大千軒岳(新道登山口よりピストン~見えないヒグマの影を乗り越えて)


- GPS
- 02:05
- 距離
- 4.7km
- 登り
- 433m
- 下り
- 433m
コースタイム
天候 | 雨のち曇り(山頂付近強風) |
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過去天気図(気象庁) | 2016年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
新道コースは稜線までは笹の刈り払いも行き届き、樹林帯の歩きやすい道。小ピークを越え、大千軒岳山頂までは灌木のヤブがややうるさく(昨シーズン林道開通が遅れ、登山者が少なかったせいか…)、悪天・ガス時は一部ルート不明瞭。要所には赤テープあり。 |
その他周辺情報 | 知内に道内最古?の温泉「知内温泉」あり、プール付きの健康保養センター・こもれび温泉も。 |
写真
装備
備考 | 新道・旧道コースとも、頻繁に熊出没情報あり、ヒグマ対策は必須。小生は天候不良下の登山だったこともあり、クマ鈴×2(ストックに大、腰に小サイズ)とホイッスルを頻繁に吹くことで、当方の来訪を見えない敵に積極的に知らせました。 |
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感想
6月最後の週末は、かねてより温めてきた道南ツアーへ。過去2回ほど山行企画するも、林道開通の遅れや沢の増水で、新道コース・知内沢コース双方とも踏破のチャンスを阻まれてきた大千軒岳にチャレンジです。1ヶ月前にAir Do格安航空券をゲットし、金曜午後年休を取って現地入り。土日2日間のウィンドウで、天候や沢の状況に応じ、新道コース・知内沢コースいずれかで挑む計画にていざスタート。
渓流靴やクマ対策グッズもしっかり持参し、勇躍函館空港へ乗り込んだまでは良かったのですが、梅雨知らずのはずの北海道が今年は6月から大雨続きの天候不順(余程当方の心がけが悪いのか…)。事前の予報では土曜朝から低気圧が接近、日曜はちょうど函館マラソンで市内観光も絶望的なため、山頂アタックのチャンスは日曜日と思い定め、金曜夜にベースキャンプ(?)の仁山高原ロッジに格安パックで宿泊。温泉とジンギスカン鍋で英気を養います。ところが、翌日起床してみると、日曜午前の予報も暗転、積算雨量も相当な量となる見通しのため、増水予想の知内沢コースもあえなく断念。唯一登頂のウィンドウが開きそうなのは土曜の午後の一瞬のみ、という絶望的状況で、ダメなら次回の下見を兼ねて、ということで午前中から松前国道をドライブ、道道松前石崎線~大曲茂草林道で行けるところまで行ってみよう、との場当たり的プランに切り替え。
林道は6月に開通したばかり。約35kmと長丁場の上「悪路・路肩崩壊でRV車オススメ」とか、「本コース核心部は長い林道走行…」など先人のレコにすっかりビビリながら、午前10時半過ぎ、いざ緊張して道道に車(FRの普通車レンタカー)を乗り入れてみると、予想に反してほぼ全面舗装の走りやすい道。大曲ゲートからは、本来の松前石崎線は通行止めながら、迂回路の大曲茂草林道は未舗装とはいえそこそこ路面状態も良く、路肩崩壊箇所もごく一部で、途中キタキツネ君のお出迎えもあって40分強の快適なドライブ。ヒグマ注意のカンバンが恐ろしげな旧道登山口を過ぎ、約3kmで意外にアッサリと新道登山口に到着。雨は小降りながら、風は相当に強く、もちろん人っ子一人いないこの山域では、見えないヒグマと稜線上の強風は半端ない恐怖。しかしながら、折角ここまで来て北海道最後の300山未踏峰を取り残すのは忍びない、と自らを奮い立たせ、フル雨具とクマ鈴×2(大鈴をストック、小さいのを腰に)&ホイッスルで武装して、昼過ぎにいざ新道コースへ。
息継ぎも惜しんで絶えず笛を吹き、鈴を打ち鳴らして「チンドン屋」さながらに急斜面を登っていくうち、いつしか道は緩やかとなり、コース脇には可憐な花々も現れます。順調に減る「山頂まで残り距離」標示にひとときホッコリしますが、立ち止まること自体が恐怖のため、休憩もなしに一気に稜線まで登り詰めると、そこは一転して強風ゾーン。それまで刈り払いも行き届いて歩きやすいルートだったのが、灌木のヤブに突っ込み、行く手が不明瞭になる中、耐風姿勢を取りながら赤テープ等を頼みにひたすら前進。ヒグマも思わず行動を控えそうな厳しい環境で、間違いなくこの区間が本日の「核心部」ながら、登山口から苦闘1時間余、ついに久恋の大千軒岳山頂到着!絶頂は風も穏やか、雨も奇跡的に小康状態です。それでもクマの恐怖は覚めやらず、無人の山頂で笛を吹き吹き、雨に濡れたスマホで必死に自撮り。そそくさと下山にかかります。
下りは相変わらずの強風ながら、ヤブゾーンの通過も比較的スムーズで、樹林帯に入ると風雨も一息ついて快適に下っていきます。クマさんの気配を感じる間もなく、わずか40分で登山口に帰着。無事の帰還に、我が愛車を見た瞬間には思わず力が抜けました。帰路の林道ドライブでも途中キタキツネ君の先導を受け、結局この日、本山域で活動していたのはキツネ2頭と時折涼やかな鳴き声を聞かせてくれた野鳥の皆さんぐらい、人類は小生1個体のみだったようです。工事関係者の人知れずのご努力に感謝しながら山深い林道を快調に走破、無事国道に出た後はお楽しみのプチ観光。この頃には夜来の雨も上がり、晴れ間も覗く一時の好天に心も躍って、国道沿いの北海道最南端・白神岬、新幹線開通で大賑わいの木古内道の駅、閑散期でひっそり静まるトラピスト修道院他のシブい道南観光スポットを巡ります。
往復の交通費と前夜の温泉宿泊で予算も枯渇、この日はマラソン前夜で賑わう函館市内にて日帰り入浴と名物ラーメンの夕食を済ませ、マイカー規制の解けた深夜の函館山夜景見物を孤独に楽しんで、40km余の雨中ドライブの後、なとわ・えさん道の駅にて車中仮泊。翌日、天候回復の場合は恵山ハイキングも目論んでいましたが、朝起きてみるとこの日も強風&小雨の悪天。マラソン交通規制を避けて函館市内を迂回し、朝一番で五稜郭を展望タワーから俯瞰、予定より半日早い便で初乗りの北海道新幹線を楽しみ、夕刻には自宅へ帰り着きました。
今回のツアーはここ4年間で3回目の道南・道央山行でしたが、本来なら梅雨知らずの晴天続きを期待していたものの、計4座の名山巡りはいずれも雨とガス・強風で散々の山行となりました。これも小生の日頃からの心がけの悪さに加え、1ヶ月以上前にフライトも宿も休暇予定も押さえざるを得ないという首都圏勤労者の世知辛い事情によるものです。展望に恵まれなかった今回の大千軒岳も、名山巡礼が一段落したら、いずれまた良い条件の季節と日を選び、今度こそパートナーにも声がけして、タフな知内沢ルートでキリスト教徒の古跡や千軒平のシラネアオイ他の大群落を巡りたいものだと思います。
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