二重かずら橋〜丸石〜剣山
- GPS
- 03:36
- 距離
- 11.1km
- 登り
- 1,274m
- 下り
- 892m
コースタイム
- 山行
- 3:22
- 休憩
- 0:14
- 合計
- 3:36
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山は三好市営バスで見ノ越から |
コース状況/ 危険箇所等 |
特に問題なし |
写真
感想
前日は高松への出張の後で阿波池田に移動する。前日は秋雨前線による西日本の大雨のせいで長い時間、新幹線がほぼ全線で運転を見合わせており、京都から長時間かかって高松に到着したのだったが、新幹線が動き出すのがもう少し遅ければ高松への出張をキャンセルする羽目に陥るところであった。岡山からも辛うじて瀬戸大橋線のみは動いていたが、ほとんどの在来線が運転を見合わせていた。
阿波池田の駅の中にはセブンイレブンが併設されているが、夜は20時でしまってしまうらしい。朝も開店が遅いのかと思いきや、早朝の6時半から開いている。ここでパンとおにぎりを購入し、簡単な朝食にする。阿波池田からは次の特急でも大歩危からのバスに間に合うが、時間があるで大歩危までは7時37分発の各駅停車で移動する。
列車が吉野川の大歩危峡に沿って走行するようになると、前日の大雨の影響だろう、普段は清冽な蒼碧色の流れが灰緑色の濁流が轟々と流れている。
大歩危の駅の小さな待合室には祖谷方面のバスの時刻表が掲載されているが、何気なくその時刻表で帰りのバスの時間を確認すると大変なことに気がついた。今回の山行計画は名頃から三嶺に登って天狗塚を経て久保に下山するという予定であったが、その久保の時間がネットに調べた時間と異なり1時間ほど早い。どうやら10月になって時刻が改訂されたようだ。
三嶺から久保までのコースタイムは前回の山行をもとに算定したものであるが、山行時間が6時間あればなんとかなると思っていたが、5時間20分はかなり難しいだろう。久保から出てくるバスを逃すと次がないので、ここは冒険をするべきではない。思い切って山行先を剣山に変更する。二重かずら橋から剣山を経て見の越に下山するルートであれば、4時間あれば十分と読む。見ノ越からルートの方が登りの距離が少ないので楽ではあるが、時間に余裕があれば下山後に見ノ越でそばでも
大歩危の駅に特急南風号が到着すると、多くのハイカーがバス停に並ぶ。驚いたことにそのほとんどが外国人だ。早速にも久保から阿波池田を経由して三好市の病院行きのバスが到着すると外国人達はこれが剣山に行くバスかと慌てて聞くので、そうではないことを私が説明する。外国人達のほとんどは剣山に行くようだ。8人ほどの女性グループは一見、中国人風の顔つきだが明らかに言葉が違う。シンガポールからの一行だった。単独行の若い女性はフランス人であった。かなりの美人である。
大歩危の駅をバスが出発すると駅の周辺では紅葉はこれからといったところだったが、かずら橋を過ぎて祖谷川に沿って上流に向かうにつれて錦繍に彩られた谷を進むようになる。雲一つない蒼空から降り注ぐ陽光が峡谷の対岸に黄金色の透過光を散らせている。
剣山に向かうには途中の久保で三好市営のマイクロバスに乗り換えることになる。それまでの乗客は全てバスに乗り継ぎ、マイクロバスはほぼ満席となる。名頃の集落では年配のご婦人が下車されるが、どうやら彼女はここの住人のようだ。大きなリュックを抱えた男性一人のみが名頃の次の三嶺の登山口で下車する。明らかに三嶺から剣山にかけて縦走されるのだろう。
二重かずら橋では私の他に年配のご夫婦おt思しき男女が下車される。この方々も日本人ではないようだ。かずら橋の入場料¥550を支払い、橋を渡ると丸石谷川沿いの登山道に入る。ここでも川の水流は大きな瀬音を立てているが、やはり前日の大雨の影響なのだろう。そのせいか地面からは落葉の饐えたよう匂いが立ち昇ってくる。
川の右岸の斜面をトラバース気味に進むと小さなぬいぐるみのような動物が一心不乱に地面の落葉を漁っている。私がすぐ近くに近寄っても全く気が付かないようだ。どうやら猪の子供のようだ。ようやく私の姿に気がつくと一目散に斜面を駆け降りていった。
谷の上流の出合に至ると木製の立派な吊橋が現れ、対岸に渡る。橋の両岸では苔むした石垣が風格を感じさせる。こんなところにこんな立派な橋がと驚いていると橋の袂に国体橋という橋名標がある。かつて行われた国体の時に作られたということなのだろう。
ここからは谷の中尾根の急斜面を九十九折りに登っていくことになる。斜度が緩く作られているのは有難いのだが、そのせいかなかなか高度が上がらない。アニマル・トレースを辿って斜面を直登することも考えたが、前日の雨のせいで地面が滑りやすく、トレッキング・ポールを携行していなかったこともあり、すぐにその考えは諦める。
ようやく長い九十九折りが終わると尾根の斜度も緩やかになり、尾根上には黄色く色づいた樹々が目立つようになる。ブナの大樹も現れ、雰囲気の良い疎林の尾根となる。登山道は尾根に対して小さな屈曲を繰り返すが、もともとトレースが薄い上に樹々が疎なせいだろう。登山道を示すテープ類が少なく、注意深く踏み跡を辿らなければトレースを外しそうになる。とはいえ尾根筋はあくまでも明瞭なので道迷いの心配はないのだが。
縦走路に合流すると疎林の林床には四国山地に特有の丈の低い笹原が広がるようになる。樹林の中にはすぐにもメルヘンに出てきそうな丸石避難小屋が現れる。小屋の中を覗くと数名の人達が休憩しておられるようだった。ここから丸石にかけてはアップダウンのないなだらかな尾根道が続くのは良いが、途端に尾根を吹き渡る冷たい風に見舞われるようになる。
驚くのは次から次へとかなりの数の登山者とすれ違う。ほとんどの人は重装備であり、この時間にここを歩いているということは、おそらくは白髪か三嶺の避難小屋泊の予定だろう。避難小屋は相当に混雑するに違いない。
丸石の手前で樹林を抜けると目の前に次朗笈の山容が視界に飛び込んくる。次朗笈にかけてはグリーンのカーペットのような笹原が延々と広がっている。樹木が全くないように見えるが、ところどころに立ち枯れの白骨樹がある。笹原を渡る風が一層強いことが心配されたが、丸石を過ぎると急に風も弱まり、程よく涼しいそよ風となった。
鞍部となる林道下降点では、重装備の男女のカップルは足元がかなり汚れている。他の登山者が「その汚れは今日のものですか?」と聞くが、どうやら昨日のものらしい。豪雨の中をびしょ濡れになりながら、三嶺の避難小屋まで登られたそうだ。
次朗笈への登りに差し掛かると中間のp1767のあたりで、前方から来られた三人組のうち先頭を歩くリーダー格と思しき男性が、私の顔を見るや「あっ、熊野古道でお会いしましたね」と驚いた声を上げる。私はすぐには思い出せなかったが、高野山から歩き始めて最初に出会った男性で、徳島から夜行のフェリーで来られたと仰っておられたことを思い出す。
次朗笈への山頂にはわずかにひと登である。したから見上げると稜線はほぼ間断なく多くの人が歩いているのが見える。山頂に到達するとやはり、多くの人で賑わっている。相変わらず雲がほとんどないので、360度のパノラマが広がっている。南の高知県側には重畳と重なる山並みが見えるが、南東方面に見える筈の太平洋は視認することが出来ない。
次朗笈から剣山にかけては延々とハイカーが連なり、多くの人が往復している。深谷川が流れる谷を見下ろすと錦繍のタペストリーが広がっている。
剣山への吊尾根を一息に辿り、剣山の山頂に到着すると、ここはさらに多くの人で賑わっていた。登山スタイルではない人も多く、そのほとんどはリフトで西島まで上がって来られた人達だろう。絶好の好天と好天を求めてドライブを兼ねて多くの人がこの剣山を訪れているのだろう。
時間は十分にあるが、、見ノ越で休憩することにして山頂を後にする。リフトの西島駅を過ぎて樹林の中へと入ると、見ノ越が近ずいたあたりでブナの大樹と紅葉の樹々が目立つようになる。行きのバスでは私のすぐ後ろの座席に座っておられた日本人の男女に追いつくと、先方もこちらを認識されたようで「無事に周回してこられましたね」とお声がけいただく。
剣山神社の前では楓の樹が真紅の紅葉を見せてくれていた。見ノ越には14時32分に到着する。すでに三好市営バスは到着していたので、料金を払って座席に荷物を置く。そばを食べる時間的な余裕はあるが、ここまで飛ばして歩いてきたせいで食欲が全くというほど無いのであった。行きのバスで一緒だった美人のフランス人女性もバスに乗り込む。出発時間が近くなってシンガポールからの女性の一行も乗り込んで来る。
フランス人の女性は焼き物の勉強をするために岡山の日生に長期滞在しておられるらしい。この祖谷渓、大歩危のあたりで宿を探したがこの日はどこも満室で阿波池田しかとれなかったとのこと。大歩危の駅では先ほどのシンガポールの女性達の一行も降りられるが、彼女達は近くの旅館を予約しているのだろう。一行の姿が見えなくなるとあたりはすっかり静まりかえる。
上述のバスのダイヤ改正で大歩危駅からの前の特急に接続すると良いのだが、実際にはぎりぎり間に合わず、次の特急までほぼ1時間、列車を待つことになる。夕闇の迫る大歩危の駅の待合で列車を待つのは私は一人のみであった。駅前の小さな食料品店では祖谷豆腐を求めるつもりだったのだが、朝には大量に売られていた豆腐が完売している。豆腐は予約しておく必要があることを思い知らされる。
駅のコインロッカーに預けておいた荷物をピックアップしてホームに向かうと、どこからともなく若い女性が現れる。女性は一人で不安だったらしく、話しかけて来られる。なんと大歩危峡を歩いて駅までたどり着かれたとのこと。大阪から来られたらしいが、阿波池田を含めてこの界隈に全く宿を求めることが出来なかったから、新幹線に乗って再び大阪まで帰るとのことだった。
まもなく岡山行きの特急が到着するので、女性とは別の車両に乗り込む。岡山から京都に戻る新幹線はほぼ満席だった。
コメント
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タヌキかと思いました
タヌキを見慣れていないもので💦
今度、京都動物園でタヌキを観察して参りたいと思います
いいですね〜このルート。かずら橋を渡って登山口というのも面白いですよね。
えっ? 全行程3時間22分?? 凄いですね。私は8時間弱かかってました。
黒戸尾根を7時間半でピストンされる方だから、このルートなら散歩レベルなんだろうな、きっと。
このルートは9年前に石鎚山の帰りに歩いたんです。
見ノ越に車をデポし、チャリでかずら橋まで下ってからスタートしたのですが、こんな素晴らしい景色は全然楽しめなくて、丸石避難小屋からはガスどころか横殴りの雨にてザックの中まで濡れる始末。
次郎笈へも寄れなかったので、またいつか行ってみたいと思っていますが、折角だからと三嶺からの縦走でとプランニングしてあるんです。
山猫さんのプランでは山行時間が6時間?? これまた凄い。避難小屋泊でないと絶対私では無理だな…
「グリーンのカーペットのような笹原」見たいです。
大歩危駅からの詳しいアプローチ情報もありがとうございました。
この稜線は私は悪天候の時は歩いたことはありませんが、何しろこれだけの笹原が広がるのは荒天時に太平洋から吹き付ける強風による風衝草原ですから、それは大変だったでしょう。
避難小屋泊で縦走されるなら三嶺〜天狗塚が非常に素晴らしいです。さらにその先に行ける余裕があればその先も絶好のパノラマが広がっています。この剣山山系はこれまでに何度か訪れましたが、笹原の中に鮮紅色のツルギミツバツツジが咲く季節もいいかと思います。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5951221.html
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