甲斐駒ケ岳(テント泊でじっくり満喫、南アルプスの貴公子と女王を間近で眺める山旅)
- GPS
- 24:00
- 距離
- 7.9km
- 登り
- 1,114m
- 下り
- 1,115m
コースタイム
2日目)5:15起床-6:10出発-6:50仙水峠(休憩)-8:40駒津峰(休憩)-(直登コース経由)-11:00甲斐駒ヶ岳山頂-11:30下山開始-(巻き道コース経由)-13:00駒津峰(休憩)-13:50双児山-15:00下山(北沢峠)-15:30バス出発-15:55広河原-(乗り合いタクシー)-16:50芦安駐車場
天候 | 30日曇り〜雨、1日晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
広河原にてバスに乗り換え、北沢峠まで。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
芦安駐車場横に食事、立ち寄り湯施設あります(営業17:00まで、と書いてました) 長衛荘はカフェ、甘いもののメニュー充実してました。 温泉は芦安温泉、桃の木温泉等、駐車場付近に豊富にあります。(今回は南アルプス街道沿い、甲府寄りの「天恵泉白根桃源天笑閣(立ち寄り500円)」に入りました。アルカリ性の温泉です。 駒津峰までは危険箇所ありません。(仙水峠側の道は駒津峰手前で急坂なぐらい) 駒津峰からは、少々岩場です。途中直登コースと巻き道コースに分かれます。 直登コースは少々ハードめな岩場が続きます。1箇所、岩に抱きつく様な形で狭いスタンスを踏んで岩の反対側に回り込むトラバースがあります。 上部はザレ道で、高度感も手伝いちょっぴり緊張感有。 巻き道コースは、分岐から最初10m程岩場を下りがあり、後はひたすら山頂までザレ道です。ロープ張られている箇所もありますが、ド派手に滑ると、停止出来る?といった感じでキケンそうな箇所もあります。 |
予約できる山小屋 |
北沢峠 こもれび山荘
|
写真
感想
前回の山行から1ヶ月が経ちました。
休日の度に何かしら緊急イベントが入り実家に帰ってたりで、
なかなか山に入れずじまいでした。
高度順応も期限切れってトコでしょう。
今回も、前々日まで当日予定が入っていたものと思っており、
北アルプスや北岳へのお誘いを泣く泣くお断りさせていただいてましたが、
再度確認すると1日違いだったので、1泊2日の山行を急遽計画しました。
装備は整っていたのですが、最後まで仙丈ケ岳と甲斐駒ケ岳で迷いました。
どっちも以前からの憧れの山です。
前夜、長期出張から一時帰宅してる知り合いらから飲みのお誘いがかかり、
「明日はヤマ行くんだから軽くね!」と言っといたものの、軽くで済むはずが
ありませんでした(汗)
二日酔いからシャッキリ醒める頃には朝も9時を回っていました。
富士山の南〜西側をぐるりと回り、山を越えて甲府を抜け芦安に着く頃には、
昼の1時に近くなり、ようよう本日の最終バスに滑り込みました。
北沢峠に着く頃には、夕方3時近く。明日早朝からの行動開始は変わらないに
せよ、日没までまだ時間が少々あるので、明日は甲斐駒に登る事にして、仙水
小屋まで上がりました。webでは北沢峠から1時間半、と記載の所が多いですが、
山と高原地図では10分+30分の記載です。大体後者の方のタイムで着けました。
久しぶりの、重荷を背負っての登りで、すぐに汗ばんで来ました。
1ヶ月のブランクはあるけど、訓練効果は出てたみたいで、心拍数少々高くても
息が上がらず、スイスイ歩く事が出来ました。
沢沿いを登っていくと、北沢駒仙小屋のキャンプ地に、たくさんの色とりどり
のテントが見えました。そこを超えて、更に登っていくと、丸木橋を渡ったり、
ロープのあるプチ岩場を登ったりと、それなりに変化のあるコースです。
もうそろそろ着いてもいいんだけど…と思った頃に、仙水小屋に着きました。
下から見るとテン場が見当らず、小屋の入口まで入っていっておそるおそる、
「あのー、テント場ありますよね?」とか聞いてしまいました。
400円払って斜面上方、小屋の裏手へと回ると数張りぐらいテント張れそうな
テント場がありました。が、テントが居ません…
今日は貸切状態で使えそうです。でも、小屋に人沢山泊まってるのに、
テント場一人ってのも寂しい様な…とか、単独行者マインドにそぐわない
気持ちも湧いてきて、夜中こっちにだけ動物襲来しないよな…とかあれこれ
思いつつ設営を開始しました。
設営してると、先程小屋の入口に居た宿泊客のお姉さんが、「設営の様子を
見せてください」、と声をかけてこられました。何でも小屋の方と友人で、
今日は旦那さんと来られてて、テント購入を考えているけど実際に設営する
所を見た事がないので、との事でした。「自分も2度ぐらいしか設営した事
ないんですけどそれで良ければ(笑)」とことわってから設営しましたが、
途中でミスって変なトコにポールを通してしまったりで、直すの手伝って
もらったりのご愛嬌っぷりを披露してしまいました。
設営も終わって夕食の豚汁とスープカレーご飯を作っていると、ポツポツと
雨が降り始めました。先程のお姉さんがやってきて、さっきのお礼に、行動食
にでもして下さい、と甘栗をくれました。単独でテントのつもりがこういう
交流が嬉しいサプライズでした。ありがとうございました。
夕方5時半、食事も終え服も着込んでシュラフに潜り、後は朝までの長い時間を
過ごします。小ぶりだった雨は、その内本格的な雨になり、少し風も吹いて
来ました。今回、テント泊でも出来るだけ荷物軽量化してみる、をコンセプトに
フライを持ってきませんでしたが、雨染みも結露も無く快適でした。中から
壁を触ってみると、丁度雨の日に傘の裏側を触る様な感じと言うか、あ、表は
濡れてるんだなぁって感じでした。ただ、ガイラインを張る時に石に巻くのを
テキトーにやってサボってたら、ついた雨粒の重みで引っ張られガイラインが
弛み、テント生地がたゆんたゆんなってしまってたので、きちんと張るべきだと
学べました。
シュラフに入っても、そうそうすぐには寝付けません。外界情報が遮断された
静かな山の中、ただ天井を見ていると、日常の事や何かが次々に休む間も無く
心に浮かんでは消え、ゆっくりそういう時間を楽しめました。ちょっとテント
から外に出ると、山の中、薄い布壁で仕切られただけの小さな空間に寝てるだけ
なのですが、中に入ると意外と広く感じるというか部屋感があるのが何だか
不思議でした。厚めのマットとプラティパス枕があれば、最早快適なエアベッド
とウォーター枕状態です。マットから足をはみ出させると、床下に張った木の根
が地面を感じさせてくれます。ウトウトしては、何度も空を飛びかう飛行機の音
で目が覚め、段々自然に融けこむ様な気持ちでまどろみ、本格的に寝れたのは
9時半を回ってからでした。
朝5時前に目を覚ますと、既に登り始めている人達がチラホラ居ました。
朝食はおにぎりおかずセット。夜明け前なので乾かす事も出来ませんが、
バタバタと水気を払いテントを片付け、登山開始しました。
ちょっと行くと程無くガレ場。振り返ると、V型の谷の向こうから仙丈ケ岳が
こっちを見ているかの様に顔をのぞかせています。目印のテープを探しながら
コースを決めて、まずは30分で着く仙水峠を目指しました。
峠に着くと、眼前には雲海が広がっていました。右手側の立派な山は、栗沢山
です。
そういや甘栗たくさん貰ったけど…栗たくさん、栗沢山…そういう事か!?
いやいや、どう考えても考え過ぎです。朝から(なので?)テンションが
おかしいです。
甲斐駒と摩利支天も眼前に白い岩肌の塊で険しくそびえています。
こっちから見る摩利支天は、屹立した力強い垂直断崖絶壁です。
何だか「気高い」という言葉が似合う様な雰囲気がします。
とりあえず駒津峰を目指しコースタイム1時間半の急な登りの開始、
樹林帯に入っていきました。30分程登る内、時々展望が開けます。
近くにいたご夫婦に写真を撮ってもらいました。1箇所で甲斐駒と
仙丈ケ岳の両方をバックに撮れ、1粒で2度美味しい?場所でした。
高度を上げていくと、仙丈ケ岳がその全容を見せてきました。
天気も最高に良く、空は澄んでいます。
このままいつまでも仙丈ケ岳の姿を眺めていたいキモチでしたが、
まあ先もあるので、駒津峰の眺望に期待しつつ、ノンビリと歩を
進めました。訓練のお陰か、テント背負ってても大体標準コースタイム
ぐらいで歩けました。筋力的には疲れてないのですが、体力的には余裕は
あるとは言え、消耗度合いはやっぱりそれなりでした。
駒津峰まで行くと冷たい風が吹いていました。中央アルプスが雲上に
顔を出してきます。遠く、穂高・槍、眼前には長大で優美な仙丈ケ岳、
その頂上付近のカールも良く見えます。向こうには、こちらから見ると
尖った北岳。振り返ると、白く険しい岩肌でそびえる甲斐駒。
周りの人達も皆、景色に見とれているようでした。
休憩しておにぎりを2つ食べ、甲斐駒へ向けて出発しました。
駒津峰から先はうって変わって、岩場連続のコースで、アップダウンも
それなりに連続してます。甲斐駒本体の取り付きまで来て登り始めると、
程無く分岐点がありました。岩の上にペンキで矢印と、「直登」「巻き」の
文字が見えてます。こんな男性的な山に来たからには、男は黙って直登(?)
とばかりに正面へと進みました。
登り始めてすぐ、荷物の重さがずっしり堪えて来ました。なんせここの岩場、
花崗岩のスラブみたいな岩や、1枚1枚がデッカイ岩が積み重なってて、
手がかりが少ないんです…岩の角に手をかけるものの、鋭角な場所がなく、
十分ホールドが効かない状態で、四肢で踏ん張りつつ登りました。核心部?と
いうか、1,2箇所程チョイ難所があり、足置くのに適した窪みがないので、
思い切り靴底押し付けてフリクション効かせ登ろうとしましたが、1回ズルッと
行って「落ちるのは嫌じゃあああ」と、ユビヂカラで踏ん張り耐えて登れました。
もう1箇所は、人の身長大の高さの、直径1.5mぐらいの岩に抱きつく様に
しながらその下の小さな足場を頼りに岩の裏へ右から回りこむ様なトラバース
がありました。ここを恐れて、ペンキ矢印に従わず岩の左側から狭い隙間を
無理矢理抜けて行く方も多数でした。自分の経験範囲の中では1番の岩場でした。
やっと連続する岩場を抜けて安心、かと思いきや、今度は花崗岩が砕けた白砂
のザレ斜面が山頂まで続いてました。岩場では無かった風も吹き付けてて、
転んでもし止れなかったらタダじゃ済みそうに無い感が緊張感をかきたてました。
丁度回りに人も居なくて、コースも良く分かりません。目を凝らしてると上の
方に赤いテープが見えたので、目の錯覚じゃない事を信じつつそっちのルートを
登って行きました。
10数mほど後続のおじさんがザレでズズッと足を滑らせたのを見たりしつつ、
最後は臆病風にもピューと吹かれそうになり始めていましたが、そんな
タイミングで、アレっと意外に思う程あっけなくいきなり山頂に着きました。
山頂では写真を撮ったりしましたが、とりあえず風があるので中間着と薄い
シェルを着ました。駒津峰からここまでは、標準タイムの倍近くかかって
しまいました。いろんな意味で下山には同じルート使う気が起きません。
周囲の人としばらく話し込んだりした後、祠のある反対側のピークに立ち寄り、
それから摩利支天側へと下山開始。ちょっとコレどうしたの?ってぐらいザレ
斜面がずっと続いてて、おまけに上から見るとルート良くわかんないトコも有
です(しかも踏み跡は付いてたりする)。意を決して下山開始。「大丈夫、
なんて事無い、皆降りてる、笑顔で降りてる、超余裕」等々ポジティブワード
連発で、歩幅を小さく取り降りてきました。先程山頂で立ち話をした、
ラン主体の方々は流石に早く下りでも駆ける様なペースで降りていかれました。
ザレ斜面を下りきると、一瞬樹林があって、10m程の岩場登り、登った所が
直登コースとの分岐点でした。
ここから駒津峰までまたアップダウンが繰り返します。流石にペース落ちて
来ました。まあでもこれだけ背負ってて難路をこれだけのペースを保ててる
んだし、確実にパワーアップは果たせているのでしょうけど…
駒津峰着いた時にはちょっと嬉しかったです。食事をして、時計を見ると
13時チョイ。確か最終のバスって15時チョイ?で標準タイムで2時間の下り
コースか…となると、気合一発、重さは気にせずペースを上げ目に下る
ばかりです。同じ山域だからか、ガレなんかが鳳凰山の時の白鳳峠の下りを
彷彿とさせる雰囲気でしたが、ガレもその後の樹林の中もこっちの方が
前々楽でした。今回少し疲れちゃいるものの足もガクガクせず安定して
下れました。下山は15時前ちょっと、時刻表を確認するとバスは15:30でした。
バス待ちの間、長衛荘に立ち寄って、バッジとお茶を買いました。
バスと乗り合いタクシーを乗り継いで芦安まで戻ると、もう17時近くでした。
駐車場横の立ち寄り湯が、もう閉店時間間際?なので、付近の温泉に寄って
帰ろうと画策しました。
帰る途中、橋の脇でお猿が顔をのぞかせ見送ってくれました。
車で峠を下り、来る時に道の横にあった天笑閣で立ち寄り温泉に入りました。
服脱いで鏡の前に立つと、ショルダーベルト跡がクッキリ赤く肩についてて
ビックリ。やっぱ重い×急ぐと何かしら影響あるみたいです。
町営の温泉の様で、地元の方々で結構ごった返してました。湯船に使って
いると、横の人達の話題が山の話だったりして、帰る間際まで山旅気分を
味わえました。
そろそろ錦秋のシーズンが近付いています。次の山旅に向けて調子を
整えて行きたいと思います。
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