【イグルー講習】野伏ヶ岳 京都雪稜クラブ
- GPS
- 32:00
- 距離
- 13.4km
- 登り
- 1,038m
- 下り
- 1,027m
コースタイム
天候 | 両日快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年03月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
なかなかひとが多く、トレースがあります。 |
その他周辺情報 | 満天の湯 露天から、野伏ケ岳と、その南方稜線が見える。 http://winghills.net/bath/ |
写真
装備
個人装備 |
スコップ+のこぎり
スキーストックシールあるいはスノシュー
ビーコン
その他冬山宿泊個人装備(寝具一式・ナイフや灯り地図磁石)
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共同装備 |
ツエルト
ストーブoptimusu supernova白ガソリン
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感想
京都の11人と石徹白の野伏ケ岳でイグルー講習。
北大ワンゲルの6年目くらいだったサモアと店長とは、カニカン岳から5年ぶり。最近二人は新婚さんになって京都で登っている。
石徹白に来るのは16年ぶり。春、銚子ケ岳に登った。
和田牧場あとは、北海道のようなところで、標高と緯度の割に樹林が薄く風邪が強くてイグルー向き。今回は12人だから初挑戦の3人用×4連を作った。まずは四つ目家紋の圓を描いて、一個の二段目くらいまでを積んで見せて、外から長くて強いブロックを供給して屋根を塞ぐ。あとの3つもひとりずつ入って足元から大きいブロックを積んで行く。シマさんが層に沿った大きいブロックを切るコツをすぐ身につけてくれたのと、サモア、店長が前にも作っていたので捗った。4連のときは出入りできるよう、通路を予め開けておくのがコツだ。ブロックにも恵まれ、ピッケルの梁は使わずに済んだ。
排雪穴が斜面から少し遠くて、雪かきに苦労した。
4連になると、抜け穴がどの部屋にも2つずつあって、さながらガウディーの洞窟風建築の家みたい。みな童心に帰って喜ぶ。
その後はせっかくなので一人一個ずつ挑戦。やはり失敗の常道は、ブロックが小さいため幅が十分なく上に積むと崩れる、ブロックが小さいため中にせり出せず、煙突サイロになってしまう。の二点。いずれもノコとスコップでブロックさえ割らずに丁寧に大きいのを切り出せれば解決する。
イグルーの要はブロック切り技術に尽きるんだな。
晩は、女子が多いし出口は塞がずツエルト垂らして扉として出入り自由にする。
京都人ばかりなので、ペミカンのお肉や、朝のうどんの上のお肉も牛で、関ヶ原を挟んだ文化を感じた。いずれもとてもおいしい。
空には満月。イグルーの隙間越しに明るい夜空。
二日目
テン場から格好良くそびえる野伏ケ岳がきょうも雲ひとつなく待っていた。スキー+スプリットボード組、わかん組ともそれぞれのトレースを使いゴシゴシと尾根を登る。登りシールワーク初心者のネーさんは苦労していたけど、キックターンやずり落ちないコツなど言葉で教えるとすぐ会得した。僕たち北大の3人の青春は、思えばこのシールワーク磨きに捧げた時間だったと思う。どんな斜面でもシールで登るテクニックにかけては、日本中の誰にも負けないでしょう。なんてこと、分かる人も多分ほとんどいないけど。
結構な屹立ぶりで高度を稼ぎ、テン場のある牧場を見下ろす雄大な展望。ダケカンバなので展望も良い。石徹白川の左岸山脈から銚子ケ岳、別山にかけての白い山脈もすべて縦走したらおもしろかろうなあ、と16年前からおもっていたのだけど。
乗鞍、御岳、槍ケ岳が見え、肩に上がれば白山御膳ケ峰から赤兎、荒島、奥美濃の山塊もすべて見えた。久しぶりすぎて、どれが能郷白山か、金糞岳か即答できなかった。白山南部も、いいところだなあ。
スキーとボードの5人は、登ってくる人も少ない無垢の東尾根を下る。
固くも重くもヤワくも軽くもない雪だけど、傾斜十分、ターンも効いて、高度感も抜群で、歓声の出るような素晴らしい滑降をかなり長く楽しめた。南東尾根の一行にコールも届く。バヤッさんは北大のコールをおもしろがって何度もやってくれた。
尾根末端では雪が重くなった。この山域でこの標高だからこりゃ仕方ない。ハナちゃんのスノウボードの縦割り型を初めて拝見。こういう平地じゃ、スキーになる。切り替えもシール貼るぐらいの時間だ。テン場に戻ると、わかん組とほぼ同時。イグルー壊して下る。
ここからの下りは、スキー組は林道のスキートレースを取るが、狭くて硬いボブスレーコースで、脇の雪が足を突っ込み制動効き過ぎやすく、結構難儀した。荷物担いで前傾も腰にきて、苦労する。そうはいっても1時間で降りた。ネーさんとハナちゃんはすいすい降りていった。板の違いか、腕の違いか?
中居神社にいて雪かきをしていたおじさんに話しかけた。夏は道がないけど、獲物撃ちで山頂まで行ったことがあるそうだ。牧場は昭和50年ころまでやっていたとのこと。雪かきありがとうございます。
満天温泉は、露天の湯船から野伏ケ岳が見えた。これは粋なはからい。ぬるぬる透明系の好みの泉質だ。食堂でみんなで会食して解散。若くてイキイキした山岳会。人望ある会長、またどこかの山で、と思った。
所属している山岳会でイグルー(雪洞)講習を企画し、北海道にいた時にイグルーの手ほどきをしていただいた、yoneyamaさんを講師としてお招きすることにした。
yoneyamaさんとはカニカン岳〜長万部岳へ縦走して以来5年ぶりだ。
11日 一年ぶりの石徹白
豊橋にいるyoneyamaさんをピックアップ。yoneyama邸には甲信越地方の立体地図や様々な山行記録が載った冊子があり宝の家だった。
仮眠した後、東海北陸道を走る。道中も道すがらの地域や山の歴史、山行計画など話が尽きない。
コンビニで朝ごはんをかき込んで、白山中居神社へ。他のみんなは既に到着しており、準備をしている。
駐車場は車で一杯。野伏ヶ岳の人気は想像以上だ。
ひととおり挨拶を済まして、わかん組とスキー組に分かれて出発。牧場目指して林道を登っていく。
ZakkiさんやH田さんはバックカントリーではない山スキー山行は初めて。
林道中の急なところでのシールの効かせ方やキックターンに苦戦している。
大学時代から身につけた技術だが、体感でやっているものを言葉として的確にアドバイスするのことが難しく感じた。
2時間程度で樹林帯を抜け牧場に出ると、視界が開けて、抜けるような青空、広大な雪原、そして白い野伏ヶ岳を始めとする石徹白の山々が見渡せる。
2年ぶりだが最高に気持ちのいいところだ。
去年歩いた大日〜芦倉の稜線もよく見える。去年は間の吹きさらしにイグルーを作った。
少し進んで、風にさらされ吹きだまりとなっているところを適地と見定める。
前日、前々日に結構降ったのか、50cmくらいの新雪があり、その下に割りかし締まった雪が確認できる。
どうやら、ここで作ることができそうだ。
一休みして、yoneyamaさんの講義が始まる。
「冒険登山のすすめ」を読んだときから感じていたことだが、5年前に教わったときからイグルーの作り方はブラッシュアップされているようだ。
円を描いて新雪層をどけて、締まった雪の層からまずは1段目の土台となる思い大きなブロックを切り出す。
ひと通り1段目ができたらブロックを板状にして軽くて大きなブロックを切り出し、2段目から内側に迫り出すよう積んでいく。
これだけで既にドームが形となり、下にも掘り下がっている。
今回は4つのイグルーをつなげて総勢12人が泊まれるイグルーを作成する。
一通りのこつを聞いて、yoneyamaさんが作りかけているイグルーの周りで残りの3つを作り始める。
中で掘り下げ、切り出す人、外でブロックの鉱脈を発見しブロックを生産する人、外から入口を掘る人と自然と分業が進み効率よく作業が進んでいき、2時間ほどでドームは完成、掘り下げによる除雪でさらに30分ほど。
みんな雪と戯れるのに夢中になって、初めてだというのにあっという間にできてしまった。
完成したイグルーをバックにみんなで集合写真。
まだまだ時間はあるので、各人でイグルー作りに挑戦。
ブロックが小さすぎたり、煙突状になったりでなかなか塞がらない人が多い中、緻密な計算で積み上げたKさんや、会長の威厳を見せたM田さんが見事に完成。
Zakkiさんのを途中から引き継いだtentyoはアーチ天井を切り出しなんとか塞ぐ。
S林さんも枝の橋架け術や他国からの輸出ブロックで完成させた。
K野きゅんは馬力であっと言う間に完成させ、samoaは前々からの夢だった棺桶型イグルーを作る。
みんなそれぞれ、あれやこれや挑戦する楽しい時間だった。
さていい時間になってきたので四連イグルーに潜り込む。
なんか地中動物の巣みたいで面白い。
6人、6人で分かれてお互いに大声で話しているはずだが、あまり聞こえないのは雪のおもしろいところだ。
つまみを回しあったりしながら、晩御飯を作りお酒を飲む。
こちらのメニューはtentyo作のキムチ鍋、ニンニク、ショウガ、肉たっぷりで美味しい。
お腹を満たして、適当に就寝。用を足しに外へ出たら月明かり雪原と野伏ヶ岳がぼんやりと照らされとても綺麗だ。
明日は晴れるかな?
12日 快晴の野伏のっこし
4時起床。寒さは全く感じなかった。朝ごはんは棒ラーだが、天ぷらや煮卵がたくさん入っていて贅沢だ。
外に出ると風も少なく快晴。
東に雲があり、日の出は見えなかったが、山の色が移ろう時間を楽しむことができた。
沼を横目にダイレクト尾根に取りつく。
スキー組は緩く斜面を登り、ツボ足組は直登する。
今日はyoneyamaさんの手解きを受けながらシールワークを練習しながら登っていく。
多少苦戦はしているものの、大分コツをつかみスムーズに登ることができた。
ツボ足組だと合流して上を目指す。
ダイレクト尾根西側のカールのような地形はいつみても見事だ。
地図で見ると少し急に見えるが、今回は雪質もちょうどよく、小気味よく、キックターンをしてぐんぐん尾根を登っていくことができる。
周りに見える白い山がどんどん増えていくのが心地よい。
東尾根との合流点を見送ってからひと登りでピークへ。
最高の景色。
願教寺山へ続く白い稜線、向かいの銚子ヶ峰、そして、その奥に続く真っ知床のよいに白い白山。
反対を向けば、荒島や赤兎山、経ヶ岳、奥美濃の山々、芦倉の向こうには御嶽、乗鞍、北アルプスを望むことができる。
山座同定はまだ覚束ないが、2年前よりこのあたりの山の名前は出てくるようになった。
次はスキーを履いて縦走したいな。
集合写真を撮って、スキー組は東尾根、ツボ足組はダイレクト尾根に分かれる。
シールを外して滑降開始。H田さんはスプリットボードを組み立てる。初めて見るがなかなか面白い。
ダイレクト尾根の感じから悶絶スキーかと思ったが、風がよく当たるのか東尾根は存外重くなく、ターンを決めながら気持ちよく滑ることができる。
楽しすぎて奇声が上がる。ゲレンデスキーが上手なZakkiさん、H田さんは流石の滑り。
ダイレクト尾根を下るツボ足組が見えたのでホホーイとコールを送ると帰ってきた。なんか楽しい。
樹林帯に入る少し前から雪が腐り始める。
こけないようにうまく右へ右へと滑っていく。適当にトレースに乗って戻っていく。
暖かい陽光は完全に春。雪原に疎らにカンバが生えてる感じがとてもよい。
イグルーに戻るあたりでツボ足組も合流。
あとは適当に荷物をイグルーから出してパッキングし直して、イグルーを壊す。なかなか名残惜しい。
あとは林道ジェットをこけないように滑り降りるのみ。
トレースを外すと途端に重くなるので、制動をかけるのが難しかったがそこそこのジェットで下り降りる。
zakkiさんや、H田さんもなかなかのスピードで降りてきた。
途中で抜かしたツボ足組も降りてきて、駐車場まで。
yoneyamaさんは神社に除雪に来た人に牧場がいつまであったかなどを聞いていた。そういえば、去年バスを待つ間に白山中居神社を観光したなぁ...
温泉はウィングヒルのすぐ横にある満天の湯。野伏が見えてなかなかいい風呂。
遅めのお昼ご飯を食べて解散。
yoneyamaさんを豊橋まで送り届けたついでにおうちにお邪魔して韓国、台湾の沢の資料などを見せてもらい、晩御飯までご馳走になってしまう。
今回は講師に始まり何から何まで本当にお世話になりました。
次は沢とかでご一緒したいです。
こうして、充実と楽しみに満ちたイグルー講習は幕を閉じたのだった。
コメント
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スキーがすごく快調そうな斜面がいっぱいある感じで、良いですね。いつか、行ってみたくなりました。
イグルー作りの風景も、すごく楽しそうな感じがよく伝わってきます。
名古屋近辺だと、ここらあたりまで北上すれば、雪の十分なエリアとなりますね。以前は静かなところだったけれど、今は結構たくさんの人が来るみたいです。でも、人がいくのはなぜか野伏だけというのが不思議です。隣の山も格好いいよ。
6年前の記録ですが、結構パンパンだったと思いますよ。車は乗り合わせで行くよう工夫していました。ここは交通機関もなく、困りますね。
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