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Yamareco

記録ID: 1814965
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

快晴の春の北穂高岳2019

2019年04月27日(土) ~ 2019年04月29日(月)
情報量の目安: S
都道府県 長野県 岐阜県
 - 拍手
体力度
6
1~2泊以上が適当
GPS
55:22
距離
37.9km
登り
1,860m
下り
1,851m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
5:45
休憩
0:58
合計
6:43
距離 17.1km 登り 918m 下り 124m
2日目
山行
5:13
休憩
0:40
合計
5:53
距離 3.3km 登り 524m 下り 831m
5:50
5
5:55
6:00
173
8:53
9:28
128
11:36
4
11:40
3
3日目
山行
4:37
休憩
1:11
合計
5:48
距離 16.6km 登り 93m 下り 890m
7:27
2
7:29
7:33
65
8:38
8:40
40
9:20
20
9:40
10:04
44
11:02
11:41
42
12:28
12:29
32
13:08
7
13:15
ゴール地点
上高地バスターミナル5:54ー明神館6:41ー徳沢7:33ー8:31横尾 (横尾山荘)9:00ー
横尾岩小屋跡9:30ー10:27本谷橋10:43ー涸沢ヒュッテ12:37

涸沢ヒュッテ5:50ー8:53北穂高岳(北峰)9:17ー涸沢小屋11:36ー涸沢ヒュッテ11:43

涸沢ヒュッテ7:27ー本谷橋8:38ー横尾岩小屋跡9:15ー9:40横尾10:04ー11:02徳澤
11:41ー明神館12:28ー河童橋13:08ー上高地バスターミナル13:15
天候 曇りー雪(夕刻より猛吹雪)ー快晴(28日)ー晴れのち曇り(時々小雨)
過去天気図(気象庁) 2019年04月の天気図
アクセス
利用交通機関:
バス
さわやか信州号で上高地へ
コース状況/
危険箇所等
上高地ー横尾:ところどころ凍結、横尾の河原に出る前は雪の上を歩きます。
横尾ー涸沢:横尾大橋を渡った途端、積雪。帰りには一部溶けてましたが、アイゼン装着が良いです。本谷橋の支柱が雪から顔を出していますが、橋の設置はまだまだと思います。本谷橋からは谷沿いのルート。左右からの落石注意。トレースは十分あり、ワカンはすでに不要な状態。
涸沢ー北穂高岳:下から見ると屏風のように立ちはだかる。昨夜の新雪で1−3番手の方がラッセルしてトレースをつけてくれた。北穂沢左側を登る。雪崩注意。ずっと急登。特に黒い岩がM字に見えるインゼルから上は更に傾斜が増す。稜線が見えているがなかなか遠い。稜線まで行けば北峰は目の前。岩場を少し登って山頂。南峰はトラバースなど少し時間を要するみたいなので行かなかった。稜線からインゼルの下部までの下山はクライムダウンで。途中、稜線直下で小規模な雪崩発生。北に数歩逃げて、本流に巻き込まれなかったが雪を被り、足が少し埋まった。流された方もおられたが怪我は無かった。その後ももう一回発生。登頂を断念した方もおっれた。雪崩でトレースは一瞬でデブリに変わった。雪崩のあとは各所にあり注意が必要です。雪が緩む前の早めの行動が大切です。長野県警のお兄さんたちが多数待ち構えていて、経験を聞かれ、装備もチェックした上でアドバイスしてくれます。
2019年04月27日 05:56撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月27日 06:00撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月27日 08:08撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 04:41撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 04:53撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 05:01撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 05:03撮影 by  SO-03K, Sony
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2019年04月29日 05:05撮影 by  SO-03K, Sony
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2019年04月29日 07:04撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 07:21撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 07:31撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 07:41撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 07:48撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 07:50撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
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2019年04月29日 08:07撮影 by  TG-5 , OLYMPUS CORPORATION
4/29 8:07

装備

個人装備
長袖シャツ 長袖インナー ハードシェル タイツ ズボン 靴下 グローブ アウター手袋 予備手袋 防寒着 雨具 ゲイター バラクラバ 毛帽子 着替え 予備靴ひも ザック ザックカバー サブザック アイゼン ピッケル 行動食 非常食 飲料 水筒(保温性) ガスカートリッジ コンロ コッヘル ライター 地図(地形図) コンパス 計画書 ヘッドランプ 予備電池 GPS 筆記用具 ファーストエイドキット 常備薬 日焼け止め 保険証 携帯 時計 サングラス タオル ツェルト ナイフ カメラ ポール ヘルメット

感想

まずは、私と同じ入山日に北アに入り、命を落とされた4名の方のご冥福を祈ります。

積雪期の涸沢から見ると屏風のように立ちはだかり、とても登れそうにない壁のように見える2つの名峰。奥穂高と北穂高。 それでも黒い点のような登山者が徐々に壁を上り詰め、稜線に達する姿を見ると、人間の凄さを感じる。 昨年のGWは奥穂高に登頂したので、次は北穂高へ。今年はGW開始とともに上高地に入山、小屋開き初日の涸沢ヒュッテに宿泊して登ることにした。
夜行バスや宿泊の予約を取ったものの、気になるのは天気。GPV,SCWを何度も見直す。その結果、入山日の前日は雨か雪だが入山した朝には止んで、小康状態の見込み。ただし、13時くらいには雲が広がってきて夕方には激しい雪になる。寒波が来ているので雨ではなく雪だろう。そうして夜半には雲が晴れて、登頂予定日は快晴、翌日も午前は好天の予定。
これを頭に入れ、上高地から歩き出す。

ルート状況について、1週間前に涸沢に入山された方たちがレポで、貴重な情報を与えてくれた。横尾大橋から深雪で、本谷橋(当然架かってない)から谷コースで三度踏みのトレースがついていること、涸沢まですごく時間がかかったことなど。この一週間でどれだけ変わっただろうか。この情報はないので、ワカンも持参することにした。ピッケル2本、ストックなど合わせて14kg+水分2L。軽量化に努めたのだけど、まだまだ甘いか。平地を歩くのは良いが、少しでも登るとこの重いザックの重さが骨盤に来る。涸沢まで13時には着かないと荒天に捕まるかも。本谷橋以降は、普段でも厳しいのに、お二人の情報では更に厳しそうだ。この後半の登りに体力を使うように、横尾までは少しスピードをセイブする。

横尾で小休止して横尾大橋を越えると事前情報通り、雪一面。200g足らずのワンタッチ軽アイゼンを装着して進む。トレースの中には踏み抜いた箇所も沢山見られる。今日のザックはグレゴリーパラゴン58。歩きはじめは重さを腰に感じたが、慣れてくると重さをあまり感じない。素晴らしいザックだ。でも、登りは頑張りすぎると呼吸が乱れるので、時々立ち止まって呼吸を整える。左に見える屏風岩は雪がついて凍えているように見える。右のデブリは乗り越えてトレースができている。上部からの落石に注意しながら通過する。何度か起伏を越えて、本谷橋のあるはずの休憩場所。ここまでは時間的には予定通り。問題はここから。

ここまでに2名の山慣れた下山者と話をできたが「上の方はボコボコでワカンが有ったほうが良い」「後半はかなり苦労すると思います」と厳しい返事だった。アイゼンを装着して覚悟して進む。コースは谷コース。すでにガスがかかり、アラレが降ってきている。予想より早く悪化するかもしれない。屏風の頭方面からの落石を気にしながらトレースを辿る。今日だけで結構な人数が通っているためか、トレースは安定しており、ワカンの出番はなかった。ガスのため、遠くの目標は見えず、眼前のモレーンの高みを目指すと、いよいよ涸沢ヒュッテの屋根が見えだした。これが見えてから遠い。周りの登山者が休んでいると抜いて、こちらが休んで抜かれ、そうこうしているうちに、テン場との分岐。予想外にへばることなく、ヒュッテに到着できた😁。天気が悪いことが幸いしたか、重いザックの割に昨年より早く到着できた。

どんどんガスが濃くなり、風も出てきて雪も降っている。早めについて本当に良かった。いつも賑わうテラスは営業中だが、誰も居ない。ラーメンとおでんを注文して、談話室で食べた。夕食時には、「最近にない最悪の天候の中、よくいらっしゃいました」とあいさつがあった。夕食後には、吹雪は勢いを増しており、そんな中でも到着する人も居た。悪天候の中、よく到着できたものだ。どんな強者か存じ上げないが、遭難と紙一重ではなかっただろうか。後日、この悪天候の中、小屋にたどり着けなくて槍沢、雷鳥沢、唐沢岳、北ノ俣岳で4名の方が遭難されたとわかった。翌日テン泊された方に聞くと夜12時頃まで悪天候が続いたらしい。吹雪の中、力尽きて心残りだったろう。みんな、ソロ。ツエルトやダウン、ガスコンロは持ってなかったのだろうか。それを使う余力を残していなかったか。この時代、かなり正確な天気予報が素人にもわかるので、よく考えて計画し、行動すればこのような遭難は防げるかもしれないのだが・・・。

翌朝、予想通りの快晴。4時には起きてお湯を沸かして食事を摂る。外が明るくなってきて見やる。全くトレースのない北穂沢、ザイテン。すでにヘッデンをつけて果敢に登りだした方がいる。ラッセル覚悟で頂きに進まれる心意気に感動する。自分にも登れるだろうか。昨日、小屋の方に聞くと天候は回復するだろうが新雪でベストではない。ちょっと難しいなど、コメントを聞いていた。とりあえず、出立の準備を進める。北穂沢では、トップの方が中間地点にまで上がり、そこでスピードが落ちて、後続の2名が近づいていく。さらに下部には10名以上の方が登っているのを見て意を決した。決断が遅い😣。すでに5:50。せめて5:30までに出発しないと、帰りに雪が緩んでくるぞ。

キャンプ場の端に行くと長野県警の方2名がチェック。行き先は「北穂です」。ソロですか「はい」。この時期の北穂に登ったことは「今回で2回目です。昨年は奥穂に登りました」。これでOKをもらえたが、雪崩が心配されること、岩がM字に見えるインゼンより上は斜度が上がるので、怖さを感じたらクライムダウンで下りてくるよう指導を受けた。
涸沢小屋の前でも県警の方が2名、装備をチェックされ、引き返すことも考えに入れておくように指導を受けた。

雪深いトレースを辿っていく。すごい青空。振り返れば、カラフルはテン場が小さくなってきた。すでに結構な高度感だ。できたてのトレースのステップは崩れやすく、一歩ずつ足を蹴り入れながら登る。上部を見ると右に斜上して東稜方面に向かい人達もいる。トラバースで雪が切れ落ちなければよいのだが。私は通常とおり、直登するが時々風がなくなると暑い。後ろから日差し。これは雪が緩むのが早そうだ。ここでも何人もの登山者と抜いては休んで抜かれ、を繰り返す。お互いに助けることはできないが、一体感を感じられる。

指導を受けたとおり、インゼルから斜度が上がり、下を見るとますます高度感が出てくる。ただ、雪が深いので、アイスバーンを滑り落ちるような恐怖は感じない。恐怖を感じたら下りたほうが良いよね。ピックを雪面に差し込んで手がかりにして登る。稜線や松濤岩は目前だが、なかなかたどり着かない。そのうち、初めて下降してくるペアの方たちに出会った。トレースをつけていただいたお礼を言うと、トップの方は南峰に向かったそうで、この方達は途中で追いついた2番手の方だった。さわやかで、技量のある方たちで、急斜面に新たなトレースをつけて雪を落とさないよう気をつけながら、横向きで下降されていった。まもなく、稜線に到達。眼の前の松濤岩の圧倒感がすごい。ここから岩と雪のミックス帯を一登りで北峰に達した。社会人1年目、3交替勤務後にソロで登って以来、34年ぶり。今日は快晴。360度の絶景が広がる。言葉に表せないこの気持の高ぶり。すごい・・・これしか言えない。あっ、もう一言。「山、最高!」😍

さあ、絶景を満喫できたので気になる下降😂。横向きに下り始めたが、クライムダウンに変更。これを想定してピッケルを2本持参してきた。左右両方でピックを雪面に差し込んで下る。しっかり効いてくれるので助かる。アイゼンの刺さりは悪いので、蹴り入れる。ときに、アイゼンの前刃だけに体重を載せて下る。靴の締め具合が不十分で、足裏が動く。これは失敗だな。なんとかそれでも下りられた。クライムダウンを続けるととても暑く、頬が火照ってくる。雪を手にとって頬につけると気持ち良い! 9:50頃、少し傾斜がゆるくなったので下を向いて下り始めると、上から「雪!」か何か声が聞こえた。上を見ると雪が転がり落ちてくるのが見えた。続いて、斜面が雪煙を上げながら一気にずり落ちてきた。雪崩だ。上に居る登山者が右へ移動する。ほとんど同時に右に逃げる。まもなく、雪崩は足元に来て、足が少し埋まり、雪を少し被ったが、幸い雪崩の本流はそれたので助かった。雪崩はインゼル上部を登っていた登山者まで達した。幸い、小規模だったので怪我人はないようだった。雪崩で上部から目の前まで流されてきた登山者も、どこも怪我は無いようで、ちょっと休憩して再び登り始められた。もし規模が大きくて、急斜面のインゼル上部の方を押し流したら相当被害が出ただろう。

この雪崩でトレースはすべてデブリに変わった。この中を再びステップを作りながら登り始める登山者たち。雪も緩んできているので、これは相当なアルバイトだろう。私は再びクライムダウンして下降。この下部でも、先に雪崩が発生したようだ。デブリの中を下降する。延々と下降するが地味に疲れる。休みたいが次の雪崩が怖いので、座り込まないで、周囲の斜面を気遣いながら下降する。涸沢小屋の上部まで来てようやく安心できた。

テン場で、県警の皆さんにアドバイスのお礼を言って、ヒュッテに戻り、テラスでルートを見返す。奥穂高ルートのザイテンの右でも雪崩が発生し、登山者が巻き込まれザックやピッケルを流されたらしい。腰を傷められた方も居るようだ。ザイテンの左右に雪崩跡が見える。幸い、それ以上の雪崩は無かったようで、奥穂高、北穂高のいずれからも続々と登山者が下降してきた。みんな無事で何より。

3日目の朝も快晴。最高の景色を堪能して「山、最高!」と叫びたい気分だった。昨年同様、下山途中に名残り惜しくて何度も振り返る。同じようにしている登山者多数😁。
横尾までつく頃には雲が発生し、天候が徐々に悪化してきた。徳澤でカップ麺とドリップコーヒーで休憩しているとポツポツ小雨が降ってきた。そそくさと片付けて人混みの上高地へ戻りました。

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