タワ尾根往復にてウトウの頭へ
- GPS
- 08:10
- 距離
- 11.9km
- 登り
- 1,259m
- 下り
- 1,251m
コースタイム
- 山行
- 7:39
- 休憩
- 0:31
- 合計
- 8:10
天候 | 晴れ時々曇 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・登山口から一ツ石山までのルートは急で踏み跡も錯綜しており、分かりにくい。登りは尾根の高みを目指せば良いが、下りで詰まると登山口の左右とも数十メートルの切り通しなので、行き詰まります。赤テープと樹木の案内板が良い目印です。 ・積雪は人形山山頂手前の1000m辺りから始まり、最大20cmというところでした。アイスバーンは無く、時間短縮の為にウトウの頭山頂付近でアイゼンを使いましたが、特に必須というわけでもありませんでした。 |
写真
感想
ウトウの頭へ、有名な陶版画の山名標を見に行く事にした。以前無雪期に目指したものの、体調が思わしくなく、金袋山だったかで引き返しており、まだ見た事がなかった。
一石山神社に挨拶をして裏手の山道に入った。立派な木の杖が何本か置いてあり、有難く一本を拝借した。雪はない。防護柵を超えた辺りでいきなり道に迷い、割とはっきりしていた踏み跡を見失った。正確には分岐していたのを違う方にとったのだ。ただここは西方向に目の前の高みを急登すれば良いので、大きく方向を間違っていなければそのまま進もう。進んでいるうちにやはり元の道に合流し、親切な樹木名の案内板やわずかな赤テープが見当たった。
正月休みで体が鈍っている。何度も立ち止まりながら進むと、漸く尾根頭に到着した。その辺りから若干の積雪があった。尾根はいよいよ急で、岩も露わになっている。雪が濃くなると、今日のものでは無さそうな人の足跡が見えた。あまりそちらに気をとられないようにしながら、ただ登った。勾配が漸く緩くなる頃に、大きく折れたミズナラが目に入った。雪の中、健気に生きているようだ。ただここでまた目印を見失った。赤テープがある方に足跡が続いているが、よく見ると人のものではない。大人の拳くらいはあったので、カモシカかもしれない。地図によればコースは人形山山頂を経由しており、それはこのミズナラから東北東に20m程登ったところで、踏み跡もテープも無いが目の前にそれらしい高みがある。山旅ロガーでも一致している事を確認し、「えい」と直登した。
軽く見えても実際に取り付くと辛い。息を切らして尾根に乗り上げると、さっきより明確な人の足跡があった。息を整えてひと登りし、人形山山頂に着いた。
風が強い。南風が優勢だが、それも冷たい。それが止むと北から吹き返す。いつもの毛糸のセーターでは限界を感じて、ユニクロのダウンジャケットを久しぶりに使った。涙が出る、鼻水が出る。どうせ他に人もいないので垂れ流しにしていたら、眼鏡に付いた涙が凍っていた。
雪は深いところで20cm近くになってきた。うっかりスパッツを持って来なかった。ハイカットの靴をきつめに締めているので、そうそう雪が入り込むことはないだろうが、雪山の装備が足りなかったという事実が始終気になった。
出来るだけ先行者の足跡を辿っていると、数メートル先に人を見つけた。尾根を降りてきたらしい男性と挨拶してすれ違ったところが、金袋山だ。目出度い山名に相応しい陶製の真新しい山名標がかけられている。
体が重い。ウトウの頭まで辿り着けなくても、行けるところまで行って引き返そうと思っていたが、守谷地図のコースタイムより若干早いので、今の所止める理由はない。ペースを落として篶坂の丸に到着。引き返すか迷いながらも、陶板焼が気になって進んだ。
雪の山は凛々しい。その美しさに同居している事に満足を感じる。風の咆哮が途切れると、其処此処でキツツキが働く音が聞こえる。良く見えない目で音の主を探していると、「ヒヨッ」と鳴いて木を移る。葉を落とした木々の合間に見えるコメツガの緑もまた凛々しい。
篶坂の丸から続くなだらかな尾根の背が盛り上がり、右手の北側に見える高みに続いている。地図によれば、これを登ればウトウの頭まで勾配はほぼ無い。時間は貯金を使い果たして遅れが出始めている。12時半を目処に決断する事にして、休んでは登った。
熊鈴が追いかけて来る。どんどん近付いて来る。雪まみれの勾配を静かな息で登って来る。感服しながら道を譲った。
こちらは相変わらず遅い。おまけに何度か足を滑らせた。凍結していないので必要性は無いが、時間短縮の為にアイゼンを着ける事にした。慣れていないので時間がかかる。風で体が冷えてきた。漸く片足分を終えた頃、ふうと勾配の上を見ると樹間に青空が見える。あそこに行くくらいなら、片足だけでも良いかもしれないと横着をして、右足のみのアイゼンで登った。足場の確保が格段に楽になり、息を切らしながら高みをやっつけた。
頂からは北側の山々が良く見えた。昼飯のカレーヌードルを食う場所の当たりをつけて進むも、あの山名標が無い。平たい頂はいきなり終わり、10m程の崖になっている。足跡はそこを降りている。だが地形図にはそんな記載は無い。山旅ロガーを見ると、山頂までまだ数十メートルある。信じられない思いで、見逃したのかもと思って引き返すも、見つからない。再び山旅ロガーを見ると、きちんと追随している。もうここで・・・と思わなくもなかったが、後悔したくないとの気持ちで進んだ。
「やった…」お目当ての山名標に辿り着いた時には声が漏れた。体中の毛が立ち、カタルシスを全身に受けた。ただこの辺りは眺めは良くないので、先程の偽ピークに戻って昼にした。北側に開けたところで木の根にもたれ、早々にカレーヌードルを開き、象印から湯を注ぐ。待っている間は湯で凌ぐ。ラーメンはこの気温で三分で充分には戻らなかったが、それでもたまらず、汁も平らげた。装備に金をかけ、数千円の交通費をかけ、それなりに危険を覚悟し、足もまともに上がらない程に体力を消耗して、雪景色の長沢背陵を観ながらインスタントラーメンを食いに来たのだ。俺はそれでいい。
下りは来た道を戻る。自分の足跡を辿る。無論都度地図は見た。それ程の積雪でもないが、雪を見るとどうしても遭難の文字がちらつく。ただ結果的にスパッツは不要で、濡れた裾は下りで乾いた。人形山で男性二人組に出会った以外は、鹿の声を二度聞いただけで誰にも会わずに降りた。
反省として、無雪期に行った事のないところに一人で行くのは危険だという当たり前の事がある。またスパッツは20-30cm程度のところを日帰りする分には必須ではないようだ。
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