ヒツ沢左岸尾根〜大佐飛山〜男鹿岳周回(塩那道路を起点に最短コースで)
- GPS
- 13:44
- 距離
- 21.6km
- 登り
- 1,552m
- 下り
- 1,555m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
急斜面の下り、沢の渡渉、急登、笹薮漕ぎ、残雪、廃道ありのバリエーションルート |
写真
感想
4/19に塩那道路の板室側(深山園地まで)が冬期通行止め解除となった。
以前はGW明けに開放されるのが慣例であったが、昨年からGWの一週間前に開放されるようになった。
これを残雪歩きに活用しない手はない。
何度も地図を眺めては独自性のあるルート取りの検討を重ね、そのアンサーが今回の周回ルートである。カシミールで計算したところ、駐車地から大佐飛山までの距離も標高も数字の上では一般ルートよりもずっと少ないのだ。
不安要素としては、塩那道路から木ノ俣川に下りる予定の部分は、当然ながらWEB上に記録はなく、安全に下降できるかどうか。そしてヒツ沢左岸尾根も同様で、地形図を見る限り取り付き予定地は等高線がかなり混み合っている。さらに、下部は既に雪がなくなっているだろうから、藪の程度にも大きく左右されそうだ。最悪、途中で行き詰って撤退することも想定しておかなければならないだろう。
条件がよければ大佐飛山から男鹿岳、塩那道路へと周回し、時間や疲労度によっては無難に一般ルートで黒滝山新登山口へと下山することにして、新登山口に原付をデポする計画を立てた。そのための偵察は前の週にしっかりと済ませている。前回の記事に今回の予告を記したところ、YAMAP友のきたっちさんが食いついてきた(笑)
成功するかどうかわからない計画のときは、何かしら言い訳を探して後回しにするのが常なのであるが、きたっちさんが同行していただくこととなり、迷いは吹っ飛んだ。いや、きたっちさんの実力は十分承知しているので、ご一緒していただくこととなり正直心強く、ありがたかった。
にもかかわらず、当日は安定の寝坊できたっちさんに迷惑をかけてしまう。それでもきたっちさんは笑って許してくれた。なんて心の広い方だ。この借りは山で返さねば。
新登山口にきたっちさんの車をデポし、自分の車で深山園地へ。致命的な遅刻にはならず、予定通りの5時に出発することができた。
きたっちさんに、木ノ俣川への下降ルートを地図で見てもらい、一応の了解を得る。普段、冒険的なコースは単独でしか歩かないので、この辺の駆け引きにはなれていないのだが、そもそも今回の計画は自分が立てたものである。きたっちさんの反応を見て、今日は先導する責任が自分にあることを自覚する。
下降ルートについては、種々の理由から詳細な記述は控えるが、特に大きな問題もなく木ノ俣川に下りることができた。木ノ俣川の水量も少なく、飛び石伝いに渡渉し、対岸のヒツ沢左岸尾根にとりつく。
尾根の下部は、地形図通り傾斜は急であるものの、藪はほとんどない。予想通り雪もまったくない。標高900mあたりから笹が出はじめ、1000mあたりから本格的なネマガリダケの薮となる。標高1200付近からの急登部分が核心で、両手で笹に掴まりながら体を引っ張り上げる状況が続く。標高1277m地点が近づくと、ようやく雪島が見られるようになり、少しでも雪の上を歩いて楽をする。
残雪のある標高1277mで20分ほど休憩して先へ進む。すぐに残雪はなくなるが、藪は思ったほどでもない。特に細尾根の北側は藪が薄く、シロヤシオの樹林の下には獣道もみられる。
徐々に残雪が増えてきて、標高1300mあたりからはほぼ完全に雪がつながってきたところでアイゼンを装着。今日は朝の冷え込みが弱かったせいか、雪の締りは悪く、微妙な沈み込みが脹脛にジワジワとくる。
標高1451m地点で30分ほど休憩。自分は普段ほとんど休憩をとらないので、このときはやけに長く感じたが、長丁場のときはこれくらいの休憩をとったほうが、結果的に心身に余裕をもった行動が取れるということを後から実感することになる。
この付近からヒツ沢の向かい(右岸)の尾根を見ると、尾根の中腹にくっきりと道型あるのが見えて気になった。ヒツ沢の左俣へ向かっているようで、発電施設への取水に関連するものと思われる。機会があれば、あの道型もたどってみたいと思った。
標高1600mあたりから傾斜がきつくなり、その分背後の眺めも良くなって那須連山が望めるようになる。先週と比べるとだいぶ雪が減ったのがわかる。
急登が続き、足が上がらなくなってきたところで休憩することにする(標高1720m付近)。携帯の電波が入るかどうか確認すると、しっかりとつながっている。ちょうどふみぃさんから前の記事にコメントが入った直後で、簡単に返信する。
30分ほど休憩して歩行再開するも、相変わらずの急登で足が攣りそうになるため、たまらずきたっちさんに先頭を代わっていただく。2番目がこんなに楽だったっけと思うほど、まったく違うのには驚いた。おかげで足の疲労も徐々に回復することができた。しかし標高1800mを過ぎたあたりで、きたっちさんにも疲労が見えてきたところでワカンの装着を提案。以後、一見すると沈む深さは変わらないものの、足への負担は格段に軽くなった。
標高1850m付近までくると見覚えのある景色で、2月に山頂から下りてきたあたりである。既知の道を一登りして大佐飛山頂に到着。まずはドクペで乾杯してお昼休憩。さっきまで人の声が聞こえていたが、30分ほど休憩している間、誰にも会うことはなかった。
さて、ここからどうしましょうかときたっちさんに意見を求めると、どちらでもいいですよと。体力的にはまだまだ問題ないようだ。曇り空が幸いしてか雪質は悪くない。せっかくなら、周回ルートのほうが達成感はある。その思いは二人とも同じだ。問題はあと何時間かかるかである。多目に見積もって、塩那道路まで2時間、男鹿岳まで1時間半、女鹿岳を経て塩那道路着地点まで1時間半。つまり遅くとも17時には塩那道路に着くことができ、そこまで降りてしまえば暗くなっても生還できる目途は立つ。じゃあ、行きましょうとなった。
再び自分がトップとなり出発。山頂から北西へ下って行くと、おそらく数日前の踏み跡が続いてた。時折、股まで踏み抜くことがあり、その拍子で脚が攣らないように気を付ける。名無山への登りになると幾分雪質が良く、歩きやすくなる。名無山からの急な下りになると再び雪質が悪化。何度も股まで踏み抜きながら、注意して下って行く。塩那道路への登り返しできたっちさんにトップを代わってもらう。心が折れそうなところで先頭を代わってもらえるのは本当にありがたいし、複数のメリットである。単独が中心の自分にはそんなことが身に染みて感じた。
大佐飛山から塩那道路まで、予定よりも早い1時間半で到着。なんとなく気持ちにも余裕が出てきたのでここでも10分ほど休憩。鳥の鳴き声も聞こえない、静寂の世界である。休んでいるとすぐに寒くなり上着を羽織る。
道路を歩いて男鹿岳方面に向かう。大佐飛山から続いていた踏み跡は引き続き男鹿岳に続いているようである。途中で道路を離れて雪庇の尾根に乗る。雪庇の踏み抜きに注意して樹林側を歩く。天気は曇りだが、新潟の山など遠くの山々が見える。女鹿岳はスルーして男鹿岳に到着したのは14時50分。順調である。山頂周辺にはたくさんの踏み跡があったが、さすがにこの時間は誰もいない。ここでも15分ほど休憩。先週登った1486.7m峰に続く北東尾根なんかを眺める。
15時を過ぎたところで下山開始。一旦女鹿岳まで来た道を戻り、尾根伝いに下って行く。すぐ下には塩那道路が通っているが、尾根の上は手つかずの樹林が残っており、シラビソやコメツガ、アスナロ、ダケカンバなど見事な巨木が多い。P1665mの先は急な下りとなる。時折踏み抜くこともあるため慎重に下って行く。標高1450m付近で塩那道路が尾根に接続するが、道路はこの後九十九折となるためまだ道路には行かず、尾根を直進する。そこから数分、標高1400m付近で観察小屋あり。驚いたことに、小屋から先、雪の上には新しい足跡が残っていた。仕事だとは思うが、こんな時期に片道9Km歩いてくるとは、なんてハードな仕事なんだろう。
観察小屋の先でもう一つヘアピンをショーカットし、16:07、(塩原から)34Kmの標識のところから道路歩きとなる。もう安全地帯ではあるが、ここからが長い。しばらくは雪がつながっていたが、時々途切れるようになり、2Kmほど歩いたところでワカンとアイゼンをはずす。その後も落石やデブリ、崩落や笹が被っているところなど、廃道の魅力満天ではあるが、とにかく長いのでそんなことを楽しむ余裕はない。黙々と歩いて、ギリギリヘッデンを点けずに駐車地まで戻ることができた。
久しぶりの長時間行動で、自分的にはかなり堪えた山行となったが、きたっちさんにはまだ余裕があるように見えた。やっぱり、休憩の取り方に秘訣があるように感じたので、今後は自分も休憩の仕方やペース配分を見直してみようと思った。
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