相模湖駅ー陣馬山ー市道山ー刈寄山ー今熊山ー武蔵五日市駅(徹夜ハイク)
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- GPS
- 11:19
- 距離
- 30.3km
- 登り
- 2,413m
- 下り
- 2,424m
コースタイム
- 山行
- 9:31
- 休憩
- 1:47
- 合計
- 11:18
天候 | くもり、明け方から雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
ゴール:五日市線 武蔵五日市駅 |
コース状況/ 危険箇所等 |
基本的にはハイキングコースなのですが、梅雨時のため濡れて滑りやすくなっております。特に下りで注意を要します。 踏み後は明瞭ですが、伐採用道路、作業者の踏み跡などが少し紛れを生んでます。登山道の踏み跡は硬いのが特徴です。 舟子尾根を刈寄山側から登る場合、登山道からかなり大きく外れていきます。途中高圧線保安のための通路と交差しますが、そこで保安路を登山道側へ入ってください。地図上はまず南下です。 金剛の滝は峡谷の中にあって増水時の退避が難しいため、雨天のときは気をつけて行動して下さい。看板では、下りの道も滑りやすい悪路なので雨中、雨後は行くなと警告してあります。 |
写真
装備
備考 | 雨具、地図、磁石、スマホGPS、行動食、水(2L)、コーヒー(1L) |
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感想
当面の目標は高尾ー陣馬ー五日市なのだが、距離がかなり長くなってしまい、一晩で歩ききれるかどうかが少々怪しい。まず短いところで、相模湖駅を出発点とすることにした。
高尾からの相模湖方面の列車は11時台に1本、0時台に1本である。高尾から終電一つ前の列車に乗り込むと、相模湖駅に到着したのは深夜少し前だった。列車を見送って身支度をするうちに日付が変わった。
このルートを夜歩くのは久しぶりだった。線路沿いの路地を歩き続ければ中央道をまたげる陸橋に通じるのであるが、線路の反対側にである陸橋を登ろうとしてしまった。
最初のチェックポイントは与瀬神社。核心部分といってもいいかもしれない。境内へ続く石段が急なのだ。今思えば今回の縦走で一番斜度があったかもしれない。よじ登るようにして境内を目指した。深夜過ぎである。境内に街灯があるわけもなく、ヘッドライトをつけたまま、道中の無事を祈った。
神社から登山道へ入るのは少し難しいが、何度か通っているので、迷わずに本殿向かって左の突き当りへ歩き、登山道標識に従って入山した。
まずはきつめののぼりで一気に高度を稼いだ。序盤で体が暖まっていない、そして、眠い。最近は早寝早起きなので0時ごろは熟睡の時間帯だ。さらに蒸し暑かったことがあいまって、最初の急登はペースが上がらなかった。眠気対策、糖分・水分補給に、今回は900mLペットボトルのコーヒーを用意した。結果的にこのカフェインドーピングは相当効いたようだ。
大平小屋の少し手前、前方にオレンジ色の光を発見した。普通のヘッドランプには思えず、またどう見ても人工光なので、いったいこんな夜中にオレンジ色のランプで何をしているのだろうと警戒し、「こんばんは」と声掛けしつつ近寄ったところ、伐採作業中の看板だった。自分のヘッドランプの光が反射しただけだったのだ。前回の白い反射板といい、夜間での反射板の威力はすばらしい。
驚いたことに、蒸し暑くても、吐く息が白くなったことだ。気温よりもむしろ湿度の高さのせいで吐く息の水蒸気が霧になったようだ。標高を稼ぐにつれて気温が下がったのであるが、白い吐く息は逆に見られなくなった。吐く息のように全身からも湯気が立っていた。
大平小屋を過ぎるとコーヒードーピングとウォームアップが効いてきたのか、足取りが軽くなり、明王峠直前のきつめの登りも何とか乗り切った。明王峠から陣馬山までは通いなれた道をスリップにだけ用心して歩いた。曇りのち雨の予報が出ている。陣馬山山頂には2時過ぎに到着。夜景も含めて眺望はまったく効かなかった。さて、ここからは初踏査の登山道だ。
陣馬山山頂から和田峠方面入り口を見つけるところでまごついた。ヘッドランプの光が届くところだけが見えるのだから、陣馬山山頂のような広い場所で、端のほうにたたずんでいる標識を見つけるのは日中ほど容易ではないのだ。自分の歩きだした踏み跡が正しいのかどうかを確認しに戻るなど慎重に進みつつ、なんとか和田峠への下り道を発見した。今回の縦走全般に言えるが、今までに降った雨と、明け方前から降り出した雨のせいで、登山道、特に下りが滑りやすくなっていた。
滑りやすい階段をだらだらと下ると、前方に青い光が見えた。今度は道路標識色の青だったのでおそらくは峠なのだろうと思った。その通りだった。山道ばかりを歩いていると、車両を対象にした標識の出現が少し気味悪くも感じられてしまった。さ、次は醍醐丸が目標だ。
陣馬山でいったん涼しめになった空気がまた蒸し暑くなり始めた頃。近くの藪に点滅する光を発見した。「ホタルだ」と思わず声を出してしまった。たしかに奥高尾ともなれば水がきれいだろうからホタルがいても不思議ではないが、この稜線沿いの道でホタルを眺められるとは思わなかった。このあと市道山にかけて何度かホタルを見たが、いずれも一匹ずつであった。渓流で乱舞する無数のホタルもいいが、尾根道で控えめに単独飛行するホタルにも独特の風情があった。
夜間は登山道から外れることは慎むのであるが、薄明が始まるとちょっと無名ピークに立ってみたくなる。特ににそろそろ次の目標の市道山が見えてもいいころだ。そう思って登ったピークにウルシガヤの頭の標識があった。こうして勉強できるところが里山歩きの楽しみの一つでもある。そして谷を挟んだ向こう側に存在感のある山が見えてきた。きっとあれが市道山であろう。それにしても夜明け近くまで歩いてまだくだって登るのかと思うと気が重い。夜明けだというのにヒグラシが鳴き出して、わびしさを加えた。
歩いてきた道を振り返ると、醍醐丸、陣馬山と思しき山が林越しにかすかに見て取ることができる。西日が当たっているときれいなのだろうな。
ウルシガヤの頭から市道山は、まず滑落しそうな薄い踏み跡のトラバースを歩かねばならなかった。今回歩いた道の中では一番悪い部類だっただろう。ここ以外は普通に滑っても道の上にしりもちで住むが、このトラバースは滑れば急斜面を直ちに滑落だ。落ち着いて歩き、なんとか市道山分岐に到達した。
次の強敵は伐採作業に伴う道間違えである。伐採作業に伴って、登山道とは異なる踏み跡ができているのだ。登山道から外れると足元がふかふかしてくるのでなんとなくわかる。一回完全に道から外れたので、硬い踏み跡まで引き返し、目を凝らして登山道の硬い踏み跡を探して道迷いを回避した。
そうしてようやく最後の分岐点、山頂0.1kmと出て来るとありがたい。ひと歩きして山頂に到着した。ここには三角点があるはずなのだが見つけることができなかった。
東のほうの視界が開けている。山と雲ばかり見える。次の目標である刈寄山はどれかもわからない。標識と地図を頼るばかりに歩くしかない。出発しよう。
雨が降り出し、足もとが一段と滑りやすくなってきた。露岩が思いのほか滑るのには難儀させられた。幸い前回の景信山で体験したような、一歩ごとに着地の足がずるっと滑る気持ちの悪さには出くわさなかったが、滑らないように、万一滑っても怪我をしないように、つま先に力を入れ、腰が引けないよう、しかし重心が高くならないように用心しながら下った。
下りに比べると、登りは筋肉への負担はかかるが、スリップの危険はぐっと少なくなるので気疲れはしない。普段と変わらないペースで歩けた。
登り下りを数え切れないほど繰り返したが、中には名前のついているピークも通過した。いっぽち、とおりおねのかしら、とやど、栗の木「尾」沢の頭(?)、栗の木尾根、弾左衛門ノ峰。標識にはしきりに「鳥切場」(とっきりば)の名が表示されていた。とっきりばの場所を標識で確認しそこなったのだが、どうやら入山峠へ折れるところをそう呼ぶようである。
その入山峠へはひたすら下った。下っても標識が出ず、更に下っても標識が出ず、高圧線の鉄塔を過ぎたところでようやく旧入山峠という標識が出た。ということは新入山峠があるわけだ。その峠はもう少し先で林道と交差する点であった。登山道方面に閉門している伐採用道路のゲートがあり、関所破りが必要かと一瞬心配したが、登山道入り口はゲートの横だった。
刈寄山への終盤の登りは、伐採地沿いを歩くため、眺望が効くのであるが、早くなってきた雨足と、ガスのせいで歩いてきた尾根筋我欲識別できない。市道山はどれだろうと考えながらも、もうひと頑張りして、最後の階段を登り、刈寄山山頂に到着した。7時20分は、予定よりやや遅めだ。雨だから仕方がない。山頂には東屋などもあり、天気のいいときにはのんびりと山を眺めながらご飯を食べるのに向いていそうだ。今回は水分とカフェイン、そして糖分補給に使った。後は下山だけか。
今熊山までも、今までと同様、滑る斜面を慎重に下り、下りきった後には力で上り返した。ピークを巻く道が途中何度も出てきたがたいしたピークでもなく、踏み跡もあったのでピーク沿いに歩くことにした。このせいで窮地に陥ってしまった。
ことの始まりは舟子尾根である。登山道は尾根を巻くようにつながっていtが、そこまで歩いてきた登山道同様、尾根筋を歩くことにした。踏み跡が残っているし、杉の幹にはしっかりとペンキマークが見える。迷うことはないだろう。
ところが暫く行って、高圧線保安路と交差するところでGPSを見てみると、完全に登山道から外れている。しかも踏み跡は極端に薄くなり、ペンキマークは杉林の急斜面へと続いている。ここで保安路を使えばいいものをペンキマークを追ってしまったのだ。
暫くすると、木の根につかまって這い下りねばならない急斜面となり、挙句にペンキマークは登山道とは別の方角へ折れていくようであった。ここからペンキマークを外れて谷底まで降りて登り返せばいいのであるが、この先にどのような急勾配が待っているかわからない。これって遭難するパターンだよな。そう思って保安路まで引き返すことにした。怪我さえしなければここで何分引き返しても取り返せると言い聞かせながら。
結局登り返しになってしまうが、シカのダッシュやタマゴタケと思しきキノコの写真も取れたから、まあよしとしよう。
下りに比べると、登りはホールドも見つけやすく、思ったより快適に保安路まで引き返した。保安路をたどってみると、踏み跡もかなりしっかりしていて、勾配もほとんどない。ひとつふたつ尾根を巻くと登山道に合流した。
近くにある採石場から、土曜日だというのに作業の音が聞こえる。人里へ戻りたい気分の筆者には、ひとの暮らしの気配があるのは安心する。
合流した後の登山道は、降り続く雨にもかかわらず滑りにくく快適そのものだった。途中不機嫌そうなイノシシが横断し、横断箇所でウリボウが横断し損ねて右往左往しているのにはちょっと緊張した。母親が子を守るために突進してくるかもしれないからだ。幸いウリボウが茂みに隠れてくれたおかげで面倒にあわずに通過できた。
難なく今熊山に到着した。この難なくが曲者だった。近くに金剛の滝がるらしい。ここまで降りたら後はわけないから滝を見て帰ろうということで寄り道したのであった。
今熊山付近だから、もう道は楽なハイキングコースであろうと甘く見ていたのが間違えだった。雨と砂利で滑りやすくなったコンクリート丸太の階段を慎重に下りたり、滑りやすく、しかも今にも折れそうな木橋を渡らされた。
最後に藪の中をひと歩きして山パンツをびしょぬれにすると、河原らしきところに出た。雨天時は増水するというが水がない。これでは滝も期待できないのではと歩いていくと、10mを超える見事な峡谷の間へ河原は続いていた。峡谷の門をくぐるとやっと川が現れ、川沿いの道を通り、これまたおっかなびっくりの木橋を二つ渡り、滝に到着した。滝の落差はせいぜい3mほどだった。滝つぼは深そうだが、これが金剛の滝というのはちょっとさびしい。
滝つぼに向かって右側に洞窟がある。気味悪そうだったが、近づいてみると滝つぼの上部へ抜ける道になっていた。もしやと思い、じめじめした石段を、鎖に掴まりながら上に抜けると、果たして、先ほどの峡谷と同様、10m長の峡谷の中に白い筋を引く金剛の滝本体がいらした。ただ、朝からの雨で増水している割には、控えめな落ち方であった。上流で水がせき止められていたりしたらいやだな、と思い。急いで洞窟を引き返し、河原の入り口まで戻ってきた。水の多いときにはあの河原が完全に川になるのだろう。
川筋から離れて尾根を越えると、今回の縦走で初めて集落が見えてきた。ほっとした。更にひと歩きして、最後の最後に滑りやすい土の斜面に出くわしたが恐る恐る、何とかしりもちをつかづに通過し、林道に出た。
最終中間点の広徳寺は立派な山門と鐘突き堂を擁した大きなお寺だった。ザックをおろして、思いのほか長大となってしまった今回の縦走の無事の下山を感謝して手を合わせた。
しかし登山は終わっても、まだ徒歩移動は終わらない。キャンパーや釣り人のいる秋川を渡り、檜原街道をひと歩きして、広徳寺からゴールの武蔵五日市駅へ着くのに約30分を擁した。朝のうちに着くつもりが昼近い11時過ぎになっていた。
初めてのコースで多少興奮状態にもあったが、コーヒーのカフェインが、眠気と疲労をごまかすのに役に立ったようである。普段は列車に乗ると睡魔がどっと襲うし、足が鉛のように重くなっているものだが、今回は帰宅(帰省)するまでは疲労感がなかった。
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