甲斐駒ヶ岳 非健脚者のクセに黒戸尾根から
- GPS
- --:--
- 距離
- 17.1km
- 登り
- 2,428m
- 下り
- 2,430m
コースタイム
- 山行
- 11:15
- 休憩
- 0:50
- 合計
- 12:05
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありません |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
本当は、土日で尾瀬へテント泊へ行く予定でしたが、天気が悪く延期に。
代わりにkenboさんから提案されたのは「日帰り黒戸尾根」…超健脚者向けコースじゃないですか!
ヘタレな私に果たしてクリアできるのか?不安になりながらの出発です。
スタートは尾白川渓谷の無料駐車場。
午前4時過ぎの薄暗い中、ライトをつけて出発します。(3時半くらいから出発している人もいました。)
竹宇駒ケ岳神社から吊り橋を渡って登山道へ。
道は緩やかな上り坂、時々急登、といった感じで非常に歩きやすいです。
笹の平分岐まではコースタイムで2時間半ですが、1時間半で到着。
参考にしたレコの方も同じような時間だったので、コースタイムが甘いのかな?と思っていました。
笹の平分岐の標識によると、ここから甲斐駒ケ岳山頂まで7時間と書いてありました。
実際はこんなにかからないかもしれませんが、この表示を見て引き返す人もいるとか。
分岐から先も、相変わらずの樹林帯の中をくねくねと登っていきます。
同じような景色に飽きはじめた頃、刃渡りに到着。
ここで初めて景色が開けるので、写真渋滞が発生していました。
刃渡り自体は難しいこともなく、あっさり通過。
せっかく開けた景色ですが、また樹林帯に入ってしまいました。
しばらく歩いて刃利天狗に到着。祠や石仏などがたくさんありました。
刃利天狗を過ぎると、階段や梯子が登場します。
これがなかなかやっかいで、垂直に近い梯子もあるので結構体力を使い、ペースが段々と遅れ気味になってしまいました。
五合目小屋跡まであと15分の標識が現れ、七丈小屋と勘違いしてぬか喜び…
小屋跡から先の橋までは下り坂。帰りはここを登り返すことになります。
橋から先は鎖場や岩場、梯子の連続で一気に標高を上げていきます。
途中の七丈小屋でトイレを借り、水を頂いて少し休憩。(水が冷たくて美味しかった〜!)
七丈小屋のテント場は平らな砂の上で、とても寝心地が良さそうなテント場でした。
ここからは真正面に鳳凰三山が見えました。
七丈小屋を過ぎると傾斜はさらに急になって、全身を使って岩をよじ登るような箇所も出てきて、さらに体力が奪われます。
「もう登るのやだ〜」と泣き言を言いながらヘロヘロになって登りました。
スパルタなkenboさんに「ここまで来たんだから頑張れ!」と励まされ、なんとか甲斐駒ケ岳山頂へ到着。
嬉しいとか達成感とかいうよりも、「もう登らなくていいんだ!」という安堵の気持ちの方が大きかったです(笑)
山頂は前回北沢峠から登った時も真っ白でしたが、今回も真っ白!
風も吹いていて寒いので、山頂から少し下った所でお昼ご飯にしました。
あとはひたすら下るだけ。
最後の方は、ひたすら無言で黙々と足を動かすマシーンと化していました。
尾白川渓谷に掛かる吊り橋が見えたときは、「やった〜!もう下らなくていいんだ!」と感無量。
神社の側の売店で山バッジを購入し、無事駐車場まで戻ってくることができました。
このコースは健脚者向けということもあって、トレランや歩くのが非常に速い方が多いです。
私たちも後から後から追い抜かれ、自分たちのペースを乱さないように歩きました。
歩いている最中はつらくて景色を楽しむ余裕がありませんでしたが、歩きやすい樹林帯からだんだんと険しい岩場になっていく道程や、山頂付近に咲いていた高山植物など、本当はとても面白い道だと思います。
今度は1泊でのんびりと楽しみたいですね。
毎年のことながらこの時期は仕事が忙しく、生活が超不規則。寄る年波には勝てず、年々体調不良の度合いが増してきています。せめて身体を鈍らせないようにと、kazuruさんが大好きな尾瀬をテント泊装備で歩き回る予定でしたが、生憎の天気で日帰りに変更となりました。
黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳、青木鉱泉から鳳凰三山周回を提案すると、kazuruさんが選択したのは、まさかの黒戸尾根でした。フム、そうきたか・・・。昨年は即却下されて八ヶ岳に変更せざるを得なかったから、kazuruさんの気持ちが変わる前に行っておきましょう。
多くの方のレコを拝見し、私たちと同じくらいの体力であろう方々のコースタイムを参考に、登り6時間(笹の平分岐まで1時間30分、七丈小屋まで4時間)、下り5時間の合計11時間を目標としました。
3時に尾白川渓谷駐車場に到着すると、予想よりも車の台数が多くて驚きました。30分ほど仮眠して、準備をして出発です。ほんの数分前にソロの女性(のちにヤマレコユーザーのchi-suke様と知る)がスタートしたので、「あのお姉さん、体力に自信があるのでしょうね」と、お姉さんについて行く感じで進んでみることにしました。
竹宇駒ヶ岳神社の境内の左方面から吊り橋を渡って登山道へ。最初から急登で、その後は平坦な道で体力回復をしつつまた急登、を繰り返します。ただ、道はフカフカで歩きやすく、「これは下山時にはありがたい」と思いました。
笹が茂ってくると、その名の通り笹の平分岐に到着。ここまで1時間30分で予定通りでしたが、スタート時のお姉さんに追いつくことはありませんでした。
この先も急登が続き、ようやく視界が開けてくると刃渡りに到着。ここで、スタート時のお姉さんに追いつきました。既にkazuruさんのペースが遅れ始めていることを感じていたのでひと安心。刃渡りは鎖でしっかりと整備されていますが、鎖を使う必要がないほど足場はしっかりしています。ここはちょっとした撮影ポイントで、渋滞が発生していました。ただ、お姉さんを含めたみなさんは撮影が終わるとピューッと先に進まれてしまい、少し先に見えたノーマルハイカーっぽいお二人(のちにヤマレコユーザーのvino_rosso様とmiyucchi様と知る)について行こうと思いましたが、梯子をいくつか登っているうちに引き離されてしまいました。
木の梯子はアイゼンでボロボロの箇所があり、濡れていると滑るので注意が必要でした。さらに登って刀利天狗へ到着。
ここを通過後もしばらく登り、道が平坦になってくると、道の右側に「小屋15分←」と木に刻まれていているのを発見。七丈小屋に8時到着を目標としているので、「あれ、早くない?8時前に着いちゃうじゃん。ヤル気が沸いてきた!」とkazuruさん。その後、これまでの登りがもったいないほど下り終えると、そこは五合目小屋跡でした。
「七丈小屋じゃないの?」と落ち込むkazuruさん。「そういえば、小屋のマークに五と書いてありましたよ」と伝えると、ヤル気は萎んでしまいました。これと同時に、予定よりだいぶ遅れていることを確認。七丈小屋には何時に着くかな?
さらに少し下って橋を渡ると、祠と石仏がある広場に出ます。ここから先は鎖場や岩場、梯子の連続で一気に標高を上げていきます。標高差のある黒戸尾根では、少しでも標高が稼げる区間は嬉しいものです。
そろそろ小屋のはず…と時計とにらめっこしながら進むと、小屋が突然現れました。水は出ていて、100円を箱に投入して補給。トイレを借りようと小屋番さんを探すと、第二小屋で布団を畳んでいる最中でした。
「すみません」「…」あれ?聞こえなかったかな?少し大きな声で「すみませ〜ん、トイレを借りたいのですが」「…」黙々と布団を畳んでいます。さらに大きな声で「すみませ〜ん、トイレを借りたいので200円払います」と言うと、ようやくこちらに来てくれましたが、無言で右手を差し出してきました。
200円を支払いましたが、ひと言もなく再び布団を畳み始めました。ここまで無愛想な小屋番さんは初めてで、下山時にジュースを買って休憩することにしていましたが、また同じやり取りがあるのかと思うとうんざりなので、ジュースは諦めました(あとで、このような小屋番さんであることを知り、個性的な方だとして受け止めました)。
予定より30〜40分遅れていました。これでは、山頂到着は11時過ぎるかな?そんなことを考えながら、第二小屋の脇からすこし登ったテント場まで進んだところで「少し休ませて」とkazuruさんが座り込んでしまい、懸命に両足をマッサージしていました。
ここから先は、岩場が続きます。よしよし、どんどん標高を稼ごう。しかし、振り返るとkazuruさんのペースが遅い、遅い。さらには「もう嫌だ、帰る」とブーブー文句を言い始めたので、「ここをリベンジ登山するのは嫌でしょう?」と励ましのような脅しのような声をかけ、何とか奮い立たせました。
ゆっくりペースで八合目御来迎場に到着すると、いよいよ次のチェックポイントは山頂。ここでようやくkazuruさんが「ここまで来たから、頑張るよ」と前向きになりました。安心しながらハイドレーションを吸うと、目の前が真っ暗になってフラついてしまいました。「あれ?今まで高山病とかになったことはないはずなのに、おかしいな?」とkazuruさんに伝えると「最近、毎日のように寝不足が続いているからじゃないの?疲れているんだよ」と指摘されました。kazuruさんの心配をしている場合ではなくなりました。まだ日は長いから時間はかかってもいい。とにかく無事に下山しよう。
ステップがしっかりついた花崗岩の鎖場、身長が低い方では大変そうな段差が大きい岩場が続き、kazuruさんの足が攣るアクシデントがありながらも進むと、だんだんと砂礫の道になってきて人の話し声が聞こえてきました。山頂はもうすぐ。北沢峠方面への分岐に着いてラストスパートし、山頂に到着しました。
昨年登った時と同様に、真っ白で何も見えませんでした。南アルプスは相性が悪いなぁと思いながら、山頂をくるっと一周。先に到着されたお姉さんたちも休憩中でした。本当は山頂で昼食にする予定でしたが、真っ白で風が冷たいので、少し下った場所にある広い場所で食べることに。下山に時間がかかることもあり、登頂の喜びもそこそこに下山開始。
昼食を済ませて下っていると、年配の男性に話しかけられました。「何時間で山頂に着いたのかな?」「6時間40分くらいですね」「君たちも十分に早いね。今日一番早いのは3時間50分。ここを登る人はみんな景色を楽しんだり写真を撮ったりしないで、黙々と登るんだよ。もったいないよね」とのこと。うーん、確かに、みなさん何かに取り憑かれたかのごとく歩いているな。
岩場と鎖場のすれ違い渋滞を越えながら下り、五合目小屋跡のあたりの登り返しを終えれば、あとはひたすら下るだけ。トレランの方はもちろん、普通に登山の恰好をした方でも駆け下りていきますが、私たちはマイペースを貫きました。
二人して「黒戸尾根は二度と登らない」と何度も口にしながら、まるで修験者のように?黙々と下りました。沢の音が聞こえてきて、その音がだんだん大きくなってきて吊り橋が見えた時には解放感でいっぱいで、ゴールとなりました。
黒戸尾根は、私たちのようなノーマルハイカーはいません。トレランやスピードハイクの超健脚者ばかりで、ビュンビュンと追い抜かれますが、いちいち落ち込むことなく、マイペースを貫くことが重要だと思いました。
丹沢の大倉尾根を「バカ尾根」と呼ぶ方がいますが、黒戸尾根は比べ物になりません。「大バカ尾根」いや、「超大バカ尾根」と言っても過言ではありません。そんなわけで、ドMでもない限り二度目は無いように思えますが、またいつの日にか自分の成長を確かめに登ってしまいそうで怖いです。黒戸尾根には、そんな不思議な雰囲気があるような気がします。
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