しそうになったり、細いトレイルの上に草木が覆いかぶさって道が分からなくなったり、とペース上がらないことおびただしい。
大日尾根の辺りで、道は90°左に曲がる。これまで分水嶺と県境とが一致していたので、GPSのルート表示が分かりやすかったのだが、ここから先は分水嶺と県境が一致しないので、GPSの表示が分かりにくくなる。こんな些細なことでも、下調べ不足を補っていてくれてたので、無くなると不安になる。
三重嶽へはアップダウンの連続。ペースは上がらないが、気持ちの良いブナ林や白い花などで心癒されることもしばしば。三重嶽への分岐0.2kmという道標があり、三重嶽はトレイル上で最も標高が高い地点というプレミアムがついていたが、時間と体力関係で、三国山に続いてここもパス。でも、この分岐でその分休んで食事して水をいっぱい飲んで、大いに体力が回復した感じ。知らず知らずのうちに、水と食料をセーブしていたようで、この辺でちょいとへばりかけていたと、休憩後に気づく。危ない危ない。
三重嶽からはコースタイム4時間40分で水坂峠。三重嶽分岐で12時丁度なので、このペースで行けば、5時には水坂峠に着ける。そして、この頃から、今回は水坂峠で終わりにしても良いかな、という気分が徐々に気持ちの中で勢力を強めてくる。とにもかくにも、テント泊、それも翌朝の濡れた服というのがたまらなかったのだ。まあ、それも含めてひよったわけだけど。
トレイルは下り基調で、それなりのペースで進む。武奈ヶ嶽方面へは、GPSの指し示す方向とは大きく逸れて道が左に切れていくので、このまま進んで良いのか不安になる。道中大いに助けてくれたGPSだがたまに、存在しない山道を表示したりする。となると、頼りになるのは黄色いテープだが、それも本当に欲しいところに無かったりする。
武奈ヶ嶽へは一本調子の登りではなく、思いの他下りもあって(その分登りがきつくなるのだが)大きいアップダウンが続く。
この頃から周囲が明るくなり始め、ふと気づくと進行方向左手の頭上から青空が覗くようになる。これまで始終付きまとっていた霧も大分薄まり、尾根歩き中に始めて琵琶湖の姿がかすかとは言え見えるようになる。空の青さや景色の良さがこんなに嬉しいものだとは。今更だけど、飲料水のことのみ心配して天気の悪い日に高島トレイルに挑戦した、というのはちょっと愚かだったかな、とも思う。
青空に後押しされるようにして先を急ぎ、2時半過ぎに武奈ヶ嶽に到着。今回のトレイル中初めてとも言える、ガスっていない山頂。ここまで来れば、日のあるうちに劇坂を下って水坂峠まで行けそうな目途が立つ。しかし、油断は禁物この後、本日の最大の難所と思われる、水坂峠への激坂が待っている。
武奈ヶ嶽から30分ほどして、眼下に集落が見えるようになった辺りから、一気に激坂下りの始まり。これまで肩に下げていたカメラ類は全てリュックの中にしまう。深呼吸していざ。
入口からして尾根がストンと落ちているようにして始まる。直ぐに、これはロープが無ければ降りれないだろう(ロープはある)、という傾斜の坂をまさにロープにしがみつくようにして下り、そこから先も一つはその恐るべき傾斜、も一つはここでも激減する黄色いテープ(=コースアウトへの恐怖)に緊張感MAXのまま少しずつ先へ進む。足をとられてまっさかさま、というのも怖いけど、それでも登りで使いたくないとも思う。
激坂下りが2つ3つ続いて、少し傾斜もマシになって、これで難所も突破したか、と思ったら、その読みは甘くて、ここ一番とも言える稜線を一直線に延々と続く激坂が現れる。杉の幹から幹へ、つかまるものが無い時は、ストックを頼りに半歩ずつ、といったペースでゆっくりゆっくり、慎重に慎重を重ねて進む(それでも一度こけた)。GPSの高度計で数字が600、500、350と少しずつでも減っていくのが、その分一歩ずつ棄権地帯から逃れられている気がしてきて喜びとなる。
この激坂下りは、基本稜線に沿っていくだけなのだが、急に左前方にムキを変えたり、作業道らしき道にぶった切られて向かいの尾根に道が続いているのに気づきにくかったりと、最後の最後まで気が抜けなかった。水坂峠まで残り5分の標識を見た時は、これで助かった、と心底ホッとした。
車道が目に入り、直ぐに登山口に出る。時刻は5時15分過ぎ。バスの時刻が毎時33分だったから、急げば5時台のに間に合う。左手の道を急ぐ。10分ほど歩くと、保坂の集落が現れる。昔ながらの家並が続き、由緒のありそうな雰囲気を漂わせている。
集落に入って直ぐにバス停が現れホッとするが、その時刻表だと一日に2本しかバスは走っていないし、行き先も違う。これは別のバス停があるはずと、近くで作業していた人に道を聞き、道を急ぐ。信号を左に曲がって80mくらいとの言葉通り、バス停が目に入る。と、バス停に辿り行くより先に目の前からJRバスが向かってくるのが目に入る。思わず手を振って停めてしまった。
その後はトントン拍子で京都まで帰る。最寄の駅まで迎えに来てくれた家族は、予定より一日早く帰宅したことを喜ぶより先に、「ウワ、臭い。風上に行かないでくれる。」という反応であった。丸二日濡れ鼠だと、大層な異臭を放つものらしい。車中やエレベーターでご一緒だった方、申し訳ありませんでした。
なお、夜には天気予報どおりに雷雨が京都を見舞った。恐らくは湖西でも土砂降りだったことだろう。高島トレイルは道半ばとは言え、そこまでの覚悟も無かったし、今回の日和はまあ結果オーライだったかな。
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