日帰り【黒戸尾根-甲斐駒ヶ岳-仙丈ヶ岳】ピストン
- GPS
- 21:01
- 距離
- 37.6km
- 登り
- 4,800m
- 下り
- 4,798m
コースタイム
歩行時間19:12+休憩時間1:49=全行程21:01
標準コースタイム29:10、短縮率72%
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
トイレあり。水は国道20号交差点の道の駅白州か、駒ヶ岳神社境内にあり |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
○計画
今年の夏期休暇は、南アルプス南部の荒川三山-赤石岳-聖岳周回コースの日帰りを計画していますが、標準コースタイム29時間35分と長いため、果たして身体が耐えられるか、時間はどのくらいかかるかが読めません。
そこで、昨年日帰りピストンした黒戸尾根から甲斐駒ヶ岳を延長して、仙丈ヶ岳までの日帰りピストンをしてみることにしました。
途中北沢峠を2回経由するため、エスケープも容易です。
コースタイムを積算すると、29時間10分ですのでテストピースにはぴったりです。
標準コースタイムの70%として、20時間25分。深夜0:00に歩き始めて、夜8:25分着となります。
夏期休暇の前半で計画していましたが、なかなか好天の予報が無くズルズルと伸びてしまいました。8月15日を過ぎてしまうと、後半の山行まで休養が少なくなってしまいます。晴れを期待せず、曇りの予報で決行する事にしました。
○前日
この日は朝6:00起床。準備を済ませ、15:30には就寝。19:00に起きてフロと食事をして、時間があったので、もう一寝入り。気がついたら22:30。天気予報を確認すると曇りの予報で変わらず。天候は不安定なので夕立があるかもしれないとのこと。
○当日
23:00甲府の自宅を原チャリで出発。しばらく走ると雨がパラパラと降ってきました。不安定の予報通りです。途中降ったり止んだりしながらも道の駅白州に0:00到着。ハイドレーションパックにおいしいミネラルウォータを1リットル入れ、竹宇駒ヶ岳神社手前の駐車場に到着。トイレ脇のスペースに置いて、予定より17分遅れで出発しました。
○駒ヶ岳神社〜七丈小屋
雨は止んでいましたが、じっとりして湿度が高くあっという間にシャツがビショビショです。途中何度もガスが出ていて視界不良。蛾はライトのまわりを終始まとわりついて、顔を攻撃してきます。クリア眼鏡を持ってくれば良かったと後悔しました。
この時間歩いている人はいないだろうと思っていたら、いました。甲斐駒を抜けて北沢峠まで行くそうです。
七丈小屋で水の補給。0.9リットルくらいの消費でした。まだまわりは暗く、ヘッドライトが必要です。
○七丈小屋〜甲斐駒ヶ岳
視界が開けて空は明るくなってきました。雲が立ちこめていて山頂付近はガスの中です。それでも一瞬ご来光を拝むことができました。高度を稼いでいくと、雨が降ってきました。山頂は気温も低く休まずスルーすることにします。
○甲斐駒ヶ岳〜北沢峠
六方岩まで下降すると雨も止み穏やかになりました。登ってくる人とすれ違うようになり、お互い声をかけあいます。
駒津峰・双児山の登り返しをこなし1000m近く高度を落とします。これをあと2回繰り返すと思うと気が重くなります。しかし天候は回復して、鋸岳や仙丈ヶ岳が見えてきました。双児山から北沢峠までは歩きやすく走り下りることができました。
○北沢峠〜藪沢〜仙丈ヶ岳
北沢峠で大休止。仙丈ヶ岳への登りに備えます。林道を戸台方面に歩き、大平山荘の脇を抜けて行きます。大平山荘は垂れ流しの水場もありました。
しばらくは巻き道できつくないのですが、沢を1本渡った後から本格的に登りはじめます。
藪沢大滝は、木々の合間からチラッと見える程度で、この時期登山道からはよく見えません。
沢を詰めていくと雪渓が残っていて、やがて雪渓の上を100mばかり歩くことになりました。
天候は徐々に悪くなり、また雨が降ったり止んだりしてきました。
左手からは、大滝ノ頭からの登山道が延びていて、人の声が聞こえます。合流してひと登りしたところで馬の背ヒュッテに到着しました。
到着するなりご主人にストックの諸注意を言われました。ストックにはゴムキャップをすること。トレイルの脇に突かないこと。この周囲ではできればストックを使わないでほしい。とのことです。
馬の背ヒュッテで水の補給。0.9リットルくらいの消費でした。
美しい花々を見ながら高度を稼ぎ、仙丈小屋あたりまでくると、ガスに包まれて景色は一切見えず、風雨にさらされて寒いこと。それでも登山者は多く、沢山の方とすれ違いました。
仙丈ヶ岳山頂は10人以上いました。寒いので記念写真だけ撮ってスルー。
○仙丈ヶ岳〜北沢峠
藪沢大滝ノ頭までは、ガレていて歩きにくいトレイルです。藪沢大滝ノ頭を過ぎてくると、走りやすく、時間短縮できます。二合目で二手に分かれます。北沢峠で休まないのであれば、右手に下れば北沢駒仙小屋にいけます。私は、北沢峠で休むことにしたので左手に進みます。
北沢峠で2度目の大休止。最後のエスケープ場所となります。この時点で13:12。目標の70%を切っていました。気力は十分あり、これならいけると判断しました。
この時点でゼリー飲料10個を全て消費。残りはパワーバー6本とBar-X 2本です。食料もまだ十分にありますが、どれも甘いので身体がイヤイヤ信号を出すようになってきました。この先の仙水小屋あたりでカップラーメンでも食べようかなぁと思いつつ出発です。
○北沢峠〜甲斐駒ヶ岳
今度は、林道を広河原方面に進みます。林道が二股に分かれていて、左へ。やがてキャンプ場が現れます。お盆休みのこの時期沢山のキャンパーがいました。
仙水小屋までなだらかな登りです。小屋に着くと、ロープが張られていて宿泊者以外は立ち入り禁止になっていました。水は登山道脇にあり、声をかければ自由にどうぞという札がありました。
カップラーメンを食べる気がなくなり、水だけ補給させていただきすぐ出発。
仙水峠までそれほどきつい登りもなく到着。甲斐駒の大岩壁が遙か遠くに見えます。メチャクチャ遠くに感じました。
仙水峠から駒津峰までは手加減のない急登が続きます。途中すれ違う方にこんな時間から甲斐駒に登るのかと心配していただきました。確かに時間は15:00を過ぎてます。この時間に登る人はちょっとヤバイです。
駒津峰に近づくと天候はまた悪くなってきました。断続的に雨が降り、横風も強くなってきました。雨具を着たり脱いだりを数回繰り返します。
気温もだいぶ低くなり胃腸の調子がすぐれません。パワーバーも甘くて喉通りが悪く歩きながら食べられませんでした。水で流し込むように呑み込みます。
ここまで短パンだったのですがさすがに寒くなってきたので、雨具の下を履きます。
六方石からは、巻き道を通り山頂の反対側に回り込みました。距離はありましたが、歩きやすい道です。
○甲斐駒ヶ岳〜五合目
下降中ソロで登ってくる人に遭遇。予定では仙水小屋にテン泊予定だが間に合いそうもないので、どこかでビバーク予定とのこと。あと2時間弱で暗くなるので安全な地帯までの下山ができるかどうか微妙なところです。駒津峰から仙水峠に下れば丘陵地帯から抜けられるので予定通りのコースを勧めておきました。多分六方岩あたりでビバークになったんのではないでしょうか。
濡れた岩が滑ります。足がだいぶ疲労していて、注意力も落ちてきました。ちょっと油断するとすぐにスリップ。2回程大ゴケしました。うち一回は2mくらいの高さの岩からスリップ。とっさにうつ伏せになって両足で見事な着地を決めましたが、ゴアテックスの雨具に穴が空いてしまいました。
七丈小屋で最後の給水。全て消費してました。
五合目まで降りたところで、気温がだいぶ上がってきたので雨具を上下とも脱ぎヘッドランプを装着。
○五合目〜駒ヶ岳神社
五合目小屋跡の登り返しですぐに暗くなりました。黒戸山を巻いてしばし走って下りるものの徐々に足の裏が痛くなり徒歩モードに移行。
ヘロヘロになり笹ノ平で小休止。
足のマッサージをしてなんとか回復を試みます。しまっていたストックを出し、足の負担を減らします。帰りも蛾の攻撃と足裏の痛みに耐えつつ歩き通します。
駐車場に到着しましたが、地面が濡れているため座り込むこともできず立ちながら帰り支度です。
○帰路
中まで浸みた靴のままバイクを走らせ、途中コンビニで温かいコーヒーと鶏の唐揚げを頂きました。うまい。早くビールが飲みたい。無性に肉が食いたい。
自宅近くのコンビニで焼肉カルビ丼とビールを購入。
速攻で風呂に入って、乾杯。
大きな事故もなく無事帰宅できました。
充実感というより極度な疲労感。天気も悪かったので、楽しさもなくつらい山行でした。
しかし、これで南アルプス南部日帰り縦走計画が見えてきました。
○食料、水分
ゼリー飲料10個(全て消費)、半固形食料8個(4個消費)持参。ハイドレーションパックにミネラルウォータ1リットル。七丈小屋・馬の背ヒュッテ・仙水小屋・七丈小屋で補充。
○装備
24リットルザック、容量1リットルのハイドレーションパックにミネラルウォータ1リットル(補給含み4.5リットル消費)、ゼリー飲料10個(全て消費)、半固形食料8個(4個消費)、スマートフォン、スマホ充電用リチュウムイオンバッテリ、ハンドタオル、心拍計GPSウオッチ、デジカメ、地図(コピー)、ペン、カッターナイフ、バイクと家の鍵、熊鈴、靴擦れ保護パッド、ヘッドライト、ポール、テーピング、お金、予備単三電池1個、キネシオテープ。
トレランシューズ、登山用ハーフカーゴパンツ、ドライTシャッツ、指先を切ったイボ付き軍手、ゴアテックスレインウェア(上下)。
○未使用のもの
ペーパー、ファーストエイドと薬少々、免許証、保険証、ビニール袋、ブドウ糖錠剤6個、レスキューシート、予備単四電池4本。
昨年、ほぼ同じコースにチャレンジしましたが最後はヘロヘロになりながら下った記憶があります。
完遂したガッツにお疲れさまです。
素晴らしい記録です。
自分より装備がしっかりしてらっしゃるのでとても勉強になりました。
ainuさんの昨年の記録、実は山行前の検索でHITして大変参考になりました。
あの距離をすばらしいスピードで動けることに感心してました。尊敬する方からのコメント光栄です。
装備は、山行を重ねる毎に増えていくような感じがしており、もう少し軽装備にしたいのが本音です。
今回は水1リットルの状態で6Kgでした。食料を軽くするのが目下の検討材料です。
はじめまして。
すごい記録ですね。
装備の写真が参考になりました
自分だったら北沢峠でバスに乗って逃げてしまいます〜
登り返した強い気持ちに
patagonianさんはじめまして。
過去の記録ちょくちょく見させていただいていたのを記憶してます。
まだまだ精進しなくてはいけませんが、すごい人からコメントいただけると励みになります。
今年冬の間は、武田の杜で何度かトレーニングしていたので、もしかしたらお会いしてるかもしれませんね。
こないだの日曜日、荒川三山から聖まで日帰りしてきたのでそのうちヤマレコに記録したいと思います。
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