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Yamareco

記録ID: 7001192
全員に公開
ハイキング
北陸

八海山(熱中症遭難)

2024年07月07日(日) [日帰り]
 - 拍手
体力度
5
1泊以上が適当
GPS
08:02
距離
18.0km
登り
1,400m
下り
1,709m
歩くペース
とても速い
0.60.7
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

日帰り
山行
6:33
休憩
1:24
合計
7:57
5:36
5:37
25
6:02
6:11
29
6:41
6:52
61
8:58
9:02
5
9:07
9:11
11
9:22
9:23
5
9:28
9:34
5
9:39
9:54
59
10:54
10:56
6
11:03
11:03
13
11:16
11:30
13
11:43
11:44
15
13:11
ゴール地点
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2024年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
屏風道二合目登山口駐車場
コース状況/
危険箇所等
登山口に登山ポストあり。鎖やロープが豊富でよく整備されているが、灌木帯は藪が登山道を覆っている箇所がある。
屏風道二合目登山口
2024年07月07日 05:06撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 5:06
屏風道二合目登山口
登山口からすぐ渡渉地点。
2024年07月07日 05:10撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 5:10
登山口からすぐ渡渉地点。
沢にかかる人力ゴンドラ(吊りかご)
増水時以外は使用禁止とのこと。
2024年07月07日 05:11撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 5:11
沢にかかる人力ゴンドラ(吊りかご)
増水時以外は使用禁止とのこと。
飛び石というほどでもない渡渉。
2024年07月07日 05:12撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 5:12
飛び石というほどでもない渡渉。
開幕は樹林帯を緩やかに登っていく。蒸し暑い。そして蜘蛛の巣が多く閉口する。
2024年07月07日 05:24撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 5:24
開幕は樹林帯を緩やかに登っていく。蒸し暑い。そして蜘蛛の巣が多く閉口する。
清滝分岐。水場へ。
2024年07月07日 06:03撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 6:03
清滝分岐。水場へ。
清滝小屋(使用不能)
中にはお地蔵さんがいた。
2024年07月07日 06:04撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 6:04
清滝小屋(使用不能)
中にはお地蔵さんがいた。
水場(沢)。
ちょっとぬるい。
2024年07月07日 06:05撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 6:05
水場(沢)。
ちょっとぬるい。
分岐から登り出してしばらくするとピンテ。からの鎖場開始。ここでストックをしまうのがよさそう。
2024年07月07日 06:18撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 6:18
分岐から登り出してしばらくするとピンテ。からの鎖場開始。ここでストックをしまうのがよさそう。
久々に全身を使って登る。やはり人間はサルなのか、四つ足で登るのは本能的に楽しさがある。
2024年07月07日 06:24撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 6:24
久々に全身を使って登る。やはり人間はサルなのか、四つ足で登るのは本能的に楽しさがある。
五合目。
2024年07月07日 06:43撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 6:43
五合目。
灌木が茂る。這いつくばるように登るので顔面藪漕ぎ。蜘蛛の巣が顔を狙う。
2024年07月07日 06:48撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 6:48
灌木が茂る。這いつくばるように登るので顔面藪漕ぎ。蜘蛛の巣が顔を狙う。
しかのこのこのこ
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しかのこのこのこ
まさに屏風。
2024年07月07日 07:04撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 7:04
まさに屏風。
よくこんな所に登山道を作ったものだ。
2024年07月07日 07:30撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 7:30
よくこんな所に登山道を作ったものだ。
踏み跡は明瞭だが時折ブッシュがひどい。
2024年07月07日 07:49撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 7:49
踏み跡は明瞭だが時折ブッシュがひどい。
トラバース。よーく見ると鎖が草むらに。見落とさないようにしたい。
なお、右下は特に切れ落ちてるとかはないので、言うほど怖くはない。
2024年07月07日 07:50撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 7:50
トラバース。よーく見ると鎖が草むらに。見落とさないようにしたい。
なお、右下は特に切れ落ちてるとかはないので、言うほど怖くはない。
ノゾキの松とおぼしき場所。ちょろちょろと水が流れていた。
2024年07月07日 07:57撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 7:57
ノゾキの松とおぼしき場所。ちょろちょろと水が流れていた。
突き当たりの所で水を汲む。水場ではないが、清滝小屋水場の沢水そのまんまより美味しく感じた。小屋で水を補給しなくて済むなぁと考えていた。
2024年07月07日 08:16撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:16
突き当たりの所で水を汲む。水場ではないが、清滝小屋水場の沢水そのまんまより美味しく感じた。小屋で水を補給しなくて済むなぁと考えていた。
ノゾキの松の谷を見上げる
2024年07月07日 08:18撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:18
ノゾキの松の谷を見上げる
相変わらず鎖が連続する。腕力を使って登っていく。
2024年07月07日 08:25撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:25
相変わらず鎖が連続する。腕力を使って登っていく。
ぼちぼちの角度
2024年07月07日 08:27撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:27
ぼちぼちの角度
標高1480m
無風。気温23.6℃
2024年07月07日 08:32撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:32
標高1480m
無風。気温23.6℃
長い鎖をたぐっていくと、稜線はすぐだ
2024年07月07日 08:44撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:44
長い鎖をたぐっていくと、稜線はすぐだ
夏の日差しと対面する。
2024年07月07日 08:47撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:47
夏の日差しと対面する。
ビクトリーロード。涼しければなんて気持ち良い尾根歩きなんだろうか。
2024年07月07日 08:55撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:55
ビクトリーロード。涼しければなんて気持ち良い尾根歩きなんだろうか。
千本檜小屋に到着。
2024年07月07日 08:58撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 8:58
千本檜小屋に到着。
小屋は営業していた。今日1人目の到着だった。
2024年07月07日 09:00撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:00
小屋は営業していた。今日1人目の到着だった。
薬師岳。手前で登山者1組とスライド。
今回その2人しか会っていない。
2024年07月07日 09:06撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:06
薬師岳。手前で登山者1組とスライド。
今回その2人しか会っていない。
薬師岳から千本檜小屋をみる。
2024年07月07日 09:09撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:09
薬師岳から千本檜小屋をみる。
むろん八ツ峰コースを選択。地蔵岳。
2024年07月07日 09:34撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:34
むろん八ツ峰コースを選択。地蔵岳。
薬師岳、信濃川流域方面を眺める。
2024年07月07日 09:34撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:34
薬師岳、信濃川流域方面を眺める。
不動岳。
2024年07月07日 09:39撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:39
不動岳。
山頂(大日岳)までの鎖場は、両神山の八丁尾根と同じぐらいか。皇海山の鋸岳コースにも似る。足場がしっかりしているので、個人的には中の上で、妙義山登れる人なら問題なく行けると思った。
2024年07月07日 09:39撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:39
山頂(大日岳)までの鎖場は、両神山の八丁尾根と同じぐらいか。皇海山の鋸岳コースにも似る。足場がしっかりしているので、個人的には中の上で、妙義山登れる人なら問題なく行けると思った。
風速5.0m/s
気温19.5℃

稜線はこの通り快適そのもの。ただ、強い日差しとのギャップにくらくらする。
2024年07月07日 09:42撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:42
風速5.0m/s
気温19.5℃

稜線はこの通り快適そのもの。ただ、強い日差しとのギャップにくらくらする。
一番ヤバいと思ったのがこの橋状になった部分。歩いてみると足元がフワフワ。下はオーバーハング気味に蟻の戸渡っぽく切れ落ちている。いつか落ちるんじゃないかとヒヤヒヤ。
2024年07月07日 09:55撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:55
一番ヤバいと思ったのがこの橋状になった部分。歩いてみると足元がフワフワ。下はオーバーハング気味に蟻の戸渡っぽく切れ落ちている。いつか落ちるんじゃないかとヒヤヒヤ。
ギャップ。
2024年07月07日 09:58撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:58
ギャップ。
垂直登降。アスレチックのようで、楽しい。
2024年07月07日 09:59撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 9:59
垂直登降。アスレチックのようで、楽しい。
トラバース。鎖がしっかりしていて、足の踏み場もあり、見た目ほどは怖くない。
2024年07月07日 10:03撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:03
トラバース。鎖がしっかりしていて、足の踏み場もあり、見た目ほどは怖くない。
越後駒ヶ岳と八海山が織りなす水無沢の渓谷。
2024年07月07日 10:07撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:07
越後駒ヶ岳と八海山が織りなす水無沢の渓谷。
白川岳
2024年07月07日 10:08撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:08
白川岳
巻道との分岐点。
2024年07月07日 10:12撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:12
巻道との分岐点。
登山道を見下ろす絶景ポイント。鳥になった気分。
2024年07月07日 10:16撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:16
登山道を見下ろす絶景ポイント。鳥になった気分。
いよいよ大日岳が眼前にせまる。
2024年07月07日 10:20撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:20
いよいよ大日岳が眼前にせまる。
大日岳への最後の関門。垂直梯子からの鎖。
なかなかのもの。
2024年07月07日 10:25撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:25
大日岳への最後の関門。垂直梯子からの鎖。
なかなかのもの。
下りはあんまり考えたくない。
2024年07月07日 10:26撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:26
下りはあんまり考えたくない。
八海山大神。
2024年07月07日 10:28撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:28
八海山大神。
八海山(大日岳)登頂。
2024年07月07日 10:40撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:40
八海山(大日岳)登頂。
入道岳側の鎖も凄い。
2024年07月07日 10:53撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:53
入道岳側の鎖も凄い。
なかなかのアスレチック度合いだ。
2024年07月07日 10:55撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:55
なかなかのアスレチック度合いだ。
終わったかと思わせといて最後にやってくる最難所。オーバーハング気味の下りは妙義山二段ルンゼを思い出す。ただ、それよりは垂直感がないので、易しいといえば易しいが「鎖にぶら下がれる腕力」は欲しい。
2024年07月07日 10:57撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 10:57
終わったかと思わせといて最後にやってくる最難所。オーバーハング気味の下りは妙義山二段ルンゼを思い出す。ただ、それよりは垂直感がないので、易しいといえば易しいが「鎖にぶら下がれる腕力」は欲しい。
先ほどの鎖場を振り返る。
2024年07月07日 11:01撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 11:01
先ほどの鎖場を振り返る。
ニッコウキスゲのなかま
2024年07月07日 11:15撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 11:15
ニッコウキスゲのなかま
入道岳
風速1.1m/s
気温24.8℃
2024年07月07日 11:23撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 11:23
入道岳
風速1.1m/s
気温24.8℃
山頂標識は倒れていた。
2024年07月07日 11:24撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 11:24
山頂標識は倒れていた。
新開道分岐。
2024年07月07日 12:00撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 12:00
新開道分岐。
新開道分岐すぐのトラバース。
ササをつかむ。
2024年07月07日 12:01撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 12:01
新開道分岐すぐのトラバース。
ササをつかむ。
暑すぎる。
2024年07月07日 12:07撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 12:07
暑すぎる。
八海山を振り返る。
2024年07月07日 12:18撮影 by  iPhone 13, Apple
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7/7 12:18
八海山を振り返る。
今回は北海道への6泊7日の登山遠征での初日で、北日本は7日、梅雨前線の影響で悪天候が予想されたため、この山を選びました。北海道は涼しかろうと、思っていたところはあります。
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今回は北海道への6泊7日の登山遠征での初日で、北日本は7日、梅雨前線の影響で悪天候が予想されたため、この山を選びました。北海道は涼しかろうと、思っていたところはあります。
こういう感じの器具でつりあげられます。
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こういう感じの器具でつりあげられます。
お世話になった新潟県警察ヘリ「はるかぜ」
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お世話になった新潟県警察ヘリ「はるかぜ」

感想

結論から書きますと、下山中に熱中症のため自力下山が困難になり県警ヘリで救助されました。

新潟県警察、南魚沼消防の方々、南魚沼市民病院の方々には心からお礼申し上げます。感謝してもしきれません。
二度と同じ過ちを繰り返さないよう、当時の状況を記録します。

前日20時頃、千葉県の自宅を出発。
・夜勤明け休みの為、日中は概ね睡眠。
2時15分 六日町のコンビニで食料と飲料を補給。
2時50分 屏風道二合目登山口着。軽く夜食(スパゲティ、塩分4.6g)と仮眠。
4時45分 起床
5時10分 登山開始
・この時点で、ソルティライチ0.2ℓ、スポーツドリンク0.5ℓ、きりっと果実0.6ℓ、天然水系飲料0.54ℓの計1.84ℓで入山。
6時00分 清滝分岐に到着。休憩。
・水場(屏風沢)で水を飲み、0.5ℓを補充。
8時00分 ノゾキの松(七合目)到着。休憩。
・登山口から汗をかいていたが、調子は悪くない。山体の陰となり、止まると涼しい。
・ここでゼリー飲料(180g)を1袋摂取。ミネラル補給(カリウム56mg、塩分0.2g)
・梅雨時期のため湧水があり、0.5ℓほど飲み、0.5ℓを補充。想定よりも水の消費はやや多かったが、このおかげで小屋での補給は不要と判断。

8時50分 千本檜小屋到着。休憩。
・ノゾキの松付近から時々日差しが当たるようになる。呼吸がいつもより浅く感じ、息があがる。少しクラっとくる。意図して深い呼吸を心がける。先日の甘利・千頭星山登山でも似たようなことがあり、体力の低下と認識する。が、ここで引き返す判断は難しい。屏風道は下山禁止のコースである。
・薬師岳を空身で往復し、休憩。稜線は風速5m/s前後で風がある場所は涼しく、まだ食欲もあり、ポテチ菓子(塩分0.3g)とたらこおにぎり(塩分1.4g)を食べる。

10時30分 八海山大日岳登頂。休憩。
・稜線は気温19℃、風速5m/s程度で快適。日の当たる鎖や岩は40~50℃ぐらいに過熱されていたが、ほぼ暑さは感じず、汗もかかなかったように思える。よく寝ている間の扇風機で脱水症状、というのがあるが、そういう仕組みは働いていたのかもしれない。
・鎖場は久々(去年10月の鶏冠山以来)で、数も多く最後の山頂直下の下りでは腕や指に疲労を覚えた。

11時20分 入道岳到着。休憩。
・入道岳への登りで風が吹かない場所が続き、暑い。ゆっくり進むが、息が苦しい。暑さには弱い自覚はあり、いつも顔を赤くしてゼーゼーハーハー言いながら登っている。ただし、今回は感じる暑さのレベルに比べて、息苦しさが強い感じがした。ほんの少し、指がチクチク感じた。軽い酸欠かなと思い、呼吸を整える。あとは下るだけである。
・スポドリを飲み始める。この時点で残り1.0ℓ程度。下り基調が続き、2時間ほど下れば水場があるため、足りると考える。

12時00分 巻道、新開道分岐。休憩。
・休むことが多くなる。足の汗で靴が不快で、脱いで少し乾かす。(Xのフォロワーさんの熱中症撤退投稿を思い出す。大量発汗が前兆と言うことだった。自分はそこまで汗はかいていない感じで、ほんの少し頭が痛い程度。脚の異常もない。予定通り新開道からの下山を開始。

12時20分 新開道最上部
・へつり箇所や急な段差が多い。そして灌木帯で日影がない。風は微風、熱気がこもり、気温は30℃に達した。それに反して、少しの風でも涼しく感じ、「良かった。意外と暑くないぞ」と思った。今考えれば悪寒のようなものだったのかもしれない。

12時30分 新開道標高1520m付近 罹患
・急に来た。昔、登山を始める前、電車に間に合わせるために走って酸欠失神したことが一度ある。その時と同じく、血の気が引いていく感覚をおぼえる。「あ、倒れる」と思ったがこんな灼熱地獄で倒れるわけにはいかない。気張る。幸い木陰になっている箇所があり、そこにへたり込む。

スポドリをがぶ飲みし、休めばよくなるだろう。と思ってスマホを触ろうとするが、指がいうことをきかない。みるみるうちに両手の指はピンとそり返って硬直してしまう。

12時35分 救助要請
・これはまずい。せめて、状況だけでも伝えなければ…と思い、110番通報を決意。「事故ですか、事件ですか?」「山岳遭難です」というやりとりを、自分のためにするとは思わなかった。画面に落ちた汗ですぐに切れてしまう。動かない指で難儀しながら汗を拭き取り、もう一度かけ、状況を説明。
口元もしびれて呂律が回らず、八海山が言えず「ひゃっかいさんの…」「百戒山ですか!?」というやり取りは笑い事ではないが、笑ってしまった。老人かと。
しかし人と話していると安心する。少しづつ症状が緩和してきて、普通に喋れるようになり、ヤマレコを見つつ緯度経度を伝え、「そこから動かないで下さい」という通りにした。バッテリーの有無と水の有無をよく聞かれた記憶がある。

12時53分 救助。
・待っている間、ブヨに噛まれたり、どうやって助けられるのかと考えたり、最悪自力下山になるから、日が暮れて涼しくなるまで長いなあ、小屋の人が水持ってきてくれたら耐えれそうだなあなどと考えていたら南魚沼消防から連絡が入る。
・「ヘリの音が聞こえませんか?」
そういえばさっきから聞こえている。そんなGTAじゃあるまいしそんな救助ヘリなんてすぐに…
「近くにいた県警ヘリが救助に向かっています」

たまげた。通報の電話を切ってから10分ぐらいしか経ってない。こんな軽症で(通報時点は死にそうだったが)申し訳ない感が押し寄せる。
荷物をまとめ、よく見える場所に移動。
ヘリが近づく、強い風が吹き、思わず灌木を掴む。

隊員が下降し、着陸。こんな急斜面に降りれるんだと驚く。ヘリは少し離れ、風が弱まるが音が凄い。「○○さんですか!」「はい!」「怪我はないですか!」「はい!」というやりとりをして、ベストのようなハーネスを着て、吊り上げられる。
ポケットの中のものや眼鏡は、落下の恐れがあるためザックの中に入れるよう指示される。
隊員と2人同時に上がる。そのためか、全く怖さを感じない。凄い。

ヘリの中でOS1を一本一気飲みさせてもらう(させられる)。ひたすら感謝。住所や氏名を書くが指が震えてほとんど書けなかった。

消防署にヘリは降り、そこから救急車で市民病院へ搬送。歩ける状態なのに申し訳ない気持ちだった。警察官も、救助隊も終始優しかった。バタバタしてちゃんとお礼ができなかったので、今度お礼をしに行きたい。

-------------
原因は脱水(脱塩、脱ミネラル)という診断。
腕や手の筋肉のこむら返り、一時的な熱失神が中心の症状だったので、熱中症としては"軽症"ということになる。
・ALTや尿酸値が50IU/L、8.7mg/dlとやや高い
・マグネシウム1.7mg/dl、カリウム3.5mg/dlとやや低ミネラル傾向。
・CKやWBCは基準値より高かったが、特に問題ないらしい。運動後で疲れている時の数値だった。

ただ、いつもの山行に比べて摂取した水が足りなかったとか、塩分が足りなかったということはない。
※この日の塩分摂取量はおよそ7.5g(成人男性の1日摂取量目安は7.5g未満)、水分は3ℓほど。
暑さ慣れ、暑熱順化の不足により、脱塩が加速したり、自律神経が対応できなかったり。というのが大きいと思う。
https://www.netsuzero.jp/learning/le15

今年の梅雨時期は苗場山や山梨の甘利、千頭星山には行っていた。いずれも今回よりは気温が低かったり、雲がかかったりで暑い状態にはならなかった。普段の生活でクーラーに頼り切り、汗を流すことをせずにこうした山行をしたことが、最大の原因のように思う。5月ExW Tokyo100の足首の捻挫からの安静による根本的な体力不足もあった。

遭難予防に一番効果的なのは自らの体の力を高めることと考えているが…
塩分タブレット、OS1はこの時期、必携品になってきているかもしれない。いつもは大丈夫でも、ふとしたきっかけで熱中症は起こる。
装備、体力、双方に過信は禁物で、どちらも備えておく必要があることを再認識した。

p.s
ヘリ搬送時の体温は36.9℃
体温を上げないように心がけましたが、脱水症状は平熱でも起きるので注意が必要ですね。

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コメント

Xから来ました。まずは無事で何よりです。
いつもX見て「鉄人」と思っていたのでビックリしました。やはり過信は禁物ですね。自分も気をつけます
2024/7/8 23:13
貴重なレポートありがとうございます
暑熱順化の重要性を感じますね
後遺症もなかなかつらそうですね。お大事にしてください
2024/7/8 23:57
いつもXで、はむしさんの投稿を拝見しています。これだけの技術と経験があり、気象を読める方でも熱中症で遭難に至ることに驚きを禁じ得ず、また、冷静に記録を公開して頂いたことに感謝しています。救助を呼ばれたのは正しい判断だったと思います。どれだけ不安だったことか…。最近の夏は異常ですね。どこまで暑熱純化すれば良いのやら、遠征で初めて行く山であれば、どこまで地形を把握すれば良いのやら…わからないことだらですが、次の山を目指して、出来る備えをしていきたいと思います。
貴重なレポート、ありがとうございます。ご無事で本当に良かったです
2024/7/9 1:52
Twitterでいつも拝見しています。この度は貴重な報告ありがとうございます。早く回復されますように。
2024/7/9 7:08
よくおすすめに流れきて参考にさせてもらってます(特に天気関係)。
自分も直近の山行で違和感を覚えることがありました。
たまたま低山だったのでエスケープできましたが、今思えば紙一重だったかもと思います。
報告ありがとうございました。
今後もお互い気をつけていきましょう!
2024/7/9 11:49
当日Xでリアルタイムで拝見してました。
ご無事で何よりです。

準備も万全で、経験や体力技術もある方でも、この様な事態になってしまった。
又、余り前兆がなくいきなり熱中症に陥ってしまった事に驚きました。

貴重なレコをありがとうございました。
私はあまり水分を取らずに、登ってしまうので見直します。
後遺症の回復を祈ってます。
2024/7/11 18:22
塩分は摂れている、夜勤明けの体調に問題があったのでは?ここは誰も触れていないが・・・。
御無事で生還できて何よりですね・・・・・。can(交代勤務経験者)
2024/7/15 16:33
登山開始からの行動や水分、塩分などの摂取に問題はないと思いますが
熱中症になった大きな原因は
「夜勤明け休みの為、日中は概ね睡眠。2時15分 六日町のコンビニで食料と飲料を補給。
2時50分 屏風道二合目登山口着。軽く夜食(スパゲティ、塩分4.6g)と仮眠。
4時45分 起床 5時10分 登山開始」
と上記にあるように睡眠不足にあるのではないでしょうか?
医療のサイトを見ると、水分、塩分などの摂取のほかに、からだの状態
として
「激しい運動などにより体内でたくさん熱が産生された
暑さにからだが慣れていない
疲れや寝不足、病気などで体調がよくない」などがあげられています。
私も寝不足で山に登り、途中で下山した経験があり、寝不足は侮れません。
2024/7/15 20:49
「チーム安全登山」の「ヒヤリハット」から来ました。
救助までの記録を共有していただいてありがとうございます。
ご無事で何よりです。

経験豊富な方でも、このような症状になり得るということが、とても参考になりました。
2024/8/18 20:53
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