野伏ヶ岳(残雪期限定・奥飛騨秘峰ツアーPart. 1:石徹白よりダイレクト尾根ピストン)
- GPS
- 11:15
- 距離
- 15.3km
- 登り
- 1,284m
- 下り
- 1,285m
コースタイム
天候 | 朝方〜昼過ぎ曇り(一時小雨)、のち雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
神社先から林道に入ってすぐ残雪ゾーン。積雪は平年より多めながら、このところの気温上昇・雨模様で融雪が進み、林道歩きは気温の低い早朝を除き、ほとんどツボ足踏み抜き地獄。(足跡・シュプールから見て、スノーシューないしワカン、山スキーが主流のよう) 牧場先の平地からダイレクト尾根に乗る手前より急斜面、アイゼン要。尾根中盤と山頂直下の疎林の急斜面(強風ゾーンでもある)の登降は慎重に。 |
その他周辺情報 | 石徹白から白鳥へ戻る途中の桧峠に日帰り温泉・白鳥高原「満天の湯」あり(大人800円、JAF割引有)。夜8時まで営業(食堂は7時ラストオーダー)、露天風呂あり。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
ピッケル
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
|
---|---|
備考 | 消費水分:ペットボトル(スポーツドリンク)500ml1本、ガッツギア×1(水は1.5l携行するも消費せず) |
感想
2月の海外出張(週末勤務)の代休取得の期限が4月上旬ということで、いよいよ第4コーナーに差し掛かった300山巡りの残る奥飛騨・残雪期限定の秘峰2座(野伏ヶ岳/猿ヶ馬場山)を一気に踏破する春山ツアーを企画。当初はこれら2山に大日ヶ岳(200名山)を加えた3座を4日で効率よく回る某社のガイド付きツアーに申込みし、大船に乗ったつもりで本番を待っていたのですが、申込者少数(たったの3名…)で敢えなくキャンセルとなりました。
というわけで、一人旅の不安に駆られながら、いざとなればスマホのGPSに案内してもらえば何とかピークを踏めるだろう、と高を括りますが、年季の入った小生スマホもここ数日不調を来し、突然リセットが掛かるなど動作が不安定な状況。更に、菜種梅雨・花散らしの雨の名の通り、週末にかけての天気予報もパッとせず、こんなネガティブな状況では普通山行は諦めるところですが、この時期を逃すと、これら2座にチャレンジできる次のチャンスはおよそ1年後。そこで、唯一前線が一旦抜ける木曜午前と土曜に登頂のチャンスがありそう、ということで、水曜夕刻の定時に仕事を切り上げ、悲壮なる決意を固めてデカいザックを背負い、春山ツアーに出発です。名古屋の24時間営業所で軽レンタカーを借り出し、近郊の日帰り温泉で「戦闘服」に着替えの上、東海北陸道を疾走して奥飛騨・石徹白を目指します。食料も調達し、野伏ヶ岳登山口の白山中居神社には夜半過ぎに到着。車中で一人仮眠の後、同好の登山者到着を待ち受けるも、曇天の平日早暁、奥美濃の山間の駐車場にハイカーを乗せた車はただの1台もやって来ません(またまた不安)…。
あたりが明るくなる頃に寒さで目が覚め、車中で寂しく朝食を取った後、午前6時過ぎに駐車場を出発。川向こうの白山中居神社本殿でお賽銭を奮発、道中安全を念入りに祈願します。天候はまずまず、向かいの白山前衛の山々も見える状況にて、何とか午後一ぐらいまでは雨に降られず持ち堪えられそうです。ここでスマホのGPSスイッチをオンにしますが、今のところ動作には問題ないものの、肝心の現在位置がなかなか表示されません。初っ端から雪べったり状態の林道をトボトボと歩いて行くうち、30分近く過ぎたところでようやくGPSの電波受信。何とか下山までGPS機能が持ってくれれば、と切実な願いを込め、早くも踏み抜き地獄に苦しみながらも、林道をザクザクと登っていきます。先人の足跡を見る限り、ここ1週間ぐらいの主流はワカンかスノーシュー、下りは山スキーといった感じで、ツボ足状態の小生はここでも疎外感…。やがて林道のジグザグ迂回は益々大きくなり、本来進むべき尾根ルートの入口も行き過ぎてしまい、相当の回り道を余儀なくされます。トレースもグッと薄くなり、踏み抜き攻撃の連続にすっかり心も折れて、思わず急斜面の僅かな足跡を頼りにショートカットし、息を切らせて上部の林道によじ登ります。
尾根上へ登り着いて暫く歩くと、そこは旧和田山牧場の一角。開拓碑が立つ広大な平地のため、登山者の足跡の方も縦横無尽に拡がって、何度か林道コースと牧場の窪地ルートのトレースを行ったり来たりしますが、踏み抜き度の方は相変わらず。さすがに両脚の筋肉が悲鳴を上げて、この先のフラットな区間で10本爪アイゼンを装着。ここからダイレクト尾根への登路入口まではいくつかのルートがあるようですが、距離的に近そうな湿原右側を回り込むトレースを追ううち、結構な急斜面に差し掛かります。最後は喘ぐように雪面を這い上がり、登山口出発から4時間余、何とかダイレクト尾根の上に飛び出します。この時点でも視界はまずまず、目指す野伏ヶ岳山頂方面はガスの中ながら、向かいのゼブラ状の峰々も広く見渡せる好展望に、思わずシャッターを何回も切ります。暫くは緩い樹林帯の登りが続きますが、やがて斜度は次第に上がり、間欠的に現れる赤テープを頼りに、疎林の雪面をよじ登る感じに。樹木の密度が下がるにつれて赤テープも間遠になり、反比例して吹き渡る風は強さを増していきます。プチ雪庇を乗り越えるあたりでは、濃いガスで視界が悪く、前方のトレースもかなり頼りないものとなり、ここらで本日2回目の「心折れ」タイムを迎えます。GPSの誘導は今のところ的確で、往路の足跡さえ見失わなければ無事帰還できるはず、と心に言い聞かせ、何とか急斜面の登りを乗り切ると、やがて登山ルートは北東尾根と合流。息を切らせて最後の急斜面をクリアするうち、傾斜はグッと緩くなり、ついにはやや下り気味の道に。GPSで確認すると、どうやら野伏ヶ岳山頂付近に到達した模様。
この奥飛騨の秘峰の絶頂には、三角点はおろか山名標識もなく、最高点と思しき小平地には、タバコの吸い殻と雪を掘り起こした跡があるのみ。ここが山頂と確信し、仕方なく自分のザックを背景に自撮り撮影。これでは、山頂踏破の証拠は我が頼りないスマホのGPSレコードのみということになり、達成感も今三歩…。ガスは益々濃くなり、1m先もよく見えない状況ながら、風は奇跡的に収まり、長い下りに備えて昼食弁当をかき込みます。20分弱で休憩を切り上げ、そそくさと下山にかかると、何と登りと下りは天地の差!薄いトレースを追い、一歩一歩方向を確かめながら慎重に歩かざるを得ない登りとは真逆に、目の前の自分が付けたトレースも明確で、ルートロスの心配もなく、多少の靴のめり込みも気にせずにザクザクと急斜面を下っていきます。やがてガスも薄くなり、四周の幻想的な展望も楽しみながら、登りの倍速ぐらいのペースでダイレクト尾根途中の下降点に到達。往路苦労した急斜面をヘズって下るのは嫌気され、帰りは大多数の先人トレースを追ってそのまま尾根を快調に下っていきます。そうこうするうち、いつしかトレースは再び薄くなり、どうやら牧場方面への最終下降点を過ぎてしまった模様。GPSで現在地を確認、攣り気味の足に気合いを入れ直して一旦下降点(かなり分かりやすいテープあり)まで登り返し、灌木帯を抜けて和田山牧場の湿原の縁まで下ります。この辺りから少しずつ雨粒が大きくなり、緩くなった林道のトレースを追いながら、傘を差してトボトボ歩きます。午後になって雪も更に緩んできたようで踏み抜き地獄は相変わらず、両脚も再び悲鳴を上げ始め、牧場右端の林道上で本日3回目の「心折れ」状態に…。堪らずザックの中から秘蔵!?のフルーツゼリーを取り出して食欲の上がらぬ内臓に流し込み、「下界は近い!」と自らを鼓舞するように再び腰を上げます。
やがて往路にチェックした開拓碑の地点まで戻り、帰路は距離的にも相当のショートカットの可能な尾根ルートへ。こちらは一転して雪面も締まり、踏み抜きもさほどない中、適度な傾斜とクッションで疲れた脚にも優しい下りです。GPSの追尾も追いつかないぐらいの快調なペースで林道との合流点に到達、ここからは再び踏み抜きチャレンジ再開…。結局、ここから次第に強まる雨の中を1時間余もかかって、ようやく登山口の白山中居神社に戻ってきました。往路の参拝の御利益は凄まじく、スマホは最後まで好調、山頂付近の急斜面では強風・ガスに悩まされながらも支障なくピークハント、雨に降られたのは林道に下った後、ということで、迫り来る幾多の試練を何とか乗り越えることができました。本殿でしっかり「お礼参り」を済ませた後、我が愛車の待つ駐車場に帰着。自分へのご褒美は、車で白鳥へ戻る途中のウィングヒルズ白鳥高原「満天の湯」でのお風呂とご馳走です。
ともかくも、これで夏道ナシの難関名山の1つ、野伏ヶ岳を無事クリア。福井郊外の24時間営業コインランドリーで濡れネズミ状態の山行衣類を洗濯・乾燥(この作戦、結構今後の遠征でも使えそうです…)し、次なるターゲットは、コースタイムや標高差の面でも更に難度の高い猿ヶ馬場山です。翌金曜日の天気予報は悪く、充電・休養を兼ねて永平寺〜勝山・恐竜記念館〜金沢市美術館と北陸の下界観光でもして寛ぎ、いざ猿ヶ馬場登山口の白川郷へ大移動です!福井の名刹・永平寺では、安全登山のご祈願も忘れぬようにせねば…。
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