猿ヶ馬場山(残雪期限定・奥飛騨秘峰ツアーPart. 2:白川郷より尾根ルートピストン)
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- GPS
- 10:38
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 1,656m
- 下り
- 1,641m
コースタイム
- 山行
- 10:39
- 休憩
- 0:56
- 合計
- 11:35
天候 | 朝方曇りのち晴れ、稜線付近ガス・霧雨、午後遅く晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
登山口よりトタン屋根の小屋まで暫く林道歩き、斜面に十分雪あれば一部ショートカット可。(この日は行きに雪が着いていた斜面も、帰りには地肌が出て近道不可になっていました…)その先、2区間に赤テープ付きのショートカットあり、入口・急坂注意。宮台林道出合から10分ほど歩いた地点の谷間から、右手に尾根コースへの取り付き点あり(上部に赤テープ)。沢コースの方が歩行距離はかなり短縮可能ながら、雨降りや気温上昇で雪解けが加速している日は、安全な尾根コースがお薦め。 帰雲山は左へ巻くトレースもあるはずが、この日は視認できず。猿ヶ馬場山の頂稜はフラットでかなり広く、ガス時は頂上の山名標識が見つけにくい上、特に下山時方向注意。(我々も古いトレースを追ううち、一時往路のルートに戻れなくなり、GPSで現在地を確認し、事なきを得ました。) 当日の気温・天候にもよりますが、朝付けた自分達のトレースも午後にはかなり流れている場所が多く、前方の赤テープを注意深く探す他、ショートカットの下降点や分かれ道などには、往路で雪の上に自分達なりの目印を付けておくと便利。 |
その他周辺情報 | 白川郷に日帰り温泉「白川郷の湯」、岐阜方面へ約10kmの平瀬温泉に「大白水の湯」、他温泉旅館多数。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
ピッケル
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
|
---|---|
備考 | 水分補給量:ペットボトル500ml×2(スポーツドリンク、弁当セットのお茶)、ガッツギア×1(水は1.5l持参するも消費せず) |
感想
春の残雪期限定名山ツアー、2座目は猿ヶ馬場山にチャレンジ。さすがにこの雪山ロングを単独行でこなす自信はなく、かつての同僚で雪山経験も多数のmikisugi氏に声かけし、平瀬温泉で前泊し、ほぼ無人の白川郷・せせらぎ公園駐車場から早暁出発。先行者は男性ソロお一人、言葉を交わすと沢・尾根コース両方をお考えのようでしたが、さりげなく我々が目指す尾根ルートの安全性をアピール、途中まで先行いただきました。(ほぼ未踏状態の雪道にトレースを刻んでいただき、大変助かりました!)他にも登山者の車が後からやって来るよう念を送りましたが、この日のチャレンジャーは結局この3名のみ…。
前夜から直前まで小雨が降り、テンションだだ下がりながら、「晴れ男」だというmikisugi氏のパワーは凄まじく、登るにつれ天候は回復、2度目の林道ショートカット途中で青空も覗く春山日和に。最初の急坂途中でアイゼン装着、先行者のトレースをちゃっかりお借りして順調に高度を上げ、8時前には宮台林道に合流。朝日の照り返しが強く、しばし日陰で休憩後、振り返ると三ヶ辻山や人形山など谷向こうの山々も美しい姿を現します。先行者がアイゼン装着の間に我々が追い越し、勇躍ツボ足にもめげず進んでいくうち、尾根コースへの分岐を行き過ぎてしまいます。GPSで現在地を確認、赤テープを頼りに右手の窪地状の ルートをザクザク登っていきます。
雪面は比較的締まっているとはいえ、前方のトレースは薄く頼りなげで、やはりルート開拓の責を負うトップの負荷はかなり大きい状況。およそ20分おきぐらいに二人で先頭を交代しつつ、程よい間隔で現れる赤テープを追って少しずつ高度を上げていきます。次第に斜面の傾斜もキツくなり、ジグザグを切りつつ喘ぐように登ると、ようやく尾根コースのメイントレースに合流。帰路用に自分達だけの目印を雪面に付け、緩くなった尾根道を登っていくうち、やがて周囲はガスに包まれます。小ピークで休憩後、赤テープも殆どない疎林の雪道をトボトボと登っていくと、ガスの中から突如電波中継所が出現(1528mピーク?)。前触れナシの人工建造物に一瞬狐火を見たようにハッとしますが、お腹も空いてきて、まだ先も長そうなので、ここで早めのプチ昼食休憩とします。相棒が本日の最終バスで帰阪予定のため、20分弱でクィックランチを済ませ、最後の胸突き八丁というべき帰雲山の登りにかかりますが、ここも尾根左手を巻き気味に進むはずが、結局トレースに引き込まれ、三角点近くを通過する仕儀に。帰路の登り返しを心配しつつ、一旦鞍部まで下り、最後の緩斜面の登り区間に入ります。
さあ、いよいよ山頂は間近と意気込んだものの、尾根を外さぬよう疎林の中をジグザグに登っていくと、時折吹き溜まりに突っ込んだりして、なかなかペースも上がりません。帰路の緩んだ雪道の所要時間を見越して、最終バスを掴まえるための山頂着のターゲット時間を12:40前後と見込んでいましたが、だだっ広い頂稜の一角に登り着く頃には、既に時計は12:30を大きく回り、広大な雪原にいつ果てるとも知れぬか細いトレースが延びていきます。山頂に到達したかどうかの確証も持てないまま、更にフラフラと歩くこと数十分、ついに足跡は途絶え、GPS上も山頂に到達した旨の表示。先人のレコ記事ばかり見て、山頂標識は高い樹木のてっぺんに付いているだろう、との思い込みから、頭上の灌木の頭ばかり探していた小生は気づかずに行き過ぎてしまったものの、相棒が首尾良く足許に頭だけ覗かせた喬木のてっぺんに、ついに久恋の猿ヶ馬場の山名標識発見!四周の視界は生憎厚いガスで閉ざされていますが、相棒と思わず顔を見合わせ苦笑いの後、チャレンジ成功を祝いガッチリ握手。程なく、すぐ後ろを歩いていた男性ソロの方も到着。記念のツーショットをお願いした後、3名揃ってこの奥深い名山の頂を踏んだ達成感に暫し浸りました。
ともあれ、ガスと冷気の立ちこめる山頂に長居は禁物。取り急ぎチョコや飴で最低限のカロリーを補給の後、そそくさと下山開始です。時刻は既に13:20を回り、相棒の終バスに間に合うには、登りの半分以下の約4時間でこのロングコースを下らねばなりません。まずは少しでもショートカットを、と往路で引き込まれた三角点ルートを回避、真っ直ぐ斜面を下ろうとしますが、これが災いしてトレースを見失い、一瞬往路の足跡に復帰できない状況に。小生のGPSも不調で現在地も確認できない状況ながら、相棒のiPhoneで何とか位置確認、程なく自分達の力強い?トレースに戻れました。ここから先は文字通りの韋駄天下り、残雪のクッションも程良く効いて、野伏ヶ岳のような踏み抜き地獄に苦しむこともなく、登りの「倍速」を上回るペースで一気に帰雲山〜小ピークをズンズン下り、登りであれほど苦しんだ窪地状の斜面もアッサリ突破。宮台林道に「着地」した時点で、終バスまでまだ2時間以上の余裕があり、ここでミッションの完遂をほぼ確信。その後も更に林道のショートカットを繰り返し、比較的締まった雪の斜面を快調に下るうち、登山口までほぼ30分程のポイントで本日初めてのゆっくり休憩。オニギリ弁当の残りと「ご褒美」のフルーツ缶でしばしの充足感に浸ります。最後の林道区間では、往路でよじ登った堰堤横の雪斜面の地肌がむき出し。僅か半日で雪解けがかなり進んだことを実感、この辺りで観念してアイゼンも外します。
いつしかガスもすっかり晴れ、眩しい夕陽が照りつける中、むさ苦しいヤマラー2人は多数の国内外観光客で溢れ返る白川郷古民家エリアに無事降り立ちます。ピッケルやスキー帽など雪山装備は既に片付けましたが、それでも観光客の雑踏の中で我々は場違い感満点。「ビクトリーロード」の気分でであい橋を渡り、せせらぎ公園の係員にお願いして再び相棒と“使用後”のツーショット写真をパチリ。閉門の午後5時少し前に、パーフェクトなタイミングで駐車場に帰り着きました。相棒が終バスに颯爽と乗り込むのを見送り、小生は家族に「無事下山」のメールを送った後、車を飛ばして平瀬温泉の宿に戻ります。風呂で計測すると、本日の12時間近くの苦行にて、体重も約3kg余り減ったのですが、地元の山川で採れた心づくしの美味しい食材とビールでプチ打ち上げするうち、折角失ったウェイトをアッサリ取り返し、お釣りが来るほどの満腹に。あら恐ろしや、ロング雪山歩き後の食欲爆発…。
ともあれ、これで300山の難関「夏道ナシ」2峰を延べ3日でどうにかクリア、結果的に今次ツアーはほぼ満点の出来でした。これも相棒のmikisugi氏のお陰にて、彼が付き合ってくれなかったら、恐らく登りの林道途中で心折れていたのでは、という気がします。さあ、これで残る2座のうち最難関の「大型連休限定」尾瀬・景鶴山に挑むべく、帰京後は早速山行計画づくりと、何よりこの“荒行”に付き合ってくれる物好き?な相棒探しに励まねば…。本日も長文・駄文のレコにお付き合い下さり、誠に有り難うございました!
コメント
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猿ヶ馬場山登頂おめでとうございます。いよいよ日本300名山制覇ですね。頑張れし^_^
ピッケルを持っていない私が雪山に縁はないだろうと思っていましたが、みなさまの活躍を目にして冬の里山から経験を積んで行こうと思い、なんとか野伏登頂が叶ったところです。猿ヶ馬場山レコを拝見しました。ご自身の経験を紹介されながら山事故をなくすための注意点を享受いただき今後の山行に取り入れていきたいと思います。雪上での11時間を耐え抜く持久力を鍛え上げて、来年には猿が馬場山登頂を目指します。
syowa08さま:コメント有難うございます。今回のツアーは野伏ヶ岳からのハシゴ山行でしたが、歩程が長く、林道ショートカットや頂稜部のガス時のルーファイもしんどそうな猿ヶ馬場山はさすがに単独行でクリアする自信がなく、関西の山仲間に同行依頼しました。先週来の気温上昇と雨降りで、この山域の雪解けも更に進んでいることと思いますが、今年は残雪も多く、もう暫くは(踏み抜き地獄を覚悟すれば…)登頂のチャンスもあるものと思います。
野伏ヶ岳の方は、雄大な展望も楽しみの一つでしたので、今回は残念でしたが、また再訪の機会もあればと期待しています。貴殿の山行では素晴らしい春山日和と好展望を楽しまれたようで、羨ましい限りです。お互い、名山巡りの旅も終盤は難関峰が続きますが、安全第一にて、楽しく全国を回りましょう!
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