残雪期 餓鬼岳・燕岳縦走
- GPS
- 17:58
- 距離
- 19.4km
- 登り
- 2,794m
- 下り
- 2,318m
コースタイム
- 山行
- 7:26
- 休憩
- 1:01
- 合計
- 8:27
- 山行
- 9:26
- 休憩
- 0:34
- 合計
- 10:00
天候 | 5/20:晴れ 5/21:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2017年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
中房温泉からバスで穂高駅へ(1700円) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○登山口〜大凪山 最終水場まで雪はなし。大凪山周辺から雪が出てくる。 この季節はまだ橋が外されているので注意。 沢沿いに入ると悪くなる。 トラバース等も崩れやすかったり、橋が結構かかっていた。また、鉄杭が打ってある箇所もある。 特に滝、沢の高巻きが怖い印象を受けた。 渡渉は3.4回といったところか。 ナメの渡渉は滑りやすいので気を付けたほうが良い。 非常にアップダウンがきついところであった。 ○大凪山〜餓鬼岳 基本的に雪が付いている。 また、非常にズボリやすかった。ズボると膝上から腰のあたりまで。 夏道は基本的に不明瞭であった。 餓鬼岳直下のトラバースは非常にわかりにくいので注意。 アイゼン、ピッケルはあったほうが良い。 小屋から餓鬼岳までは夏道が出ている。 ○餓鬼岳〜東沢乗越 ケンズリの手前まで夏道。 トラバースに入ると夏道が消える。 稜線沿いは夏道だがトラバースは基本的に雪が付いている。 2644ピークの巻き道から地図上では一度稜線に復帰しているが、実際は、そのまま巻く。しかし、残雪期は不明瞭であった。 私の場合、一度稜線に復帰してから途中で崖によりどんづまりになってしまうため、尾根上を下り夏道に復帰した。 巻き道は夏道が出ているところもあるが、雪が付いていた。 また、非常に斜度がきついところもあり、怖い印象を受けた。 ケンズリを抜けてからは東沢岳まで比較的歩きやすい岩稜歩きが続く。 ○東沢乗越〜平 2550m地点までは道は不明瞭かつ夏道があったとしても配松や倒木によりわかりにくい。また、マーキングがほとんどない。 ズボリがひどかった。 歩くのであれば、西側を歩くことになるし、東側は切れている場合がある。 2550地点からは上はただの雪の斜面となっている。ズボることはないが、雪崩の危険性はあるかもしれない。夏道は消えている。 今回は雪の斜面の左側沿いに歩いた。 ○平〜北燕岳 北燕岳までは明瞭な夏道である。 しかし、北燕岳手前の岩峰群は大町側をトラバースした。 稜線上から行きたかったが、よくわからなかったのと、フリーで行くのは非常に危険であり、行くのであれば確保しなければならないであろう。 トラバースしたが、かなり傾斜はきつく、仮に落ちたら止まらないと思われる。 非常に怖い。クライムダウン、カニ歩きで慎重にいかなければならない。 ※北燕岳より北に伸びているトレースは私が付けたものであるが、北燕岳より餓鬼岳方面の登山は本当は禁止であるため、決して行かないようにしてほしい。 ○北燕岳〜中房温泉 燕山荘までは夏道である。一部雪は残っているが全く問題ない。 楽しい稜線歩きが続く。 燕山荘からは、雪が残っており、第三ベンチまで残っている。 アイゼンがあったほうがいいかもしれない。 第二ベンチまで来ればただの夏道である。 |
その他周辺情報 | 中房温泉「湯原の湯」:700円 |
写真
装備
備考 | ヘルメットがあったほうが安心であった。 マグカップがほしかった。 |
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感想
静かな山に行きたいと思い立ちこの計画を考えた。
そこで、近くの山で前々から行きたいと考えていた餓鬼岳に行くことにした。
19日の夜に松本を出て、信濃常盤駅に。
そこから、徒歩でコングキャンプ場に行き、前泊した。
夜道は非常に怖かった。
5/20
キャンプ場を出発し、20分程で登山口に着く。登山口で計画書を出してから、砂利道を進む。途中から登山道に入り、最初の橋を渡った。しっかりとした橋だったので有難い。
沢沿いに入ると、トラバースや高巻きが多くなる。路肩が非常に崩れやすく、慎重に歩いた。
沢は非常に綺麗で、遡行したいものだ。
沢の記録がいくつかあったので、いつか行ってみたい。
ふと思ったのが、徳本峠までの沢沿いの道を彷彿させる。かつ、黒部のハシゴ谷よりもハシゴ谷ではないだろうか。
色々なバリエーションのある道である。ある意味面白い。
ナメ状の沢の渡渉では片足を滑らせ、危うくゴルジュにドボンするところであった。
お陰で片足を濡らしてしまった。
最終水場までは順調に進むことが出来た。
ザックの総重量は20舛覆い阿蕕い。
40ℓのザックに入ったが思ったより重くなってしまった。というのも、燕山荘まで水がくめないため、全担ぎした。この悪路には少々辛い重さだ。
しかし、暑い!まだ、5月だと言うのに...
大凪山までの登りで、雪渓が出てきて、アイゼンを履くか迷ったが結局履いた。短い区間だが履いて良かったと思う。
ここから雪が多くなり、ズボりまくる。
なかなか手強い。
大凪山からまた雪の量が増える。
ズボりの回数も増え、途中で嫌になる。
時間も想像以上にかかっていた。
こんなはずじゃ無かったのにな。
餓鬼岳直下のトラバースではヒヤヒヤしながら渡る。なかなか怖い。
加えて、夏道が分からない!
何だかんだ見つかり、無事に小屋に到着。
計画書上は唐沢岳に行くはずであったが、12時をまわっていたので断念し、とりあえず餓鬼岳をピストンした。
餓鬼岳の展望は素晴らしいものであった。
何より人が誰もいなく静か。
確かに硬派な山というのも納得だ。
唐沢岳を見ても、明らかに時間がかかりそうだったので諦めて正解だった。
しかし、機会があれば行きたい。
小屋の先でテントを張り、ゆっくりと読書をしながら過ごした。ただ、直射日光が厳しく、テントに入るも今度は風が入ってこないため、暑さに苦しんだ。
案外、ゆっくり出来ないものなんだな。
夕食のメニューは角煮丼とおでん。
そして、雪で近々に冷やした酒!
至福の一時であった。
しかし、よく考えると無駄な荷物ばっかりだな。
夜はさすがに冷え込んだが、夏用シュラフで対応できた。
風もさほどではなく、快適に爆睡することができた。
5/21
3時起床。
朝は少し寒かったが、目覚めにはちょうど良い。
ラーメン二人前を食べ、コーヒーを一杯。
外に出るころにはだいぶ明るくなっていた。
テントを撤収し、すぐに出発した。
夏道が出ているのか、巻き道はどうなのか、雪はどれくらいあるのかととても心配したが、ここまで来たら進むしかない。(むしろ、ワクワクしてた)
途中までは夏道沿いで。巻き道を進み続けると、雪道になる。
また、基本的に巻き道は高瀬ダム側にある。
まだ、赤印のおかげで分かったが、途中で雪の斜面を向かえる。
雪の斜面を勘と読図でトラバースし、ドンピシャで夏道にでる。
稜線に出るが、梯子や橋がとても多い印象を受けた。
稜線上には雪はない。
また、すぐ巻き道に入る。
2644ピークから伸びる尾根を巻き道で越え、そこからも巻き道が続く。
ちなみに地図上では稜線上に上がる。
途中までは巻き道はわかったのだが、途中から見失い、仕方なく藪を漕いで稜線に上がる。
稜線上には踏み後らしきものがあったが、昔の登山道であろうか。
しかし、途中で行き詰るため尾根を下り、巻き道に合流をした。藪漕ぎがひどく、苦しい目にあった。
巻き道は、夏道が出ていたり、雪の斜面になったりとかなり面倒であり、印を見つけるのに苦労した。
巻き道の後半に、落石地帯にあたるが、最初は雪が付いており、途中でガレ場に出て歩くようなところに辿り着く。そこで雪面を下降中、足を滑らせし、十数メートル滑落した。
幸い、岩で止まり、九死に一生を得た。
このまま落ち続けたらと考えると恐ろしいことだ。
恐らく死んでいただろう。
ここでめんどくさがらず、アイゼンとピッケルを装着すべきであった。
死を間近に感じた一瞬であった。
このような事故もあったが、稜線に復帰し何とか核心を越えた。
東沢岳までは快適な稜線歩きで時にはクライミングチックなところもあり、楽しい縦走路であった。
東沢乗越からは500アップである。
正直、かなり時間が掛かっていたこともあり、絶望しそうになっていた。
帰りてぇ〜と言いながらもただの斜面ひたすら登る。
場所によってはズボリラッセルするようなところもあった。
ラッセルは冬限定のものではないようである。
もう散々であった。ひたすらズボるたびに罵詈雑言を吐き捨てるのであった。
残り150アップというところまできて、ここからは雪の斜面を上がる。
ズボることがないため、キックステップで歩きやすかったが、雪崩ないか少し心配になる。
ピークの直下で夏道に合流する。
ここでライチョウにあった。
憔悴した私を癒してくれるのであった。
平に出たときは思わず、叫んでしまった。
あの時の喜びは忘れない。
ここからは快適な縦走路だと喜んでいた矢先、北燕岳手前の岩峰群で夏道が消える。
夢であってほしいと思ったが夢ではなかった。
稜線上の方から行こうと思ったが、確保しながらでないと厳しい。フリーではとても抜けることはできない。
その為、大町側をトラバース。
非常に怖いトラバースであった。
一歩間違えれば、止まらないであろう。
必死にクライムダウン・カニ歩きで慎重に進む。
思った以上に長いトラバースであった。
もう二度とあんなトラバースをしたくない。
北燕岳が間近になり、山頂に人が立って、こっちを見ていた。
Help me〜!と助けを求めたい心情であった。
何とか無事に北燕岳着くことができた。
山頂から私を見ていた二人が「すごいかっこよかったですよ」と言ってくれたが、こっちはあの時それどころではなかった。ともあれ、無事についてよかった。
ここからは本当に楽しい縦走路であった。
景色も楽しみつつ、燕山荘へ急ぐ。
燕山荘のスタッフに合戦尾根の状況を聞いたが、合戦尾根の情報を知らないということはピストンではないことがわかったようで、どこから来たのかと尋ねられ、「餓鬼岳から来ました。」と話すと「よくここまで来たねぇ」と言われた。
ただ、北燕岳より北は登山禁止となっている。
その為、北燕岳手前の岩峰群をトラバースしたこと、すなわち、トレースを付けたことについては軽く叱られてしまった。
それもそうである。トレースを見つけ、興味本位で登山者があんなところを歩き、滑落してしまったら大参事である。
お願いとして、北燕岳より北に伸びているトレースには決して行かないでほしい。
そんなこんなでひとまず、燕山荘ゆっくりと休憩した。
水がほとんどなかったのでここでCCレモンをがぶ飲みし、てんぷらうどんを頂いた。
てんぷらうどんを食べ終わったらすぐに出発した。
もうちょっとゆっくりしたかったが、バスの時間もあったの急いだ。
合戦尾根はトレースがバッチリで餓鬼岳周辺と比べると天と地ほどの差がある。
雪崩のように駆け下り、1時間半もかからず降りることができた。
最後に。
まず、このルートは本来、登山禁止のルートであることを忘れないでほしい。
もし、行くのであれば、予定を多く取っていくことが必要である。
また、ソロで行くのもおすすめしない。私はソロで行ったが非常に苦しかった。
今回、初めてこのルートに行ったが、夏に一度行くべきであった。
ルーファイにかなり手こずったものだ。
少し早い時期ではあったが、このルートに行こうとした記録がいくつかあった。しかし、ほとんどが敗退していた。
このルートのシビアさを語っている。
何度も言うが、北燕岳より北に伸びているトレースがあったとしても、軽率な気持ちで行かないようにしてほしい。
このルートで私は、自分の持てる技術を総動員して完遂できた。本気で山をやってきた二年間は無駄ではなかったと感じる。
多くの経験を得て、印象の残る山行となった。
長文失礼いたしました。<m(__)m>
始めまして。
大変な山行、お疲れ様でした。
ところで、北燕岳より北側が通行規制とは初耳でした。ネットでちょっと調べてみましたが、特段ヒットせず。
規制の根拠がもし分かれば、教えていただければ幸いです。
初めまして!
ご覧いただきありがとうございます!
私もネットで調べたことがありますが、燕山荘のフェイスブックで2年ほど前に登山道の状況についての投稿がありました。そこには、北燕岳より餓鬼岳方面の侵入を禁止する内容だったと思います。
また、燕山荘に登山道の状況を記した張り紙があると言われ、結局どこにあるかわからなかったのですが、そこにも記してあるそうです。
小屋のスタッフの方に直接言われたので、通行規制は事実なのでしょう。
根拠として考えられるのが、まず、登山道の整備が全く行われていないこと。餓鬼岳方面の登山道整備は6月下旬から7月上旬から行うとスタッフの方がおっしゃていました。その時期までは登山道が存在しないと言ってもいいかもしれません。
また、北燕岳からすぐの夏道は岩峰を巻く巻き道になります。
しかし、写真にもあったように残雪期は雪が付いてしまい夏道は消えてしまいます。
その為、夏道沿いを行こうとすると雪の斜面をトラバースすることになり、非常に危険なため、規制を行っているのでしょう。
個人的にも相当怖い思いをしました。
私見ではありますが、燕山荘が独自に規制しているものと思われます。
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