烏帽子岳【角間温泉から廃道を歩く】
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- GPS
- --:--
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 1,294m
- 下り
- 1,389m
コースタイム
- 山行
- 8:40
- 休憩
- 1:30
- 合計
- 10:10
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
写真
感想
浅間連峰西端の烏帽子岳(2065.9m)は、今はほとんどの人が地蔵峠から登りますが、地蔵峠への車道が拓かれる前、角間渓谷ルートは多くの人に歩かれていたと思います。
今は廃道化していて、歩く人のいないその゛クラシックルート”への憧れは年月を経ても、少しもさめることはありませんでした。
どのようなルートなのかネットで検索しようとしても、頂上まで到達した記録は2014年9月が最後で、それ以降は見当たりません(実際はあるかも知れませんが…)。
『山と高原地図』の2007年版では赤破線であり、渡渉やぬかるみがあり、笹が深く、迷いやすい経験者向きのルートであると書かれています。
同年版に、今はよく歩かれている上田市市民の森ルートは表示されていません。
携行した山地図は2017年版で、市民の森ルートが記載されたものです。
2010年代の数少ないネットの登頂記録を繰り返し読んでいましたが、読めば読むほど、今は猛烈な笹薮ではないだろうか、道形が探せなくて先へ進めないのではないだろうか、などと不安要素ばかりが募り、気は重くなる一方でした。
でも、いつかは行ってみようと思い続けていました。
残雪が消え、日は長くなり、猛暑になる前の今の時季がベストだと判断しました。
もし途中で進めなくなればそこで引き返し、運良く登頂できれば、まだ歩いたことのない上田市市民の森へ下り、タクシーで角間温泉へ戻る計画を立てました。
登山届は前日に長野県警へ電子申請し、途中で引き返すことも書き加えておきました。マイナールートであればあるほど、登山届は必須だと思います。
前夜は期待と不安が錯綜する中でなかなか寝付けず、眠剤を使ったら寝過ごしてしまい、夜中に家を出て一般道で行く予定を変更し、高速道を走行、角間温泉には丁度良い夜明け直前に着きました。
駐車場は角間温泉の一軒宿岩屋館のすぐ奥で、事実上の車道終点(標高約1010m)です。渡渉の繰り返しになりそうなので、スタートからウェーダー(胴長)を履いて出ました。
暫くは林道歩きで、林道終点からは下調べどおり渡渉の繰り返しでした。角間川は峡谷ではありませんので所々に河岸段丘があり、そこには明らかに往時の道形が認められ、予想外に多くの道標や看板が残っていました。目印は色あせて小さなものがほとんどでした。
沢は鉱物性の濁りで薄いベージュ色、水量が多く、登山靴で飛び石伝いに渡れる所はありませんでした。ウェーダーなら渡渉点は全く気にならず、渓相(沢地形)を見て歩きやすい所を進めます。浮石の多い沢筋より河岸段丘の方が速く進めます。
およそ1時間半余りで、沢の分岐点へ。左は水量が多く薄く濁った角間川本流で、角間峠へ至ります。烏帽子岳へは右ですが、道形は角間峠方向が明瞭です。
烏帽子方向の沢は全く濁りがなく、水量も少なく登山靴でも一跨ぎです。小さな流れを2回渡った所で、沢水を300ミリほど飲みましたが、ここが最終水場でした。
※ ネットの記録で、『角間峠方面の沢は透明です』とありますが、透明なのは烏帽子岳方面の沢です。
沢から離れ、山中へ取り付く所は黒土の中に獣の足跡がありましたが、沢から見上げると目印がありませんでしたので、目印としてレジ袋を木の枝に結んでおきました。
そこへ上がると奥には小さな赤テープが見えました。
地形図にジグザグのルートが記されていますが、真水の小沢から左岸へ上がって、ジグザグの取り付き(入口)まではやや分かりにくいです。
地形は緩い勾配で、太いかずらが灌木に絡まり、獣道が薮の中で縦横に錯綜しています。一般的に、どこの山でも言えることですが、廃道化した道形は草に埋もれていても人に歩かれたことによって幅のある凹地状ですが、獣道は真っすぐな所が多く、道幅は狭いです。
微かな道形と古びて色あせた目印を追って進んでいますと、右手(右後方)にジグザグ道の入口(ジグを切って最初に上がる斜面)が見え、まさにネットの写真で見たとおりでした。山の斜面そのものは急ですが、道はジグザグですのでとても歩き易いです。後はずっとジグを切りながらの分かりやすい斜面で、想像していた猛烈な笹薮とは大違いでした。
このジグザグ道の入口ともいうべき地点をすんなり見つけられるかどうかは、この廃道歩きの重要なポイントの一つだと思います。
ジグザグ道は地形図どおり上下二区間に分かれています。
地形図1650mの等高線付近は尾根状で、右(北北西)には『本原⇒』の標識があり、この道形は赤井集落から東へ延び、途中で切れている地形図の破線につながっているのかもしれません。
短い尾根歩きの後、上段のジグザグ道となり、地形図1766m地点へ上がります。
この1766mピークのある尾根は、最初は尾根の左側に踏み跡がありますが、途中から尾根そのものが不明瞭になり、昔の道跡か今の獣道か判然としない中を歩くようになりましたが、たまにかなり離れた所に道標があり、どこでも歩ける斜面でもあります。
当日早朝は冷え込みが強く、角間川本流と真水の支流の合流点手前から見上げる烏帽子岳は真っ白、一目で霧氷だと分かりました。標高1800m付近では針葉樹+灌木薮+笹薮で、足元には解け落ちた氷の粒が積もり、針葉樹からは絶え間なく雫が落ちる雨降りの状態でした。
この付近は道形もわかりにくく、後から考えたことですが、1766mの南東鞍部で地形図に引かれている黒の実線(林業用作業道)に出て、しばらくこの道を辿り、市民の森からのルートに合流した方が歩き易いだろうということです。
当日は、この作業道と廃道化している踏み跡の接点(標高1470m)は確認できませんでした。
1766mから忠実に尾根を辿り、1890m付近で市民の森からの一般登山道に出ました。山地図に「西への道は本原に至る」と書かれていますが、厳密には西ではなく北西で、更にその本原への道は1650m付近で角間温泉へ分岐しています。
上のジグザグ道始まりからここまでは大部分がかき分ける程度で進める笹薮でしたが、広範囲に笹枯れが始まっているようでした。その一方であちこちに新しい笹が育ち始めており、長い目で見れば今年が一番歩きやすい時期だったかも知れません。
電波が通じましたので休憩の合間に、市民の森から角間温泉へ、タクシー会社へ予約しました。
烏帽子岳頂上では北東風が大変強く、北アルプスや妙高方面の山々は部分的にしか見えませんでした。今回の目的は廃道を辿って烏帽子岳に立つことでしたので、頂上からの展望は二の次でした。
廃道とはいえ、地形図の登山道はほぼ正確で、地形図を元にして作成される今年版の山地図にも小さな破線で表示されています。
バリルートのビギナーには迷いやすい地点もあるかと思いますが、ある程度の経験者なら迷うことなく歩けそうなルートでした。
登山道が崩落しているのは地形図で分かりますが、角間峠の西側で、烏帽子岳まででは崩落個所も危険個所もありませんでした。
下りは予定どおり上田市市民の森への一般登山道を歩きました。
殿城山については行く時間があるとは思ってなく、何も調べていませんでしたが、余裕がありそうなので行ってみました。何と、北アルプスが乗鞍から白馬まで見える素晴らしい眺望で、烏帽子頂上で掛かっていた雲は大部分が消えていました。
八ヶ岳は樹間からで、しかも真北からなので断定できたのは蓼科山、天狗岳、硫黄岳だけでした。
休日の晴天で、烏帽子頂上や市民の森ではそれなりの賑わいでしたが、道中では人っ子一人いない静かな山行でした。
市民の森から角間温泉までタクシー代は運賃¥4600、迎車料金¥180でした。
午後3時半頃、予想よりかなり早く角間温泉へ戻り、渋滞した高速道に大枚をはたくつもりはなく、ずっと一般道を走り、3時間余りで帰宅しました。
再びこの廃道を辿る機会があれば、角間川分岐から角間峠→湯ノ丸→烏帽子→林業用作業道→角間川分岐へと周回してみたいです。
体力的には可成りハードではありますが・・・・・
長年に渡り、自分自身に課した“”宿題“”のルート~~~~
それは拍子抜けするほどの、身近で親しみやすいクラシックルートでした。
今回の山行に際し、地形図のほか、下記のサイトをカラー印刷して携行しましたが、途中で広げることはありませんでした。
サイトの管理者さま、ありがとうございました。
http://www.webnagano.jp/mtlab/kakuma20140921.html
http://thresholdhunter.web.fc2.com/mountain/shin100/shin100data2014/140615/sboshi3.htm
★ 廃道によっては登山禁止&入山禁止が明示されている所があります。
何があっても自己責任であり、安全に対しては強い自覚が必須です。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
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7年程前の四月末頃だったか、
不意に角間温泉から烏帽子岳に登ろうと思い立ち
角間山分岐から少し沢を登り始めてから、踏み跡が怪しくなり
心細くなりまして、諦めて引き返し、
それ以降ずっと気になったままでした。
多分笹藪が酷くなり、崩落の危険のある急坂などもありそうで
諦めておりましたが、そのコースを辿られたのですね!
又参考にさせて頂いて歩いてみたいと思います
有難うございました
こんばんは
ルート図を書き忘れており、手書きですが、追記しました。
角間峠方面の踏み跡は何とも言えませんが、多分広範囲に笹枯れ現象は見られるかと思います。
私が参考にしたネットの記事に、『崩落現場も踏み跡が横切っており、特に問題なく渡れた』とあります。この方は峠から下られたようです。
私は分岐から烏帽子へ向かいましたが、微かな道形や古びた目印は追いながら歩けました。
手がかりが少ない分、ルーファイも楽しめました。
多分、多くのGPSでルートが表示されるかと思います。
私が歩いたルートなら kyom4 さんには余裕しゃくしゃくで歩けるはずです。
ぜひ挑戦なさってみてください。
takayama2さま
長年の懸案の角間渓谷コース、遂に行って参りました
記憶を辿ると、実は一度でなく二度までも敗退していたのでした
最新の詳細な情報を掲載して下さり、とても心強く
コース状況の部分はコピーさせて頂いて携行しました
(写真もコピーできれば、照合できてもっと安心なんですが)
木に吊るして頂いたビニール袋を見た時は
まるで自分の為にtakayama2さんが準備して下さったのでは
なんて思えて不思議な感慨がありました。
廃道になって久しく、半ば諦めていたコースでしたが、
背中を押して頂き、本当に有難うございました。
例の如くミスの連発ですが、記録をご照覧下さればと思います
大変 お疲れさまでした。
入梅しましたが、好天で良かったですね。
あのレジ袋を縛り付けた後、奥を見ると赤テープが巻いた木がありました。
ただ、下から赤テープは見えず、かと言ってレジ袋では山中にゴミを残したようなものなので、今後は赤テープを携行しようと思っています。
わざわざ再コメを頂き、ありがとうございました。
鬼ヶ城に行く予定が間違えて烏帽子岳への登山道を行ってしまいました。
途中できずいたのですが気持ちの良いルートなので行けるところまで行くことにしました。
登山靴でしたので渡渉が大変でした。
沢登りの準備で丁度いいと思いました。
何とか渡渉はできたのですが藪ってきたので引き返しました。
長野市民ですがこんなに沢や木々が素晴らしい登山道が近くにあり嬉しく思いました。
引き返した場所の景色と沢の音が気持ちよくて携帯椅子でしばらくたたずみました。
烏帽子岳の山行を見て凄いと思いました。
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