富士山 標高3000m付近のご来光
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- GPS
- 32:00
- 距離
- 6.7km
- 登り
- 693m
- 下り
- 687m
コースタイム
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
- 山行
- 0:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 0:00
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 5:00
天候 | 曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
写真
感想
8月21日から22日にかけて山梨県富士吉田市の富士山に登る。
この夏、何となく行けるんじゃないかと思い立った。
準備編
行動に移したのは6月中旬。
取りあえず、参考ガイドブック、雑誌を購入して富士登山情報を入手する。
単独登山なので慣れた人に連れて行ってもらう訳にもいかない。
それに移動運用やラジオ聴取は自分のペースで自分の時間を確保しないと難しい。
まず、ルートは初心者が多く利用する富士吉田口とする。標高2305mの富士スバルライン5合目までのアクセスもよく、登りやすい。
登山時期は混雑するお盆、週末を避けて8月下旬の平日とした。
富士登山のモデルプランは一泊二日。途中7合目辺りの山小屋に一泊して山頂を目指す。
これがもっとも一般的。日帰りの「弾丸登山」は初心者には危険すぎるので論外。
6月下旬に山小屋に予約を入れる。
シーズン前に予約しないと満員になるかもしれないとガイドブックには記されていたが、何とか8月21日は開いていた。
装備の準備も必要。
移動運用はもう150回以上行なってはいるが、標高は殆ど1000m以下のハイキングレベル。高尾山程度のトレッキングしかしたことがないので3000m級登山に耐えうる装備は皆無。1から揃えなければならず、難儀。
アウトドア専門店に行ってみたが、どれも高価。ブランド品並だ。
とても手は出せない。
仕方なくDIYや衣料量販店を回って代用出来そうな必要最小限の備品を集める。
一応、履き慣れたトレッキングシューズはあるので購入リストから除外。
リュックは小さいものしかなく、30リットル必要な新品を購入しなければならなかったが・・。実は通販で4000円程度のものを取り寄せたのだが、サイズが大きすぎ、重く、使い物にならず、やむなく従来のリュックに無理やり詰め込むことに。
雨具は上下セパレートの丈夫なものが必須らしい。これも通販で3000円程度のものを購入。
ゴアテックスのような防水性と透過性に優れた雨具はとても高くて買えないのでせいぜい自転車用。これでもなんとかなろう。
ウエアーは吸汗速乾性がベスト。取りあえずユニクロでヒートテックTシャツを数枚購入。
ストックはあったほうがよい。専門店で扱っている商品は高すぎるのでDIY店で1000円のものを購入。これで十分だ。
ヘッドランプも必須らしいので家電量販店で600円程度の安価な製品で済ませる。
富士山登山は重ね着が基本だそうなのでジャケットやパーカーも既存のものを用意。
砂が靴に入るのを防止するスパッツだけは登山専門店で買った。妙に安いのがひとつだけあったのだ。
更にデジカメ2台(ペンタックスQ10とクールピクス4300)と魚眼コンバーターレンズ。
結構な重さだ。
いずれにせよ、門外漢のアウトドア。殆どがぶっつけ本番となった。
さて、出発前々日にたまたま430FMで富士登山8合目から移動運用している人と交信した。
夕方18時頃だったか。標高3200m付近は季節外れに寒く、風も強いとのこと。
果たして21日、登山当日は大丈夫だろうか。
実践編
1日目21日金曜日
8月21日の数日前から太平洋高気圧が衰えて、列島に秋雨前線のようなのが出来てしまった。
今年は台風の影響で冷夏の予報が一転して猛暑になったが、その勢いも衰えて悪天が続く予感。このサイトでは登山適応度を3段階で示しているが金曜日の予想は最低ランクの「C」が続く。
しかし、二つの台風が太平洋高気圧にエネルギーを再び与えたのか、週末には天候が回復する可能性が高いとのこと。
何とか土曜日は天気好転を期待したい。
21日朝、午前6時過ぎ、自宅を出発。JR阿佐ヶ谷駅に向かう。
天候は曇天。暑さもなし。今ひとつテンションが上がらない。
リュックが肩に食い込む。明らかなオーバーウエイトだ。何かを削る必要があったかも知れぬがもう遅い。
前日、購入した「世界遺産・富士山フリー乗車券」で改札を通過。
東京都区内からだと4630円。富士登山バスも使えるので往復を考えるとかなりな得となる。
平日ゆえにホームには通勤、通学客が多い。もうお盆も終わっている。
0643JST、JR中央線快速高尾行きに乗る。
途中立川で特別快速に乗り換える。ここで列車トラブル。5分遅れで発車。
高尾駅に着いたのが0737JST。
0753JST発中央本線河口湖行きに乗り換え。
登山客はちらほら。少し日差しも出てきた。
富士山駅には0919JST着。ここで下車し、0930JST発富士山5合目行き富士急バスに乗り込む。バス停には10人ほどの登山客がいた。
河口湖駅でどっと外国人客が乗り込んでくる。中国、台湾系と欧米系が半々位。中国系の団体客でバスはあっという間に満員に。
バスは渋滞もなく閑散な富士スバルラインを登っていく。途中霧が出たり、日差しが出たりと天候の変化が激しい。
1050JST、富士山5合目着。
周辺は外国人、主に中国、台湾系の団体客でごった返していた。
霧で寒い。だが晴れ渡ると急激に暑くなる。寒暖の差が激しく、その度に衣服を脱ぎ着するのが煩わしい。
時たま霧が晴れて、山頂方面が覗く。
あの高さまで登る実感がない。
高山病対策として5合目でしばらく体を慣らさねばいけない。
そこでラジオを取り出し、5合目でのFM,AM受信状況をチェックする。
ここは富士山の北麓なので、長野、栃木、静岡の県域局がよく聞こえる。東京タワーやスカイツリーから電波を出している県域局は都内同様、強力に受信出来る。
CFMでは長野県諏訪のLCVFMや山梨県小淵沢の八ヶ岳FM、富士河口湖町のFMフジヤマが比較的良好に受信できた。
また、東京の武蔵野FMや葉山、市原のCFMも受信することが出来た。
またAMでは在京局の他、静岡、小田原、富士吉田、甲府、小諸、岡谷、諏訪、名古屋のNHKの他、CRT,SBS、SBC、CBCの民放局が確認できた。
1245JST、5合目を出発。馬に乗っていく人も。ツアー団体客も多く、指導員が参加者に「訓示」している様子がいたる所で聞こえた。「山ガール」風の女子も目立つ。
6合目までは緩やかな樹木帯を進む。体が慣れていないので動きが鈍い。その上、荷物が重く、歩みも遅い。
1342JST、6合目到着。ここには富士山安全指導センターがある。
天候は相変わらず霧時々晴れ。体調に変化なし。
ここから九十九折の坂を登って行く。山林を縫って行くスタンダードな登山とは感覚が違う。落石避けの柵沿いに行くので単調。しかし周りに登山者がいるので孤独や不安は感じない。植林の薄暗い登山道を登る感覚よりはまし。
自分の登るペースは極端に遅いのでどんどん抜かれていく。
登山客は中国人に代わって欧米人が断然多くなる。いずれにせよ、人の列が途絶えることはない。
1446JST、霧が小雨に変わってきた。衣服が濡れては体温を持っていかれる。早速レインコートを羽織る。ただ安物なので蒸れてくる。幸い、30分位で雨は上がった。
時々、山の上の視界が開け、山小屋群が見えてくる。遥か上に感じ、辿り着ける気がしない。
7合目、花小屋に着く頃には、雲の上に出る。景色は壮大に。
山小屋のテラスは狭くてゆっくりは出来ない。次から次へと登山者が登ってくるからだ。
焼印サービス300円。ドリンクも下界の倍以上。高度が高度なだけに致し方なし。
雄大な景色を見ると気分も向上して、不思議と体の動きが良くなる。いつしかリュックの重みも感じなくなった。高山病の症状もなし。
7合目より上は岩場が多くなるが、山小屋が連なり、登山者が渋滞を起こす位に居るので、危険も不安も疲れも感じない。
何だかテーマパークのアトラクションのようだ。堂平山や二子山登山よりよっぽど快適だ。
風景の雄大さがすべてを払拭する。
1736JST、5合目から5時間弱かけてやっと本日泊まる標高3000mちかくにある山小屋に到着。
すぐにチェックイン。従業員の登山者に対するスタンスは「快適なサービスを提供」するのではなく、あくまで「一泊の場を与える」感覚。予めそういうものとガイドブックにも記されていたので予想と違わず、驚きもなし。
すぐに部屋に案内される。部屋といっても雑魚寝の大部屋。寝袋が狭い間隔に並べてある。
すでに隣には男性客が寝ている。荷物置き場は電車の網棚程度。常に暗いので自分のスペースで荷物の出し入れすら、困難。
要するに寝る以外、何も出来ないのだ。
しばらくして食事に呼ばれる。これも流れ作業だ。とはいえ、そんなに慌しくはない。
食事はそこそこ美味しかった。ご飯が少なめなのもよい。あと熱いお茶が旨い。
泊まっている登山者は若者や家族連れ、女性も多く、意外にも中高年は目立たなかった。夏休みだからか活気があった。
部屋に居ては何も出来ないので、山小屋のテラスに出る。
一般の宿のように屋内にラウンジのような空間はない。ひっきりなしに登山者が出入りするので落ち着く場所もない。常にスタッフの怒られるんじゃないかとビクビクしていた。
だからテラスに出る以外に居場所がない。ただ風は寒く、長居は無理。
19時過ぎ頃から辺りは暗くなる。登山者の明かりと、遠く富士吉田市の町の明かりがぼうっと浮かび上がり、幻想的。
ゆっくりと夜空を見上げる余裕もなかった。何だかもったいない。
20時過ぎ、仕方なく部屋に戻って寝ることにする。
山小屋は出入りが頻繁で物音が常にしているから耳栓は必須。取り合えず雑音はこれで防げた。
ところが、運悪く、左隣の登山者が巨漢男性で寝返りを打つ度にぶつかってくる。右側は運良く誰もおらず、少しずれることが出来たものの、いつ客が入ってくるか解らない。
その上、いままで問題なかった高山病の症状が出始めた。頭痛と動悸である。
頭痛などめったにないから、これが酸素不足で起こっているのは明らかだ。
「高山病は就寝中に発症する」と聞いたことがあったが、正にそのとおりだ。
さまざまな高山病体験記も似たような記述を読んだことがある。
眠ると呼吸が浅くなって酸素不足が促進されるのかもしれない。
とにかく二日酔いのような頭痛。それに風邪の症状に似た倦怠感。これでは眠れない。
早く朝を待つしかないが、時計はまだ23時代。時たまウトウトするが熟睡は無理だ。
これでは明日、登頂などとても無理だし下山すら危ぶまれるという気分になってくる。
とにかく朝を待つしかない。
二日目22日土曜日 天気晴れ
午前3時頃、ご来光を山頂で迎える登山者が出発。午前4時過ぎにはスタッフが「あと1時間くらいでご来光です」と残っている宿泊客を起こしにくる。
体がだるい。頭が痛い。何のやる気も出ないが、ご来光を見なければここに来た意味もないと体を鞭打って外に出る。
東側に位置するテラスからは茜色の雲が輝き始めようとする日の出前の空が広がっていた。
これを見た瞬間、急に元気になる。
デジカメ2台を駆使してどんどん撮っていく。
4時45分位から撮り始める。地平線の向こうがどんどん明るくなっていく。
4時50分頃には赤みを増して上空の雲も茜色に染まり始める。
そして5時3分頃、太陽が雲海から顔を出した。
5時5分くらいには完全に太陽が地平線上に現れる。
強風が吹いていたが、ぜんぜん気になることもなく、ひたすらにご来光を撮り続けていた。
いつしか、頭の痛さも倦怠感も感じなくなっていた。
やはり、これを見てこその富士登山なのだ。
晴れてよかった。頑張ってここまで来た甲斐があった。
だが、しかし、このまま予定通り山頂に向かうべきか迷った。
山小屋スタッフが「調子の悪い人は、朝だけ通過できるブルドーザー用の下山道に案内します」とアナウンスしていた。
見ると本当に高山病でぐったりしている宿泊客も居る。
恐らく、何割かの登山者は必ず発病するので、こういった毎朝の下山者案内ルーチンがあるのだろう。準備万端である。
自分も今のところは回復傾向だが、上に行ってダウンしたら事だ。それに二日かけて登ってきた富士山を一日で一気に5合目まで降りなければならない。それにかなりの風である。
それを考えると自重もやむなしと判断。
初めての富士登山で3000mまで来られただけでも御の字だろう。
そういえば飲料水が底を突いてしまっていたので、この山小屋でホットの玉露をポットに詰めてもらう。500円したがありがたい。
5時50分。下山者グループと共に下山を開始する。砂避けのスパッツも装着した。
熱いお茶が旨い。
6時半過ぎ、7合目花小屋前に着く。
ここから昨日昇ってきた九十九折の坂を下っていけばよい。
ただ、7合目といっても標高2700mある。
眺望は抜群で西には南アルプス、正面の北方面には眼下に河口湖、三つ峠。その向こうに大菩薩嶺、雲取山。更に東には山中湖。東には箱根金時山。その向こうに東京湾。
因みにこの日は東富士演習場で総合火力演習が開かれていた。遠雷の様な音がひっきりなしに聞こえてくる。吉田口からだと御殿場は裏になるが、それでも砲弾の響きがズンズンと伝わってくる。
その音に不安になったのか、外国人登山家が片言の英語で「あれは何の音か?箱根の火山噴火?」みたいなことを尋ねて来た。
こちらも片言の適当な英語で説明すると納得したようだ。
強烈な紫外線だ。標高2700m辺りの日光は平地に比べ、相当量の紫外線が弱まらずに降り注ぐ。日焼け止めの用意を忘れてしまったために露出部分の肌が真っ赤になってしまった。
総じて天気は良かったのだが、暑い、寒い、濡れる、焼けるが極端だから富士山は侮れない。
13時過ぎ、九十九折の登山道を下っていく。登りよりも下りの方が厄介。バランスを崩して何回か尻餅をつく。
そのうち膝に来て耐え難いことに。ガイドブックでは下りの方が辛いと記してあったが何となく納得。
約1時間で6合目到着。
この日は土曜日なので14時を回ってもひっきりなしにツアー登山者グループが登って行く。
17時少し前に5合目着。相変わらず中国系の観光客でごった返している。落ち着いてトイレにも行けない。
とにかく日焼けした肌を冷やすため、タオルに水を浸して当てる。
水がある程度自由に使えるのは5合目から下だ。
ここでも中国人観光客が記念に手紙を投函するためごった返していた。
18時発、富士山駅行きのバスに乗る。疲れてウトウト。
19時過ぎ、河口湖駅で降車。富士急行線に乗り代え。
運が悪かったのか、河口湖-大月間、大月-高尾駅間、高尾-三鷹間、三鷹-阿佐ヶ谷間、ずっと各駅停車。直通列車なし。
おかげで4時間近くかかってしまった。
お金、手間、時間をかなりかけてしまった富士山遠征であったが、初めてでもあって期待通りにいかない面も多々あったが、何とか3000mまで足を伸ばし、ご来光を拝めたことは収穫であった。
次の機会があればチャレンジしてみたい。
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