無礼な裏銀座縦走 巻けるものは全て巻く
- GPS
- 56:00
- 距離
- 34.7km
- 登り
- 2,611m
- 下り
- 2,826m
コースタイム
0650高瀬ダム→1230烏帽子小屋
2日目
0530烏帽子小屋→0830野口五郎小屋0840→0940真砂岳分岐→1250水晶小屋1304→
1355岩苔乗越→1522黒部源流碑→1615三俣山荘
3日目
0630三俣山荘→0930双六小屋0945→1100弓折乗越→1150鏡平山荘1218→
1358秩父沢→1450小池新道入口→1625新穂高登山センター
天候 | 連日午前中は晴れ、午後から曇り、雨は降らず |
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過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー 自家用車
新島島→松本→信濃大町 列車で移動。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
ブナ立尾根から烏帽子小屋まで特に危険な箇所なし。 コースが長いのできついことは間違いないが「急登」というのはちょっと違うイメージ。 烏帽子小屋から野口五郎岳までも快適な稜線で危険なところはない。 野口五郎岳から水晶小屋は鎖・ロープの箇所は多くないが、個人的には結構危ないと感じた。 好天時でも危ないがガスなどで視界が悪くなると薄くなっているペンキの見落としが怖い。 水晶小屋から三俣山荘への巻き道(黒部源流ルート)は渡渉が結構ある。 通常時は問題ないが、増水時は多分結構大変。 三俣山荘から双六小屋(巻き道)は勾配の緩やかな道でほぼ問題ない。 途中1箇所尾根を乗り越える場所があり、そこだけしっかり集中していけばOK。 弓折乗越から鏡平小屋は登山地図によると登り下りでコースタイムが倍違う。 どれだけ急勾配なのかと思ったがそれほどでもない。 鏡平小屋から新穂高まででは増水時の秩父沢あたりが要注意。 |
写真
感想
夏山シーズン最大のイベント(裏銀座→槍→表銀座)の縦走を計画しました。数ヶ月にわたって温めていたプランです。
台風12号の奴が邪魔しようと日本列島ににじり寄ってきます。しかしどうやら私の日程にはかからずに済みそうです。予報では曇りメインですがその程度なら中止する訳にはいきません。
前日の午後11時に成田の自宅を出発。高速料金を多少浮かせるために首都高を避け柏から常磐道→外環→関越→上信越→長野と乗り継ぎます。がしかしいきなりケチがつきます。
バカナビが常磐道下り線に誘導したため一度下りて上り線に乗りなおし。もう少しちゃんとルートを確認しておくべきでしたね。途中妙義付近では雨が降っていました。天気大丈夫かな…。
信濃大町のタクシー会社に車を預けて高瀬ダムに送ってもらいます。相乗りの相手が見つからず一人で8000円を負担するのも誤算でした。嬉しい方の誤算は天気です。下界は小雨でしたが高瀬ダムは晴れ。
天気がよいためかなり暑く、きついことはきついです。しかし、他の皆さんの感想通り「三大急登」ってほどではないと思います。とは言え3泊予定のテン泊装備では慎重にゆっくりと登ります。途中からガスが出てきましたが日光を遮ってくれるのがありがたいくらいです。
ところがブナ立尾根の番号△諒佞蠅捻ι┐飽枴僂。今まで登山していて異変が起きたのは太腿くらい、膝は初めてです。しかしここまで来てしまっては下りる方が大変そうです。とりあえずあと少し登って烏帽子小屋で様子を見ることにします。
テントの受付・設置を済ませ小屋のスタッフさんに痛み止めの薬がないか相談すると…薬はないが使用期限の切れた湿布があるので無料で譲ってくれると…ああ、ありがたい。早速貼って明日まで様子を見ます。小屋でビールを飲み、埼玉から来たお二人連れからウイスキーを振舞っていただきました。
この日のテン場は3張り、ここでヤマレコユーザーのchad123さんにお会いしました。chad123さんもいずれ記録をアップされると思いますが、現在忙しいようでしばらく先になりそうです。
小屋の夕食の時間が近づいてきたのでテントに退散し、スタッフ会議です。
例によって、私・私の太腿・私の脹脛(ふくらはぎ)がメンバーです。
私: 弱ったね。まさか膝から泣きが入るとは…。おまえなら想定内だが(と太腿を見る。)
太腿: あん? 俺様にケチつけようってか? ここんとこ俺がチームに迷惑かけたことがあっかよ?
私・脹脛: (それはここのところヘタレなお前を労わってるからじゃん…)
脹脛: それよりも明日どうするか、それを決めなくちゃでしょ。選択肢は?
私: まあ第一に様子を見て明日ブナ立尾根を下山する、第二に予定通りに先に進む…、これは論外か?
太腿: バカヤロー、論外なのはブナ立尾根を下山するって方だろうがよ。初志貫徹あるのみだっての。
脹脛: 無茶苦茶ですね。初志貫徹ってことは槍ヶ岳に登って東鎌を下りるってことですよ。無理ですよ。
私: そうだな…。仮に先に進むにしても巻き道主体で行くしかないな。槍は諦めて新穂高に下山ってとこか。
太腿: 冗談じゃねえ ! 槍は諦めて他の山頂も巻くってか? お前ら北アルプスに対して無礼だと思わんのか?
私・脹脛: (おおっ、こいつにも「無礼」なんて感覚があったのか…? それはさておき…)
私: まあ、無礼には違いないが、みんな言うじゃん「山は逃げない」って。またいつか来ればいいよ。
太腿: ああん? 山が逃げないって誰が決めたんだ? 今まで逃げなかったからこれからも逃げないとは限らねえっ!
私: (こいつはもう相手にしないで置こう) で、どうする? ブナ立尾根を下りるのも結構骨だぞ。
脹脛: (そうですね、アホは無視しましょう) 先に進みませんか? 巻ける山頂は全て巻くってことで。下山は新穂高ですね。
私: まあ奴の言うように北アルプスに対して無礼な気もするけど、この際仕方ないか、明日の膝の調子次第だけど…。
と言うことで縦走継続の方向で行くことになりました。
翌朝は快晴。多少天気予報に懸念がある程度なら山には来てみるもんですね。膝はしっかり痛みますが快適な稜線です。写真でしか見たことのない名峰が勢揃いです。そして初めてのナマ槍ヶ岳も。一際目立ちますねえ。
野口五郎小屋で一度は追い抜かれたchad123さんに追いつきました。膝の具合について話していたらテーピングをしていただきました。これが効果を発揮したのかしばらく登りや平坦部では痛みが薄らぎました。下りはやっぱり厳しかったですが。
その後再びchad123さんにあっさりと抜かれ、真砂岳分岐を過ぎた辺りから道が厳しくなってきます。水晶小屋は終始見えていますが中々近づいてきません。今回の山行中一番きつかったです。
水晶小屋では既に水晶岳に登頂して戻ってきたchad123さんと再遭遇。三俣山荘での再会を期して別れます。彼は稜線ルート、私は巻き道ルートです。黒部源流を通る巻き道ルートは水が豊富で花と虫がすごいです。
最後の登りが結構大変でしたが三俣山荘に到着。chad123さんのテントは既に設置済み。私もテン場の受付へ行きます。三俣山荘の受付の女性はとてもよい感じの方ですね。終始にこやかにされていて疲れが癒されます。
この日は結構到着が遅く、調理をするのが面倒なので行動食の魚肉ソーセージをビール2本で流し込んで就寝します。
翌日も快晴。膝の具合も前日よりはよいようです。三俣蓮華岳・双六岳を右側に見ながら巻き道を進みます。双六小屋への最後の下りが膝に効きます。すぐそこに見えているのになかなか近づきませんが何とか到着。ここで三俣蓮華・双六を登頂してきたchad123さんと再遭遇。槍に向かう彼と別れ、私は鏡平小屋に向かいます。
さて、双六小屋はパスしてきたけどどこまで行くか。鏡平小屋はテン場がない、わさび平小屋はほぼ下界、悩みます。鏡平小屋には11:50に到着。これなら新穂高まで下りられそうです。しかし下りても松本行きのバスには間に合いません。
まあわさび平小屋に泊るかは下りながら考えよう、と思っていたら道中抜きつ抜かれつしていた名古屋のNさんから有難い申し出が。新穂高に車が停めてあり、新島島まで乗っけていってくれることに。いやあ有難い。こうなれば目指すは新穂高です。
最後の力を振り絞り林道を歩きます。右膝の具合は何故か林道に入ってから悪化して踏ん張りが利きませんが新穂高に到着。Nさんの車に乗せていただきます。茨城からのもう一人の同乗者の方を平湯温泉で下ろし、その後新島島の駅まで送っていただきました。
18:45くらいの電車で松本に出て、乗り継ぎ悪く20:15の電車で信濃大町駅に向かい21:15くらいに到着。車を回収し松本の瑞祥で入浴後車中泊。翌日松本城を見物して帰ってきました。
色々と反省すべき点の多かった山行ではありました。せっかくの北アルプスで近くまで行きながら登頂できず残念でもあります。しかし午前中は天候もよく、壮大な景色を楽しむことは出来たので結構満足しています。登頂できればもっと楽しいのでしょうが。
chad123さん、テーピングありがとうございました。いただいた分で翌日も大分楽でした。
烏帽子小屋の受付の方、湿布をありがとうございました。これも大分効力を発揮してくれたと思います。
埼玉からの二人連れの方、ウイスキーごちそうさまでした。途中靴底がはがれたと伺いましたが無事下山されましたか?
名古屋のNさん、新島島まで乗せていただきありがとうございました。おかげさまで翌日松本城を見物する時間が出来ました。
ご無沙汰しております。Happiです。
膝の具合は大丈夫でしょうか
初日に痛みが出てしまっては、どうしようか相当悩みますね。スタッフ会議の様子から、相当迷われたことが想像できます。
成田から首都高抜けるのは勇気が要りますね
私も北ア方面に行くときは信越道経由です。
裏銀座はいいですよね。「銀座」とはいえ、人も少なく
「あ〜奥地まで来たな〜」という感じで。
膝、お大事にしてください
スタッフ会議のくだり気に入りました。
ちなみに自分も千葉県民なのですが、首都高に突撃して、いつも後悔しています。
スタッフのみなさんに宜しくお伝えください。
こんにちは、zawadaと申します。
僕もちょうど1か月前、裏銀座〜表銀座一気歩きをもくろみ天候不良で表銀座を断念しました。
僕の場合は終始天候不良 だったため、mustcut15kさんの撮られた写真を拝見していると、「う〜ん、、こんな景色は見ていない。。。 」という感じで、うらやましいです。
膝のその後はいかがですか?
僕も去年の10月に膝痛を発症し半年間リハビリを強いられました。いまだ完治はしていませんがなんとか山歩きができる状態は保っている感じです。
僕の場合は無理して山に行き続けて悪化させてしまったので、まずは安静第一だと思います。
膝の回復、お祈りしています
コメントありがとうございます
>成田から首都高抜けるのは勇気が要りますね
>私も北ア方面に行くときは信越道経由です。
ですよね〜。往復で小屋のビール2本分違いますから
今まで膝が悪くなったことは一度もないのでビックリでした
多分装備がいつもより重かったからなんでしょうね。
下山後飲んだロキソニンの痛み止めはかなり効いたようです
これからは山に必ず持っていくことにします
裏銀座いいですねえ
平日メインということもあるのでしょうが、ホント人が少ないです。
また行きたいですね。今度はちゃんとピークも踏まなくちゃ
>スタッフ会議のくだり気に入りました。
ありがとうございます
他の山行記録にもあるのでよかったらご覧下さいね
DUFFさんは奥多摩方面を攻めておられるようですね
Happiさんも私も奥多摩方面に行く時は首都高を使わず16号を利用しています
夜中の16号は結構サクサク動くので快適ですよ
今度うちの太腿を叱ってやってくださいね
zawadaさんの裏銀座レコ、参考にさせていただきました
膝の具合は下山後2日経った現在ほぼ回復したようです
でも油断禁物、安静第一ですよね。癖になっちゃうという話も聞きますし
ご心配いただきありがとうございます
槍ヶ岳山荘のテン場は残念でしたね
下界と同じタイムテーブルで騒がれるのはホント困ります
zawadaさんも膝お大事になさってくださいね
※ほぼ回復した、と書きましたが9月4日現在、まだちょっと痛みますね
「そのうち治るだろう」はやめて、ちゃんと病院に行ってきます
mustkut15kさん こんにちは
リアルなスタッフ会議の議事録、面白おかしく読ませていただきました。
でも本人は大変ですよね、すいません
膝の状況が悪いのにテント泊装備で裏銀座から新穂高までしかも3日間でって、すごいです
双六の降りきついの全く同感です。双六岳の山の雰囲気と急坂のギャップがそう感じさせるんですかね
裏・表銀座縦走のプランをいよいよ決行というタイミングでsakuraさんのレコが上がり、大いに参考にさせていただくはずでしたが膝の反逆には参りました
>でも本人は大変ですよね、すいません
いえいえ、楽しんで頂けて嬉しいです
>双六の降りきついの全く同感です。
上からしっかりと見えていて登攀ならぬ到達意欲を掻き立てる小屋ですが、膝には来ますよね
剣の動画拝見しました。怖いですねえ
いつか行ってみたいとは思いますが、いつになるのでしょうか
裏銀座は私にとって憧れです。
なかなかまとまった休みがとれないので行く機会が無いのですが、いつか歩きたい
写真を見ながら行った気分になってます。
スネの傷...じゃなく、膝の状態はいかがですか。
まるで修行のような山行をしてますなぁ...
スタッフ会議は笑えました。
仕事中に思わず「ガハハ」、椅子が転けそうになり周りのヒンシュクをかいました。
写真が豊富なレコは楽しめました。
懐かしいなぁ〜裏銀座。
確かに裏銀座はある程度まとまった休みが必要ですよね
ヤマレコユーザーさんの中には超人のような人たちがいます
そういう方々ならもしかすると日帰りなんてことも出来るかも知れませんが、常人は最低2泊3日必要でしょう
出来れば予備日もあった方がいいので4日間の休みって結構厳しいのは私も同様です
でも、それだけ苦労して行く価値はありましたね〜。
天候に恵まれたところもあって、膝の痛みを抱えていても充分に楽しむことが出来ました
大変でしょうが、何とかヤリクリして是非行っていただきたいです
>まるで修行のような山行をしてますなぁ...
ホントにね〜
山で修行をするつもりは全くないのですが見通しが甘くて修行風になってしまいます
そろそろきちんと反省しないといけませんね
まあ、天気がよかったので楽しみの方が大きかったですが、ガスで展望なし、雨でズブ濡れだったりしたら100%修行ですよね
でも実は前回の鳳凰白鳳峠から広河原への下りの方がはるかにキツかったです。今思い出してもあれはキツかった〜
mustcut15kさん、こんばんわ。
レポ拝見しました。北アより南ア派の自分ですが裏銀座はぜひ行ってみたいルートです。
いいですね〜。レポ読みながら半分行った気になりました。
あと北アで晴れる晴男っぷりがうらやましい(笑)
・・・にしてもヒザは大丈夫ですか??
山でケガ?するとあせりますよね・・・。自分もGWにネンザしたもんで。
山行にはいつも各種テーピングを持参してます。
しっかり治してまたガッツリな山行を期待しております!
>北アで晴れる晴男っぷりがうらやましい(笑)
いえいえ晴男って訳でもないんですよ。
雨が降りそうなら尻尾を巻いて山行中止にしてるヘタレなだけで
7月末にも新穂高から槍往復のプランがあったのですが例の豪雨で中止ですし…
>山行にはいつも各種テーピングを持参してます。
私もテーピングは必携になりそうです。貼り方もちゃんと勉強しないとですね
こんにちは。
凄い記事にビックリです。
バカナビ・・とは面白いです。ちなみに私は地図派ですので心配なし。間違えると、バカ爺になります。
ところで膝はいかがですか。
初日からのことで、大変さが良くわかります。
しかし良きスタッフに支えられ 、無事下山、
お疲れ様でした。
計画段階から見ていただきありがとうございます
残念ながら予定通りにはいきませんでした。
しかも膝まで痛めてしまいましたが何とか無事下山できました
膝は治ったかと思ったんですが、やはり現時点でも少々痛みますね
普段は滅多なことで医者にはかかりませんが今回は重要度の高い部位なので診て貰おうと思います
でも、大変は大変でしたが楽しかったですよ
おつかれさまでした。
早く復帰することを願っています。
出かける前の、スタッフ会議も開いてほしいです。
初っ端から膝を痛めて大変だったでしょうが、お疲れ様でした。
写真素晴らしいですね、晴れたのは何よりです。
今回もスタッフ会議が秀逸です。
冷静なツッコミの脹脛、そして太腿・・・暴走してますね
『山が逃げないって誰が決めたんだ?』
いきなり山が無くなったりしたら日本崩壊ものですな
膝加減でピークを巻いてしまい心残りもあるでしょうが、
これだけ景観の素晴らしい場所に居られた事に羨ましさを感じます!!
裏銀座、いつか行ってみたいですね
>いきなり山が無くなったりしたら日本崩壊ものですな
ちょっと想像しちゃいました。
昨日まであった北アルプスがなくなって平原にポツンと山小屋が点在する光景…
ビビりますね。「俺が悪かった〜! 頼むから戻ってきてくれ〜」って叫ぶかも…
>晴れたのは何よりです。
普段は天気予報に恫喝されると山行を中止しがちな私です
しかし脅しに屈しない勇気は時として大切ですね。泣き寝入りは犯罪を…、ん?
って話が脱線してました。山に行って見ると意外に天気が好いこともあるって話でした
裏銀座、是非行ってみてください
ようやくネット環境のある世界に帰ってきました…近いうちに記録をあげようと思います。
あの時は全部巻いてしまって、本当に残念でしたね…
来年また同じ計画でやるのですか?
ちなみに天気はあの後ずっとガスっていて、槍からは何も見えませんでした!
また山で会いましょう!
こんにちは、chad123さん。
ネット環境復活ですか?
レコずっと楽しみに待ってました。
近々アップされると言うことで
是非拝見させていただきます。
私が見損なった景色がどんなものだったのか
拝見するのが楽しみです。
来年はどうしようかな…。
表銀座も歩いてみたいですしね〜。
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