聖光縦走 (易老岳-光岳-茶臼岳-上河内岳-聖岳)
- GPS
- 53:31
- 距離
- 51.4km
- 登り
- 4,642m
- 下り
- 4,648m
コースタイム
- 山行
- 8:01
- 休憩
- 1:02
- 合計
- 9:03
- 山行
- 7:15
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 7:59
- 山行
- 7:33
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 8:17
6:26駐車場-7:24易老渡-11:30易老岳-13:56光小屋
休憩とテント設営
14:35光小屋発-14:47光岳山頂-14:54光石-15:25光小屋
7月21日(金)
3:30光小屋-5:13易老岳-6:38喜望峰-7:00仁田岳-7:53茶臼岳-9:37上河内岳-10:29南岳-11:30聖平小屋
7月22日(土)
3:38聖平小屋-4:00薊畑-5:21聖岳山頂-6:33薊畑-8:47西沢渡-9:26便ヶ島
休憩とテント乾燥
10:30便ヶ島発-11:53駐車場
天候 | 7/20(木):晴れ後曇り、微風 7/21(金):晴れ後曇り、微風、14時過ぎに雨ぱらつく 7/22(土):快晴、無風 いずれの日も気温高し |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
・駐車場-易老渡:ほぼ舗装のされた林道。標高が1000メートルに満たないので、昼間歩くときは暑い。落石注意、送迎のタクシーはこの区間入れる。 ・易老渡-易老岳:急登の連続でかなりつらい。樹林帯歩きで展望はほぼない。登山口が1で易老岳が30と番号が振ってあり、現在地の確認に役立つ。 ・易老岳-光小屋/光岳:静高平手前の登りを除き、大きな登下降はない。静高平付近までは相変わらずの樹林帯。静高平の水場は利用可能。水くみをしてから小屋へ行くことを促す看板があった。小屋から光岳山頂と光石は、往復で現地滞在を除いて1時間程度。光小屋のテント場は広くはないが、整地良く快適。テント場では携帯(ドコモ)は不安定だったが、小屋付近まで少し移動すれば利用可能だった。 ・易老岳-喜望峰-仁田岳-茶臼岳:喜望峰までは樹林帯歩き。トラバースのようで標高の変化はほとんどない。仁田岳は登山道がハイマツに覆われていて分かり難い箇所もあり。また、早朝は結露していて体が濡れる。茶臼岳に近付くにつれて展望が開けるようになり、アルプスの雰囲気がでてくる。 ・茶臼岳-上河内岳-聖平小屋:茶臼岳から上河内岳までは、一部標高を落として樹林帯にもはいるが、稜線歩きがほとんど。天気が良ければ快適。上河内岳は縦走路から離れている。上河内岳から聖平小屋までは標高を一気に500メートル以上落とす。光小屋から歩くと後半戦に当たり、道は歩きやすいとは言え、スリップなどに要注意。聖平小屋はテント場も広大で水場もあり快適。利用者向けのフルーツポンチが美味。 ・聖平小屋-薊畑-聖岳:薊畑の分岐から先はずっと登りの連続だが歩き易い。小聖岳付近は狭い尾根を通過するが、強風の時でもない限りは問題ない。山頂直下は落石注意。 ・薊畑-西沢渡-便ヶ島-易老渡:薊畑からすぐに樹林帯に入り展望は得られなくなる。標高1600メートル付近まではなだらかで歩き易いが、その後、西沢渡までは急登が続き、下りも登りの楽ではない。この区間は滑落防止のためのネットも張ってあった。西沢渡の渡渉は、篭でも木の橋でもどちらでも可。西沢渡から便ヶ島はほぼ平坦な道で、登山道というよりも何かの作業道のような雰囲気。途中、落石や土砂崩れで道が塞がれていて歩き難い箇所も多い。便ヶ島は聖光小屋が営業していれば頼りになる登山基地となるだろうが、今は休業中の模様。便ヶ島より先は林道歩き。 |
写真
感想
以前から実施の機会を窺っていた光岳と聖岳を合わせた縦走、聖光縦走と記録のタイトルは名付けたが、順番は光→聖になった。きついだろうと予測はしていたが、コースタイムは3日間とも10時間を越えるし、途中小さいながらも予想外のこともありやっぱりキツイ山行となった。
7月20日(木)
梅雨明け翌日から夏休みとは実にタイミングが良く、快晴の天気の中クルマを飛ばすが、駐車場の北又渡は遠い。遠いだけならまだしも途中の道は狭いし落石だらけだしと運転だけで既にかなり疲れていたのも事実。無事クルマを停めたが、平日にも関わらず多くがとまっていた。既に時刻は6時であたりに人気はなく、既に出発したか山中泊が多いのだろう。こちらも準備をして4日分の食料と2.5リットルの飲料水、それに久々のテント泊道具を詰めたザックを背負い歩き始める。今シーズン初のテント泊山行は、もっとお気楽なところにでもすれば良かったかもしれないが、これも巡り合わせなので仕方ない。足下も半年ぶり以上の重登山靴。歩き始めの5kmはほぼ舗装された林道歩き。道に不具合もないし、手前でゲートを設置する意味がよく分からない。重荷と硬く重い靴にあえぎながら歩く。ここを飛ばすとこの先の登りで足が攣ると思い、意識的にペースが落とす。歩き出して約1時間で易老渡の登山口到着。暑い。鉄製の橋を渡るところに1番と書かれた看板を見る。この尾根の頂点である易老岳が30番目になっているらしい。30もこの後これを見るのかと思うと気が遠くなるが、自分の好きでやっていることゆえ行くしかない。登山道に入ると、地図で見たとおりの急登が続く。登っても登っても急登。足を攣らせたくないのでとにかくペースは落とす。登山口で見たX番目は律儀に出てくるが、30もあると中々減らない。面平や馬の背と名の付いたところもあったようだが、樹林帯で景色もほとんど見えず、急登の中下を向いて黙々と登るしかなかった。早朝からの行動ができず、酷暑を予想しての登山だったが、樹林帯で日差しを遮られるので、思いの外は暑くはなかったが、それでもシャツが絞れるくらいに汗をかいての登りとなった。結局本当に何も見えないままで約4時間かけて易老岳に到着。ここまでアルプスの雰囲気は全くなし。それに困ったことが。急登のなかゆっくり歩いたつもりだったが、足の裏にマメができてしまった。靴下の中で足が動いていたのが自分でも分かったが、これが原因のようだ。靴を脱いで確認するのはさすがに億劫だし、痛くて歩けないほどでもないのでそのまま進むことに。ここからは西方に向かい、しばらくは細かなアップダウンで終始する。樹林他切れて先が見通せる箇所も出てきて、ようやく気分も向上してくる。静高平の手前は岩がゴロゴロ転がる歩き難いところで、標高差をここで稼がなくてはならず、きついところだった。ゴーロ帯をこなすと平坦地に出る。静高平だった。ここで水を採取、明日もどうせ通るのだからテント場で必要な水だけ持って上がれば良いのだが、ここでくめるだけの水(4リットル)をくんでザックに詰める。あとはほぼ平行移動なのでできることである。光小屋の手前には木道があり、途中でイザルガ岳への道もあった。大ガスにでもなっていたら山頂はパスしただろうが、何とか展望は得られそうなので向かうことに。イザルガ岳山頂は、ようやくアルプスの山頂らしい雰囲気が出てきた。明日の縦走路の下見をしたかったが、あいにくのガスで叶わず。夏の時期の午後なので致し方ない。雷雨に遭わないだけ良しとしなければ。最後木道を歩いて無事に光小屋に到着、足は攣らなかった。ここで受付とテント設営をした後、光岳の山頂と光石へ行くことに。山頂は事前に聞いていたとおり樹林帯の中にあり、地味だった。ここが山頂と言われない限り通り過ぎる所だと思う。さらに先へ行き光石に足を伸ばす。ちょうどガスがかかったり晴れたりを繰り返す時間で、写真を撮るには良い時間ではなかったが、少し粘って何とかガスの晴れた時間に写真を撮る。光って見えないのは自分だけだろうか。このあと小屋に戻りストレッチや明日の準備などして過ごす。足裏のマメは左に2箇所、右に1箇所。左が特に痛く、あと2日なんとかもたせるしかない。夕方は小屋周辺はガスに覆われてなにも見えず、今日の疲れと明日も予想される疲労に備えて明るいうちに就寝。テントは自分含めて4張りと少なかった。
7月21日(金)
標高は2500メートルを超える光小屋だが、テントの中で寝袋で寝ていて寝汗をかくほどだった。寒さは朝も感じず。テントの外に出てテント撤収にかかる。例によってフライシートはたっぷり結露していて、これを全部拭き取るのは時間が掛かりすぎるので、適当に払っただけで袋に詰める。薄明るくなるのは4時頃だが、それよりも大分早く3時30分に小屋を出発。あたりはまだ当然しんとしていた。真っ暗な中木道を歩き、静高平を過ぎ、ゴーロを下る。夜が明けて明るくなる前から気付いてはいたが、ガスが濃く、LEDのヘッドライトがガスにあたり、先まで照らしてくれない。昨夜も雨はなかったと思うが、朝露が重くなって落ちてくるのか、樹上から時折ポツポツ水が落ちてくる。易老岳でこの日最初の休憩。足裏のマメは痛いが行くしかない。ここから先は標高差がほとんど変わらないトラバース区間。本来ならここでペースを上げて飛ばすのだが、この日は全く足が先に進まない。眠いというか、だるいというか。テント場でカゼでもひいたか?と思うほど不調だった。先が長いので無理もできず、ゆっくりでも確実に先に進む。喜望峰に到着する頃にはガスが取れてきた。といよりも、ガスの出ていた標高より高いところに出てきたらしい。ここから往復30分程度でピークがあるというのでザックをデポして行くことに。ここでひどい目に遭うとは当然想像もしていなかったが。仁田岳へのルートは所々ハイマツに覆われていて、そこをかき分けながら進んでいく。足下には朝露をたっぷり含んだ草もあり、ここを歩くと腰から下が濡れた。濡れてもこの天気だしすぐに乾くだろうと安易に考えたが、今日は先の暑さを見越してスパッツを身に付けていなかった。靴下が盛大に水を含んだのだ。仁田岳に到着したころには、まだちょっと濡れてるかな?くらいだったのだが、喜望峰に戻った時には濡れた靴下が大量に水を吸って、登山靴の中まで浸水したような状態に。まずい、この先このびちょびちょの靴で歩くのか。肝心の仁田岳のピークは、この先の山々も見えて良かったのだが、その感動も薄れるような失態をしてしまった。ザックには予備の靴下は当然入れているが、ここで履き替えたら二足とも濡らしてしまうのでそのままで行くしかない。足のマメの悪化が予想された。なるべく足のことは気にせず進むことにする。天気は快晴、無風。茶臼岳までくるとこの先の縦走路や上河内岳がくっきり見えた。そして、この先は10年近く前になるが一度歩いた区間になる。茶臼岳から下り、小屋には下りずに縦走路を進む。草原が出てきてその先に上河内岳がどんと聳える。過去に歩いた記録はあっても、こんなに上河内岳が立派に見えた記憶は全くなかった。人の記憶はあてにならない。濡れた靴の中は多少改善したようには思えたが、それでも乾燥状態には程遠いままで上河内岳の肩に到着。先を急ぐべきなのかもしれないが、この天気でピークを踏まないほうが後悔しそうなのでカラ身で往復することに。10時前で少し雲は出始めていたものの、正面の聖岳はばっちり見えた。肩でザックをピックアップして先に進む。ここから先は聖平小屋まで500メートル以上下る。既に7時間近く行動しているし、靴の中は濡れているしで、気を付けて下るしかない。2度目のコースの筈だが途中の記憶は全くなかった。足がそろそろ限界になってきたころになってようやく聖平に到着。出発から8時かかかった。受付を済ますとフルーツポンチをどうぞと言うではないか。ここは3回目だが以前はなかったように記憶している。甘くて冷たくて生き返る心地だった。テントを張り、濡れ物を乾かし、何より足と靴と靴下を乾かすことに専念する。14時頃ににわか雨がパラパラ降りその間はテント内で沈殿したが、それ以外はずっと外で乾燥に努めたため、靴も靴下もほぼ乾いた状態までもっていけた。早着の利点がここにも活かされたと言えよう。外で休憩中は、ストレッチにも時間を割いた。2日間とも10時間を越えるコースタイムゆえ、体は疲れていてこの日も明るいうちに就寝。
7月22日(土)
3時30分に出発予定だったが少し遅れてテント場を出る。聖平小屋は広くてテントも多く張れるので、周囲は一晩中イビキやらテント内のゴソゴソ音がしていたが、耳栓をしたうえで、自分としてかなり熟睡した。やはり体が疲れていたためだろう。水2.5リットルを持ちテント泊道具一式を詰めても、ザックが大分軽くなったことを感じた。食料を確実に減らしたのが奏功したのだろう。靴下は、十分乾いてはいたが、予備に物に履き替えた。マメは、、、痛いが痛いとか言っていられない。薊畑の分岐で必要最低限のものだけサブザックに入れ、残りはカバーを掛けた上でデポする。朝4時くらいなのでまだ真っ暗。サブザックは重さが3kgもないと思うので、とにかく軽くてペースが上がる。先行者が何人かいたが、いずれも先に行かせてくれる。あまりペースを上げて足でも攣ったら嫌だし、何より今日は聖岳山頂から2300メートルくらいトータルで下るので、そのために足を残しておかなければならない。でも体が先に進みたがるというか、軽荷なので先を急ぐことが苦にならない。途中、モルゲンロートの時間になり写真を撮ったりしながらも、薊畑の分岐から1.5時間かからずに山頂に到着。ここは3回目。山頂は広い。この日は快晴、無風なので寒さも微塵も感じない。昼寝というか朝寝でもしたい気分だったが、この先のことを考え、また来ます、と挨拶して下山開始。下山を始めると、続々と後続の登山者が。案外意外だったのが、自分のようなピストンの登山者が圧倒的に少ないことで、ザックの大小はあるものの、皆縦走して行くように見えたことだった。この先のアップダウンに苦しんで、そして何より楽しんで下さい。下りは落石注意だし、あまり飛ばすと転げ落ちそうになるので慎重に歩く。途中何度もすれ違いで待ったが、山頂を出てから1時間かからずにザックのデポ地に到着。休憩とパッキングの後に下山開始。薊畑を下るとあっと言う間に「アルプス終了」と言わんばかりに樹林帯に入り展望もなくなる。後はひたすら下るだけだ。始めのうちは傾斜が緩やかで歩き易く、それが1600メートル付近まで続いた。この辺りまでは正確に10分で約100メートル標高を落とすペースだった。それより下は傾斜がきつくなり、下るペースは速まったかもしれないが、慎重さが求められるのでその分気を遣う。ネットが張ってあって滑落防止にしていたり、滑落注意を促す看板も多く見られた。標高が下がるに連れて気温が上がり暑さを感じるように。樹林帯なので帽子を脱いで歩いていたら、頭から汗がポタポタ滴るほどだった。帽子は頭部の保護以外に汗止めの役目も果たしている。薊畑からキッチリ2時間で西沢渡の渡渉箇所に到着。あの有名な篭で渡るところだと思ったが、どうやら普通の木の橋もあるようで、そちらの方が簡単なので橋で渡った。これでほぼ下山は終了と言っても良いが、この先まだ相当の距離が残っているのも事実なので、気合いを入れ直して歩き出す。便ヶ島まではほぼフラットな道だったが、途中途中が土砂に埋まっていたり、落石が多かったりで気が抜けなかった。それでも標高差がほぼないので楽である。便ヶ島には9時30分頃に到着。広々としていてテント場もあるようだが無人だった。天気は快晴で風もなく、干し物にはちょうど良い気候だったので、先を急ぐよりもザックから洗いざらい取り出して干し物をすることに。自宅付近でテントを乾燥させるのは至難の業なので、帰宅前にできるほうが助かるのだ。1時間ほどあらゆるものを取り出して乾燥させた後に便ヶ島を出発。この後はひたすら林道歩き。日は高く、気温も高く、重荷は水分を飛ばして多少軽くなったとは言え、足下の重登山靴でのアスファルト道路歩きは楽ではなかった。足のマメは、乾燥した状態だし、今日は念の為できそうなことということでテーピングをしていたので傷みはあまり感じることなく進める。易老渡を通過し先に進むが、この後何台かのタクシーとすれ違う。炎天下の林道歩きなのでなんの面白味もないからタクシーでもなんでも乗りたかったが、ここは辛抱である。時折下りの坂をすごい勢いで自転車が追い抜いていく。炎天下ではあったが木陰も多く、そこを選んで歩く。便ヶ島を出て1.5時間程でようやくゲートに到着、足が棒になりかけたがゴールに到着できた。クルマの温度計は30℃になっていて、普通なら家で涼んでいる気温だった。
聖光の縦走は、何年も前から計画していたものの、暑さを避けるため秋に狙っていたため、その時期になると林道が台風や長雨で崩落して翌年まで待つ、を繰り返していた。畑薙からピストンも考えた時期もあったが、その場合薊畑から易老渡が残ってしまうので却下していた。今回希望通りのコースを歩けたが、正直きつくて、二度目は今のところは考えられない。せめて易老渡までクルマが入れるようになるだけでも楽なのだが、聖光小屋も営業していないところからも、易老渡まで一般車が通れるようになることはないのかもしれない。
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