奥秩父を歩くЭ綮奸噌饂侫岳〜北奥千丈岳〜金峰山
- GPS
- 17:17
- 距離
- 30.7km
- 登り
- 2,323m
- 下り
- 2,334m
コースタイム
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 1:01
- 合計
- 5:16
- 山行
- 6:26
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 6:50
天候 | 14日 曇り 15日 雨のちガス時々小雨 16日 曇り時々小雨 3日間通して時々晴れ間も見られた。 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
特に危険なところはありません。 |
写真
感想
3月から少しずつ歩き始めた奥秩父主脈縦走。今はやっと終わったという安堵感でいっぱい。本当なら5月に終わる予定だったのが9月までかかった。体調不良、天候不良に加えて一度は沿線火災で電車が運休という信じられないこともあった。それゆえに感慨もひとしおだ。
今回は先月と同じ、川上村で前泊、毛木平から入山というルートを取った。ここ何回か体調が今一つということが続いたので、なるべく短い、負担の少ない、とにかく縦走完結だけを目指して計画を立てた。
千曲川は先月の夕立続きよりも、台風が立て続けだった今月の方が水量もはるかに多く、にぎやかな沢音を聞きながら快適に源流まで歩くことができた。ここから尾根まではわずかなアルバイト。それでも尾根に着いた時はさすがに疲れてしまった。
しばらく休んでから毎月来ている甲武信ヶ岳へ。雨こそ降っていないが、ガスの流れが速い。三連休ということもあり山頂には多くの登山者がスマホ片手にガスが切れるのを待っていた。隅っこにスペースを確保して、昨日作った弁当を食べた。
甲武信小屋には昼前に到着。荷物を片付けたり、珈琲を飲んだり、昼寝をしたり、次々に到着する宿泊者を窓から眺めて過ごした。夕方までは比較的青空も広がっていたが夕方から急変。夕食後、眠る頃には雨が降り始め、夜間はかなり激しい雨音で何度も目が覚めた。
2日目。雨音で目が覚めた。甲武信小屋に泊まって雨が降らなかったことが無い。何度か外に出て様子をうかがう。雨風ともに激しいけれど、4時半を回って少しずつ東の空が明るくなるのを見て、天気が回復すると判断。この辺りは毎月甲武信小屋で雨を見ている経験から来るなんとなくの勘。雨対応の準備をして出発した。
山頂へ向かう道は大粒の雨よりもゴーゴーと吹き付ける風の方に難儀した。まだ体は夏仕様なのでこの寒さにはホトホト参った。山頂に着くころには雨足は少し弱まったが、風は相変わらず激しく吹き付けてきた。これから歩くルートもなにも見えない山頂をあとに早々に出発。樹林帯に入ると風も弱まり一安心。すぐに千曲川源流分岐に着いた。今回の主脈縦走のスタート地点はここ。「さあ出発だ」と気分を盛り立て歩き始める。
奥秩父らしい道をガスと小雨の中歩いた。道は歩きやすく、天候がもう少し良ければ景色も楽しめるんだろうと思いながら歩いた。富士見で朝食休憩。そのあとは、小まめに少しずつ休みながらひたすら歩いた。景色もなにも見えないので、苔や木々と話しながらの道中だった。
東梓で半分くらいかなと気分を上げ、すぐに着いた国師のタルでは、さあ登り返すぞとさらに気分を上げた。同時に息も上がり、顎も上がり始めた。もう頂上でもいいんじゃないかとブツブツ言いながらやっと天狗尾根に着いた。ここで大休止。少しガスが切れ始め、青空も見え始めた。この先は休まないぞと言い聞かせて国師ヶ岳を目指した。
やっとたどり着いた国師ヶ岳。感激しつつも、すぐ目の前に見える北奥千丈岳に気が向かってしまい、はやる気持ちのまま早々に向かった。今日、ここまで会った人は4人だけだったが、北奥千丈岳への分岐から突然登山者が増え、中には小さな子どももいて、林道の大きさを感じた。でもそんな感傷よりも奥秩父最高峰、2601mに立ったという達成感が大きく、めったに撮らない自撮りをたくさんしてしまった。今見てもその舞い上がりぶりが笑える。
北奥千丈岳を出発し、大弛小屋には昼ちょうどに着いた。昼ごはんを食べ、雨でびっしょりになっているレインウエアやザックカバーなどを拭いたり干したりしたあと、夢の庭園に足を延ばした。階段でコースが作ってあるので、苔などからは少し距離があるところもあったが、こうしてコースを整備しないと今見えている環境は維持できないと感じた。山の自然を破壊する一番の破壊者は人間だと思う。それゆえに登山者は常に謙虚さが必要であり、ローインパクトを常に心掛けないといけないとの思いを新たに強く持った。
本日の宿泊者は私を入れて6名。みなさん、私よりはるかに先輩の方々。いろんな山の話になり楽しい夕食時となった。夕食時から降り始めた雨は徐々に激しくなり、夜中には翌日をどうしようと考えるほどの激しさとなった。夕方、空をずっと眺めていて、雲やガスの流れが複雑だなと感じたが、全体的な印象として東から西に流れている印象を持った。そして雨となった。甲武信小屋の天気もそうだけど、このエリアの今の時期は東から天気が変わると仮説を持つに至った。
最終日。3時半に起きると雨音がしない。慌てて外に出ると満天の星空。カシオペアが見え、オリオンも顔を出している。ああ、夏は終わったなと感慨にふけるのも早々に慌てて出発の準備をした。夜も明ける前からこんなに天気がいいなら、必ず午後には崩れると考えて早立ちを決めた。乾かしっぱなしだった雨具を片付け、4時20分に出発した。
しばらくはヘッドライトが照らすところしか見えず、はるか彼方に見える街の灯りも寂しげだが、反してこころはウキウキ。慎重に、いつもよりゆっくり歩いた。少しずつ周りの景色がわかるようになると、富士のシルエットなど遠くの景色も見えるようになった。それでも出発時は満天の星空だったけれど、東から雲が近づいてきて、日の出が見えるかどうかわからない状態になった。
朝日岳直下のガレ場辺りから急速に明るくなり、ランプもいらなくなった。朝日岳で少し日の出を待ったが東の空の雲も少しずつ増えている。待たずに進もうと先へ進んだ。鉄山へ向かっている途中、突然木々の間から太陽に照らされた。この日太陽を見たのはこの時だけとなった。
樹林帯の中を歩き続けていると突然ガレた稜線に出た。もしやこれが賽の河原?と思いながら歩いていると大きな岩がある。ひとまず登ってみようと登るとなんといい景色。360度雲が出てきていたが、山々も見える。ふと立っている岩の下の方を見ると山頂標識が。よく見ると「金峰山」と書いてある!えっ!ここ頂上?と思って改めて前方を見ると五丈石があるではないか!金峰山に着いたとわかり、岩の上で万歳三唱。そのあとはそそくさとゴールである五丈石へ向かった。
元々奥秩父主脈縦走をしようと思ったのは、この道が修験の道であったから。三峯神社から出発し、そうなるとゴールは金峰山頂というより五丈石奥之院となる。ゴールをし、修験者もどきに真言を上げ、無事の到着を報告した。
ずいぶん五丈石前にいたが、ガスの流れがまた早くなり、風もいささか冷たくなってきた。無事の下山をするのも大切。また来ますと言い残し下山を開始。降り始めた雨と競走するようにどんどん歩き、なんとか雨具を出さずに登山口のある林道まで降りてきた。ここまで降りると雲も薄くなり、降る心配はなさそう。少しスピードを落としてこのあとの長い林道、一般道歩きに備えた。
金峰山荘を過ぎ、岩根山荘への道を過ぎた辺りを歩いていると通りがかった地元の方に声をかけられた。「乗ってくか?」とまさかの誘い。令和の今の時代に登山者を乗せてあげようという地元の人がいるということに驚いた。しかも新車のようにきれいな軽トラ。汗をかいているから…と話したが「気にしないから乗りなさい」と言う。地元の人のご厚意には素直に応える性格の私は喜びを爆発させ、荷台にザックを放り投げ、乗せてもらった。車が走り出すと雨が降り始め、なんとラッキーと思ってしまった。
これから駅近くのスーパーまで買い出しに行くとのこと。駅と聞いてさらに大喜び。結局スーパーどころか、駅まで送ってもらった。でも地元の人との話は楽しかった。乗り込んだ時に鈴の音がしなかったことが気になったようで、熊の鈴は持っているかと聞かれた。持っているけどほとんど使わないと話すと、使うようにとたしなめられた。今年は本当に熊が多いとのこと。朝2時からのレタスの収穫も命がけだという。近くのキャンプ場も今年は閉鎖したところもあるとのこと。とにかくこんなに熊が出る年は初めてだと言われた。大弛小屋の小屋番さんも前国師岳で3回見たと話されていた。本当に多いんだなと感じた。そうですか、と返し、しばらく熊の話を聞かせてもらった。長くかかった奥秩父主脈縦走がこうして地元の人の車に乗せてもらい、話を聞きながら終わるとは、なんて素敵なんだとほくそえみながら車からおろしてもらった。何度も頭を下げながら軽トラを見送った。
主脈縦走は終わったけれど、今度は復路を、できれば奥之院からではなく里宮の金桜神社を出発して1回で三峯神社まで歩いてみたい。こんなに楽しかった奥秩父。主脈を横切るバリエーションルートも歩いてみたい。次から次へと夢は広がる。さてどこから始めるか。帰りの電車の中ではずっと地図とにらめっこだった。
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