奈良井【鳥居峠・神坂峠・姥神峠】羽渕→奈良井川源流
- GPS
- 08:09
- 距離
- 20.2km
- 登り
- 1,283m
- 下り
- 1,009m
コースタイム
- 山行
- 8:03
- 休憩
- 0:52
- 合計
- 8:55
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
|
写真
装備
個人装備 |
スパイク地下足袋
シュリンゲ+ビナ+ 確保器
防寒具
カッパ
シュラフカバー
マット
水筒
その他沢個人基本装備(ナイフや灯り地図磁石)
|
---|---|
共同装備 |
ツエルトかタープ
焚き付け+ライター
|
感想
木曽の鳥居峠は木曽川と奈良井川(→犀川→千曲川→信濃川)の分水嶺で、中山道の最難所で、信濃と尾張の緩衝地帯木曽郡の境。これは歩いて越えなくては、との思いは以前からあり、カレンダーレッドマン(毎日日曜日男)としては翌日の週末山行の待ち合わせにノコノコ行くわけには行かず、兼ねてから気になっていた木曽川源流と奈良井川源流の山間集落を峠越えする行程で向かった。われながら美しすぎる計画。
【鳥居峠越え】
江戸期中山道宿場町の風情の保存に力を入れている長屋町。ドイツやニュージランドから何十万圓もかけて来て、編笠を被って峠越えする人々が年々増えている鳥居峠越えは、とても手頃に満喫できる良いコース。松本から電車賃590圓で降り立つ。
「景観」という資産にたいする配慮が、やはり行き届いている。たとえいにしえを再現した幻の世界とはいえ、景観は貴重だ。その場のもつ力は再現し得るものなのかもしれない。人々の世代は変わっていくのだから。
欧米人旅行者数十人と会い、国内の人は二人だけ会った。この峠は武田家滅亡戦争の時と、小笠原家返り咲き戦争の二度、戦場と化している。国境の峠なのだ。木曽国は古来、信濃と尾張の間で難しい政治を強いられてきた。どちらかに付けばどちらかに攻められる。そうした説明が現地に書いてあるのはありがたいが、どうか英語でも表記してほしいと思う。
峠から、峠山を往復する。車道は遠回りなので藪を行ってもそれほど濃くない。山頂は通信施設などが林立している。今回のテーマ奈良井ダムが思いがけず見えた。
御嶽山遥拝所からの御嶽山は、前山の後ろにちょっぴり。こんな感じでも祠と鳥居と石仏群が。新緑とツツジが良い季節だ。
藪原宿は、奈良井ほど江戸景観に復元に熱心ではないが、昭和っぽいレトロ景観がこれはこれで気取らず良い雰囲気だ。若い人がパンを売っていたので買い求め、かじりながら先を急ぐ。腹ごしらえをやぶはら食堂で、と考えていたが「臨時休業中」とのこと。残念。道の駅では観光色強すぎてあまり魅力のある食はなく、自販機のアイスを舐めるに留めて次の峠道に突撃する。
【神谷峠】
神谷峠はあまり歩かれてなさそうだったのでヤブコギ必定かと思っていたが、まあまあ道の痕跡は辿れた。途中には石垣や杉並木もあり。ただし、地形図にある軌道とはちょっと違ったふうについていた。峠の杉林も神谷側の杉林も、多少の手入れはされていた。さすがは木曽谷である。下りには岩雪崩崩壊地があり横断箇所は不明瞭。神谷の集落は数件。住んでいる家もあるようだけれど、住人にお会いすることはなかった。すぐ近くに権兵衛峠に行くループ橋その下にお薬師様のお堂があって少々気の毒。
【姥神峠】
そこから神谷の谷をずっと車道を歩いて進むと、終点近くに人家が数件。遠くから犬の吠える家あり。堰堤を右岸から巻いて峠への道はもう何年も通っていなさそう。自動車道路やトンネルもあるし。沢から傾斜のある斜面に入る辺りと峠直下の傾斜の増す当たりは、道が不明瞭で、地図読みと、踏み跡獣道辿りの経験が少々要る。峠の雰囲気はとても良く、昔は幾多の人がここを越えて生業をし、人生の分岐点を越えたのを想像できる。せっかく峠を超えるのだから手ぶらなことはなく、山程荷物を背負ったであろうな。御嶽山信仰の石仏もおどろくほどたくさんあって、良い表情だった。下りの道はなだらかな上にニリンソウの絨毯で、夢のような小道だった。
羽淵の集落も10軒ほど。何件かには住人がいるのかもしれない。軒下には美しい花が咲き、山からの澄んだ水は水場に溢れていた。
羽渕から旧道に降りたところで通りがかりのバンの運転席の男と目があって、4年ほど前取材した御嶽山画家の山口さんであることに気づいてお互いに驚く。なんでこんなところに!?近況話してヒッチはせず、本日の集合場所、奈良井川本流の車止め行き止まりの栃洞橋まで更に1時間、徒歩で目指す。
山間集落の、傾斜地を工面して暮らしている佇まいが好きだ。石垣を組んで、畑に上がる小道を刻んで、小さな水の流れを作ってきた営みを堪能する。もちろん、どこも高齢化でここ10年、どんどん人はいなくなっているけれど、見ておきたいのだ。
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