甲斐駒ケ岳-黒戸尾根ピストン
- GPS
- --:--
- 距離
- 17.0km
- 登り
- 2,354m
- 下り
- 2,351m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
危険箇所はとくになし。迷う箇所もなし。 刃渡りから先のハシゴ、クサリが山ほどありますので苦手な人は苦労するでしょう。 また私のようなWストック愛好家泣かせでもあります。 刃渡りより先はストックはザックにしまうのが王道ですが、 私はストックを縮めて短くしひもに手を通し手首にぶらぶらさせながらいきました。 これなら使いたいときにすぐ使えます。 ただしどこかにひっかかると事故の原因になるので万人にはオススメできませんが。 オスプレーのザックのように脇差しのように収納できるループがあると一番いいかもしれません。 水場は七丈小屋にしかないと思っていたら五合目小屋跡の近くにもありました。 詳細は写真コメントで。 ただしかなり細く常に出ているとは限らないと思いますのであまりあてにしないほうが無難ですね。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
今、私は、心地よい充実感、達成感と、身悶えする筋肉痛に包まれてレコを書いています。
南ア北部の主峰のうち甲斐駒ヶ岳だけがまだ未踏でした。
甲斐駒ケ岳は南ア北部の中で私がもっともカッコいい(北岳よりも)と思っている山なのにです。
なぜなら、甲斐駒ケ岳へは黒戸尾根から行きたいと思っていたからで、そんな気軽には行けなかったのです。
黒戸尾根。
泣く子も黙る、泣くドエムは喜ぶ、その響き。
昨年から魅せられて2度計画するも、一度は天候で、一度は寝坊で断念。
ついに2年越しで行ってきました。
その間ブログやらヤマレコやらで記録を読みまくり
「きつい」「つらい」「苦しい」「撤退」「ドエム」というネガティブなキーワードが刷り込まれて
はたして自分にできるのか?と必要以上に身構えてしまっていました。
なんせ単純標高差2200mの岩場ありクサリありハシゴありのロングコース。
山と高原地図のCTは登り9:30下り5:40計15時間10分、8割で行けたとしても12時間、早出がマスト。
去年の失敗は繰り返したくない、ってことで万全を期して韮崎のビジネスホテルに前夜チェックイン。
若ければ車中泊とするところですが、快眠できない→コンディション不調→敗退、は避けねばなりません。
なんせ黒戸尾根ですから。
おまけに夕食にはうなぎを奮発、しかも「松」。ボーナスも出たしね。馬にニンジン作戦ですよ。
なんせ黒戸尾根ですから。
荷物も軽量化、必要最小限に。
これだけ準備、投資して寝坊は許されない。
早起きしなければと神経質になり眠剤飲んでもなかなか寝付けませんでしたがなんとか予定時刻に起床。
ホテルからは登山口までは車で30分。
すでに10台以上の車が停まってます。
最近人が増えてきたと言われてますがやっぱりそうなんですね。って自分もですが。
吊り橋を渡って登り始めてほどなくトレラン2組含む何人かに抜かれて行きます。
トレランは論外として、私は平均よりは速いほうで抜かれることより抜くことの方が多かったので
さすが黒戸尾根、登る人もハンパねえなと感じ入ります。
速さだけでなく皆さんピリッとしていて静かに闘志を漲らせている雰囲気を醸していて他の山域とは明らかに客層がちがいます。
私浮いてないですかね?
しかし、周囲のペースに乱されることなく意識して自分のペースを守って歩きます。
長い行程と後に控えるきつい行程を考えると序盤のオーバーペースは命取りなのは予習してますから。
刃渡りまではさほどきついコースではないので順調にこなし、今日は行ける、と、このとき確信。
刀利天狗からはハシゴ、クサリがわさわさ出てきますが、私はハシゴやクサリが好物でして、まったく苦になりません。あと吊り橋も。アスレチックみたいで楽しいじゃないですか。
子供をアスレチックに連れて行ったときも、しょうがなく付き合ってる体で思いっきり楽しんでましたから。
そんな感じでわりとあっさり七丈小屋に到着。予定よりも早い。
思ったより大したことないな、ってこのときは正直思いました。
あと2時間も歩けば山頂か余裕だね。
気も緩み長野から来たという明らかに私よりも年配の方と談笑していると
朝追い越して行ったトレランの方が下山してきた。
山頂までのタイムを聞くと涼しい顔して「3時間30分」とのお答え。
ぬわにぃ〜?!あんた人間じゃねえっ!
って言ってやりました、心の中で。
七丈小屋から山頂までは全行程の中では短い方ですが、
ここからがきつい。
けっこうな急登でございます。
それでも想像を絶するほどではなく、序盤とはうって変わって重くなった足をなんとか前へ運べる程度ですね。きついけれども森林限界を越えて展望も開け、登ってきた尾根や憧れの鋸岳、甲斐駒頂上付近を眺められるので気も紛れます。
しかしガスが下からどんどん湧いてきていて早く頂上に行かないと北岳や仙丈が拝めないと焦ります。
すでに鳳凰は雲の中。
このあたりから日帰りの速い人たちが下りて来はじめて山頂の様子を聞くとまだ眺望はいいらしい。
気は焦ってもペースはあがりません。
はじめは眺望なんてどうでもいい、無事に黒戸尾根日帰りが達成できれば、なんて思っていましたが、
人間とは欲深いもので、達成できると思うとやはり展望も楽しみたい。
それでもなんとか山頂に着くと北岳はガスに巻かれはじめていたが鳳凰を除く南アルプスの主峰を拝むことができた。北アも。八ヶ岳と富士山はダメでしたが。
間に合った安堵感、ついに登った達成感に包まれて気分は最高に高揚。
この達成感はこれまでの山行の中でもトップクラスです。
予定より早かったのでゆっくりお昼休憩です。1時間はのんびりしよう。
きつかった登りのご褒美に素晴らしい時間を堪能しよう。
こんなことなら軽量化のため置いて来たジェットボイルをもって来てコーヒー入れればよかったなあ。
などと思いつつ2服めを手にした時だった。
まったり至福の時間は唐突に終わりを告げる。
ギュルギュル...
お腹が差し込む...?
やばいっ?! ベン・イー・キングがスタンド・バイ・ミーっ!
速攻で身支度をし山頂周辺の散策もせぬまま七丈小屋のトイレを目指して激下る。
下る前に下らねばなどと下らないことを考えつつ、迅速にしかし慎重に下る。
あわてて転んだりしてその衝撃で人前で暴発したら、もうオヨメ...じゃなかったオヤマに行けないカラダになってしまう。
うう....
なによりこんな信仰深いお山でそそうなんてしたらどんなバチが当たるか。
走れメロスのごとく周囲に目もくれず、帰りにゆっくり撮ろうと思ったお花もシカト、雷鳥探しもせずにただひたすら駆ける。
寄せては返す波をなんとか乗り切りキジを撃つことなく七丈小屋のトイレに到着。
至福の時間が再度訪れます...
さあ、あとは下るだけ。
とっとと帰りましょう。
が、ここからが黒戸尾根のきついところ(個人的な感想です)。
特に五合目からがとてつもなく長く感じました。
足に蓄積した疲労もピークに達し、たまらずあと1時間のところで休憩をいれました。
ヒザが笑う感覚は久しぶりでした。
下山後の疲労度はこれまでで一番だったかもしれません。
七条小屋からの下山中に登りよりも多くの七丈小屋泊まりの登山者とすれちがいましたが、朝出会った単独行男性ばかりの日帰りの方々とは雰囲気が異なりパーティや女性が多く和気あいあいと和やかな感じだったのが印象的でした。
しかしその中に日帰りという人もいて驚きました。刀利天狗あたりで時刻は14時ちょい前だったと思います。
あの人はその後どうなったんでしょうか。
念願の黒戸尾根が達成できて満足です。
止ん事無き事情で山頂でゆっくりできなかったのが心残りですが。
必要以上にリスペクトしていた感はあり、想像を越えるほどではありませんでした。
がしかし、手強いことは確かです。
私の力量では二日酔い、寝不足、抑うつ気分では達成不可能でしょう。
黒戸尾根はともするとキツいイメージばかりが強調されますが、
コースは笹原あり岩場ありハシゴありクサリありとバリエーションに富んでるし、標高差2200mは逆に低山から高山まで多彩な風景を楽しませてくれます。
さらに、山岳信仰のため日本の主たる山はほとんどが信仰の対象となっていますが黒戸尾根からの甲斐駒ケ岳は石仏や石碑が尋常でない数が祀られていてその信仰の深度は他にないぐらい深く、そのことが何か神秘的な雰囲気を纏って感じられてそこもまた大きな魅力を感じます。
自分の力量を計る山、これもよく言われることです。
確かにその通りですが、トレーニングの場と位置づけるのはもったいないほどの魅力満載の山です。
自信や感動、充実感などたくさんのものを頂きました。
体力が続く限りまた再訪したいと強く思いました。
初めまして、自分もこの日に黒戸尾根から登っているので多分お会いしてますね。(グリベルザックの方?)
自分も力量(衰え)を見るために毎年登っていますが本当に黒戸は良いですね〜。
千葉のご出身というと、もしかして、
登りの途中と山頂でお話させていただいた、
黒戸は今年2回目で、鶏冠山や、百間洞のとんかつはうまいとか
笊ヶ岳や笹山の話を聞かせていただいた方でしょうか?
私はミレーの緑のザックに黒い帽子に銀縁のメガネの風体でした。
衰えなんてとんでもないですよ。男前な登りっぷりでしたね〜。
黒戸尾根は本当に気に入りました。
私も登る資格を維持するために日々精進したいと思います。
また南アの南部ででも会えるといいですね。
お〜!!思い出しました。ハッキリ覚えております。
お世話になりました!!
南でお会いしたら、こちらこそよろしくお願い致します。
これからも良い山行を!!
kanosukeさん、お疲れさまでした。
登山には色々な楽しみ方があると思いますが、目標にしていたルートにチャレンジして達成する。これほど充実感のあることはないと思います。やりましたね!
しかも、そうした中でもキジうち未遂というネタを忘れないところがまた素晴らしい。
(本当は未遂じゃなかったりして。)
次はテント担いで、鋸岳まで行っちゃってください!
やってやりましたよ!黒戸尾根日帰り!
今日も身体はボロボロですが心は充実してます
<本当は未遂じゃなかったりして
な、な、なんてことをおっしゃいますやらっ!
そんなことは、な、な、ないですよっ!
ただでさえドエムな黒戸尾根にさらに苦行を強いられてスーパードエム山行になってしまいましたね
<次はテント担いで、鋸岳まで行っちゃってください!
同じ日に六号石室にテン泊して甲斐駒ー鋸を縦走する人がいて、
話を聞いて刺激を受けましたし、
実際に鋸の稜線もみたりして、いつかやったるという思いが強くなりましたね。
この日に黒戸尾根を日帰りしてた単独の人たちは猛者が多くていろんな話が聞けて楽しかったです。
kanosukeさん、こんにちは。
黒戸尾根日帰り、お疲れさまでした!
良いペースで行かれたようですね。さすがです
また、天気も良く、眺望もあったようで、何よりです。
樹林帯、はしごや岩場、剣、お花、景色、そしてドM。
黒戸尾根はキツイけど、色々と刺激があってやっぱりいいですね。
そして、長ーい下り、とても良く分かります
レコを拝見して、私もまた黒戸に行ってみたくなりました
次は、日向八丁尾根から鋸、黒戸尾根周回などいかがでしょう
黒戸尾根はきついけど、また行きたくなってしまう魅力がありますよね
出会った日帰りの方もリピーターが多かったです。
cirrusさんの昨年のレコも参考にさせていただきました。
感謝です。
だいたいcirrusさんのタイム+1時間ぐらいかなって思ってたらその通りでしたよ。
>日向八丁尾根から鋸、黒戸尾根周回などいかがでしょう
お〜、そそられますね〜
まずはcirrusさんに行ってもらってそのレコを参考にさせていただいてから行きたいと思いま〜す
ところで、大岩山からの八丁尾根はルートあるんですか?
まずは釜無川からの無難なルートで攻めたいと思います
「名は知らぬ白い花」・・・名前を調べるときは、葉も撮りましょう・・・特徴的なあの葉だったらアレかと思うんだけど、花が下向きだからやっぱり違うかな。
「小屋跡に咲き乱れていた花」・・・アブラナ科というのは分かるのですが。上高地で見るなら「イワハタザオ」、図鑑を見ると「オクヤマガラシ」も怪しい?
「ハクサンイチゲ」もう咲いてるんですね。「?」は外しちゃえ。
「ミヤマキンバイ」・・・ええ? ミヤマダイコンソウでしょう・・・と思ったのですが、「あんたが大将!」
頂上でゆっくりできなくて残念でしたが、キジうちしなかったのは、えらい!
「下り」が畳み掛けるように重なる描写に、大笑い。
甲斐駒は安曇野からも見える山です 。
行きたいなあ。行くなら私は1泊ですけど。
kanosukeさん、こんばんは!
ドM尾根のレコじっくり堪能させていただきました。
下りでのアクシデントにもめげずに、結構いいペースでの完遂ご苦労様でした。
kanosukeさんのおっしゃる通り、黒戸尾根の登りは、のんびり行けば、
皆さんが言っているほどの大変さはないですよね
でも下りはもの凄く大変だと思います。
五合目過ぎの登り返しが終わってからの、下りの長さは尋常じゃありませんね。
いつまでたっても登山口には着かないし・・・
私が行った時は、頭の中ではとがエンドレスでグルグル回り出してました。
>再訪したいと強く思いました。
なんて、多分、kanosukeさんはcirrusさんと同じでMの気がありますね
ノーマルな私はこの尾根はもう勘弁してですが・・・
ronさん、コメントありがとうございます
おっしゃる通り登りは正直そんなつらいとは思いませんでしたが、
黒戸尾根のきつさの本質はその長さにあると思います。
後半にくるんですよね
>多分、kanosukeさんはcirrusさんと同じでMの気がありますね
私のMっ気なんぞこどもみたいなもんですよ、cirrusさんのような真性とは違います
>ノーマルな私はこの尾根はもう勘弁してですが・・・
ノーマルな人は谷川馬蹄形縦走日帰りとか鹿島槍、五竜日帰り縦走とか、
北穂南岳日帰り縦走とかしないと思いますよ〜
ronさんのこれまでのロング山行の数々に比べたら黒戸尾根なんてかわいいもんじゃないですか
ずばり、アブノーマルでしょう!
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