鳳凰三山 思い出の場所を訪ねに
- GPS
- 32:00
- 距離
- 22.8km
- 登り
- 2,712m
- 下り
- 2,062m
コースタイム
- 山行
- 9:15
- 休憩
- 0:55
- 合計
- 10:10
天候 | 7/30 晴れのち曇り 夜に雨 7/31 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
北沢峠〜広河原 南アルプス市営バス 750円(荷物運賃200円含む) 広河原〜夜叉神峠登山口 山梨交通 940円(荷物運賃100円含む) |
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はありません 早川尾根小屋は営業していませんが、水場・トイレあり、避難小屋感覚で利用することができます |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
いつも一緒に登っていただいているkazuruさんが体調不良で静養中のため、約2年ぶりのソロとなります。本当は北アルプスを計画していましたが、天気予報がイマイチだったので、天気が比較的良さそうな南アルプスに変更することにしました。
前回の白峰三山のときに妙に気になった両俣小屋を絡めて北沢峠からくるっと広河原までにしようか?これだと初日がキツイし、翌日は間ノ岳を通過して北岳に行く余裕があるかどうか…ということで却下。
そうなると、もうひとつ気になっていたアサヨ峰に登ってみたい。長衛小屋のテント場は混んでいて遅くまで賑やかだから嫌だな…。あれこれ考えていると、夜叉神から北沢峠まで縦走が可能なことに気が付きました。
途中にある早川尾根小屋までたどり着けるかどうか。一昨年、テント泊デビュー時に「ドМですか?」と言われながら鳳凰小屋まで行くことができたので、少なくとも地蔵岳までは大丈夫なはず。今回はその時よりもプラス3時間弱で、さらに「ドМ」になってしまいそうですが、何とかなるかな。
問題は、kazuruさんの許可が下りるかどうか。鳳凰三山は思い出の地であり「いつか登りましょう」と約束をしていたためブーブーと文句を言われてしまいましたが、「下見です」と強引に押し切りました。
車を走らせながら、久しぶりのソロに緊張していました。こんなに緊張したのは、大キレットの時以来でした。なぜなら、初めて登った一昨年は、週3〜4日ペースで10km走っていたので、体力・持久力ともに今より上回っていたはず…。また、kazuruさんと一緒に登るときは、kazuruさんのペースに合わせるためにいつも8〜9割程度の感覚で歩いているので、本来の自分のペースがわからなくなっていました。不安は募るばかり。
そうこうしているうちに、芦安温泉郷に入りました。前を進む車の灯りは3台。このうち、ほとんどが途中の分岐で右折して芦安に進むだろうと思ったら、全て直進しました。夜叉神まで行くようです。あれ?混んでいるかな?3:50に駐車場に到着した時には、7割程度の埋まり具合でした。
長丁場のため、少しだけ仮眠をして、明るくなり次第準備をして出発です。
7/30
多くの方が南御室小屋泊であろう中、さすがにこんなに早くから出発するのは、トレランの方ばかり。夜叉神峠までの急登で、ビュンビュン抜かされました。とにかく、まずは今の自分のペースを把握することに集中して進みました。
夜叉神峠に到着して時間を確認すると、あれ?前回と同じ時間?しかし、今回は前回のように疲れていない?どうなっているのかイマイチ理解できませんでしたが、とにかく前回は真っ白であった夜叉神峠からの眺望を楽しみます。北岳が雲で隠れてしまっていましたが、間ノ岳と農鳥岳はよく見えました。農鳥小屋までもが確認でき、「先週はあそこを歩いたなぁ、体調不良のkazuruさんには申し訳なかったなぁ」としみじみと感じました。
年配の男性が「目の前に見えるのが北岳、その左が間ノ岳で、両方とも百名山だ」と他の登山者に説明していました。あ〜、違う。その男性の名誉のために先に進まれてから「さっきの説明は違いますよ。見の前に見えるのは間ノ岳、その左は間違えやすい西農鳥岳、その左が農鳥岳です。北岳は雲がかかってしまっていますね」と得意気に訂正してしまいました。
夜叉神峠小屋でバッジを見てみようと思って向かうと「準備中」の札がかけられていました。しかし、宿泊者でしょうか?中でお茶か何かを飲んでいる男性が見えたので、食事ではなくバッジなら大丈夫かな?と思って扉を開け、小屋番さんに「バッジを見せてください」と声をかけました。すると、面倒そうな顔で無言でシッシッと片手で追い払うような仕草をされました。商売っ気がないのかな。確かに「準備中」の札がかけられているのに諦めなかった私が悪いのですが、口頭で伝えれば済むことではないでしょうか。酷評だらけの農鳥親父以下だな…。この小屋は駐車場から近いこともあり、もともと利用することはないと思っていましたが、今後、2度と扉を開けることはないでしょう。
ここから先は、緩やかな登り。ハイペースにならないように進みます。杖立峠でお会いしたご夫婦が「広河原まで抜ける」と仰っていて、夜叉神スタートの鳳凰三山日帰りの場合は、ピストン以外にも方法があることを知りました。
その後、順調に火事場跡に到着すると、北岳は相変わらず、間ノ岳と農鳥岳に雲がかかり始めていました。これから進む方面は真っ白になりつつあります。今日は天気が良いはずなのに…。
この先、苺平までは石で少しゴロゴロした登りとなります。特に苦労することなく登り続け、道が石から土に変わり始めると…そろそろだ。アレはまだ残っているのかな?ワクワクしながら進みます。時計と睨めっこしながら進み、もうすぐ苺平と思われる地点で…ありました!丸太でできた、階段のような物体が!
約2年前、ここで先を進まれていたkazuruさんに道を譲っていただいたのでした。これがきっかけで(お互いにヤマレコユーザーであったこともあり)、その後一緒に山に登っていただくことになったのでした。懐かしいなぁと思いつつも、一緒に来ることができず残念でした。でも、今回の目的のひとつを達成です。
南御室小屋に到着すると、数名の方が休憩されていました。右奥にある水場で「南アルプスの天然水」を補給していると、トイレ掃除をしている小屋番さんを発見。「バッジを買うことはできますか?」と尋ねると、作業を中断して「どうぞ」と小屋に案内されました。
小屋の中に入ると、売店や受付は9:00からとなっていて、外にいた方達は休憩しているのではなくではなく受付開始を待っていることを知りました。「受付開始時間を知りませんでした。作業中にすみません」と謝ると「お客さんですからね。作業中でもそれなりに対応しないと」と、夜叉神峠小屋とは雲泥の差でした。「今日はどちらまで?」と確認されたので、「早川尾根小屋です。今回は通過ですが、いつかここを利用しますので」とお礼を言うと、「あの小屋は小さいから飛び込みは難しいけれど、テントなら大丈夫かな。気を付けて進んでください」と返されました。天気はガス次第で、時折晴れ間が。この先の眺望に期待したい。
徐々に砂礫状に道が変化して砂払岳に着くと、ちょうど晴れてきました。キョロキョロと周囲を見渡します。先ほど、小屋番さんに「今の時期は、タカネビランジが稜線上に群生していますよ。南アルプス固有の高山植物で、鳳凰三山は花の色が濃いのが特徴です。綺麗だから、是非楽しんでくださいね」と教えていただいたとおり、至るところに咲いていました。普段はお花に興味がない私にしては、珍しく写真を撮りまくりながら進みました。
薬師岳小屋に到着すると、小屋番さんは「作業中」とのことで不在でした。南御室小屋でバッジを買っておいてよかった。8/22〜来年の9/末まで改築のため休業となるようです。次に来たときには新しい小屋になっているのかな?
薬師岳に到着して、いつか歩いてみたい青木鉱泉方面への道を確認して、観音岳へ。特に疲れもなく、ゆるやかな道が続き、楽しかったです。観音岳に到着すると、白峰三山は真っ白。休憩されていた方が「目を凝らせば、輪郭が見えるかも」なんて笑いながら仰っていました。ここで、前回と同様に昼食にします。前日に鳳凰小屋に泊まったというソロの女性と後立山や穂高(特にジャンダルム)のお話をして、情報収集ができました。
お話が盛り上がりすぎて、休憩が長くなってしまいました。先を急ぎます。前回はかなり慎重であった鳳凰小屋分岐までの下りと地蔵岳への登り返しは、サクサクと進むことができました。2回目の通過ということもありますが、少しは成長したようです。
地蔵岳は、団体さんで賑わっていました。数名の方がオベリスクに挑戦していましたが、私は今回も断念。鳳凰小屋泊の時に挑戦してみようかな。
ここまでで、前回よりも早く到着してしまいました。また、前回は初めてのテント泊ということもあり、かなりバテていた感がありましたが、今回はまだ余力がありました。体力・持久力的には今の方が劣っているはずなので、やは登山用の体力は登山で身に着くものであることを実感しました。
今ならまだ鳳凰小屋のテント場はガラガラだろうな…。白鳳峠から広河原に下山して、日帰りにしようかな…。甘い囁きが聞こえてきそうでしたが、天気は持ちそうなので、予定通り早川尾根小屋を目指すことにしました。
鳳凰小屋分岐から地蔵岳までのような感じの道をアップダウンを繰り返しながら進み、高嶺を目指します。途中で、テント泊装備の男性に追いつき、もしかして行程は一緒かな?と話しかけてみると、昨日は南御室小屋泊で、今日はやはり早川尾根小屋でテント泊を予定しているとのことでした。ただ、ここで驚くべき情報が!「南御室小屋の小屋番さんによると、早川尾根小屋は数年前で営業を終了している。水場はあるらしい」とのことでした。あれ?さっき小屋番さんとお話したときに「営業していない」とは言っていなかったな?「水が出ていれば、十分です」と返しましたが、到着後に楽しみにしていたビールが夢と散りました。この男性とは10分程一緒に進みましたが、かなりバテていらしたので、先に進ませていただきました。
高嶺に到着しても、真っ白で何も見えないので先に進みます。ここから先は、ハイマツ帯の急な下りとなり、その後はゴロゴロした下りがずっと続きます。歩きにくいこともあり、コースタイムを上回っても、まだ白鳳峠に着きません。いい加減にうんざりしたきた頃に、テント泊装備の女性に追いつきました。話しかけてみると、南御室小屋にテント泊していたようで、「明日は甲斐駒に登りたいから、広河原に下山して今日中にバスで北沢峠に向かいたい」とのこと。ただ、やはり白鳳峠までが長く感じているようで、「15:00の最終バスに間に合わない。今日は広河原山荘に泊まって、明日の始発バスで北沢峠に向うことになっちゃうな」と嘆いていました。また、この女性からも「早川尾根小屋は営業していないみたい」と教えていただきました。
ようやく白鳳峠に到着。少しバテてきましたが、残り2時間を切ったから頑張ろう。この先は歩く方が少ないのか、道が悪くなりました。下り多めのアップダウンを繰り返して進みます。
赤錆だらけの標識のある赤薙沢ノ頭では、北岳がかろうじて見える程度でした。晴れていれば、ここからの眺望も素敵だったろうに。3年前の台風で崩落した道は、現在は一度下って迂回して進むようになっていて通ることはできましたが、歩きにくかったです。
目印としてザックにぶら下げているマスコットのぬいぐるみが木の枝に引っかかってちぎれるなど、気持ちが萎えながら広河原峠に到着。よし、あと少しだ。地図には「なだらかな坂」と書いてあるから、この先は歩きやすいだろう…。と思いましたが、全然変わらず。同じような道を登り返し、なだらかになってくると、先の方に建物が見えて本日の目的地に到着しました。
情報通り、小屋は営業していませんでした。しかし、建屋は解放されていて、避難小屋として利用することはできました。小屋泊は10名程度でしょうか。テントは4張で、まだ場所に余裕がありました。早速設営して、他のテント泊の方と情報交換をしました。特に、行きたくてもなかなか行くことができない南アルプス南部の情報が新鮮でした。また、テント泊のうち唯一の女性がテントというよりもシェルターのようなモノを利用しているので、皆で興味津々。「どうやって使うのですか?」と、何度も同じ質問をされていました。
1時間以上経過して、先ほどの男性が到着しません。事故でもあったのかな?と不安になりつつも、もしかしたら、広河原に下山したのかな?と、一緒に進まなかったことを反省していると、無事に到着しました。よかった、よかった。
皆で明日の天気の話になると、雨が降るかもしれないとのこと。殆どの方が青木鉱泉、もしくは夜叉神をゴールとしていて距離が長いため、どうするか相談しました。私が見た天気予報とは違うなぁと心配になり(他にも北アルプスから変更した方がいました)、私は朝から雨だったら広河原峠に戻って下山することにしました。
トイレは規格外でしたが、水がしっかりと出ていたため、持参した焼酎を味わうことができました。水が出ていなくて辛かった奥多摩の一杯水避難小屋と比べれば、とても恵まれた環境でした。
白峰三山初日(広河原〜農鳥小屋)よりも疲れたので、一度も目覚めることなく眠ることができました。
7/31
他の方は距離が長いため、早起きでした。2:00過ぎからガサガサ音がし始めたので、目が覚めました。随分と早いなぁと、3:00過ぎまでウトウトして、いつもより早めに準備を開始。予想を裏切って天気は良く、他の方がライトを灯して出発する中、明るくなるまで待って出発しました。
アサヨ峰まで登りが続きます。アサヨ峰までが一番道が悪かったです。胸丈ほどのハイマツ漕ぎが続きます。整備されていないため、道はわかりにくいし、ハイマツがブスブスと足にささり、苦労しました。タイツに穴が開かずに済みましたが、手や服には結構な松ヤニが着いてしまいました。
進むにつれて、前方には甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳が見えてきてテンションが上がります。また、右側には先月登った黒戸尾根が見え、あの空白地帯が七丈小屋かな?などと推測してみたり。何度も立ち止りながら登りました。最後は岩場みたいな感じとなり、アサヨ峰に到着。これにて、今回の目的を達成です。
静かな山頂を独り占めでした。これまで登った山々が見え、気持ちが良かったです。特に甲斐駒ヶ岳がすぐ近くにデーンと聳えているのが圧巻でした。
ここまでで、結構早く到着することができました。お昼に北沢峠に到着する予定は、余裕で前倒しできそう。心に余裕ができました。この先は、北沢峠からピストンする方がいるためか、道は少し整備されていました。栗沢山までの道は、結構面倒な岩場があったりと、ゆっくり進みました。ここで、初めてすれ違います。私の姿を見て、少し驚かれていました。北沢峠からアサヨ峰に登るのがごく僅かなら、ここを縦走する方がもっと僅かなのだから、当然ですね。
結局、栗沢山まではコースタイム通りでした。ここで、迷いました。まだ8:00。このまま北沢峠に下山すれば、9:45のバスに間に合って、まだ広河原が空いているうちに到着できそう。でも、せっかくなら、仙水峠までつなげたい。仙水峠までの下りで時間を稼ぐことができれば、ギリギリ間に合うかも。仙水峠経由にすることとしました。
しかし、甘かったです。しばらくの間は、やはり岩場で歩きにくく、結構時間を費やしてしまいました。樹林帯に入っても仙水峠手前までは歩きにくく、結局コースタイム通りに仙水峠に到着しました。
今は9:00。ものすごく良い天気なので、ここにザックをデポして過去2回登って真っ白だった甲斐駒ヶ岳に登ろうかと思いましたが、途中でガスが出てきたらガッカリなので、早く帰ることにしました。
前方の仙丈ヶ岳を眺めながら、ゴツゴツした石を進んでいると、女性の姿が見えて、「あっ」とお互いに気が付きました。昨日、白鳳峠手前でお会いした方でした。やはり広河原に泊まって、今朝の始発便で北沢峠に来たとのことでした。「今日は甲斐駒、明日は仙丈に登ります。どちらが景色が良いですか」と尋ねられ、甲斐駒ヶ岳からの眺めはわからないものの「仙丈の方が、南ア南部の山々も見えるのでは?」と答えました。
予約者以外立入禁止の仙水小屋はスルーして、9:55に長衛小屋に到着。あと20分早ければ、バスに間に合ったのにな…。お昼のバスは、北岳組で混むだろうな…。悔やんでも仕方がないので、長衛小屋でのんびりと休憩してから北沢峠に向かい、ゴールとなりました。
天気予報が微妙な中、行動中は雨に降られないばかりか、2日目は予想以上の晴天でラッキーでした。このような良い天気でわざわざ広河原や北沢峠に来たのに、百名山以外のアサヨ峰に登る人は99%いないでしょう。事実、アサヨ峰から仙水峠までですれ違った方はたったの6名でした。しかし、静かな山頂からの360度のパノラマは、一度お試しいただきたいと思います。次に行くときは、広河原または北沢峠からの短縮コースにしますが…。
今の私の山行スタイルを決定付けたと言える思い出を懐かしんでいる場合ではありません。これからも精進します。また、夜叉神スタートの鳳凰三山は日帰りでも十分可能だということがわかったので、いつか挑戦してみようと思います。
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