西穂山荘から丸山へ
- GPS
- 05:53
- 距離
- 5.2km
- 登り
- 399m
- 下り
- 402m
コースタイム
天候 | 1日目 晴れ 2日目 雪 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
高山からバスで新穂高ロープウェイ 新穂高ロープウェイで西穂高口 |
コース状況/ 危険箇所等 |
冬道に全て目印があり迷わない |
その他周辺情報 | 西穂山荘泊 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
マフラー
ネックウォーマー
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ストック
カメラ
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感想
年末年始の休みにどこの山に行くか。最近雪山に凝っているリーダーには無雪低山に行くという選択肢はなく、いくつか案を提示してくれたのだが、筆者としては西穂山荘に泊まりに行くという案に心惹かれた。というのも夏にも西穂山荘には行ったことがないからだ。それにここに行くルート上には著名な温泉が多々あって、それが魅力的だったこともある。ということで年末の2日半を掛けて出かけることにした。
リーダーの立てた計画では、1日目は高山の街中のホテルに宿泊し、2日目にバスとロープウェイを乗り継いで西穂高口まで行き、そこから西穂山荘を目指し、あわよくば丸山まで行き、3日目は温泉に浸かって帰って来るというものである。このコースは雪山入門編として紹介もされていて、ネットの情報によっては西穂山荘までならチェンスパや軽アイゼンでもいけるようなことが書いてある。筆者は12本歯アイゼンは持っていないので、ちょっと迷ったが、丸山まで行く可能性もあるし、事前に素直に12本歯アイゼンを借りていくことにした。
さて、1日目は名古屋から「特急ひだ」に乗る。この列車はまず岐阜まで東海道本線を通り、そこから高山本線にはいる。この時期「特急ひだ」は大変混雑しているので簡単ではないのだが、指定席を取るならD席側よりA席側で、こちらの方が犬山城や飛水峡といった名所が眺望できるのでオススメである。夕刻、高山駅に到着し、翌日のバスとロープウェイのフリー切符の予約をしようとしたが、すべて当日販売となるらしかった。なのでその日はホテルにチェックインしたあと、青森山行遠征の時の反省を踏まえて、事前に予約してあった和食店に行って食事をした。お酒、料理とも美味しかったが、シメの食事に「めしどろぼうごはん」というのがあって、赤蕪の紫蘇漬けをご飯に乗せたもので、少食の筆者にしては大盛りご飯をペロリと平らげてしまった。
そのあと翌朝の朝食を買いに近所のコンビニに行ったところ、大混雑中で外国人観光客で店内があふれていた。幸いにも目的とするものは入手できたのだが、観光都市高山の実力を知る機会となった。確かに古い街並みや雪の風情など、広く諸外国の方に人気が出そうな場所ではあるが、今回立ち寄って、バスの切符売り場の方や運転手さん、お店の方々が英語や中国語での対応やホスピタリティに力を入れていることを目の当たりにして、そういう努力があっての人気だと思った。こちらがホテルと夕食の場所を確保するのに少々苦労したことなどは大したことではない。
さて2日目はバスで新穂高温泉郷まで行って新穂高ロープウェイに乗る。ロープウェイ駅に着くといきなり目に飛び込んできたのは雪玉製造キット売り場だった。ほ、ほしい。で、リーダーの顔を見ると「恐竜型」に興味があるようだ。ここはリーダーが欲しがっているのを察して買ってあげる体で入手しよう。「アヒル」と「恐竜」合わせて1000円也。
ロープウェイは2本を乗り継ぐ。6kgを超える荷物を持ち込む場合は、荷物券を購入する。ロープウェイ片道1本につき500円でトータル往復2000円也。大半が観光客だが、ピッケル装備の本格クライマーもところどころいる。この日は晴天だったのでかなり混んでいたようだ。山頂駅(西穂高口)は最近改装したそうで、トイレはじめ設備がとても綺麗であった。
さて、アイゼンをつけて登山開始。最初の方は観光客と一緒の道を進むことになるのでアイゼンで危害を加えないように慎重に歩く。特に子供連れ外国人観光客が多いので注意が必要である。5分ほどいくと登山口に至り、ここからが本格的な登山開始となる。このルートの前半はまずまず平坦である。途中、西穂高岳の勇姿も見られたりして楽しい。道は圧雪なので歩きやすい。中盤あたりで一度休憩を取ると、この辺りから勾配が急になってくる。筆者の技術だとこの勾配でもアイゼンの歯を効かせるのはそれなりに意識することが必要で、滑らないように一歩一歩確認しながら登っていく。ということで、我々はとても遅い。後続の方々にどんどん道を譲っていく。今日は天気がいいので多くの登山者がいるようだ。それなりに苦労して昼過ぎに西穂山荘に到着。巨大な雪だるまに驚く。山荘の前からは焼岳と霞沢岳がドーンと迫り、焼岳の向こうには乗鞍も見える。東南の遠方には八ヶ岳も見えている。今日の天気予報は午後から曇りだったので、どうやら間に合ったようだ。
さて、泊まりのチェックインは13:00からなので、山小屋のカフェで昼食をとることにした。西穂高山荘のラーメンは有名なので味噌味を頼むことにする。うむ、濃いめの味付けでハイカー仕様になっている。お腹を満たして、チェックインを済ませて、不要な荷物を部屋に置いて、天気を見ると風は結構強そうだがまだ大丈夫そうだ。よし、丸山まで行ってみよう。
登り始めから急登である。ちょっと登ると北西に笠ヶ岳が見えてくる。笠ヶ岳はずいぶん下のほうまで白い。幸いこのあたりも圧雪状態が多く、比較的アイゼンは効きやすい。しかし、風が相当に強い。筆者は強風を想定して、前につばのある帽子をやめてゴーグルで暖ったかフードごと頭を包むという見てくれ無用の装備にしたのだが、それが功を奏し、大きな支障なく丸山山頂に到着したた。一方、リーダーはレンタルした冬靴が中で当たって痛みを堪えながら登っていたようだ。ちなみに筆者は割と頑丈そうなミッドカットの革製夏靴に直接12本歯アイゼンを装着して登ってしまっているのだが、先日見たヤマレコ社長のYouTube動画を見た限りでは、これではダメだという訳ではなさそうでちょっと安心した。しかし、ここまで登ってくるにはチェンスパや軽アイゼンはオススメしない。帰りは樹林帯でも圧雪に新雪が少し被さった状態だったのだが、歯を効かせるにはそれなりの長さが必要で、多分チェンスパではグリップが効かないのではないかと思った。それはそうと、無事、丸山のピークハントと記念撮影を終え、山小屋に戻った。
カフェでゆっくりビール、といきたいところだが、我々にはやらなければならないことがある。そう、雪玉作りである。詳細は写真をご覧いただきたいが、作り始めてみると意外にコツがいる。比較的かさ密度の低い雪を多めに使って押し固めるとうまくいくようだ。もっと標高が低ければ水分多めの雪が作りやすいのだろうが、この高度だと押し固めるのに結構力がいる。でも作り始めると楽しくなってしまって、たくさん作ってしまった。ううむ、童心に帰ったといえば聞こえがいいが、精神構造が幼稚だということではなかろうか。ちなみに人類は猿の胎児のネオテニー(幼形成熟)という説があるらしい。ネオテニーが悪いことではなく、ネオテニーだったからこそ人類になれた、ということらしい。日本人はその傾向が顕著という話もあり、ここで筆者が雪遊びに興じることは何かいいことを示しているだろうか。いや、ここまで脳細胞が衰えている、ということを読者諸氏に露呈しているに過ぎない。
雪玉作りを十分に楽しんだので、いよいよビールを楽しむことにする。でも晩御飯前でもあるのでロング缶はやめておこう。山小屋のカフェでまったりしていると、どうやら小屋泊でない、テント泊の人も来ているようだ。小屋の前には数張のテントがあったので、この時期でもテント泊派の人はテントなのだど改めて感心した。
山小屋での夕食の後は、古い山雑誌を読んだりして過ごした。ここでは水は全て自販機で買う。消灯8時半。おやすみなさい。
3日目、前日と当日朝の小屋の粟沢さんのお話によると、この日は相当風が強く、吹雪くので早々に山を降りたほうがいい、とのことであった。ロープウェイも止まるかもしれないので、極力早くロープウェイにも乗ったほうがいい、ともおっしゃられていた。それで、元々我々はこの日は下山するだけの予定だったのだが、予定より早めに出発することにした。しかし、雪山装備は時間がかかる。まず、小屋の玄関先が混雑して思うにまかせない。慣れないのでアイゼンを履くのも一苦労である。そして、装備が完成してゴーグルにフードをすると視界が極めて狭くなり、かつ分厚い手袋越しだとほぼ細かい作業はできない。こういう時に頼りになるのは相棒である。チェストベルトを締めるのも、携帯電話がちゃんとしまえているのか確認するのも、相棒がいると楽である。いろんなことを相手にやってもらうと感覚的にもさらにネオテニー度が高くなるような気がする。雪山に長くいるともしかして若返ったりして。
そんな話はともかく、我々は下山を開始した。急なところも多いので慎重に降りていく。ちなみに今回チェンスパや軽アイゼンで登っている人は見かけなかった。やはり自信のある方以外は、西穂山荘までの樹林帯であっても12本歯アイゼンを装着することをオススメする。降りはリーダーは速いので、置いていかれないように頑張って歩く。でも慎重に。と言っているうちに登山口まで辿り着き、意味なく槍の回廊(観光客用の展望場所ですね)を回ってみたりもしたが、1時間ちょっとでロープウェイ駅に到着した。どうやらロープウェイの始発に間に合ったようだ。
雪山装備の装着に時間がかかるのと同様に、装備の解除にも時間がかかる。身支度しながら様子を伺うと、どうやらロープウェイは通常通り運行するようだ。なんとか下山できそうだ。昨晩西穂山荘に泊まった人はほとんどこの時間までにここに集合していたのだはないだろうか。
列に並んでいる最中にトイレに行きたくなり、リーダーを待たせて、仕切り鎖の下をくぐって行ったのだが、その後若い男性が余裕で鎖を跨いで通って行った。そうしたら、リーダーが「さっきくぐっていなかった?」って聞いてきやがった。やかましい。
高い方のロープウェイの下の駅(しらかば平駅)のパン屋にも寄りたかったが、この時間ではまだ商品が店頭に並んでいなかった。ということですぐに移動して低い方のロープウェイに乗って、新穂高温泉駅まで降りてきた。ここまで来れば一安心である。かたや、この天候でもロープウェイに乗ろうという方々はたくさんいて、外国人観光客のツアーも次々に来ているようだった。
この先は急ぐことはないので、一本バスをやり過ごし、ロープウェイ駅のカフェでまったりしてから高山行きのバスに乗った。次なる目的地は平湯温泉である。我々はバスを途中下車して、バスターミナルのすぐそばにある「ひらゆの森」という日帰り入浴もできる施設にいくことにした。バスに乗る前にこの施設に何度か電話したが留守電なのでひょっとして休みなのではないかとも思ったが、まさかこのかき入れ時に休みということはあるまいと、観光案内所にまで電話して営業していることを確認して乗り込んだ。巨大な温泉施設であり、露天風呂多数。白濁してるお湯とそうでないお湯があって、どうやら源泉によって様々な湯質があるようだ。古くからの温泉郷だけあって、なかなかいいお湯であった。
バスターミナルのレストランで筆者は温泉後の至福のビールをいただくことにしたのだが、このレストランにおつまみメニューはない。ショックを受けていたら、リーダーが隣で飛騨牛コロッケと飛騨牛メンチカツを売っていることを見つけてきてくれた。相棒に感謝。バスターミナルの風景を見て十年ほど前に乗鞍岳に来て、霧で撤退したことを思い出した。10年ってはやいなあ。
バスを待つ間、11時ごろからロープウェイが止まっているという情報が流れてきた。よかった、急いで降りてきて正解だった。やはり専門家の言うことは聞いておくものだと改めて思った。バスは時間通りにきたが、補助席になってしまうとのこと。しかし増便の2台目がすぐ来ると言うのでちょっと待つことにした。バスは5分後にきてゆったり座れたので正解であった。
高山本線が遅れていたら嫌だなと思ったが、駅に着いてみると、通常通り運転しているようであった。早めの行動をしていたので、予定の特急まで1時間半以上ある。調べてみると一本早い特急でもなんとか席が確保できそうだったので、急いで変更し、筆者は「まつきバーガー」に走ることにした。これはリーダーおすすめの高山グルメである。めでたくこれもゲットして、特急ひだに乗り込んだ。特急の中で食べたハンバーガーは牛肉の旨味を感じるものだったが、某ファストフード店のハンバーガーの数倍する価格のものを数分で平らげてしまった。なんとなく勿体無かった気がするのは貧乏性の故である。
24年の最後の山行もこのようにして無事終了した。1年間、いろいろ楽しい山行が出来ました。これも相棒あってこそ。脚の短さをいじられようとも一緒に山に登ってくれる人がいることは幸せなことである。感謝。(完)
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