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Yamareco

記録ID: 21396
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
道北・利尻

北見富士、渚滑岳、馬の背山、天塩岳

1986年12月30日(火) ~ 1987年01月11日(日)
 - 拍手
GPS
296:00
距離
88.9km
登り
3,935m
下り
3,723m

コースタイム

12月30日北見滝上C0→ペンケプシュナイ林道の西の林道(8:30)→ペンケプシュナイ林道終点の廃屋C1(14:40)
12月31日停滞C1=C2
1月1日停滞C2=C3
1月2日C3(7:20)→北見富士(12:40-50)→C316:35)=C4
1月3日停滞C4=C5
1月4日C5(ペンケプシュナイ川廃屋)(6:30)→富士見峠(12:15)→第五区公民館C6(13:30)
1月5日C6(6:25)→パンケプシュナイ川左岸尾根→渚滑岳(12:30)→馬の背山への高原状台地C7(14:00)
1月6日C7(7:00)→馬の背山(10:30-11:30)→天塩岳ヒュッテC8(13:00)
1月7日停滞C8=C9(標高1300mまでで引き返し)
1月8日停滞C9=C10
1月9日停滞C10=C11
1月10日C11(7:00)→天塩岳(10:30-40)→C11=C12(12:50)
1月11日C12(7:00)→天塩川林道→最終人家(11:00)
アクセス
ペンケプシュナイ沢
2007年06月20日 06:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
6/20 6:26
ペンケプシュナイ沢
ペンケプシュナイ沢
2007年06月20日 06:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
6/20 6:26
ペンケプシュナイ沢
ペンケプシュナイ廃屋キャンプ
2005年04月03日 16:34撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
4/3 16:34
ペンケプシュナイ廃屋キャンプ
ペンケプシュナイ廃屋キャンプで焚き火。風邪で寝込んでいないメンバー
2005年04月03日 16:34撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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ペンケプシュナイ廃屋キャンプで焚き火。風邪で寝込んでいないメンバー
北見富士への登り。ずぼずぼ不快調斜面
2007年06月20日 06:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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北見富士への登り。ずぼずぼ不快調斜面
北見富士を見上げる
2007年06月20日 06:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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北見富士を見上げる
北見富士への登り
2007年06月20日 06:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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北見富士への登り
登りで北見富士を見上げる
2005年04月03日 16:33撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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登りで北見富士を見上げる
北見富士山頂から
2007年06月20日 07:01撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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北見富士山頂から
北見富士山頂
2007年06月20日 07:01撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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北見富士山頂
北見富士山頂から
北見富士を振り返る。
2007年06月20日 07:01撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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北見富士を振り返る。
ペンケプシュナイ廃屋キャンプ
2005年04月03日 16:34撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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ペンケプシュナイ廃屋キャンプ
ペンケプシュナイの廃屋キャンプ前で米山
2007年06月20日 06:26撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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ペンケプシュナイの廃屋キャンプ前で米山
富士見峠より北見富士はるか
2007年06月20日 07:01撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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富士見峠より北見富士はるか
小学校廃校あと
2005年04月03日 16:34撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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小学校廃校あと
渚滑への登り
渚滑岳から先の大平原
2005年04月03日 16:33撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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渚滑岳から先の大平原
渚滑岳付近の高原台地。氷点下25度の朝
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渚滑岳付近の高原台地。氷点下25度の朝
渚滑岳付近の高原台地。氷点下25度の朝
2007年06月20日 07:01撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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渚滑岳付近の高原台地。氷点下25度の朝
渚滑岳付近の高原台地。氷点下25度の朝
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渚滑岳付近の高原台地。氷点下25度の朝
渚滑岳から馬の背山への高原台地、樹氷のなか
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渚滑岳から馬の背山への高原台地、樹氷のなか
渚滑岳さきの大平原
2007年06月20日 07:01撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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渚滑岳さきの大平原
馬の背山から天塩岳山荘を見下ろす。
2007年06月20日 07:01撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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馬の背山から天塩岳山荘を見下ろす。
馬の背山
2007年06月20日 07:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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馬の背山
天塩岳山頂付近
2007年06月20日 07:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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天塩岳山頂付近
天塩岳山頂から反対のコルを見る
2007年06月20日 07:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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天塩岳山頂から反対のコルを見る
天塩岳山頂
2007年06月20日 07:29撮影 by  CanoScan 9950F, Canon
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天塩岳山頂
撮影機器:

感想

【ルート】
北見滝上→ペンケプシュナイ川→北見富士→第五区→渚滑岳→馬の背山→天塩岳

3ケ月のネパール旅行から帰ってみると、既に僕の冬山メインは、渡辺ロクの道北パーティーに加わることが決まっていた。ロク、松木、そして1年目は山森、ディック、ババア、デーモン、プー太郎。山域は北見山地の中部高峰群。松木さんらしい選択だ。まずはルームでもほとんど登頂記録の無い北見富士。地図から見ても、さえない山容が予想されたが標高は1300mを越え、北見山地では見逃せない山頂である。頂上台地には広葉樹が生い茂り、エゾシカの天国だそうである。入山前夜、北見滝上の、すでに廃線となっていた国鉄の駅に泊まり、道北らしい寒い朝を迎える。

朝、タクシーで出発するが林道を間違え、一本東の沢で置いてきぼりにあう。戻るよりは林道をそのまま進んで尾根をのっこしたほうが早いということになり、ぞろぞろと前進。結局20kmも余計に歩くはめになる。予定通りのペンケプシュナイ川のほとりの尾根末端につくころには足の裏は林道マメでゴロゴロ。ちょうどいい廃屋があったのでそこにツエルトを張る。昭和30年頃の開拓農家だろうか。ここの苛酷な寒さについに離農したのか。

その夜からリーダーのロクさんは連日の卒論の疲れがたまったのか熱をだし、風邪をこじらせ寝込んでしまった。このため年越しの2日間、晴天停滞とする。元気なメンバーはスキーをしたり、焚火をしたりして過ごす。よい正月ではある。ようやくリーダーが復活したとき、入れ代わりにデーモンとババアが発熱。気の毒だが2人をおいて北見富士のアタックにでる。

予想通りの猛烈なブッシュの尾根をよじのぼり、頂上台地へ。台地の上はカンバの林なれどエゾシカの姿無し。やや高くなっている山頂に立ち、一同万感。こんな地味な山、もう2度と来ることもないだろう。下りも意外と時間がかり、既にペンケプシュナイヒュッテと呼ばれるようになったその廃屋にたどり着いたときには、短い冬の日はすっかり暮れていた。その翌日も2人は動けず、もう1日、晴れの停滞をしたのだった。廃屋の正月、終日の焚火、なんとも奇妙な山行が始まったものだ。ここは本当に日本だろうか。

病魔に呪われたペンケプシュナイヒュッテをようやく脱出し、第5区という名の廃村寸前の集落へ。ここにある公民館に500円で一泊し渚滑岳の東尾根に取り付く。記録がないので5万図で見当をつけた尾根はパンケプシュナイ川の左岸尾根だ。ブッシュを抜け風が強くなるころ、白く滑らかな山頂についた。北見山地の展望はときおりガスの中。カンバの疎林を載せた平らかな古い溶岩台地の連なり、南の方向、逆光の中に天塩岳の影が浮かんだ。厳冬季特有の、粒の大きな雪の結晶が深くて軽いラッセルをさせる。渚滑岳から馬の背山にかけての緩やかなヤブヤブの高原はおそらく訪れる者もなく、この雪の季節にだけ、限られた僕達だけを受け入れるのだ。テントを張るのに選んだ場所は緩い沢型の源頭地形。タンネがそこにだけいくらか生えていた。2週間に及ぶこの山行で唯一テントに泊まった夜である。この日はめっぽう冷え込んだ。

寒い朝、凍ったテントを起き出て今日もよい天気、深く軽く積もった雪原のなかを一列になってラッセルして行く。この標高1100mほどの溶岩台地の西端ににょっきりと聳えるのが馬の背山だ。ふもとからザックを置いてピークを往復する。この100mの登りのラッセルは全部ロクさんがやった。ピークにつくとちょろいもんよ、なんて言っていた。みんなで天塩岳のある南の方をみていると大気の粒がきらりんきらりんと光っていた。これが噂のダイヤモンドダストか。山森がはしゃいでいる。なにしろ気温が低いからなあ。足元谷底に小さく見える天塩岳ヒュッテ。そこまでの斜面は絶好のスキースロープだ。想い想いのシュプールで小屋まで乗り付ける。

遂に最終キャンプだ。いやあ長かったなあとその後の事も知らずに喜んだのは束の間、結果的に僕達はこのヒュッテに5泊した。低気圧がジャカスカやってくる。何度かアタックを試みたが結局風が強くて引き返し。樹林限界以上の複雑な地形をホワイトアウトで帰るには、まだ実力の足りないパーティーだと考えている。しかしいくらぬれて帰っても小屋の薪ストーブがあるから大丈夫。夜は暑くて寝付けないくらいだ。そうはいっても何日かたつと暇で暇で仕方がない。寂しくなった食料を工夫して松木さんが乾物だけでちゃんとした八宝菜をこしらえたのがうまかった。

5日目の朝、強い冬型の気圧配置だったが最後のチャンスなので出発。もう食べ物がないのだ。どういうわけか風もなく、1300m台地でもなんとか視界はOK。何ケ所かに帰りのためにデポ旗を打ち、遂に登頂。あいにく視界は数百メートルだが一同、感無量だ。計画の食料をすべて食い尽くし、カラッポのザックで帰る。実に美しい。しかしこの最後の林道も長かった。最終人家まで25km。スキーをパタパタと歩ませる。林道にはじまり林道に終わった山行だった。

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