赤岳 天狗尾根「蒼い空に奉ずる万感とレクイエム」の巻
- GPS
- 33:46
- 距離
- 17.3km
- 登り
- 1,470m
- 下り
- 1,462m
コースタイム
- 山行
- 6:27
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 6:48
- 山行
- 8:02
- 休憩
- 3:33
- 合計
- 11:35
天候 | 天候:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
写真
感想
今回は久々の八ヶ岳東面のバリエーションルートということで、3週間前に権現岳から赤岳へ縦走した際にかっこよく見えた天狗尾根を目指すことに。
グレード的には赤岳主稜と変わらないが、全装でののっこしとなるので総合力が求められる。果たしてどうなることやら。
1日 のんびり標高上げ
赤岳鉱泉では名だたるクライマーを呼んでのイベントが開催されている中、静かな八ヶ岳を楽しめるかなと、そんな感じで京都を出発。
恵那峡SAで仮眠しようとするも、前日までのいろいろなばたばたでテントの本体しかないことが発覚。
赤岳展望荘に宿泊予定のKさんパーティが前泊用のテントを持っているはずだと連絡すると少し前に恵那峡をでたとのこと。なんとか諏訪SAで合流し、4−5人用ながらテントをなんとか確保する。あやうく山行中止になることだった。
そのまま諏訪SAで仮眠して小1時間で美しの森へ。
なんとなく予想はしていたが雪が全くない。八ヶ岳自体はまぁまぁ白いので下の方は降っても溶けてしまっているという感じだろうか。
適当に準備して歩き始める。最初の1時間は林道歩き。やがて地獄谷沿いの道に入る。
いくつも出てくる堰堤にうんざりするが、トレースがあったので順調に進んで出合小屋まで。
薪ストーブやトイレもあって快適そうな小屋だ。先行パーティもベースにするのか大きなテントを張っている。旭東稜を目指すとのこと。
我々は沢を渡って天狗尾根に取り付く。ピンクテープとトレースを頼りに登り始める。
幸いにも真新しいトレースがあり、ありがたく使わせてもらう。なければ結構なラッセルになりそうだ。
ひたすらコンタ上げかと思っていたら2100mくらいにちょっと雪稜チックなところがでてくる。まぁどうってことはない。
左手には権現、振り返れば富士山が望むことができる最高の天気。
ひたすら高度を稼いで2400m地点まで。14時着で余裕のある感じだ。
テントを設営して転がり込む。4−5テンに3人なのでかなり広々だ。
晩御飯は久々にsamoa食計で麻婆茄子春雨。我ながらおいしかったと思う。
明日の天気予報は高気圧の弱い張り出し。天気がいいのは間違いなさそう。そうとなれば果報は寝て待てということでシュラフにもぐりこんだ。
2日 最高のアルパイン日和
3時半起床。星はばっちり見えていて風もなく穏やかだ。
朝ごはんはインスタントラーメン。スライスもちが入って朝から重たい感じだ。
荷物を片して6時前に出発。
30分ほどでカニのはさみに到着。近くで見るとなるほどカニのはさみって感じだ。
左から巻くが木がつっかえて邪魔なところがあり、ザックを手渡しして通過。
はさみに見えなくなったカニのはさみを見送ると15mほどの草交じりの岩壁が出てくる。卦蕁召らいでフリーで問題なく登れる。
さらにその先に進むと小岩峰が現れる。ちょうどこの辺りで日の出。あたり山々が赤く染まる。
ここは右手に急な斜面10mトラバースして、雪の詰まったルンぜ地形を25mほど登る。
トラバース部分には残置があり、それを頼りに通過する。
直上部分に切り替わるところは溜まったりはできない。今回はそこで確保したが、トラバースが始まるところから確保してもよかったかもしれない。
直上部分は雪の詰まった急なルンぜを登る。確保支点は灌木。
振り返れば甲府盆地が見え、富士山がどっしり構えている。標高を上げると北岳・仙丈ケ岳、甲斐駒、中央アルプスや御嶽を望むことができる。
さていよいよ大天狗に差し掛かる。手前に岩稜が出てきて今度は左手から避けていく。
基部にそってのトラバースは少し雪が不安定で嫌な感じ。途中4mほどの段差がありフリーで登り、もう少しトラバースして尾根に復帰する。落ちたらアウトなところで雪がさらっとしていたので結構緊張した。
さらに出てくる小岩峰を右手から巻いて急な斜面を登ると大天狗の本体に。
ちょうど先行パーティが直登ルートを登り切るところだ。ラッセルのお礼をいう。
このラッセルをこなして直登ルートを行っているのなかなかの猛者だ。
我々は右手の巻きルートに。テープから適当に右にトラバースすると残置ハーケンのある岩場にぶち当たる。
手前の灌木を確保支点にして登攀に取り掛かる。
浅いルンぜをひと登りした後にバンドっぽいところ少し斜上し再度浅いルンゼを越えるとチェーン付きボルトの終了点へ。記録通り卦蕕らいだろう。
あとはなんてことないトラバースで尾根に復帰しあとは高度を縦走路目指して高度を稼いでいく。振り返れば大天狗をはじめ岩峰・岩稜が連なりいい感じだ。
岩稜が一通り終わったところで天狗尾根で亡くなった会員へ黙祷をする。
気を引き締め直して縦走路へ合流し下山に取りかかる。
縦走路に合流してすぐに鎖場やハシゴのあることろ。3週間前は出ていたハシゴや鎖が埋まっていたり、岩交じりの急な下りでなかなか緊張する。時折バックステップを交えながら慎重に下っていき緩くなってようやく天狗尾根から続く核心が終わりほっと一息つけるが、ツルネへの登り返しも含めまだまだ先は長いのでおちおちはしてられない。
ひぃひぃいいながらツルネに登り返す。
振り返ると天狗尾根を備えた赤岳がかっこよく聳え、その横には長い南稜を携えた阿弥陀岳が鎮座している。3週間前はガスガスで見えなかった景色が見えて感無量。
阿弥陀の向こうには真っ白い北アルプスが連なっている。今日はあっちも最高の天気だろう。
荒々しい権現もいい感じだ。出会った登山者も数名くらいで八ヶ岳とは思えない静かなところ。ピーク写真をとって、」次は旭東稜で来たいななんて思いながら後ろ髪をひかれながら稜線をあとにする。
ツルネからの下りは見えていたとおり急な下り。ズボッたりブッシュが引っかかたりしながら転がるようにひたすらひたすら降りていく。
途中、権現のあたりをヘリがホバリングしていた。事故でもあったのだろうか。
そんなこんなで出合小屋まで。日曜だが何パーティかテントがあった。
あとは行きに歩いた道を下るのみ。途中振り返ると天狗尾根がいい感じで夕陽に照らされていていい感じ。
途中、権現で事故を起こしたあろう会の人だろうか、荷物撤収のヘルプで林道を歩いて行った。
あとはひたすら林道を歩いて日没直後くらいに駐車場へ。充実感のあるバリエーションとなって本当によかっか。
道の駅こぶちざわで温泉に入り、中華料理屋でチャーハンなどを腹に書き込んで、京都への帰路についた。
会の個人山行で赤岳は天狗尾根に。
グレードは赤岳主稜と同レベルということなので
同行させていただきましたが装備を全部背負っての登攀縦走。
体力に自信が無いのでどこまで通用できるか胸の内は不安がつきまといました。
終始トレースがあったのは大助かりでした。
ロープを出したのは2箇所。後はフリーで登りましたが
どうもスラブ状の雪壁をフリーで登るのは苦手で視覚的にも目がくらみます。
足を滑らせると百メートル単位で止まらないのでは?
アイゼンをしっかり蹴り込み前歯で立とうとするものの
端から見たらへっぴり腰で登ってる自分がいるんでしょうね。
何が嬉しくてこんな所に来たのかと泣きながら喉カラカラで登り終えました。
今回、山行の目的の一つに以前この天狗尾根で亡くなった
同じ会のメンバーに黙祷を捧げることがありました。
無事、黙祷を捧げさせていただきましたが、むしろ亡くなられたメンバーに
天候も含め守られた中で登らせてもらったという意識の方が強く感じました。
本当に感謝しかありません。
黙祷の後は一般縦走路に合流下山です。
やれやれと思ったのも束の間、この縦走路も全くあなどれなく
縦走路は完全に雪の下。マジか…
雪面をへつりながらバックステップで慎重に歩みを進めるしかありません。
ツルネからの下降は雪にズボりまくり。途中出くわした方は
ツルネに上がるまで8時間もかかったという話に納得。
疲労困憊でクタクタで下山しました。
しかし終わってみると何か清々しい気分を味わうことができました。
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