苗場山・小赤沢ルートは意外なところで大苦戦
- GPS
- 32:00
- 距離
- 13.7km
- 登り
- 951m
- 下り
- 1,560m
コースタイム
過去天気図(気象庁) | 2016年10月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
小赤沢〜小赤沢三合目駐車場の間は要注意です。(本文ご参照ください) 紅葉は、山頂付近は来週の連休が見ごろでしょう。中腹は、赤くなっている灌木はありますが、高木はまだです。 |
その他周辺情報 | 小赤沢温泉楽養館。頂上ヒュッテで割引券(500円→400円)が買えます。 秋山郷からバスで越後湯沢に戻る場合、終点の「津南」まで乗ると無駄に町内をぐるぐる回るので、「津南町役場」で降りると、そこでも乗り継ぎができる。「津南」バス停の向かい側にはトイレ付きの待合所がある。「役場」バス停から歩いても遠くはない。 |
写真
感想
(1日)
腰痛の様子を見ながらなので、コースタイム短め、小屋泊まり、鉄道利用のおとなしい計画としたが、前々から行きたかった山なのでちょうど良い。
自宅付近は小雨だったが、予報どおり北上するにつれ天気は回復してきた。越後湯沢の駅はしばらくぶりだ。タクシーを奮発して和田小屋へ向かう。標高が上がると赤や黄色の葉が増えていく。スキーゲレンデではツアーの大集団が出発しようとしていたので、慌ただしく先行する。樹林に入ると、石が積み重なった道になる。名にしおう豪雪地帯だけに、人の踏んだところはすぐに表土が流されてしまうのだろう。石の上を飛び伝うように登るが、これが後で効いてくることになる。ふたたびゲレンデを横切る場所からは、BCコースの北尾根が色づいて見える。やがて下の芝に出ると黄金色の草地が美しい。目の前の谷を霧が立ち昇ってきて、せっかくの紅葉を覆い隠してしまった。
針葉樹の森が長く続き、随分昔、山スキーを始めたばかりの頃に来た時の、雪の砂漠のような尾根を登った印象に一致しない。最後のゲレンデを横切ると、ようやくそれらしい草原帯に飛び出した。ツツジの真紅の株が鮮やかだ。霧が濃く、草紅葉というより、うら寂しい枯れ野原をしみじみと登っていくと、懐かしい小松原越えへの道を分け、稜線の最高点には出ないで左へトラバースになる。すぐに笹の稜線歩きになるが展望はない。神楽ヶ峰は標柱が立っているだけで頂上らしくはない。道は溝のようにえぐられている箇所もあり心が痛い。下りになるとすぐに雷清水の湧水があり、おいしく頂く。こんな稜線上に水が出ている所は珍しい。
晴れていれば眼前に苗場山の台形の山体が大きいはずだが・・と思っていると、ガスが切れて赤や黄色の混じった斜面や、秋山郷方面の深い谷間が現れ感嘆する。残念ながら山全体は見えることはなかった。いよいよ最後の登りだ。霧を透かした周囲の急傾斜はすごいが、道は困難もなく登れる。しかし、前半の石伝いのバランス歩きで変な負荷がかかったのか、膝の裏側の筋が攣ってきた。テントであぐらをかいていると良く攣る箇所なのだが、行動中に起こるのは初めてで、老化を感じかなり落ち込む。だましだまし登るうち、唐突に傾斜は緩み、待望の頂上台地だ。霧の中、左に右にと池塘が浮かび、いささか渋すぎる風情だが、永年の憧れがかない嬉しさがこみ上げる。立派な標柱のある山頂には誰もいない。百名山を稼ぐのも久し振りだ。しばしの満足感に浸り、小屋に向かう。予約したときは、混雑すると脅かされていたが、布団3枚分のスペースをもらえた。ビールを仕入れて散策に出る。霧が少し上がって、大草原が見渡せるようになった。表現する言葉が見当たらない、本当に素晴らしい山だ。高校の山岳部の先輩が単独で苗場山に来た記録を部誌に書いていたのを思い出す。確か赤湯に下っていたはずと、私もそちらに向かい、ひとり木道に座り込んで飲みながら、亡くなってしまったその先輩を偲んだ。
(2日)
晴れの予報だったが、相変わらずの濃い霧だ。次第に明るくなってきているが、時間切れとなり出発。前日と同じ渋い草原風景だが、池の形が見る方向で変わるたびにカメラを向けたりして飽きることはない。しかし、ついに頂上台地末端の坪場に着いてしまった。周辺のツツジやハイマツに触って名残を惜しみ、小赤沢への下りに入る。岳樺の斜面を下りていくと、霧が晴れ、青空も見えてきた。前方には、大赤沢への尾根の上に日蔭山とおぼしきピークが頭を覗かせている。登ってくる人とのすれ違いも増えてくる。針葉樹林に入ると、また霧が漂い、路面はぬかるんでいるところが多く気を使う。傾斜が緩み、広葉樹林に変わると再び晴れ。遠く関田山脈のスカイラインも望めた。頂上の方は雲がかかっているが、登りの人が着くころには大展望だろう。うらやましい限りだ。四合目を過ぎると、もうハイキングの雰囲気だ。樹々も緑が濃くなってくる。道が尾根をはずれてジグザグを切ると、不意に駐車場の車が見えた。
(三合目駐車場から小赤沢まで)
恥ずかしながら事前の研究不足で、駐車場から下は車道を歩くものと思い込んでいた。それで、車が見えた時には「やっと泥んこ歩きから解放される」と喜んで、ちょうど道を横切っていた流水で靴やストックの泥を洗い落とした。駐車場に出ると、小赤沢への登山道の看板が目に入る。「山と高原地図」を見直すと、確かに小赤沢への赤線は車道ではない。だが、山道の入口はオオバコに覆われ、あまり歩かれていない雰囲気だ。もう気持ちが切れているし、距離も同じ位なので、一旦は車道を行くと決めて身支度をしたのだが、ちょっと覗きにと入ってみると、落ち葉が散り敷かれた、何やら良さげな道に見える。急に、登山者たるもの山道を歩かなければ、と変な意地にとらわれて、こちらを行くことにした。少し進むと、辺りは青緑の空気に塗り込められたような、しっとりしたブナ林になる。拾い物をした気分で、静けさを味わいながら下っていく。ところが、カイデ沢が近づいてくると、道は動物がほじくりかえしたように急に荒れてきた。沢に降りる最後の斜面は表土がえぐられていて、古いロープを伝い、後ろを向く一歩があった。流れには丸太の橋が渡してあり、落ちても高さ1メートルほどだが、左右の段差があるので濡れていると嫌だろう。(靴を脱げば渡れる。)そろりそろりと渡り、対岸に上がった所だ。左側の大岩に古びたロープが巻き付けてあり、これを手がかりに足元の傾斜した一枚岩をトラバースしようと踏み出した瞬間、足がツルリと滑り、ものの見事に背中から落下した。岩はコケでヌルヌルだったのだ。幸いザックがクッションになり、頭は打たずに済んだが、手の爪を打撲し痛む。(この岩には乗らず下を巻くこと。) この先は右手に沢を見ながらの水平道だが、足元は丸い石を敷き詰めたようで、これがまたヌルヌル。先ほどので懲りているので、恐々と進む。やがて、陰気くさい杉林に入るとまたぬかるみだ。やっと車道に降り立った時は、心底ほっとした。テープは付けられており迷うことはないが、破線ルートに近いと思ったほうが良い。
舗装道路を、余韻を味わいながら下る。気温は高く秋の感じはしない。国道に出る前に、標識に従って楽養館へは右にショートカットできる。赤い湯に浸かり、ビールを2本空けて打ち上げ。ガラガラのバスで津南に向かった。
(総括)
・山はすばらしく良かった。晴れたときと、花の時期に再訪したい。
・一般コースと甘く考え、「山と高原地図」でコースタイムを計算しただけだったので、ルートの理解が不十分だった。ガイドブックや経験者のレコを読み込んでおかなければならない。
・体を鍛えなおすこと
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