ジャンダルム飛騨尾根(稜線ビバークあり、寒かった、、、)〜奥穂高岳〜白出沢
- GPS
- 56:00
- 距離
- 17.7km
- 登り
- 2,123m
- 下り
- 2,095m
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
ジャンダルム山頂から伸びている岩尾根の一つが飛騨尾根です。 比較的容易なバリエーションルートとして人気があります。 今回は、登山道がある白出沢を登って、途中から登山道を外れて飛騨尾根に向かい、飛騨尾根をクライミングしてジャンダルム山頂に登り、山頂からは登山道を通って奥穂、穂高岳山荘をめぐり、白出沢を下降するという周遊ルートに行きました。 ーーーーーーーーーーーーーー 飛騨尾根は昨夏に登っています(ヤマレコに記録あり)。 今回はアイゼンでの登攀なので、夏よりは難しく感じました。 ーーーーーーーーーーーーーー ◯天狗沢出合はデブリだらけですが、尾根の影になっているところの雪を整地すれば張れます。 ◯飛騨尾根の下の方も、尾根上なら張れるでしょう。 ◯天狗沢出合〜飛騨尾根取付き どこを登っても良いので、適宜地形図とトポ、実際の地形を見定めて登って下さい。 無名の尾根斜面は悪いところもあるので、早めに尾根筋に乗ってしまったほうが良いかも。 ◯飛騨尾根 そんなに難しくありません。岩はしっかりしています。ハーケン少なめ。昼になると、雪が付いている斜面を歩く際、雪が崩れることがあるので注意。 ◯ジャンダルム山頂〜奥穂 ものすごく悪いというわけではないですが、随所で懸垂下降、ナイフリッジが出てきます。やはり、アイゼン・ピッケルに慣れた人向けです。 ◯白出沢 大滝は水が出ていました。緩やかですし、懸垂支点は見当たりませんでした。 大滝少し手前の右岸に、右の尾根に上がれる部分があったので、そこから登山道を使い、鉱石沢の方から天狗沢出合いに戻りました。 白出沢下部はかなり雪が融けており、踏み抜きのリスクがありました。 また小型の堰堤が4・5個あります。どれも横から容易に巻けます。 |
写真
感想
■5月3日:1日目 新穂高温泉〜白出沢登山口〜天狗沢出合
前日夜、22時東京出発、小仏まで25キロの断続渋滞。。。新穂高温泉には3時半過ぎ到着。。すぐに睡眠。
7時起床でゆっくりと出発。
白出沢登山口まで林道を歩く。途中の小屋跡の少し手前から林道は雪道になる。今年は雪が多めのようだ。
白出沢登山口からは登山道沿いと思われるトレースが付いているので適当に追う。
ルートはいつの間にか登山道を外れていたようで西穂沢の方に行ってしまったので、左へと向かって白出沢に戻る。
白出沢を進むと天狗沢との出合いに出るので、ここを今日のテン場とする。
目の前はジャンダルムから派生するD尾根の末端だ。
整地してテントを立て、陽気が良いのでテント外で水を作る。
この出合いには、合計3パーティテントを張った。みんな飛騨尾根とのこと。
白湯鍋を食べて、20時前には就寝。
■5月4日:2日目 天狗沢出合〜飛騨尾根〜ジャンダルム〜馬の背手前でビバーク
2時50分起床、4時出発。
天狗沢を詰める。途中、デブリ帯があるが、雪は締まっていて歩きやすい。
この先、天狗沢からαルンゼに入ると滝があるので(遠くから見たら氷爆になっていた)、
手前から尾根に乗ることにする。
短いE尾根を回り込んでだところにある短いルンゼを詰め、その右側の尾根に乗る。
急傾斜なうえ、一部雪が脆いところもあるが概ね問題なし。
尾根筋に乗ったらあとはどんどん登っていく。
ハイマツが出てきたところでルンゼを渡り、飛騨尾根に取り付く。
途中2つのパーティがテントを張っていたようだ。
我々は3番目に取り付く。今日は全部で7パーティほど取り付いたようだ。混みすぎ。
全体的にハーケンは少ない。ピナクルで支点を取るための長めのスリングと、小さいリスが多いので、
カムよりはボールナッツが役に立った。
混みすぎて随所で待ち時間が発生。前の方に遅いPがいて30分、1時間待ちはザラ。
そしてルートが結構長めなこともあって、ジャンダルムの頂上に着いたのは17時半だった。
ジャン山頂からは懸垂下降だが、ここでも30分以上待ち。
後続のPに電話を借りて、穂高岳山荘に宿泊の連絡を入れる。
懸垂で降りた先のナイフリッジはロープを2ピッチ出す。その先のピーク(ロバの耳)からはまた2ピッチの懸垂下降。
これを降りきったコルで19時過ぎ。完全に暗闇になる。
前にいた2つのパーティはテント装備を持っているので、このコルに張っている。
後続の2つのパーティは、このまま小屋に向かうという。
我々は協議の結果、ここでビバークすることにした。
おそらくここでビバークした人が打ったのだろう。
岩陰にリングボルトがツェルトの幅で並んで打たれてるので、これを使ってツェルトを張る。
下地の雪を整地し、ロープとザックを敷き、着れるものは全て着込んで、3人で岩に寄りかかりながらツェルトにくるまる。
足のすぐ先は斜面なので、もちろんセルフビレイは取ったまま。
足元の雪をかき集めてお湯を沸かし、ロールパン1個を食べた。
あとは3人とも暗闇でただただ沈黙し耐える。
ひたすらに寒い。体育座りをしている足の感覚がだんだんとなくなっていく。
それでも結構ウトウトするもので、5回も6回も目が覚めたが、ああコンビニに行きたいとか夢を見ながら、それなりに眠ることができた。
■5月5日:3日目 ビバーク地〜奥穂高岳山頂〜穂高岳山荘〜白出沢下降〜新穂高温泉
4時半。8時間程耐えて空が明るくなる。
リーダーがお湯を飲むより動いたほうが暖まるというので、足を動かそうとするが、動かない。
何とか立ち上がるが、足が棒のようで感覚がない。膝がうまく曲がらない。
こんな足で、この先の稜線を安全に歩けるのか?
その場で足踏みしたりジャンプして、強制的に足を動かす。
直後の岩場を何とか登り、その後の雪面を歩いていると、徐々に足が慣れてくる。
振り返れば、モルゲンロートに染まったジャンダルムが美しい。
その後は大した箇所もなく(前夜に小屋に向かった後続Pのおかげでバケツになっていたのもあるけれど)、奥穂の山頂に着いた。
その頃には、足は通常に戻っていた。
とんでもなく寒かったが、特に異常もなく、それなりに睡眠も取れて疲れも抜けて、ビバークできるもんだな、と思った。
穂高岳山荘に着くと、常駐の県警の隊員に事情聴取を受ける。
昨晩、今ジャンにいると小屋に予約を入れて現れなかったわけだから、事情の確認なんだろう。
暖かい穂高岳山荘でカップラーメンを食べ、完全に復活した。
後は白出沢をひたすら下って、デポしている荷物を回収し、さらに沢沿いに下る。
途中いくつか堰堤を超えて林道に出る。
行きよりだいぶ雪が減った林道を歩いて、暑い駐車場にたどり着いた。
まさか3000mの稜線でビバークする羽目になるとは。
ちょっと疲れたけど、何事もなかったので、まあいいか。
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今回の損害:飛騨尾根取付き手前で、スノーバーを紛失(TT)
買うと高いので、アルミアングルで自作しようかな。
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