当初は鬼谷沿いの林道の途中にある荒島養魚場まで車で入るつもりだったが,佐開集落を過ぎたあたりでまさかの車止め+電気柵に阻まれる。仕方なく車止めの手前の路肩に駐車して歩くことに。まあ,入渓点の養魚場までそんなに距離はないし,大したことはない。
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当初は鬼谷沿いの林道の途中にある荒島養魚場まで車で入るつもりだったが,佐開集落を過ぎたあたりでまさかの車止め+電気柵に阻まれる。仕方なく車止めの手前の路肩に駐車して歩くことに。まあ,入渓点の養魚場までそんなに距離はないし,大したことはない。
この荒島養魚場の目の前から入渓(養魚場自体は休業中のようす)
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この荒島養魚場の目の前から入渓(養魚場自体は休業中のようす)
一つ目の堰堤は左岸を簡単に巻く。
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一つ目の堰堤は左岸を簡単に巻く。
問題はこの2つ目の堰堤
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問題はこの2つ目の堰堤
左岸側に垂れ下がった残置ロープに全体重を掛けて,足場のない垂直の壁を登り切らねばならず,これが入渓者の恐怖の対象になっている。しかも,過去の記録では一段目にアルミハシゴが設置されていることになっているのだが,それが失われており,難度が上がっている。
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左岸側に垂れ下がった残置ロープに全体重を掛けて,足場のない垂直の壁を登り切らねばならず,これが入渓者の恐怖の対象になっている。しかも,過去の記録では一段目にアルミハシゴが設置されていることになっているのだが,それが失われており,難度が上がっている。
苔むしていつ切れるか分からないロープに渾身の力を掛けることがどうしてもためらわれたため,この右岸斜面から巻きを試みる。
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苔むしていつ切れるか分からないロープに渾身の力を掛けることがどうしてもためらわれたため,この右岸斜面から巻きを試みる。
最初は岩混じりのかなりの急斜面だが,上がってしまえば安定した斜面をトラバースできる。
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最初は岩混じりのかなりの急斜面だが,上がってしまえば安定した斜面をトラバースできる。
下降ルートにちょっと迷ったが,最終的に懸垂不要で降りられるポイントを見つけ,歩いて谷に戻る。写真は降りてきた斜面(ブレててすみません)。所要時間は30分ほどだった。このタイムロスを長いと見るか短いと見るか,堰堤登りで味わう恐怖との天秤となるだろう。
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下降ルートにちょっと迷ったが,最終的に懸垂不要で降りられるポイントを見つけ,歩いて谷に戻る。写真は降りてきた斜面(ブレててすみません)。所要時間は30分ほどだった。このタイムロスを長いと見るか短いと見るか,堰堤登りで味わう恐怖との天秤となるだろう。
3つ目の堰堤も,かなりの大迫力。え,こっちもヤバいんちゃう? と一瞬緊張する眺め。
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3つ目の堰堤も,かなりの大迫力。え,こっちもヤバいんちゃう? と一瞬緊張する眺め。
しかし実際は右岸側が比較的簡単に登れる。残置ロープもあるが,木の根が豊富なのでロープに頼らなくても大丈夫。
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しかし実際は右岸側が比較的簡単に登れる。残置ロープもあるが,木の根が豊富なのでロープに頼らなくても大丈夫。
そしてその後のスリット堰堤…。スリット堰堤,という響きから感じていたイヤな予感が的中。時間の経過とともに流木がうず高く堆積し,正面から通過できなくなっていた。
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そしてその後のスリット堰堤…。スリット堰堤,という響きから感じていたイヤな予感が的中。時間の経過とともに流木がうず高く堆積し,正面から通過できなくなっていた。
仕方ないので左岸から巻く。簡単に巻けて一安心。2つ目の堰堤のように両岸が壁だったら,かなり面倒なことになっていたはずだ。
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仕方ないので左岸から巻く。簡単に巻けて一安心。2つ目の堰堤のように両岸が壁だったら,かなり面倒なことになっていたはずだ。
そしてすぐ極楽谷(左)と地獄谷(右)を分ける二俣(標高点442m)。今回は右の地獄谷へ。
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そしてすぐ極楽谷(左)と地獄谷(右)を分ける二俣(標高点442m)。今回は右の地獄谷へ。
地獄谷の出合。淵と小滝から始まる。
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地獄谷の出合。淵と小滝から始まる。
その後も小滝が続き,まずは順調に直登して越えていく。
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その後も小滝が続き,まずは順調に直登して越えていく。
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この小滝を直登して越えると,谷ははっきりとゴルジュ地形となる。
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この小滝を直登して越えると,谷ははっきりとゴルジュ地形となる。
両岸が極度に切り立った底を,恐る恐る進む。
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両岸が極度に切り立った底を,恐る恐る進む。
しかし,出てくる滝はどれも直登可能で楽しい。
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しかし,出てくる滝はどれも直登可能で楽しい。
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これは右岸枝谷のハシラコバの滝。枝谷はどれも急峻で,高い滝となって流れ込んでくる。枝谷を探ってみるのも結構面白いかもしれない。
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これは右岸枝谷のハシラコバの滝。枝谷はどれも急峻で,高い滝となって流れ込んでくる。枝谷を探ってみるのも結構面白いかもしれない。
この滝も左岸からヘツって直登
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この滝も左岸からヘツって直登
夏だったらシャワークライミングで楽しいだろうが,今日は気温が低く水もかなり冷たくて,正直けっこうツライ。最低限,上半身の乾燥は死守しつつ頑張って登る。
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夏だったらシャワークライミングで楽しいだろうが,今日は気温が低く水もかなり冷たくて,正直けっこうツライ。最低限,上半身の乾燥は死守しつつ頑張って登る。
この滝は左壁から登る。
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この滝は左壁から登る。
ここまでは5m前後の小滝ばかりだったが,それなりの12m滝が出てきた。
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ここまでは5m前後の小滝ばかりだったが,それなりの12m滝が出てきた。
この滝は左右どちらからでも容易に巻けそう。今回は左岸から巻いた。
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この滝は左右どちらからでも容易に巻けそう。今回は左岸から巻いた。
続く3m滝は左側の壁を直登。
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続く3m滝は左側の壁を直登。
美しいゴルジュ地形が続く。
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美しいゴルジュ地形が続く。
そして4m滝。
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そして4m滝。
左側のここから取り付いてバンドトラバースできそうな気もしたが,先がどうなっているか見えないので,無難に右岸巻きすることに。岩混じりの急斜面を数メートル慎重に登れば灌木帯に入ることができ,比較的安定した巻き。懸垂不要で谷に戻れた。
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左側のここから取り付いてバンドトラバースできそうな気もしたが,先がどうなっているか見えないので,無難に右岸巻きすることに。岩混じりの急斜面を数メートル慎重に登れば灌木帯に入ることができ,比較的安定した巻き。懸垂不要で谷に戻れた。
そしてこの3mCS滝。ほとんどの記録では右側をチムニー登りしているが,結構難しそう。なんとなく左側の水流がある箇所のほうが簡単そうに見えるけど…
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そしてこの3mCS滝。ほとんどの記録では右側をチムニー登りしているが,結構難しそう。なんとなく左側の水流がある箇所のほうが簡単そうに見えるけど…
そこで左側から登ってみると,果たして簡単に登ることができた。釜も水面下にスタンスがあってヘツれるので,泳ぐ必要はない。
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そこで左側から登ってみると,果たして簡単に登ることができた。釜も水面下にスタンスがあってヘツれるので,泳ぐ必要はない。
この小滝を右から登って…
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この小滝を右から登って…
このトイ状10mも右から登る。
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このトイ状10mも右から登る。
まさにトイ状
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まさにトイ状
そして大岩が目印のクズハキ谷(左)とツノ滝谷(右)の二俣に到着(標高点623m)。一見,ただのインゼルのように見えるので,見落として直進しないように注意。
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そして大岩が目印のクズハキ谷(左)とツノ滝谷(右)の二俣に到着(標高点623m)。一見,ただのインゼルのように見えるので,見落として直進しないように注意。
左のクズハキ谷に入ると,最初は穏やかだが,じきに厳しいゴルジュの底に再突入。
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左のクズハキ谷に入ると,最初は穏やかだが,じきに厳しいゴルジュの底に再突入。
いくつかの小滝を直登していく。
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いくつかの小滝を直登していく。
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と,突然谷が開けて,穏やかな風情に。これで終わりなはずもなく,嵐の前のような不気味な静けさの中を進んでいく。
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と,突然谷が開けて,穏やかな風情に。これで終わりなはずもなく,嵐の前のような不気味な静けさの中を進んでいく。
すると前方に高い滝が。あれは左岸枝谷に掛かる大曲滝25mだろう。ということは,あの真下あたりに核心部の滝場があるはず。緊張を感じながら近づいていく。
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すると前方に高い滝が。あれは左岸枝谷に掛かる大曲滝25mだろう。ということは,あの真下あたりに核心部の滝場があるはず。緊張を感じながら近づいていく。
平流が終わり,再び両岸が狭まった中に,5mほどの滝が現れる。右はチョックストーンが詰まり左はツルツルで,普通だったら直登が難しそうな滝だが,天祐のごとく突き刺さった倒木を手掛かり・足掛かりにして難なく通過。
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平流が終わり,再び両岸が狭まった中に,5mほどの滝が現れる。右はチョックストーンが詰まり左はツルツルで,普通だったら直登が難しそうな滝だが,天祐のごとく突き刺さった倒木を手掛かり・足掛かりにして難なく通過。
そしてこの5mほどの滝。多くの記録で通過に苦労されている滝だ。
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そしてこの5mほどの滝。多くの記録で通過に苦労されている滝だ。
この左壁を登ってクリアしている記録もあり,確かに頑張れば登れそうにも見えたが,自重して右岸を巻き上がることに。
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この左壁を登ってクリアしている記録もあり,確かに頑張れば登れそうにも見えたが,自重して右岸を巻き上がることに。
しかしこの巻きがかなり急峻な地形で結構悪く,谷に戻る際もクライムダウンできるルートを見いだせず,今回唯一の懸垂下降となった。しかも下降途中でロープ長が足りないことが判明し,不安定な斜面でセルフビレイにぶら下がりながら支点を再構築する羽目になり,無駄に時間を食ってしまった(単純に下降点の選定ミス)。
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しかしこの巻きがかなり急峻な地形で結構悪く,谷に戻る際もクライムダウンできるルートを見いだせず,今回唯一の懸垂下降となった。しかも下降途中でロープ長が足りないことが判明し,不安定な斜面でセルフビレイにぶら下がりながら支点を再構築する羽目になり,無駄に時間を食ってしまった(単純に下降点の選定ミス)。
懸垂で降りた地点は,ちょうど枝谷の大曲滝25mの少しだけ上流側だった。写真は大曲滝。
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懸垂で降りた地点は,ちょうど枝谷の大曲滝25mの少しだけ上流側だった。写真は大曲滝。
その後の10m滝と,
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その後の10m滝と,
5m滝は無難に直登してクリアできた。
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5m滝は無難に直登してクリアできた。
右手に高い脇滝を仰ぎながら進むと…
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右手に高い脇滝を仰ぎながら進むと…
80mの連瀑帯が始まる。
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80mの連瀑帯が始まる。
傾斜は緩く,ホールドは豊富なので,水流を駆け上がるように登ることができ,爽快な区間。
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傾斜は緩く,ホールドは豊富なので,水流を駆け上がるように登ることができ,爽快な区間。
しかし最上段の6mCS滝は,抜け口に倒木が詰まってややこしいことになっており,苦労しつつも右側から乗り越した。
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しかし最上段の6mCS滝は,抜け口に倒木が詰まってややこしいことになっており,苦労しつつも右側から乗り越した。
連瀑帯を越え,いよいよ源頭の雰囲気に。この後は100mの岩壁帯と,山頂までの長いヤブ漕ぎが控えているので,ここがゆっくり休憩できる最後のポイントだ。ザックを下ろしてプラティパスにたっぷりと水を汲み,おにぎりを2コほおばる。
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連瀑帯を越え,いよいよ源頭の雰囲気に。この後は100mの岩壁帯と,山頂までの長いヤブ漕ぎが控えているので,ここがゆっくり休憩できる最後のポイントだ。ザックを下ろしてプラティパスにたっぷりと水を汲み,おにぎりを2コほおばる。
そして気合を入れて水の枯れた源頭を登っていく。が,登れど登れど,最後のアトラクションとなるはずの岩壁帯が出てこない。
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そして気合を入れて水の枯れた源頭を登っていく。が,登れど登れど,最後のアトラクションとなるはずの岩壁帯が出てこない。
それどころかどんどんヤブが濃くなっていく。何かおかしい,と思いつつもそのまま登っていくと…
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それどころかどんどんヤブが濃くなっていく。何かおかしい,と思いつつもそのまま登っていくと…
岩壁帯にぶつからないまま,すんなりヒメマチ稜に登り出てしまった…(写真のピークはP1254のヒメマチピーク)。地形図を見直すうち,どうやら最後の小さな二俣は直進方向の左俣ではなく,右俣に入るべきだったらしい,ということに薄々気が付いた(下山後に調べると,果たしてその通りだった)が,後の祭りである。まあ,無事に稜線に出られたし,良しとしよう。
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岩壁帯にぶつからないまま,すんなりヒメマチ稜に登り出てしまった…(写真のピークはP1254のヒメマチピーク)。地形図を見直すうち,どうやら最後の小さな二俣は直進方向の左俣ではなく,右俣に入るべきだったらしい,ということに薄々気が付いた(下山後に調べると,果たしてその通りだった)が,後の祭りである。まあ,無事に稜線に出られたし,良しとしよう。
冬期は荒島岳を代表する雪稜バリエーションとなるヒメマチ稜も,今は足の置き場もない濃い灌木のヤブ。シャクナゲに乗っかりツツジをこじ開け,じりじりと進んでいく。
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冬期は荒島岳を代表する雪稜バリエーションとなるヒメマチ稜も,今は足の置き場もない濃い灌木のヤブ。シャクナゲに乗っかりツツジをこじ開け,じりじりと進んでいく。
積雪期にナイフリッジとなる箇所はヤブもなく土が露出していて,ほっとして小休止。ここぞとばかり水をたらふく飲んでおく。
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積雪期にナイフリッジとなる箇所はヤブもなく土が露出していて,ほっとして小休止。ここぞとばかり水をたらふく飲んでおく。
やっとのことで旧下山ルートの稜線に合流すると,そこには旧登山道の名残の朽ちかけた看板が笹に埋もれていた。
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やっとのことで旧下山ルートの稜線に合流すると,そこには旧登山道の名残の朽ちかけた看板が笹に埋もれていた。
旧下山ルートの登山道はすでに廃道化して久しく,ひたすら笹の海が秋の日に銀色に輝きながら揺れているばかり。
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旧下山ルートの登山道はすでに廃道化して久しく,ひたすら笹の海が秋の日に銀色に輝きながら揺れているばかり。
しかし,笹の下には旧登山道の名残の踏み跡が残っている区間もあり,そこだけ笹がわずかに薄いので,それを外さないように笹をかき分けていけば結構はかどる。例えば野伏ヶ岳や薙刀山みたいな,純粋100%の笹薮を漕ぐよりは大分マシである。
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しかし,笹の下には旧登山道の名残の踏み跡が残っている区間もあり,そこだけ笹がわずかに薄いので,それを外さないように笹をかき分けていけば結構はかどる。例えば野伏ヶ岳や薙刀山みたいな,純粋100%の笹薮を漕ぐよりは大分マシである。
時折,笹を漕ぐ手を休めては,眼下に広がる大野市街の絶景を眺める。
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時折,笹を漕ぐ手を休めては,眼下に広がる大野市街の絶景を眺める。
ゆっくりとではあるが,荒島岳の山頂が近づいてくる。荒島岳の山頂直下って,あんなに岩が出てたんだな…
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ゆっくりとではあるが,荒島岳の山頂が近づいてくる。荒島岳の山頂直下って,あんなに岩が出てたんだな…
ヒメマチ稜に出てから約2時間後,ついに山頂広場に飛び出した。もういい時間だし誰もいないだろうと思っていたら,3人も登山者がいてびっくり。さすが百名山。
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ヒメマチ稜に出てから約2時間後,ついに山頂広場に飛び出した。もういい時間だし誰もいないだろうと思っていたら,3人も登山者がいてびっくり。さすが百名山。
山頂に飛び出した地点から,登ってきた旧下山ルートの尾根を振り返る。間違って立ち入る人がいないように,緑色のロープが張られていた。
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山頂に飛び出した地点から,登ってきた旧下山ルートの尾根を振り返る。間違って立ち入る人がいないように,緑色のロープが張られていた。
久しぶりの無雪期の荒島岳。白山もよく見えた。
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久しぶりの無雪期の荒島岳。白山もよく見えた。
藪から解放され,涼しい秋風が吹く山頂でしばらく休んだあと,リンドウの紫色の花が揺れる登山道を下る。下山は佐開ルート。
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藪から解放され,涼しい秋風が吹く山頂でしばらく休んだあと,リンドウの紫色の花が揺れる登山道を下る。下山は佐開ルート。
佐開ルートの長い林道をひたすら下って,入渓地点の養魚場まで戻って来た。明るいうちに降りてこられて一安心。
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佐開ルートの長い林道をひたすら下って,入渓地点の養魚場まで戻って来た。明るいうちに降りてこられて一安心。
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