【甲信越百名山巡り】下越・蒜場山(ダム取り付き道路が通行止め、ハードな日帰り行に…)
- GPS
- 11:35
- 距離
- 24.2km
- 登り
- 2,225m
- 下り
- 2,237m
コースタイム
- 山行
- 10:05
- 休憩
- 1:28
- 合計
- 11:33
天候 | 晴れ一時曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 新三川温泉・寿の湯(林道ゲートより約20km、大人1人500円・JAF割引あり) |
写真
感想
甲信越百名山巡りも残り2座とゴール間近。金曜に梨百&甲信越名山のダブル指定・静岡県境の篠井山ツアーを(ヤマビル軍団との激闘の末)終えた後、一旦帰宅し体勢立て直し、土曜夕刻より次なるターゲット、下越の秘かなる名峰・蒜場山目指し、再び出撃です(名前は「ヒル」入りということで、思わずヤマビルトラウマに襲われかけますが、この山のタフさはヒルではなく、そのアプローチの長さと岩場を含むアップダウンの厳しさ、そして夏場の暑さにヘロヘロになることに…)。今回は登山口までかなりの距離のため、長岡まで新幹線で移動、営業終了間際にレンタカー借り出して登山口の加治川治水ダムへと車を飛ばします。ちょうどこの日は天下に名の轟く長岡花火大会最終日、毎年日にち指定の開催ですが、今年は土曜日も重なって市内は大混雑。大輪の花火を後ろ髪引かれる思いで振り返りながら、帰宅渋滞の始まる前に市街地を脱出、山間地を抜ける国道で五泉市方面に向かいます。
すると、カーナビが「10km以上先、迂回不可能の通行止め区間あります」と絶望的アナウンス。折角新幹線とレンタカーを駈って下越まで遠征してきたのに、登山口にすら辿り着けずに敗退か、と暗鬱となり、慌てて最近の山行記録を検索してみると、どうやら加治川ダムの数キロ手前で林道工事のため通行止めのゲートがあり、そこから先は自己責任にて徒歩ないし自転車で通行した登山者の方も今シーズンおられた模様。当初の歩程は10km強。片道1,000mを超える標高差を考えるとこれだけでも十分タフですが、プラスアルファの車道歩きが片道1時間程度だとすれば、早朝の涼しい時間帯に林道歩きを終え、何とかレンタカーの営業時間内に長岡まで帰り着けるだろうと踏んで、更に山あいの道を疾走します。結局、加治川ダムの手前約3.3km地点、俎山の登山口あたりに通行止めのゲートがあり、これなら何とか行けそう、と少しホッとして軽くチューハイを飲み、車中仮眠します。
天の川や夏を彩る星座たちもバッチリの素晴らしい星空の予言通り、翌朝も抜けるような快晴。川を吹き渡る風は涼しいものの、今日も相当に暑くなりそう、と気合を入れて5時半前にゲートを出発。この日は日曜、さすがに林道工事もお休みのようで、途中の工事区間も難なく通過。何ヵ所かあったスノーシェッドも暑さ除けには最適で、実質1時間弱で快適に「オマケ」の林道歩きを終えました。ダム管理事務所奥の手洗所近くの水場で1.5リットルの水を汲み、ダム堰堤を渡りきると、いよいよ数年前に開かれた米平新道の登山口。堰堤の途中で振り返ると、管理事務所には宿直の方がおられるようで、何やらこちらの様子を窺っているご様子。シルエットだけですが、「この酷暑の中、林道通行止めをものともせず、超マイナーな蒜場山を登る物好きがいるものだ…」などと語っておられるような…。ともかくも、ここまでは至極順調、まだ時刻は6:30を少し回ったところ。気温が上がる前に頂上近くまで登ってしまおう、と気合を入れ直し、虫除けスプレーを手足に大量噴射、ヒル対策のゲイターを装着し(過剰防衛で結局必要なし、下山時に暑くて取り外しました…)、勢い込んで出だしの急斜面を登っていきます。これがトラブル満載の厳しい1日の始まりであることもつゆ知らず…。
最初の急登をクリア、足下にダム湖の全景が見えるようになると傾斜が緩み、昔のモノレール?やワイヤーの跡などが現れて、「旧鉱山跡」らしきスポット通過。学生時代、鉱業全盛時の最後の名残・旧国鉄赤谷線に乗り、東赤谷駅を往復したことが記憶にフラッシュバックします。ここから立派な案内プレートのある「倉見平」で眼前の立派な俎山を見ながら小休止、ピークがどこかはっきりしない独標を経て、いよいよ道は尾根上のダラダラ続く急登に。気温の上昇とともに少なめの朝飯が次第に消化され、体力が奪われていくことを実感しつつ、早くもバテ気味で途中の顕著なピーク、岩岳に到着。日陰に避難して涼み、体温低下を図ります。
ここまではまずまずのペースながら、ルートは一旦ロープもある急斜面を大きく下り、テン場風の樹林帯の小平地へ。木陰で涼しいのは助かりますが、帰路の厳しい登り返しを想像すると思わずゾッ…。チョコでカロリー補給、目の前にモッコリした烏帽子岩が大きく迫ってくると、ロープ・鎖の付いた岩場を通過。一気に展望が開けて展望絶佳の烏帽子岳に到着。ここまで来ると、峨々たる岩稜混じりの尾根の向こうに、目指す蒜場山がはっきり見えてきます。標高1,000m強の中低山とは思えぬ高度感は爽快ながら、日陰も次第に減り、展望を楽しむ余裕もなく休憩の度に地べたへ寝そべり、栄養補給もままならず長めのクールダウンを取るように。当初は本コース中、一番の核心部かと不安だった兎戻しの岩場も思ったよりアッサリと通過、その後いくつかの片側が切れ落ちた岩稜をクリアし、この先は再び灌木帯のダラダラ登りとなりますが、朝からのカロリー摂取不足がボディーブローのように利いてきて、およそ15-20分毎に日陰にへたり込む″ゾンビ状態″に…。
山頂前最後のピーク・八伏峰を通過、細かいアップダウンを越え正午前、当初予定より約1時間30分遅れでようやく久恋の蒜場山頂到着。正面に雲を帽子のように被った飯豊主脈の峰々を望める展望バツグンの頂上ながら、直射日光を避ける木陰もない山頂の暑さもハンパなし…。笹の葉に埋もれるように倒れ込み、ゾンビの抜け殻さながらに15分ほど寝そべった後、気力を奮い起こして立ち上がり、何とか登頂証拠写真をゲット。この先の長い帰路を考えると相応の食料補給は必須なのですが、暑さと疲労でオニギリ1個とチョコボール数個、フルーツゼリーを胃に流し込むのがやっと。改めて、まだ余裕のあるうちにカロリー摂取することの大事さを痛感しました…。
午後0:20過ぎ下山開始、この後の行程は文字通り苦難とトラブルの連続でした。まずは稜線上の暑さとの闘いが続き、烏帽子岩前後の難所をクリアしてようやく樹林帯に入ったところでクールダウンのため大休止。木陰を吹き渡る風も涼やかで、ようやく気力回復して立ち上がり、しばし歩くと筋肉が悲鳴を上げ、左腿、続いて右足もこむら返りに襲われます。堪らず座り込み、慌てて塩分・水分補給の上、救急グッズから芍薬甘草湯を取り出し服用。効果はテキメン、数分で足痙りも解消し再び歩き出しますが、今度は急斜面の木の根に足を取られプチ転倒、そこへ狙っていたかのようにハチやアブなど虫軍団が多数押し寄せ、そのうちの1匹(外観からは恐らくクロスズメバチ?)に左の手首を刺されます。「泣きっ面に蜂」とほまさにこのこと、などと感心している場合ではなく、慌てて口で血と毒を吸い出し(毒が体内に入るリスクあり、よい子は決してマネしないで下さいね…)、2度目のアタックを避けるため虫除けスプレーを身体の回りに大量噴射。こんな人の入らぬ山奥でアナフィラキシーショックになっては大変、座っているだけでも危ないので、疲れた足にムチ打って樹林帯の下り、その後の地獄の登り返しを、ろくろく休みも取らず歯を食い縛ってこなしていきます。
手持ちのカロリーもほぽ尽きて、岩岳山頂に登り着く頃には2度目のゾンビ状態、堪らず日陰に倒れ込んで虫のいないことを確認し再びの大休止です。この後の区間は比較的平和で緩やかな下りが続きますが、再度のハチ刺されに怯える小生の心中はザワつき、蓄積した疲労とカロリー不足も重なって、下山路最後の小ピーク・独標手前では10-15分に1度、座り込んで水分補給・小休止するヘロヘロ状態に。時刻は15時半を回り、そろそろレンタカー返却先の閉店時間(20時)も気になり始めますが、旧鉱山跡手前のプチ痩せ尾根で登山口の加治川ダム堰堤が見えると、現金なもので「これで何とか生きて帰れる!」と小生体内の予備エンジンが駆動。一転ペースを上げて下山を続け、何とか4時前に下山完了です。
…とここで本日のトラブル納め、舗装道をトボトボと歩くうち、左の山靴の底のゴムが剥がれていることに気づきます。補修用のテーピングテープの持ち合わせもなく、一瞬我が身の相次ぐ不幸!?を呪いますが、せめて下山途中で剥がれなくて良かった、と気を取り直し、持ち合わせの大きめの輪ゴム(往路車中で食べた弁当の包み紙を留めていたもの:何でも取っておくと思わぬところで役立つものです…!)にて応急処置。その後は抜け殻状態ながら、日陰とスノーシェッドの涼しさに助けられ、惰性でエキストラの3.3kmを歩き切って、午後5時前に無事林道ゲートの駐車場所に帰り着きます。
汗まみれの身体のまま新幹線に乗り込むのも顰蹙なので、最寄りの磐越道・三川IC近くの日帰り温泉・新三川ホテル「寿の湯」で一風呂浴び、着替えてサッパリ。前後にペットボトル計3本を一気飲み、やはり小生の身体はかなりの脱水状態であったことを実感します。高速を軽のレンタカーにはややシンドいぐらいの速度で快走、約80kmを走り切って無事長岡のレンタカー営業所には閉店20分前に滑り込み。帰路の新幹線は指定席が満員で立ちんぼも覚悟しましたが、幸い自由席の片隅に座れて「捨てる神あれば拾う神あり」を実感。余ったコンビニオニギリと生ぬるいコーラをほぼ空っぽの胃に流し込んで、爆睡のうちに東京へ帰り着き、波瀾万丈・疲労困憊の1日を終えました。越後の山を「中低山」と侮る事なかれ、蒜場山、手強かった…が正直な感想です。
これで甲信越百名山も残りはラクに登れそうな信州・湯ノ丸山1座のみ。同じく「マジック1」の300名山(残りは活動活発化の箱根…)の方は完遂のメドが立たぬ中、甲信越名山の最後ぐらいは家族と共に喜びを分かち合いたいところです。今夏は北アの日本百高山チャレンジの計画もあるところ、気になるハチ刺されの方は、翌日夕刻に自宅近くの内科クリニックで受診。「幸い腫れてもおらず、針は残ってないようだ。処置は適切だったかも」との有難い所見を頂戴し、アレルギー反応抑制のためのステロイド剤の点滴を受け一件落着。担当医からは「ハチのアナフィラキシーショックは1度目に刺された直後よりも、むしろ12〜24時間前後経過した後の方が抗体形成・アレルギー反応が強く出るので、その頃2度目に刺されると生命の危険あり。刺されたその日のうちに、対処可能な設備の整った医療機関で処置してもらうように」と丁寧なアドバイスを頂きました。小生も今回の教訓・経験を活かし、常備する救急グッズにポイズンリムーバーなどを加えようと思います。これからの夏山〜秋山シーズン、いくら虫除けや長袖・白帽子等で″武装″してもまだまだハチ刺され等のリスクは(特にマイナーな中低山では)高いですので、ヤマラーの皆様もどうぞくれぐれもお気を付けて!
〈※いつもながら長文・乱筆の所感、失礼いたしました…!〉
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