松山尾根から鎌ヶ岳、下りはニゴリ谷
- GPS
- 06:35
- 距離
- 7.4km
- 登り
- 800m
- 下り
- 786m
コースタイム
- 山行
- 5:27
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 6:32
天候 | 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2018年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
稲ヶ谷登山口から国道を、武平峠に向かって登って下降点を探す。(武平峠から)3.5km表示の上部あたりのガードレールの切れ目にいくつものテープが巻かれているのでここから松尾川に下降する。 キレットの通過は相当難しい。尾根は足幅より狭く、一部は尖がっている。これでは足を置けない。さらにその先は、手がかりや足掛かりがない背丈以上の高度差がある急斜面。ここを登らないと先に行けない。地面は風化した花崗岩で崩れやすい。このキレットには渡してあるトラロープ2本が渡してある。1本は結び目がついている。1本はストレートだが、いずれも古い。特にストレートは外側の劣化があり、触ればポロポロと繊維が落ちてくる。とても心もとない。 ニゴリ谷は滝の下降もなく、安心して下れる。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
コンロ
コッヘル
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ツェルト
ストック
ナイフ
カメラ
ヘルメット
ロープ
スリング
カラビナ
プルジックロープ
|
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感想
鎌ヶ岳へ詰める西側の尾根を松山尾根、別名、西鎌尾根とも言うらしい。旧鈴鹿スカイラインが間もなく不通になるので、それまでに行きたかった。松山尾根を調べると、ニゴリ谷を下降して周回するレポートがいくつか見つかった。ニゴリ谷は滝らしいところがほとんどなく、下れるらしい。そこで、松山尾根を登り、鎌ヶ岳からニゴリ谷を下降して周回することにした。
このコースの最大の難関は一つ。キレットの通過だ。松山尾根や松山谷を遡行してキレットを通過した記録をネットで検索して調べると次のレポートが出てきた(2010年以降のみ記載。原文を多少加工。無断転載、お許しください)。
★2010.11.30 何を思ったかバランスを崩してOH〜MY GOD!!滑落寸前に・・・、やばかった〜
★2011.5.3 足場が靴一つ分も無い場所があり、両側は数十メートル程切れ落ちており滑落すれば明日は無いなあと手前でルートを確認する。(中略)枝を引き寄せロープを掴み強引に突破を図ってみるが、瞬間ザレが崩れなんとロープに宙ぶらりんに!必死に脱出を試みるが対面は土がえぐれて足の置き場が無く、ザックと自己の体重計75kが支えきれずあえなく落下!終わったと!ドーンとお尻から落ちてそのまま十数メートル滑りなんとか途中で止まるも、安定した岩棚まで5.6mさらに自己で滑る。
★2011.7.30 フォロワーにハーネスを着け、トラロープにセルフ用のカラビナを掛けるように指示。最後の核心部通過のためにスリングを出すが、もう一歩のところでスリップ。崖から落ちかけたがトラロープとスリングで助かった。
★2012.6.4 松山尾根の左右ガレ場は危険。一度はロープを掴んで昇ろうとしましたが、力尽きて諦めました。同じルートを引き返そうとも考えましたが、何とか左手に迂回するルートを見つけ迂回出来ました。(GPS軌道を見るとずいぶん苦労されたみたい)
★2013.4.21 無事通過
★2014.4.28 無事通過
★2014. 9.28 核心部のヤセ尾根は足を乗せるだけで、砂岩がボロボロ崩れヤバイです。バリエーションです。装備・地図読み・コンパスワークが必要です。
★2015.7.12西鎌尾根キレットは幅十数センチ、足の幅よりも狭く少し歩くとザラザラと崩れる今日一番の難所。CLはメンバーみんなが渡るために長い時間かけた準備を淡々と行う。メインロープを掛け、そこにさらに2本ロープをつけ、そして滑車をつける。メンバーはハーネス2本とカルビナ2個で胸と腰をロープで固定し、13名みんな無事に渡りきる。キレット通過に1時間
★2015.10.3(沢登りの方)最大の難関?やせ尾根を、ロープを頼りに渡る...アセアセ( ̄_ ̄ i)タラー
★2016.4.16両側が切れ落ちているナイフリッジな上に予想 以上に足元は脆く、足を乗せただけでボロボロと崩れ落ちて行く。これはやばいと思い、念のため張ってあるロープに シュリンゲとカラビナで自己確保を取りながら突破したが、かなり危険な感じであるため下りには使用しない方が 賢明だと考えられる。
★2017.10.1無事通過 まじやばい。もうしばらくで通過不能。立って歩くことは不可能。ジェットコースター以上に怖い。複数で行きましょう。古いトラロープ2本が掛かっていますが、やや不安。できればロープ確保が望ましい。単独で落ちたら誰にも発見されないかも・・・
★2018.4.30崩壊箇所、いよいよ核心部にたどり着くが、やっぱり駄目と諦める。跨いで行こうとしたが2本のロープが有るが古くて命を預ける事ができなかった。テンションがかかった時ブチッとなりそうでした。
★2018.6.6 歩くのは無理で三角木馬のようにまたいで進んだ。ここにはトラロープがかけられておりこれを頼りに通過する。このロープが無ければ通過できない。
以上のように、キレットの通過は相当難しい。尾根から落ちられた方も、撤退された方もいらっしゃる。通過できてもほとんどの方は、ヒヤヒヤものだ。古いロープが文字通り、頼りの綱になる。掲載されている写真を何枚も見るが、果たして通過できるのか、確保できる立ち木などあるか、現場に行ってみないと分からない。できるだけの装備を考え、8mm補助ロープ20m、スリング各種4本、プルジックロープ2本、カラビナ3枚、ヘルメット、4本爪アイゼン(12本刃にすべきだった)を準備した。ただ、ソロだし、未熟な私では自己確保には限界がある。場合によっては迂回や撤退の心づもりもして出発した。
稲ヶ谷登山口は武平峠から西に下って3.7kmの場所。雨乞岳への登山口(難路らしい)でもあるようだが、誰も駐車していない。また、一人か・・・。
資料に従って、駐車場から国道を登って下降点を探す。(武平峠から)3.5km表示の上部あたりのガードレールの切れ目にいくつものテープが巻かれている。これだけマークしていただければ、私でもわかる。ここから国道の遥か下に流れる松尾川に、上流に向かってトラバース気味に下降する。国道から川まで急激に切れ落ちている場所がほとんどだが、ここだけは急ではあるものの安心して下れた。
河原について対岸の松山尾根を見る。正面はガレているが、対岸に渡って川に沿って右に下ったところに登れそうな個所を見つけて近づくとテープがあった。正解のようだ。そこから、伐採された植林の急斜面を登って行く。広い尾根でどこでも登れるが、右手南側に尾根芯があるので、徐々にそちらに向かうと踏み跡を発見。これを頼りに尾根を登る。ここは動物用の防護ネットがあり、一部倒れている。ネットを支える針金(有色の塩ビでコートされている)が張られており、気を付けないと足を引っ掛けそうだ。枯葉が積もった急斜面は滑りやすく、踏み跡も薄いが、尾根を外さなければ問題ない。先週の藤原岳西尾根みたいな登りだ。尾根にはネットがあり、通りにくい。
途中から狭い尾根となり、左右にガレが出てくる。それでもネットは依然として続いている。枯葉で滑ってガレに落ちたら、良くても骨の2,3本は折れそうな個所がいくつも出てくる。キレットを最大の難関と思っていたが、それまでにも結構、危なそうな個所が次々出てくる。尾根を進むと時折、御在所岳の御嶽大権現、雨乞岳も見える。やがて鎌ヶ岳が左前方に見え、人の声もにぎやかに聞こえてくる。ずいぶん、近くに聞こえるものだ。
細尾根のアップダウンを繰り返して、鎌ヶ岳が間近になったところで、ようやく問題のキレットに出た。難しさはこれまで調査した通り、それ以上かもしれない。尾根は足幅より狭く、一部は尖がっている。これでは足を置けない。さらにその先は、手がかりや足掛かりがない背丈以上の高度差がある急斜面。ここを登らないと先に行けない。地面は風化した花崗岩で崩れやすい。このキレットには渡してあるトラロープ2本が渡してある。1本は結び目がついている。1本はストレートだが、いずれも古い。特にストレートは外側の劣化があり、触ればポロポロと繊維が落ちてくる。とても心もとない。もちろん、誰か連れて行けるような場所ではなかった(私を連れて行って教えてほしい)。
迂回を考えたが、かなりの高度差があり、相当、回り込む必要がある上、急斜面のトラバースと急角度の登降となり危険だ。引き返すにしても、これまでの細尾根のアップダウンも決して安全ではない。キレットの唯一の救いは距離が短いこと。これらを考慮して通過することにする。簡易ハーネス、ヘルメット装着。安全環付カラビナを取りつけ、そこにプルジックロープ2本とカラビナ付スリングを取り付けた。さらに、バックアップ用に木に巻きつけた補助ロープをつなぐ。さらに予備にカラビナ、スリングも体の横に取り付ける。頼りないトラシマロープであるが、これにプルジックロープ2本を取り付けて慎重に渡り始める。
すぐに足元が尖がって足の踏み場がないので跨いで渡ろうとしたが、跨いだら最後、足をかけるところがなく、地面をとらえようとしても、ボロボロ崩れ落ちるばかり。足を使えないので前に進めない。すぐに伯耆大山の弥山から剣ヶ峰への縦走路を思い出した。現在は通行禁止で行くことはできないが、当時は危険とされていたが行けないことはなかった。その縦走路でも、一部は細くて不安定なため、今回のように跨ったが、手と足を使って前に進むことは出来た。ここは・・・進めない。足元が崩れるだけで全く進めない。当然立ち上がることもできない😥。
この状態で何ができるだろうか。 少し考え、上体を前に倒して腹這いになった。服の汚れなど気にしている事態ではない。上体を前方の少し幅のある個所に載せて、足への荷重を減らし、手も使って少しずつ体をずらして前に前進。蛇みたいに器用には進めないが、少しは前に進めた。確保用のプルジックを前にずらすと、ロープの繊維が落ちてくる。ますます頼りない。少し前に進めたところで意を決して、この頼りないトラロープにゆっくり力を入れて立ち上がる。立てた!😂 最後の急斜面、左足を僅かな起伏に載せてみる。幸い、崩れないみたいだ。目の前には2本のトラロープに加えて、さらに短い2本のロープが垂れ下がっている。どれも色あせて劣化しているが、合計4本のロープの長さを揃えて同じ張力になるように握りしめ、これを頼りに上体を上げてみる。。これらのロープが、上部のどこに固定されているかは、自分からは見えない。同じ個所に固定されていてスッポリ抜けたら・・・と思うとゾッとするがビビッて止める状況ではない。できるだけ急激な力を加えないように、そっと何とか這い上がった。上がれたゾ 😆 おそらく10mにも満たないキレットに15分以上費やしただろうか。もう、二度とここには来ない(新しく、しっかりしたロープが固定されなければ)と、強く思った。
ここで全集中力を使い果たしたみたいで呆然としてしまった。しかし、目の前の尾根の南(右)側には鎌ヶ岳南面の崩れやすい岩壁があるので気を付けないといけない、正気を取り戻して、尾根よりやや北側を巻き気味に登る。ここから上もさらに急登。何度も立ち止まって呼吸を整える。山頂の人の声が一段とにぎやかになり、左から武平峠からの登山道が見えて合流すると2,3分で頂上だ。合流するまで誰も居なかったが、ここはメジャー。団体さんを含め多数の方が休憩されて賑やかだ。頂上から北を見れば御在所岳、イブネ、雨乞岳、綿向山がきれいに見えたが、昼食をとっているうちに曇り出した。
さて、下山。南へ下って岳峠の表示の裏から西へ、ニゴリ谷を下降する。岳峠表示は長石谷分岐の青い表示もあるが、そこはヤブで下りにくそうだ。さらに南に下って木製岳峠表示(雲母峰道分岐)の裏から下る。ここに赤テープが巻かれており、下降点であることに確信を持てた。右手には鎌ヶ岳南面の岩場とニゴリ谷上流の大きな岩のガレが見えるが、この下降点からは土の露出した薄い踏み跡がある。ピンク色などのテープもあり、谷上部の左岸(南側)をほとんど迷わずに下ることが出来た。ガレ沢を直接降りずに、左岸の踏み跡をしばらく降りて時間短縮を図る。左側に小さな滝を見るようになると、枯れ沢に水の音がしてきた。ようやく沢に水の流れを見るようになり、左岸が狭くなると右岸に徒渉し、すぐに左岸に戻る。これを繰り返して高度を下げる。きれいな水流であるが、滝といっても滑滝くらいで、高度のある個所は無く、登りもやさしそうだ。左からロクロ沢が合流する。ニゴリ沢、ロクロ沢、2つの滑滝が美しい。基本的には花崗岩質の白くて明るい谷だが、黒色の岩壁も現れるようになり、ちょっと怖い印象になる。やがて、国道を走るバイクの嫌いな爆音が聞こえ、さらに下流で松山谷と合流すると終わりが近い。2つの堰堤の右岸を巻いて降りる予定であったが、1つを巻いたところで、右斜面にマークがあり、すぐ上に国道が見えた。急斜面を登ると国道に出ることが出来た。ここは行きに通り過ぎた3.5km表示の手前だった。
結局、下りも誰一人合わなかった。紹介頂いた際に、静かな山旅ができると聞いていたが、誰にも会わず、動物にも合わず(糞はあったが)本当に静かだった。自分で決めた山行だったが、次回はもう少し安全で、人の居る、心休まるルートを行きたいわ。
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