記録ID: 159078
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ハイキング
奥秩父
滝子山(山梨百名山・甲信越百名山)〜年忘れの山〜
2011年12月30日(金) [日帰り]


- GPS
- --:--
- 距離
- 14.5km
- 登り
- 1,083m
- 下り
- 1,231m
コースタイム
JR笹子駅9:10-10:05道証地蔵10:15-11:00曲リ沢峠分岐11:10-12:00大谷ヶ丸分岐12:05-12:30滝子山13:30-14:25最終水場14:35-15:25初狩駅
天候 | 12/30 快晴! |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
(復路)初狩15:41++高尾++[京王線]++新宿 |
コース状況/ 危険箇所等 |
9:10 笹子駅発。 駅前の記念碑は巨大なもので驚かされます。甲斐と武蔵を分ける笹子峠の下を走る鉄道トンネル笹子隧道の碑です。開通は明治35年のことでした。駅前の標高が600m。峠の標高が1100m。500mの標高差を登り下りしなければならなかったことを考えると、鉄道トンネルの開通は現代のスマホ革命にも匹敵する画期的なものだったに違いありません。トンネルの長さはわずか5kmですが、当時最長だったそうです。 笹子駅周辺を歩きます。ここに甲州街道25番目の宿場町、阿弥陀海道宿がありました。当時15軒ほどの旅籠がありましたが、笹子隧道の開通後はさびれて廃業に追い込まれました。いつの時代も画期的なものの出現の蔭で犠牲になるものがあるということでしょう。 阿弥陀海道宿--おもしろい名前ですが、笹子に阿弥陀仏があり、阿弥陀ヶ谷(あみだがやつ)と呼ばれていたものが、阿弥陀海道(あみだがいどう)となったそうです。どう訛ったらこの名前になるんか!?って感じしないでもないですが。 今では”道”が省略された「阿弥陀海」という地名が残っています。(1・25000地形図にも記載あり) このあたりの谷状の地形はかつて葦ヶ窪とも呼ばれ、そこに土石流で堰きとめられてできた葦ヶ池という池もありました。阿弥陀海集落に南から流入している沢名が船橋沢と言いますが、これも池と関係があるかもしれません。 目の前にそびえる山、滝子山は標高が約1615mですのでここから約1000m以上を登ることになります。国道20号、甲州街道をテクテク東に進みます。 江戸時代にはこの道を多くの旅人が行き交ったことでしょう、そんな時代に思いを馳せながら歩くと右側に笹一酒造の醸造所が現われます。時間があったらぜひ立ち寄って試飲などしたいところです。 笹一酒造は大正8年(1919年)創業。江戸時代、茶人たちが飛脚を使って取り寄せたという笹子峠の銘水(湧き水)「御前水」を使って日本酒を醸造しました。構内にはギネスにも登録された世界一大きな太鼓「世界平和太鼓」があります。 笹子川橋で笹子川を左岸にわたりますが、この橋の脇には昔使われていた古い橋も残されています。味わいがありますね。橋の上には何台もクルマが止まっていて駐車場として使われているって感じです。 暫く行くと民家の前を左斜めにあがる道がありますが、入り口に「ここは滝子山への登山口ではない」と注意書きがあります。ちょうど向こうからやってきた地元の人に「もう少し先だよ」と教えてもらいました。100mほど先に左に折れる道があり、すぐにJR中央本線のガードをくぐります。道なりに行くと稲村神社が左側に現われ、その手前に左に分岐する道を行きます。角には案内板がありますがわかったようなわからないような参考にならない(失礼!)案内板です。左を見上げれば快晴の青空の下、滝子山の巨体が構えています。 突き当たりを左折し、中央高速の上の橋をわたります。下をのぞくと細長い駐車場にクルマがたくさん停まっています。ありゃりゃ、よ〜く見ると中央高速の車線が完全渋滞して動いていない!(笑)。帰省ホントにお疲れ様です! 櫻公園がその先にあり、クルマも何台か駐まっています。クルマで来るのであればこのあたりがちょうどいい駐車場になりそうです。やがて林道は両側を林に囲まれて山の臭いが充満してきます。この瞬間が嬉しい! 大鹿川の右岸から左岸にわたり返して、ちょっと行くと右に細い林道が分岐します。特に指導標などはなく、銀のテープが枝にゆれていて、朽ちかけた「寂ショウ苑(ショウは、リッシン偏に「尚」)」という看板があります。ここが寂ショウ尾根の入り口です。これを見送り、大鹿林道を右に分け、さらに大鹿川を左岸から右岸にわたって暫くいくと、右側に小さな道証(みちあかし)地蔵が現われ、そこで登山道が分岐しています。ここにはクルマは数台は停めることができるでしょう。往復登山ならばここまで上がっておけば楽チンだと思います。 登山道はいったん沢に下り、木橋をわたります。渡った先はごく小さな沢が合流する点にもなっていて直進しないように注意が必要です。今回は、木の枝通せんぼがしてありましたが、雨で押し流されてしまったり夜明け前の暗い時間帯だと直進してしまいそうです。登山道は、渡ったらすぐに直角に左に曲がります。10:05 道証地蔵下沢で休憩とします。出発してから約1時間でした。Iさんからアメを貰い寛ぎました。 10:10 道証地蔵下の沢出発。 沢の左岸をトラバース道を行きますが、地図で見る以上に急な登りです。だんだんと足が疲れてきます。トップを行くHは後ろを見ることなく飛ばしに飛ばしています。高圧鉄塔の脇を喘いで登り、もう一本沢をやり過ごすと、浜立尾根の裾を回りこむ形でそのままズミ沢の左岸に導かれます。(尾根の突端には浜立尾根への薄いフミアトがあったはずですが気がつきませんでした) 枯れ葉がひどく溜まっていて、膝くらいまでもぐるところもあり、ふかふかして気持ちがよいのですが、見えない木の根や石があったりして思わぬ伏兵です。沢の左岸をどんどん上がっていって、途中で鉄製の橋で右岸にわたり返します。調子が悪く、先頭はどんどん行きますが、自分の足はなんだか鉄の重しがぶら下がっているようです。なんか変だな?! ちょっと忘年会で食べ過ぎたか(笑)。やがて沢は下の方に遠ざかり、峠への分岐となります。11:00着。本当に快晴で振り向くと富士山も頭をのぞかせてきています。真上を見上げると澄み切った青空に雑木林の枝先が突き刺さっています。 11:10 発 右の道をとり、トラバースしながら再び沢は近づいてきます。キレイなナメ滝を見るとだんだんと沢はゆるやかになり峠への分岐になります。その先にビニール袋などが散乱した作業小屋があり、さらに沢を渡って、防火帯の快適な登りとなります。景色はキレイだし、緩斜面だしで、本来鼻唄まじりで登れる場所なのですが足がついていかず重いナマリをぶら下げてズルズルと上ります。山登りも調子がよいと最高ですが、調子が悪いとつらいだけ(笑)。だんだんと雪が出てきます。まったく調子は出ません。再び尾根上のこぶで峠への道を分け、尾根の左側を上がっていき、やがて鎮西が池の小さな水溜りを見ます。地面は真っ白です。やがて、頂上と三角点峰との間の鞍部に上がります。頂上はもうすぐ。仲間はとうに先に行ってしまい足をだましだまし登ると上から先行する登山者のグループがくつろいでいるのが聞こえてきました。 12:30 滝子山頂上(1615m)着。休みも入れて3時間半でした。頂上に着いたら足がつりそうになり、アセりました。何とか収まったのでメシにします。 それにしても快晴で360度遮るものがない大展望! 富士山は前面に三つ峠を従えています。そのさらに前は高川山でしょうか。富士山の左は杓子・鹿留、御正体。さらに丹沢の山々。よく見ると新宿の副都心も見えます。そして奥多摩の山、奥秩父、八ヶ岳が樹林ごしに見えます。頂上の西端まで行ってみると白峰三山をはじめとする南アルプスの全山が望めました。甲斐駒、鳳凰三山、美しい白峰三山、塩見、悪沢、赤石、そして聖、笊が岳の双耳峰・・・・そして深南部の山々。 頂上でのお決まりのカップラーメン、そして抹茶ラテ。いや美味しかったな〜。というかムサボリ喰い、ムサボリ啜ったって感じ。 頂上にいるパーティーに写真を撮ってもらい一時間後に下山を開始しました。13:30発。 頂上から三角点峰(二等三角点△1590.3m)に一度あがり、そこから急な下りをしのぎ、平坦になったかと思ったらそこが男坂と女坂の分岐。膝へのショックを考えここは女坂を取ります。やがて桧平(・1336m)の平坦地。右側に破線の道を分けますが林道が長そうなのでそのまま予定どおり直進します。1090m地点で指導標があり、そこから尾根を離れ尾根の腹を沢目指して下ります。ジグザグの下りをしのぎ、900m地点で最終水場に至ります。 14;25 最終水場着。水場は小平地となっていて炭焼き窯のあとがあります。水場はタンクがありますが手洗い専門と書いてあり、仕方がないので沢の水を呑みましたが美味しい水でした! 帰りの列車を心配し始めますが、15:08はさすがに厳しく、15:41初狩発を目指して下山を開始しました。14:35発。 沢沿いに右岸や左岸に渡り返しを繰り返しながら最終的に左岸に渡り返して林道の終点に出ます。そこからは一投足で地形図の・564の分岐に出ます。藤沢集落から見る富士山は夕陽に映えてこれまた美しい姿でした。藤沢子の神社前をすぎ、中央高速をくぐると笹子川の先の初狩駅はすぐでした。 15:25初狩駅着。駅の標高が約460m。「笹子駅より150mも標高が低いんだなぁ」とH。確かに初狩駅から笹子駅に向けて鉄道も150mも”登山”していたんですネ。 さてさて今年の登山もこれで終わりました。 気の置けない仲間と好展望に恵まれ締めくくれたことに感謝です。 駅から歩き始め駅で歩きを終える登山---山登りの原型のようでなかなかよいですネ。 ホームで夕陽の滝子山を眺めていると電車がやって来るのが見えました。 さぁ、新宿で打ち上げだ! (笑) |
写真
駅前にある笹子隧道記念碑です。この笹子駅の西側には笹子峠(1096m)がそびえたっていて甲州街道の最大の難所でした。当時の技術を駆使してそこにトンネルを掘り甲府盆地と結ばれたというわけです。当時は日本で最長のトンネルだったそうです。
その説明板。明治35年に開通したトンネルは約5kmもありました。現代の技術では驚くこともないのでしょうが、当時としては、先進的な掘削技術だったのだろうと思うと頭が下がる思いです。
橋をわたり左岸に行くと、右に分岐が分かれます。入り口には銀色のテープと寂しょう苑?(「しょう」は”リッシン偏”に和尚さんの”尚”)と書かれた朽ち果てた立て札があります。ここが寂ショウ尾根の入り口にもなります。
お地蔵さんには「文政三年」の文字があります。西暦1820年。徳川家斉の治世。まだ大名たちが参勤交代をしたり、江戸では銭湯の混浴を禁止したり(笑)、といった時代でした。そんな時代背景でどんな思いでこの道証地蔵を置いたのでしょうか。
降り立った沢を対岸に渡り、すぐに左に曲がります。渡った対岸が小沢の流入口となっていてそのまま沢の中を上がっていかないように注意が必要です。(いちおう入り口は木の枝で通せんぼしてあります)
トラバース気味の道は高圧鉄塔の脇を通り尾根を回りこんでそのままズミ沢へと導かれます。落ち葉が登山道を隠していて場所によっては、膝くらいまであります。ふかふかなのはいいですが、石や枝を隠していて歩きにくい!
撮影機器:
感想
・国土地理院1・25000地形図「笹子」です。
・天気は快晴。富士山はもちろんのこと、三ッ峠、御正体、杓子〜鹿留、丹沢、そして新宿副都心、奥多摩、奥秩父、八ヶ岳、南アルプスなどなど、すべての山が見えました。晴れた日に登れば素晴らしい展望台であることは間違いありません。
・この季節は当たり前のことながら頂上は冷え込みます。今回は風がほとんどなかったのですが、防寒対策、防風対策はきちんとしておく方がよいでしょう。
・一部日蔭では凍っている場所や雪のある場所もありましたが、西高東低が続き晴天が続いていれば年末年始でもアイゼンは不要です。
・コースに危険な場所はありませんし、指導標もしっかりしています。
・累計歩行距離:14.45km
・累計標高(登り):1025m
・歩数計を着けていた同行したHによると23000歩あまりとのことでした。
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