記録ID: 1972590
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍
北鎌尾根 湯俣ルート/P2より周回
2019年08月11日(日) ~
2019年08月13日(火)


体力度
7
1~2泊以上が適当
- GPS
- 56:10
- 距離
- 31.2km
- 登り
- 2,276m
- 下り
- 2,411m
コースタイム
1日目
- 山行
- 9:43
- 休憩
- 2:23
- 合計
- 12:06
距離 6.9km
登り 1,357m
下り 249m
2日目
- 山行
- 8:05
- 休憩
- 2:49
- 合計
- 10:54
距離 9.3km
登り 861m
下り 1,602m
3日目
- 山行
- 7:03
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 7:43
距離 14.8km
登り 59m
下り 566m
5:56
0分
宿泊地
5:56
269分
貧乏沢付近の適地
13:39
ゴール地点
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
以下、難所と思われるポイントのみ記載します。 ※北鎌のコルから先は記録多数のため、割愛。 ■湯俣〜P2取り付き 湯俣ルートと言えば渡渉。水温対策にはネオプレンスパッツとソックスを、濡れにはザック内をドライサックで完全防水にしました。 連日の晴天続きのせいか往路の水量はせいぜい大腿部まで(身長173cm)、渡渉にはストックを使用。 水位が高く渡渉に行き詰るポイントでは高巻きましたが、徒渉が可能であれば積極的に入水した方が明らかに速いです。吊り橋から水俣川へ降り立った初っ端から徒渉していくことをおすすめします。 千天出合手前の崩壊吊り橋付近での右岸の高巻きは悪く、余程の水位でなければおすすめしません。(帰路は水位を見極め、左岸へ一旦渡渉し、大高巻きルートを迂回しました。P2取り付き以外で目印となるような赤布等は見当たりませんでした。) P2取り付きは千天出合の道標から河原へ降りず、右岸につく明瞭な小高巻ルートを右手を見ながら進むと、やがて左岸にピンクリボンが巻かれた立木を認めます。 これを見送り更に進むと間もなく青銅の慰霊碑(桃子さんプレート)が現れます。 眼前の滝をさらに巻き、左岸に渡れる水位を見つけて渡渉した先がP2の取り付きになります。どこからでも取り付けますが、慰霊碑より少し下流に戻ったところにテン場適地があり、そこから明瞭な踏み跡が伸びています。 ■〜P2 序盤は斜度は緩いが、間もなく傾斜は強まり、岩登り木登りが始まります。ロープ不要、また藪漕ぎも言われているほどではなく、想定よりも軽度でした。 ■〜P4 P3の下降地点からハイマツが顕著に濃くなり、酷い(と言っても激薮レベルではない。踏み跡も明瞭)藪漕ぎがP5まで続きます。 また小ピーク手前の草付き急斜面でのトラバースのほか、ワンポイントで立った岩場の通過があり、ミス厳禁です。 藪漕ぎでは枝葉の反発が強いので、長袖・ロングパンツ等で保護する等、肌の露出やザックの外付けは避けるべきです。 ■〜P5・6のコル P5を直登する場合はナイフリッジ直後のギャップの通過に特に注意です(巻き道から遠望)。P5を直登しない場合前衛峰に懸垂支点がありますが、その手前の鞍部から天上沢側に付くザレた急傾斜の巻き道を草木を掴みながらクライムダウン(ロープ不要)していきます。やがて傾斜が緩み、やや水平に草付きを直進するとP5巻き道の核心部となるザレたルンゼの下段に出ます。 核心のルンゼまでザレた急斜面を枝草を掴みながらの4駆登高していきます。 核心のルンゼでは滑り落ちれば怪我は必至なので、無理をせず左の壁上に取り付き、(卦蕕世岩は脆くテスト必須)難なく悪場をパスしました。 またルンゼを抜けてからの急斜面の草付きトラバース、5,6のコルへの最後のザレも悪く、枝草を掴みながらの4駆登高を強いられます。 この区間はバイルやチェーンスパイクがあれば楽に通過できるでしょう。 ■〜P6 5,6のコルから千上沢側のザレ〜ガレの急斜面の登高があります。後続者がいる場合は(居ない場合でも)落石を起こさない足運びが求められます。 ここは右側は断崖で見た目のインパクトはありますが、実際に登ってみるとロープを出すほどではありませんでした。 ガレ場のセクションを通過すると再びハイマツ漕ぎの登りを経てあっけなくP6のピークへ躍り出ます。 ■〜北鎌のコル P7ピークまでは指呼の距離ですが、P6を下り、P7への鞍部からは短いが両側が切れ落ちたリッジの通過があり、注意点を強いて挙げるとするならピークまではここが唯一慎重さを求められるところです。 P7ピークから北鎌のコルへのルートは錯綜しており、選択によって難易度に差が如実に出ます。先ずは二手に付いた踏み跡(直進する踏み跡の方が濃い)の左側(踏み跡が薄い方。※天上沢側)を選択します。 途中のチムニー懸垂支点がありますがここはパスし、直進した方が容易です。 先ほどのピークからの左手の踏み跡を辿り、テラスに降り立ったところを右手にトラバース、その先の二俣も直下にコルが見えており、左手の急斜面に付く踏み跡に誘導されそうになりますが、右手方向の踏み跡を選択すると容易にコルに出ます。 ここまで危険な個所の通過はありません。 北鎌尾根上では基本的に懸垂を要するようなポイントはなく、行く手にそのようなポイントが現れたら、そこはミスルートと思った方が良いです。 ■〜槍ヶ岳 北鎌のコルから先は一気に踏み跡も濃くなり、一般道化した北鎌尾根となります。 情報も多く、割愛します。 ■北鎌沢出合〜千天出合 貧乏沢までは数年前と沢地形が変わっていました。沢幅・水量ともにグレードが増しており、以前の面影は全くありません。 貧乏沢周辺までは小高巻き道が付けられており、これを利用して距離を詰めていきます。途中、一ヶ所ですが、巻道がない高巻を強いられるポイントがありました。 背丈程の笹薮をかき分けながら、視界が乏しい中、適当なところで河原へ降りるポイントを捜すのですが、うっかりすると、河原からどんどん離れて下降ポイントを見失い、下降に難儀するはめになる恐れがありますので注意が必要です。 千天出合方面は基本、右岸を進みますが、1750m付近で崩壊斜面が現れ、高巻きをするにしても相当な労力を要すると見込まれたため、高巻は止め、左岸に渡渉することに。対岸を良く見ると、大岩の上にマーキングと思しき石が乗っており、暗に渡渉をするものと解すことができます。 沢装備はP2取り付きにデポしているため、素足での入水となりました。大した距離ではないのですが、沢の冷たさはネオプレンなしでの渡渉は考えられない程のもの(個人差あり)で、たった一回の入水でしたがあまりの冷たさに心が折れかけました。 左岸に渡渉した後は小高巻を交えながら桃子さんプレートまで左岸通しで特に苦労なく到達。 この区間の藪漕ぎも延々と先の見えない藪漕ぎをするようなことはなく、ワンポイントの高巻きの藪漕ぎが概ね通算して15分程度でした。これは水量や各自の判断で相当にバラツキが出るところだと思います。 ■総評 当該コースの核心部は、やはり天上沢の通過に尽きると言っても過言ではないと感じました。コースタイムは水量により渡渉か高巻きの選択で大きく変化しますので、タイムに十分な余裕をもって挑むべきです。 |
その他周辺情報 | 七倉温泉:650円 |
写真
本来は楽をしたいのでタクシーを利用したいところですが、時間がもったいないので徒歩でダムへ行くことにします。19時を回った途端、隧道の照明が全て落とされ、真っ暗闇に。早々にヘッ電を出しました。
が、徐々に岩まじりの急登に変化します。所々木の根を掴みながら慎重に登っていきます。言われている程、藪はひどくありませんでした。またロープは不要なレベルです。危険な個所にはフィックスがありますが、劣化が酷く使える代物ではありません。
先ほどピークに立っていたパーティが懸垂中でした。ここはパスし、直進した方が容易です。北鎌尾根上では基本的に懸垂ヶ所はなく、行く手にそのようなポイントが現れたら、そこはミスルートと思った方が良いです。
先ほどのピークからの左手の踏み跡を辿り、テラスに降り立ったところを右手にトラバース、その先の二俣も直下にコルが見えており、左手の踏み跡に誘導されそうになりますが、右手方向の踏み跡を選択すると容易です。コルが見えてきました。ここまで危険な個所の通過はありません。
コルに到着しました。さすが連休の北鎌尾根。北鎌沢から続々と人が上がってきます。と、ここで、コル直下まで詰め上げて来た登山者から、詰んでしまったとのことでアドバイスを求められました。
我々も疲労が堪えてきましたので、そろそろ幕営地を決めなければなりません。北鎌のコルは既に複数のテントで一杯。そのすぐ先のワンテン適地(なぜか多くの人にパスされていた)に設営を決めました。
基本、右岸を進みますが、ここ1750m付近で崩壊斜面が現れたため、高巻きは止め、左岸に渡渉することに。沢装備はP2取り付きにデポしているため、初めて素足で入水します。あまりの冷たさにネオプレンの有難味を感じました。
装備
個人装備 |
渡渉装備(ネオプレーンスパッツ・ソックス
ハーフパンツ
マリンシューズ)
シュラフカバー
インナーシーツその他幕営装備一式
|
---|---|
共同装備 |
ロープ(30m)
ガス
|
備考 | 軽量化のため、マリンシューズとしたが、徒渉の際に突き指をしたり、泥壁の急高巻きでは脱げそうになる等、 デメリットが目立った。 たかだか数時間の徒渉と甘く見積もっていたが、装備のデポをするなら堅牢なシューズを使用した方が安全快適。 |
感想
初めての北鎌尾根は貧乏沢からでした。
独標から眺める長大な北鎌尾根はまさに圧巻の一言で、
下山後も余韻は冷めることはありませんでした。
間もなく湯俣からのルートを知り、この道を開拓したかつての先人たちの苦労に思いを馳せながら歩いてみたいと強く思いました。
以来、いつでも計画を実行に移せるよう準備していましたが、天候や所要で計画が流れ続けて早4年。年々湯俣ルートへの憧憬の念は一層強くなる中、
ようやく今回実行の機会が訪れました。
台風10号の動向が注目される中、当初計画ではP5直登も小槍登攀もと、あれやこれやと欲張りましたが、いざ迎えてみれば週末の悪天候続きで2ヶ月ぶりの山行に、通過で精一杯でP5と子槍の登攀は諦めざるを得ず、体力の低下を思い知らされる山行となりました。
ですが、山は困難に見合う絶景を見せてくれます。
このルートもまた筆舌に尽くしがたい感動を与えてくれ、何度でも歩いてみたいと思わせる魅力を感じました。
次回は十分な体力作りをして、また違った角度で楽しみたいと思います。
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