藤原岳・御池岳 〜展望の稜線歩きの果てに待つものは…〜



- GPS
- 10:24
- 距離
- 16.6km
- 登り
- 1,559m
- 下り
- 1,579m
コースタイム
- 山行
- 9:50
- 休憩
- 0:31
- 合計
- 10:21
帰りは白瀬峠まで戻り、木和田尾根を下りました。
天候 | 快晴 春霞も少なく展望も良好 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
≪登山道の状況≫ 藤原岳聖宝寺道(裏道) ・砂防ダムを越えてからしばらく登った付近の渓流上部のトラバース区間が危険。渓流側に転落すると渓流沿いは崖になっているので危険。上部からの落石にも注意。 ・杉の植林地に入ると急登となる。自然林に入ると穏やかな道が8合目で大貝戸道と合流するまで続く。 藤原岳〜御池岳まで ・藤原岳から見ると御池岳はすぐ近くに見えるが、藤原山荘から御池岳6合目までアップダウンのあるコースを2時間ほど歩くロングコースになる。登山道は明瞭。 御池岳 ・8合目での分岐、鈴ヶ岳方面に向かう道は踏み跡が不鮮明。枯れ沢の底を歩いて行くのが正規のコースなのだろうか? 木和田尾根 ・下りで使うと、沢を横断してから崩壊地上をトラバースする箇所があるので転滑落注意。 ・道はあまり鮮明ではないので、木のカーラーテープを見失わないように進みましょう。 ・一番ふもと側の送電線鉄塔からどの方向へ降りて行くのかが一層不鮮明だった。踏み跡らしきものを辿っていくがコースをロストして杉の植林地のカラーテープを追いながらなんとか下山できた。 ≪危険動物情報≫ ・ヤマビル:遭遇せず。 ・ヘビ:天狗岩付近で大きなアオダイショウに遭遇。 ・クマ:遭遇せず。鈴鹿山地でも生息しているので注意のこと。 |
その他周辺情報 | ≪トイレ≫ ・大貝戸登山口の休憩所、藤原山荘横に有り。藤原山荘横公衆トイレはペーパーは無いので持参すること。 |
写真
感想
ばっちり晴天となった5月2日、春の花を求めて藤原岳に登ってきました。
藤原岳はよく登る山ですが、今回は天狗岩を経て御池岳までの縦走、登りは聖宝寺道、下りは木和田尾根という初めてのルートづくしで行ってきました。
同行は我が山岳部の副部長。身体能力・バランス感覚・体力とも部長である私より数段上の頼りになる相棒です。
大貝戸休憩所の駐車場を出発し聖宝寺道登山口を目指しますが、休憩所すぐ下の林道を歩いて行くと砂防ダムで行き止まり。
その後植林地の端に付けられた遊歩道を歩いて登山口まで到達したものの、さっそく道迷い。
今日の行程を象徴するような方向音痴ぶり。
初めて登るコースの聖宝寺道は大貝戸道よりも花が豊富な印象を受けました。
序盤の沢沿いではイチリンソウ(登山道から離れた崖に咲いているので撮影できず)、ニリンソウ。
植林地から自然林に入るとウラシマソウ、ハルリンドウ、セリバオウレン(花後)が見られました。
自然林区間はバリルートの孫太尾根のような雰囲気で、早春の頃もあちらと似たものが見られるのでしょう。
8合目で大貝戸道(表道)と合流し山頂台地を目指します。
北西側の展望が開け、御嶽〜乗鞍〜北アルプス〜白山〜能郷白山〜伊吹山までのダイナミックな展望がさっそく楽しめました。
春霞もなく遠くまで見渡せるので、山頂・稜線からの展望も楽しみになり足取りも軽い。
しかし、新しく導入した登山靴、両方のかかとに違和感が…。
山頂台地からの沢沿いにはシロバナネコノメソウ、初めて見るトウゴクサバノオ、ミヤマカタバミが咲き、登りの辛さを忘れさせてくれました。
フクジュソウは最終盤で、咲き残っているものはわずかでした。
辿り着いた山頂台地には春の日差しがたっぷりと降り注ぎ、残雪もすっかり消えてぽかぽか。
さぞたくさんの花が咲き乱れているだろうと思いきや…。
ニリンソウは藤原山荘裏で、ヒロハノアマナはあちこちで咲くものの、他の花はほとんどなし。
会いたかったキクザキイチゲも藤原岳では一輪も見ることができませんでした。
今春は雪解けが遅かったのでまだまだこれから咲くのか、それとも今年は咲かずに終わってしまうのか…。
藤原山荘からひと頑張りで藤原岳山頂に到達。
北東側には伊吹から御嶽まで連なる山並み。
南西側には竜ヶ岳、御在所岳など鈴鹿の山。琵琶湖、そしてこれから向かう御池岳までの大パノラマが広がっていました。
何度も来る山ですが、今日は一番展望が優れていました。
ここから天狗岩を経て、御池岳を目指します。
眺めているとすぐ近くに見えるので、1時間少々あれば御池岳山頂に立てるだろうと思っていましたが、山の広さを侮っていました。
天狗岩から白瀬峠を経て御池岳6合目のカタクリ峠にたどり着いたのは13時半。
たっぷり2時間10分もかかり、太陽は西に傾いていてそろそろ下山にかかるべき時間でした。
それでもここまで来たのだから…と御池岳山頂へ向かいましたが、これも山をなめていると言われても仕方ない無謀さ。
かかとの痛みも激しくなり、一歩一歩が痛みとの闘いでした。
藤原岳から御池岳までの稜線は気持ちのいい自然林なので花も豊富そうですが、カタクリやイワウチワの葉が散見される程度で花は少なめ。
今年の冬の豪雪の影響なのか、シカの食害がひどいのか。
残雪の残る沢を登って、30分程で御池岳山頂。
そこから15分ほど歩くと視界が開けて奥の平。
御池岳にも広大な山頂台地が広がっていて解放感抜群でした。
奥の平付近ではシカ除けネットが張られ、中では植生回復のための取り組みがなされているようでした。
隣りの霊仙山も以前は山頂台地は笹が生い茂り、藪漕ぎしないと登れなかった山だそうですね。
鹿の食害で笹が消滅、登山者の踏み荒らし→土壌の荒廃→草しか生えない荒涼とした台地という図式なら、この解放感は自然が壊れていく果てを表わすのでで悲しい眺めかもしれませんね。
奥の平から少し歩いて辿り着くボタンブチからは琵琶湖と滋賀平野一望の大パノラマが楽しめました。
会いたかったキクザキイチゲは御池岳の草原の中にちらほら咲くものを見つけましたが、数は少なく物足りない感じでした。
夕暮れが迫る登山道を引き返し、白瀬峠まで戻ったのが15時55分。
これから木和田尾根を下山しますが、初めて通るルートで少々不鮮明な箇所もあるそうなので不安が募る中下山開始。
藤原岳表道・裏道と比べてあまり人が歩かないルートのようで、踏み跡が不鮮明な箇所があり、崩壊地のすぐ上をトラバースする箇所もあり、無事に下山できるのか不安は募ります。
副部長に先行してもらうと、バランス感覚の良い彼はサッササッサと軽快に進み、速度が決して遅い方でない私が全然追いつけませんでした。
やはり山登りにも運動神経の良さは重要だと痛感するのはこんな時です。
高度を順調に下げていき、最後の送電線鉄塔の広場に出てからがこの山行で一番ヒヤリとした場面でした。
広場に出たのは良いけれど、そのあとどちらに進めばよいかがわからない。
木のカラーテープを探すもそれらしきものは無し。
私の持つ登山地図はスマホの電池切れで見れず…。
踏み跡ではないかと思われるところを進み、その先にピンクのカラーテープを見つけるものの、これは登山道を表わすものではありませんでした。
しばらく人が歩いていない、もはや道ではない植林地の中をテープを追って進むと前方に建物。
登山口の水道施設になんとか脱出できました。
本来の登山道は下った斜面よりもっと左から来ていたので、送電線鉄塔から進むべき道を間違えたようでした。
持ってきた2.5ℓの水も尽きてのどはカラカラ。
国道に出たところにあった自販機はまさに命の自販機。
カルピスソーダはこんなにおいしかったとは・・・!!
その後小一時間歩いて大貝戸登山口へ帰還しました。
今回の山行は、私の登山歴の中で一番危険な山行になってしまいました。
まずはコースタイムより早く歩けるだろうと甘く考えていたのが最大の判断ミス。
山頂近くまで来たのだからなんとか登頂しようとしたことも…。
時間的にも体力的にも、もっと余裕をもって下山できるよう行動するべきでした。
道を見失ったら確実にわかるところまで引き返すのが鉄則ですが、下山を焦ったり、体力が尽きそうだと登り返しがおっくうで無謀な判断につながりますね。
ルートロストしたのがふもと近くだったので幸いでしたが、登山口までまだ遠い山中だとかなり危険な状況でした。
山仲間を危険な状況に追い込んでしまったのも大いに反省したいと思います。
山は風景や山野草など魅了されるものに富む世界ですが、侮ってかかると取り返しのつかない事態になる世界。
そして山は広いです。近くに見えても油断は禁物。
いつも無理な行程でのぞみがちなので、反省して同じことを繰り返さないようにしたいと思います。
藤原岳山頂からずっと痛んでいたかかとは、両方とも広範囲の靴擦れを起こしていました。
登山店で試し履きしたときはジャストフィットに感じたのに、なぜだろう?
購入後に前の靴から入れ替えたインソールが合っていない可能性が…。
最初から挿入されているインソールに戻してもだめなら山行2回目でお払い箱…。これも痛い。
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