白峰三山 白根三山 農鳥小屋ご主人生涯現役宣言 奈良田から広河原へ 農鳥小屋泊
- GPS
- 32:00
- 距離
- 24.5km
- 登り
- 3,299m
- 下り
- 2,614m
コースタイム
- 山行
- 7:40
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 8:20
天候 | 晴れ 稜線でガスと風あり |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所は特にありませんでした |
写真
感想
年にあっても数回ですが、いつもの職場の先輩と出かける山行に、来年の7月には5年の日本滞在を終え米国へ戻ってしまう同僚が加わりました。同僚は数年前から農鳥へ行きたそうだったのですが、先輩と相談してきついだろうという判断で、かわいそうですが一緒に行くことはありませんでした。ところが来年の8月には日本にはいないということ、今回は日帰りではないこと、本人がだいぶトレーニングを積んだことがあって、今回は誘い一緒に行くことになりました。不安もあったのですが、行程が大きく遅れることもなく無事に下山でき、先輩も含めて全員が大満足の2日間になりました。
今回もなのですが、農鳥小屋のご主人(陰ではオヤジなどと勝手に呼んでいますが)に会うのが目的です。また、お世辞にしか聞こえない方も多いとは思いますが、そこでの2回の食事を本当に楽しみにしています。また、主人が今シーズンを最後に引退するという情報をネットで散見しましたので、それが事実か確かめるためでもありました。幸い先輩がご主人と仲が良く、小屋に着くといつも先輩の名前を呼んで歓迎してくれる関係なので、とても快適に過ごさせて頂いています。ご主人が必ず間違って「おお、△△さん」と必ずある特定の名字を最初に言い、先輩が「いつもオヤッサンが名前を間違える○○だよ」と訂正すると、「おお、またまちげぇたか」という問答が毎回繰り返されます。当方はそれをいつも横でニヤニヤしながら聞いています。
宿泊受付が終わった直後、唐突ながら先輩に今年で最後なのか聞いてもらいました。当方がネットでそのような情報があることを伝えたところ、「くたばるまで続けるさぁ」ということでした。確かに脚と腰に不安があるそうですが、特に変わった様子もありませんでした。ご主人には「俺の悪口でいいから、『残念ながらやめるつもりはない!』と書いておいてくれ」と言われましたので、ユーザーの皆さんには、ほぼそのままお伝えします。我々はたいへん安堵したところです。ご主人は独り言のようにこんなことを言っていました。「ここに来る登山者が少ないんだよな、俺の評判が悪いからかな」と。ネットに拡散した実態よりも誇張された悪い評判に影響され、農鳥小屋を敬遠している方が多くありませんか。ほんとにもったいないですよ。また、ご主人の物言いが悪いと言われているようですが、耳が遠いので声が大きくなり荒っぽく聞こえること、また、元来甲州弁は喧嘩をしているような口調に聞こえるということ、さらに、奈良田の方言はその甲州にあっても非常に特異なものであること、こんなことも皆さん承知しておいて下さい。
実はこの日の前日8日になって、先月の24日に奈良田から笹山に入山したお二人が行方不明であるということがわかったそうです。ご主人は仕事の合間合間に警察関係者などと何度も連絡を取っていました。この日の段階で周辺で計5名が行方不明になっているそうで、「あぶなっかしいやつらが多すぎる、おれみたいなうるせぇやつが必要だ、だからやめねぇ」といった感じでおっしゃってました。全くその通りです。ご主人のような方が登山道から何から整備をしてくれているから、本来人を寄せ付けないような領域に我々一般人が遠足のように行くことができるようになりました。突如牙をむいた自然に遭遇して、初めてその怖さがわかっても手遅れであることが珍しくないからこそ、ご主人はそのことがわかっていない人に強く啓蒙しているのではないでしょうか。その機会は何度もあるはずはなく、一度だけ。強く言う必要はあると思いませんか。優しく「危ないですよ」と一度だけ言われて、今時誰が襟を正すでしょうか。常々思ってることですが、ご主人のことを理解できない方は、古くから山に入ることで生活を営んできた方々の生活文化に関する見聞を広め、自然に対する姿勢や謙虚さを見直した方がいいのではないでしょうか。地元の人が家から離れた山の上の畑に通うために使っていた道、採集や狩猟、炭焼きに使っていた道を、後から入ってきた人たちが整備し、登山道としたケースが多いのではないですか。ただし、ここでご主人を理解するとは、ご主人を100%是認せよということではなく、その発言の背景を理解せよということになるでしょうか。
登山の様子です。降下点までで、下りの5人、登りのお二人、それ以外には誰もいませんでした。とても静かな山行、これを望んでいるからこそ、いつも奈良田から入ることにしています。前日までは天気予報とにらめっこ。台風5号の影響により、前日の夕方4時まで国道52号から奈良田まで交通止、その1時間後まで奈良田から広河原までが交通止、という綱渡り状態でした。しかし、台風一過を狙った思惑はほぼ的中。2日目の間ノ岳までは風もなく今までの中で一番の天候でした。一方、朝の農鳥小屋から眺める間ノ岳山頂は霧がかかり始め、間ノ岳登頂時は山頂は霧の中、以降の稜線では、時折霧の合間から見える景色を見落とさないよう、少し強めの西風に終始さらされながら進みました。次の日は山の日、北岳からの下山では、大きなザックで汗びっしょになって山頂を目指す多くの方に会いしました。
農鳥小屋の水場についてです。小屋から水場まで15分ほど下りますが、その斜面は一面お花畑です。でも、本来は腰高の草地だったそうです。鹿が食べてしまい今の状態になったそうです。確かに、一帯は鹿の踏み跡だらけ、一部土壌が露出し、このままでは地形さえ変えてしまう可能性もあるそうです。ここまで鹿は進出しています。北岳方面は管理捕獲など盛んのようですが、こちらには全く手が回っていないそうです。どちらにしても、鹿については、今更、広すぎて人間の力がおよぶ範疇にありません。ご主人もそう言っておられました。
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