芦別岳、ポントナシベツ岳、鉢盛山、夕張岳
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- GPS
- 80:00
- 距離
- 41.3km
- 登り
- 2,270m
- 下り
- 2,402m
コースタイム
4月9日晴れ時々曇り:C1(4:50)→芦別岳(6:50ー9:10)→ポントナシベツ岳(10:10)→鉢盛山北標高1360C2(13:00)
4月10日ガス後晴れ:C2(4:50)→鉢盛山(5:30)→吉凶分岐(9:30)→C3地図の切れ目(11:00)
4月11日快晴そよ風:C3(4:50)→シーデポのコル(5:30ー6:00)→夕張岳(6:20ー7:00)→夕張小屋(9:50)→大夕張最終人家(13:30)
アクセス |
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写真
感想
芦別岳→ポントナシベツ岳→鉢盛山→夕張岳
3ケ月前の無念を果たそうと、また岩瀬と1年目3人をつれてやってきた。今度は新道から。春になったので天気の周期も少しはスキができるだろう。この春は岩瀬と1年班を二つ掛け持ちした。芦別から夕張までの縦走はその二本目の方。芦別から夕張は、ルートはたいして危なくないが読図のしにくい広い稜線の地形であることとエスケープが無いために、計画の貫徹は天気周期がすべてだ。一日目は半面山に雪洞を掘って、スキー大会をやった。春の雪ならいくらでも滑れる。
翌日、頂上ではガスのためポントナシベツへの平らな地形に踏み込めず、暫くツエルトを張ってトランプして待つ。厳冬期とは違って余裕だ。駄目なら待てばいい、いつか天気は好天する。やがて見る見る視界は開け、とうとう芦別を越えて未知の領域、南へ向かった。いよいよ夢の芦別、夕張山行の開始だ。
芦別から台地を越えて南下し、最初の小高い岩峰がポントナシベツ岳だった。ここはシユーパロ岳との分岐に当リ、芦別山塊では見逃せないピークだ。夕張山地の第2の高峰だ。この南側斜面が1月にはナダレの危険があると、検討会がもめたが、この季節ならスキーが快適だ。調子に乗って振幅の大きいターンですべりおりる。油断して転んだ拍子にスキーを流してしまった。あっと言う間にスキーは麓の疎林の彼方へ消えていった。このころ僕が使っていたスキーは恵迪寮で拾ったもので、木目を生かした、先っちょが木の葉の付け根のような形をし、そり上がりがぐぐっとオーバーな、戦前骨董品風の板だった。こんな所で生き別れではなんとも情けない。それにこんな山奥深いところでスキーを失ったら不便不愉快このうえない。流れ止めのヒモをつけていなかった。岩瀬が取りに行ってきてくれた。待つこと1時間、戻った岩瀬が言うには、熊の足跡だらけのところにスキーが刺してあったとのこと。きっと熊が止めたうえに、刺しといてくれたのだろう。そのすぐ先の鉢盛山の北斜面に穴を掘った。
鉢盛山は広いピークだった。山脈中部のかなめだ。この山から南は稜線がぐっと広くなり、タンネもまばらだが生えてくる。そして夕張山地南部特有の、高原のような風景を見せ始める。のどかで、平和な春の高原だ。だが視界の効かないときのことを考えると、この一帯は難しい。広い稜線では磁石だけの進行ではおおいに不安だろう。幸いこの日はよく晴れ、ゆくての夕張岳の鋭角がずんずん近づいてきた。右に通リすぎた1415m鋒。ムズ夕ーグタワーかK2かと言うほど美しい山だ。この時ア夕ックしなかったのが悔やまれる。
夕張岳を初めて見たときを憶えている。6月の芦別の頂上からだ。原始林を乗せた広い稜線のはるか南方延々と続く奥に、恐竜の住む中生代の岩山のような印象で聳えていた。この時は円錐形の、険しい山に見えた。だが冬の日、石狩平野から澄んだ空気の彼方に見る夕張は違う。南北に長い山容はサンテグジュペリの「象を呑み込んだウワバミ」のよう。だがその左にある前夕張のとんがりがこの山に締まりを与えている。
芦別岳からの山行も終わりに近づき、夕張岳の北のタンネの疎林にツエル卜を張って焚火をした。3月の始めに大雪山の北鎮、愛別に出かけてから北日高、ニセカウ、夕張と、岩額とほとんど1ケ月山に登り続けている。山岳部4年目の終わりのこの春、僕は最ものっていた。この天場からは白い夕張のピラミッドが見えた。その夕方、朱色の夕張を背に記念写其を撮った。リバーサルカラーのつもりでモノクロのフイルムを装填していたため、このときの色は記録から失われてしまった。しかしこのモノクロ写其に映った皆の顔が安らかだ。
翌朝は空の色がきれいな水色からうす緑いろに変わる頃、シーデポをして、尖った頂に立った。はるか芦別からの行程をすべて見はるかす。下りの大夕張へのスキーはすばらしかった。ここにスキー場を作る計画があるらしいが、何も分かっちゃいない人は多い。
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