快晴の春の北穂高岳2019
- GPS
- 55:22
- 距離
- 37.9km
- 登り
- 1,860m
- 下り
- 1,851m
コースタイム
- 山行
- 5:45
- 休憩
- 0:58
- 合計
- 6:43
- 山行
- 5:13
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 5:53
- 山行
- 4:37
- 休憩
- 1:11
- 合計
- 5:48
横尾岩小屋跡9:30ー10:27本谷橋10:43ー涸沢ヒュッテ12:37
涸沢ヒュッテ5:50ー8:53北穂高岳(北峰)9:17ー涸沢小屋11:36ー涸沢ヒュッテ11:43
涸沢ヒュッテ7:27ー本谷橋8:38ー横尾岩小屋跡9:15ー9:40横尾10:04ー11:02徳澤
11:41ー明神館12:28ー河童橋13:08ー上高地バスターミナル13:15
天候 | 曇りー雪(夕刻より猛吹雪)ー快晴(28日)ー晴れのち曇り(時々小雨) |
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過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
|
コース状況/ 危険箇所等 |
上高地ー横尾:ところどころ凍結、横尾の河原に出る前は雪の上を歩きます。 横尾ー涸沢:横尾大橋を渡った途端、積雪。帰りには一部溶けてましたが、アイゼン装着が良いです。本谷橋の支柱が雪から顔を出していますが、橋の設置はまだまだと思います。本谷橋からは谷沿いのルート。左右からの落石注意。トレースは十分あり、ワカンはすでに不要な状態。 涸沢ー北穂高岳:下から見ると屏風のように立ちはだかる。昨夜の新雪で1−3番手の方がラッセルしてトレースをつけてくれた。北穂沢左側を登る。雪崩注意。ずっと急登。特に黒い岩がM字に見えるインゼルから上は更に傾斜が増す。稜線が見えているがなかなか遠い。稜線まで行けば北峰は目の前。岩場を少し登って山頂。南峰はトラバースなど少し時間を要するみたいなので行かなかった。稜線からインゼルの下部までの下山はクライムダウンで。途中、稜線直下で小規模な雪崩発生。北に数歩逃げて、本流に巻き込まれなかったが雪を被り、足が少し埋まった。流された方もおられたが怪我は無かった。その後ももう一回発生。登頂を断念した方もおっれた。雪崩でトレースは一瞬でデブリに変わった。雪崩のあとは各所にあり注意が必要です。雪が緩む前の早めの行動が大切です。長野県警のお兄さんたちが多数待ち構えていて、経験を聞かれ、装備もチェックした上でアドバイスしてくれます。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
雨具
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
アイゼン
ピッケル
行動食
非常食
飲料
水筒(保温性)
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
ポール
ヘルメット
|
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感想
まずは、私と同じ入山日に北アに入り、命を落とされた4名の方のご冥福を祈ります。
積雪期の涸沢から見ると屏風のように立ちはだかり、とても登れそうにない壁のように見える2つの名峰。奥穂高と北穂高。 それでも黒い点のような登山者が徐々に壁を上り詰め、稜線に達する姿を見ると、人間の凄さを感じる。 昨年のGWは奥穂高に登頂したので、次は北穂高へ。今年はGW開始とともに上高地に入山、小屋開き初日の涸沢ヒュッテに宿泊して登ることにした。
夜行バスや宿泊の予約を取ったものの、気になるのは天気。GPV,SCWを何度も見直す。その結果、入山日の前日は雨か雪だが入山した朝には止んで、小康状態の見込み。ただし、13時くらいには雲が広がってきて夕方には激しい雪になる。寒波が来ているので雨ではなく雪だろう。そうして夜半には雲が晴れて、登頂予定日は快晴、翌日も午前は好天の予定。
これを頭に入れ、上高地から歩き出す。
ルート状況について、1週間前に涸沢に入山された方たちがレポで、貴重な情報を与えてくれた。横尾大橋から深雪で、本谷橋(当然架かってない)から谷コースで三度踏みのトレースがついていること、涸沢まですごく時間がかかったことなど。この一週間でどれだけ変わっただろうか。この情報はないので、ワカンも持参することにした。ピッケル2本、ストックなど合わせて14kg+水分2L。軽量化に努めたのだけど、まだまだ甘いか。平地を歩くのは良いが、少しでも登るとこの重いザックの重さが骨盤に来る。涸沢まで13時には着かないと荒天に捕まるかも。本谷橋以降は、普段でも厳しいのに、お二人の情報では更に厳しそうだ。この後半の登りに体力を使うように、横尾までは少しスピードをセイブする。
横尾で小休止して横尾大橋を越えると事前情報通り、雪一面。200g足らずのワンタッチ軽アイゼンを装着して進む。トレースの中には踏み抜いた箇所も沢山見られる。今日のザックはグレゴリーパラゴン58。歩きはじめは重さを腰に感じたが、慣れてくると重さをあまり感じない。素晴らしいザックだ。でも、登りは頑張りすぎると呼吸が乱れるので、時々立ち止まって呼吸を整える。左に見える屏風岩は雪がついて凍えているように見える。右のデブリは乗り越えてトレースができている。上部からの落石に注意しながら通過する。何度か起伏を越えて、本谷橋のあるはずの休憩場所。ここまでは時間的には予定通り。問題はここから。
ここまでに2名の山慣れた下山者と話をできたが「上の方はボコボコでワカンが有ったほうが良い」「後半はかなり苦労すると思います」と厳しい返事だった。アイゼンを装着して覚悟して進む。コースは谷コース。すでにガスがかかり、アラレが降ってきている。予想より早く悪化するかもしれない。屏風の頭方面からの落石を気にしながらトレースを辿る。今日だけで結構な人数が通っているためか、トレースは安定しており、ワカンの出番はなかった。ガスのため、遠くの目標は見えず、眼前のモレーンの高みを目指すと、いよいよ涸沢ヒュッテの屋根が見えだした。これが見えてから遠い。周りの登山者が休んでいると抜いて、こちらが休んで抜かれ、そうこうしているうちに、テン場との分岐。予想外にへばることなく、ヒュッテに到着できた😁。天気が悪いことが幸いしたか、重いザックの割に昨年より早く到着できた。
どんどんガスが濃くなり、風も出てきて雪も降っている。早めについて本当に良かった。いつも賑わうテラスは営業中だが、誰も居ない。ラーメンとおでんを注文して、談話室で食べた。夕食時には、「最近にない最悪の天候の中、よくいらっしゃいました」とあいさつがあった。夕食後には、吹雪は勢いを増しており、そんな中でも到着する人も居た。悪天候の中、よく到着できたものだ。どんな強者か存じ上げないが、遭難と紙一重ではなかっただろうか。後日、この悪天候の中、小屋にたどり着けなくて槍沢、雷鳥沢、唐沢岳、北ノ俣岳で4名の方が遭難されたとわかった。翌日テン泊された方に聞くと夜12時頃まで悪天候が続いたらしい。吹雪の中、力尽きて心残りだったろう。みんな、ソロ。ツエルトやダウン、ガスコンロは持ってなかったのだろうか。それを使う余力を残していなかったか。この時代、かなり正確な天気予報が素人にもわかるので、よく考えて計画し、行動すればこのような遭難は防げるかもしれないのだが・・・。
翌朝、予想通りの快晴。4時には起きてお湯を沸かして食事を摂る。外が明るくなってきて見やる。全くトレースのない北穂沢、ザイテン。すでにヘッデンをつけて果敢に登りだした方がいる。ラッセル覚悟で頂きに進まれる心意気に感動する。自分にも登れるだろうか。昨日、小屋の方に聞くと天候は回復するだろうが新雪でベストではない。ちょっと難しいなど、コメントを聞いていた。とりあえず、出立の準備を進める。北穂沢では、トップの方が中間地点にまで上がり、そこでスピードが落ちて、後続の2名が近づいていく。さらに下部には10名以上の方が登っているのを見て意を決した。決断が遅い😣。すでに5:50。せめて5:30までに出発しないと、帰りに雪が緩んでくるぞ。
キャンプ場の端に行くと長野県警の方2名がチェック。行き先は「北穂です」。ソロですか「はい」。この時期の北穂に登ったことは「今回で2回目です。昨年は奥穂に登りました」。これでOKをもらえたが、雪崩が心配されること、岩がM字に見えるインゼンより上は斜度が上がるので、怖さを感じたらクライムダウンで下りてくるよう指導を受けた。
涸沢小屋の前でも県警の方が2名、装備をチェックされ、引き返すことも考えに入れておくように指導を受けた。
雪深いトレースを辿っていく。すごい青空。振り返れば、カラフルはテン場が小さくなってきた。すでに結構な高度感だ。できたてのトレースのステップは崩れやすく、一歩ずつ足を蹴り入れながら登る。上部を見ると右に斜上して東稜方面に向かい人達もいる。トラバースで雪が切れ落ちなければよいのだが。私は通常とおり、直登するが時々風がなくなると暑い。後ろから日差し。これは雪が緩むのが早そうだ。ここでも何人もの登山者と抜いては休んで抜かれ、を繰り返す。お互いに助けることはできないが、一体感を感じられる。
指導を受けたとおり、インゼルから斜度が上がり、下を見るとますます高度感が出てくる。ただ、雪が深いので、アイスバーンを滑り落ちるような恐怖は感じない。恐怖を感じたら下りたほうが良いよね。ピックを雪面に差し込んで手がかりにして登る。稜線や松濤岩は目前だが、なかなかたどり着かない。そのうち、初めて下降してくるペアの方たちに出会った。トレースをつけていただいたお礼を言うと、トップの方は南峰に向かったそうで、この方達は途中で追いついた2番手の方だった。さわやかで、技量のある方たちで、急斜面に新たなトレースをつけて雪を落とさないよう気をつけながら、横向きで下降されていった。まもなく、稜線に到達。眼の前の松濤岩の圧倒感がすごい。ここから岩と雪のミックス帯を一登りで北峰に達した。社会人1年目、3交替勤務後にソロで登って以来、34年ぶり。今日は快晴。360度の絶景が広がる。言葉に表せないこの気持の高ぶり。すごい・・・これしか言えない。あっ、もう一言。「山、最高!」😍
さあ、絶景を満喫できたので気になる下降😂。横向きに下り始めたが、クライムダウンに変更。これを想定してピッケルを2本持参してきた。左右両方でピックを雪面に差し込んで下る。しっかり効いてくれるので助かる。アイゼンの刺さりは悪いので、蹴り入れる。ときに、アイゼンの前刃だけに体重を載せて下る。靴の締め具合が不十分で、足裏が動く。これは失敗だな。なんとかそれでも下りられた。クライムダウンを続けるととても暑く、頬が火照ってくる。雪を手にとって頬につけると気持ち良い! 9:50頃、少し傾斜がゆるくなったので下を向いて下り始めると、上から「雪!」か何か声が聞こえた。上を見ると雪が転がり落ちてくるのが見えた。続いて、斜面が雪煙を上げながら一気にずり落ちてきた。雪崩だ。上に居る登山者が右へ移動する。ほとんど同時に右に逃げる。まもなく、雪崩は足元に来て、足が少し埋まり、雪を少し被ったが、幸い雪崩の本流はそれたので助かった。雪崩はインゼル上部を登っていた登山者まで達した。幸い、小規模だったので怪我人はないようだった。雪崩で上部から目の前まで流されてきた登山者も、どこも怪我は無いようで、ちょっと休憩して再び登り始められた。もし規模が大きくて、急斜面のインゼル上部の方を押し流したら相当被害が出ただろう。
この雪崩でトレースはすべてデブリに変わった。この中を再びステップを作りながら登り始める登山者たち。雪も緩んできているので、これは相当なアルバイトだろう。私は再びクライムダウンして下降。この下部でも、先に雪崩が発生したようだ。デブリの中を下降する。延々と下降するが地味に疲れる。休みたいが次の雪崩が怖いので、座り込まないで、周囲の斜面を気遣いながら下降する。涸沢小屋の上部まで来てようやく安心できた。
テン場で、県警の皆さんにアドバイスのお礼を言って、ヒュッテに戻り、テラスでルートを見返す。奥穂高ルートのザイテンの右でも雪崩が発生し、登山者が巻き込まれザックやピッケルを流されたらしい。腰を傷められた方も居るようだ。ザイテンの左右に雪崩跡が見える。幸い、それ以上の雪崩は無かったようで、奥穂高、北穂高のいずれからも続々と登山者が下降してきた。みんな無事で何より。
3日目の朝も快晴。最高の景色を堪能して「山、最高!」と叫びたい気分だった。昨年同様、下山途中に名残り惜しくて何度も振り返る。同じようにしている登山者多数😁。
横尾までつく頃には雲が発生し、天候が徐々に悪化してきた。徳澤でカップ麺とドリップコーヒーで休憩しているとポツポツ小雨が降ってきた。そそくさと片付けて人混みの上高地へ戻りました。
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