渡島駒ヶ岳《日本二百名山》
- GPS
- 06:32
- 距離
- 20.9km
- 登り
- 1,242m
- 下り
- 1,451m
コースタイム
天候 | 霧のち曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
下山口:砂原4丁目からタクシーで赤井川ゲートに戻る |
写真
感想
渡島駒ヶ岳は平成8年の小噴火以来入山が規制されてきたが、現在火山規制レベル「1」に緩和され平成22年6月19日から馬ノ背まで登れるようになった。ただし「登山(入山)届出書」を、登山予定日の1ヶ月前から3日前までに森町防災交通課に提出し許可を受けなければならない。登山時間も9:00〜15:00だけで、許可の無い人・車は標高240m地点のゲートを越えることはできない。
こんな管理された登山は御免なので、明るくなりかけた3:38 “盗人”登山に出掛けた。ガスが立ち込める中、ゲートを乗り越え、車道を歩く。許可を受けた人達が車で入れる最終地点である6合目(標高487m)には区画された駐車場が用意され、登山基地として整備されている。この先も道幅の広い林道が続くが車は規制され緊急車が走れる幅は十分ある。ただしRV車でないと難しいだろう。8合目では大沼からの登山道が合流し勾配が増した。登り詰め標高895mの馬ノ背分岐(仮山頂)に達した。合目表示はあくまでここを山頂として付けられているようだ。
登山解禁されているのはここまでだが、本当の盗人登山はここから。まずは隅田盛(892m)に立ち寄る。南東方向に延びる馬ノ背は二重稜線でルート取りが難しい。微かになった踏跡を見つけ隅田盛に到った。火山観測用の施設なのか八角形のソーラーパネルを貼った箱が設置されていた。山頂標識もあり傍らには3等三角点「馬ノ背越」が設置されているが改測のため使用停止になっている。
分岐点に戻り反対側に進み駒ヶ岳最高点の剣ヶ峰(1,131m)を目指す。こちらは盗人登山が多いと見え踏み跡はしっかりしている。大きな地の割れ目の縁を歩き剣ヶ峰の直下に達した。ここからが核心部で屹立する岩場に取り付き、鎖やロープはなくルートを示すものさえない。わずかな隙間に登路を見出しローソク岩のような細い山頂に立つことができた。
下山も大変、登ってきたルートを見失い10分ほど彷徨ってしまった。ガスがなければ短絡ルートもあったのかもしれないが、思わぬ陥没があるかも知れず再び馬ノ背分岐に戻った。今度は火口原を横断し砂原岳に向かう。火山の核心部で細心の注意が必要だ。視界を閉ざしていた濃いガスの上空が青みがかり、明るくなってきた。そしてサッとガスが引き左手に昭和4年大噴火の火口、前方に砂原岳の姿がおぼろげに現れた。火口原には木がなく。石ころと背の低い草が生えているだけだった。
渡島駒ヶ岳は、もともとは2,000m級の富士山のような姿の良い火山だったようだ。太古の大爆発で山頂域が吹っ飛び剣ヶ峰、砂原岳、隅田盛のピークが残り今の山容になったらしい。約5000年活動を休止していたが寛永17年(1640)の噴火で活動を再開した。その後元禄7年(1694)、安政3年(1856)、昭和4年(1929)に大噴火が記録されている。最近では平成8年、平成10年、平成12年に小噴火がありそれ以来登山道が閉鎖されていた。
天候回復は急速で、砂原岳がすっかり姿を現し日差しも出てきた。ただ剣ヶ峰だけはいつまでも厚い雲に覆われたままだった。剣ヶ峰北斜面の山麓にジグザグに道が見える。ということは馬ノ背分岐に戻らなくても砂原岳に直行する道があったようだ。砂原岳は東西に長い稜線を持ち東端が山頂だ。西側は断崖絶壁で登路はなく、南斜面山麓の微かな踏跡を辿り斜めに登って行った。
砂原岳(さはらだけ・1,113m)山頂には山頂標識はなく1mほど低い所に1等三角点「砂原岳」(1,112.17m)がある。山頂からの展望は素晴らしく砂原岳西稜の岩峰や眼下の火口や火山による地の割れ目が荒々しく見ることができた。ただ剣ヶ峰や下界の雲は未だに取れていない。地形図では稜線通しに登山道が描かれているが、実際は屹立した岩峰群の北側直下に道が付けられていた。
西端の岩稜から北に続く尾根を進むがかなり険しい部分がある。岩稜帯を過ぎると砂礫地になり殆ど草は無く所々にチシマギキョウなどが咲いているだけだった。標高720mあたりで進路が少し左に振れると草の生い茂った藪に突入した。たっぷり露を含み下半身はじっとり。砂礫と露を考えCWXにスパッツを着けてきたのは正解だった。藪の下にある微かな踏み跡を辿り下り切ると2m幅に刈払われた広い登山道に飛び出した。
望洋の森から西円山(538m)到る登山道でここまでは登山が許されているのだろうか? 分岐を左に取り西円山に立ち寄った。其の名の如く丸い山で山頂には案内板とベンチも設置され、ここから見る砂原岳は素晴らしい。折り返してこの広い下山路を進むと東にトラバースし登り返したところに東屋があり展望が得られた。ここからはほぼ直線的に望洋の森へと下った。池などが整備されているがひと気は全く無い。付近で砂防ダムの工事が行われているようだ。
望洋の森からは車道歩きで函館本線の駅へ出て9:53の列車で森駅まで行ってタクシーで赤井川に戻ろうと目論んでいたが、掛澗(かかりま)駅が近かったと記憶していたが持参した2.5万図のエリアからはみ出し、GPSの地図で調べてびっくりGPSの地図にはJR線が全く描かれていない。さて駅は何処だ! 海岸線までの間にあることは確かだが兎に角下ろう。歩き出すとGPSの地図とは全然違うところへ曲がって行き、地図にあるはずの道路はない。何とここまで来て“遭難”しそうだ。人家は一軒も無く走る車もない。かなり東に振ってしまったようだがどうにか函館本線の踏切を発見、あと15分ほどで列車があるが駅は右だろうか左だろうか? 以前見た地図の微かな記憶では西のはず、278号線に出て歩いても駅になかなか到らない。15分はすぐに過ぎてしまった。列車に乗ることは諦めタクシーを呼んで直接赤井川に帰った。料金は5,490円も掛かってしまい大出費だった。後で調べてみると踏切から右へ行けばすぐ渡島砂原駅で思惑より相当東にずれていたようだ。
ハラハラドキドキの“盗人”登山を終えた。まだ11時、今日の立ち寄り湯は濁川温泉として20劼曚描った。山中の温泉街で日帰り施設の“にごりの湯”(入浴料\500)に入った。其の名の通り白濁した湯が心地よい。森駅に寄るとなんとSLが止まっている。函館から森駅を往復する“SL函館大沼号”で折り返しは25分後、みどりの窓口で聞くと上りの函館行は空きがあると云う。駅前に町営の無料駐車場もあることだし乗ってこよう! C11 171のけん引する列車はゆっくりと砂原回りで駒ヶ岳の東側を走り1時間50分掛けて函館に到着した。函館では朝市どんぶり横町で海鮮丼を賞味し森に引き返した。夜は静かそうなので駒ヶ岳登山口の望洋の森に戻り3泊目の車中泊となった。
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