槍ヶ岳[上高地槍沢ルート]
![情報量の目安: S](https://yamareco.org/themes/bootstrap3/img/detail_level_S2.png)
- GPS
- 33:25
- 距離
- 38.0km
- 登り
- 1,804m
- 下り
- 1,791m
コースタイム
5日 8:00槍ヶ岳山荘-8:20槍ヶ岳山頂8:35-9:05槍ヶ岳山荘9:20-9:40殺生分岐-10:35天狗原分岐(朝食休憩)10:50-11:48槍沢ロッヂ-13:08横尾(昼食休憩)13:45-14:31徳澤-15:14明神館-15:33河童橋-15:50上高地
天候 | 4日 晴れ後曇り 5日 小雨後晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
沢渡駐車料金は一般車両500円/日。 沢渡から上高地間のシャトルバスは、約20分から30分間隔で運行。 バス停留所は、沢渡大橋→沢渡→沢渡中→沢渡第3駐車場→沢渡上→沢渡石見平の順で停車。 乗車券販売は、沢渡大橋、沢渡中、沢渡上、沢渡石見平。 バス運賃はどこで乗っても同じ料金(2,000円/往復)。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
横尾までは平坦な登山道が続く。 横尾を過ぎた一ノ俣の橋を渡ると槍沢ロッヂ(まで小さなアップダウンとなる。 大曲を超えると山塊を見すえて長く急な登りが続く。 槍の肩から山頂までの登山道は約200mだが、急なクサリ場、ガレ場及びハシゴ があり初心者は十分に注意して登下山する必要がある。 槍沢ルートにおいて槍の肩から山頂までの登山道以外に特に危険な箇所はない。 登山ポストは上高地バスターミナルにある。 |
写真
感想
【4日】
沢渡駐車場に着いたのは早朝3時過ぎ。
事前のリサーチで沢渡大橋を渡り左手にある市営第一駐車場に車を止めると、沢渡大橋バス停が
隣にあり、シャトルバスの始発となっているとのことなのでここに停めた。
外は激しく雨が降っている。おかしい、天気予報では高確率で晴れの予報だったはずなのに。こ
んな天候のなか15kgのザックをしょって20kmも歩くことを考えると憂鬱になる。しかしここま
で来て後戻りはできない。
とりあえず始発バス5時40分まではまだ時間があるので車内で仮眠することにした。
5時にセットしたアラームの音で目が覚め、車外に出てみると外はまだ真っ暗であるが、昨晩
からの雨はすっかり止んでいた。
幸先よさそうだ。
早速出発準備にかかるとあっという間に5時半、トイレをすまして駐車場横の沢渡大橋バス停に
行くと、既に始発バスは到着していた。
バスは沢渡大橋バス停が始発であるが、座席は既に半分くらいがうまってしまった。
定刻を少し過ぎてバスは出発、各停留所から続々と登山者が乗車してくる。上高地バスターミナ
ルに着くころには補助席を使用しない程度に満員になっていた。
上高地では既に多くの登山者で溢れていた。
さすがに場違いなカッコで来ている登山者はいない。ウェアもきちんと着こなし、ザックやスト
ックなどの装備も万全に整っている。なんだかみんなすごくベテランの登山者に見えてしまう。
気温は13℃、Tシャツの上に薄手のフリースを着てやや涼しいと感じるくらいのウェアリングと
した。
トイレで体のタンクをカラにして、靴紐を締め直し、いざ出発!
今回の登山はジュリエッタくんと2人。
上高地バスターミナルの印象などについて話をしていると、あっという間にかっぱ橋まで到着、
あまりに近くて拍子抜けした。
かっぱ橋の印象は、これまで雑誌などですごく綺麗に撮られた写真を何ども見てしまっていたた
めか、初めて見るにもかかわらず、感動は正直それほどでもなかった。ちょいと残念。
とりあえず記念の写真を1枚撮って、さくさくっと次の目的地、明神館に向かう。
明神館に着くと明神館内は朝食を食べる人で満席である。
自分も外のベンチでコンビニのサンドイッチを頬張る。うまい。熱いコーヒーがあれば言うこと
なしであるが贅沢は言えない、そこはスポーツドリンクで我慢する。
先は長いのですぐに出発。
徳澤までの道中、ガスがとれて明神岳が現れた。まるで登山者を歓迎するかのように。みんな立
ち止まって眺めたり、写真を撮ったりしている。
自分たちも足をとめて写真を撮っていると、お母さんと娘さんの2人連れに声をかけられた。自
分たちが槍ヶ岳まで行くと言うと、お母さんは娘さんに「連れて行ってもらいなさいよ。」と言った。
しかし、恐らく槍ヶ岳に行きたいのはお母さんのほうであって、娘さんは無理矢理お母さんに連
れて来られて、お父さんは山に興味がないのでお家でお留守番といった印象を受けた。
徳澤園に着くとザックを下ろして小休止。道中抜かした男女ダブルデート組が後から着いて隣で
休憩している。うまらやしい。山もたまには女子と来たいな〜。
横尾についたのはほぼ9時半、ここまで上高地から約10km、約3時間の道のりであった。
ここまで休憩も最小限にして歩いて来たが、飛躍的に時間を短縮することはできず、地図上での
所要時間3時間30分のところ、30分程度しか短縮できていない状況だ。
いつもならそれなりにいいペースなのだが、今回の工程は1泊2日の強行日程、何としても槍ヶ
岳山荘までたどり着きたいため、もう少しペースをあげる必要があるかもしれない。最低でも殺生
ヒュッテまではたどり着きたい。
そんなことから焦る気持ちもあるが、体力の消耗にも気をつけなくてはならないため、横尾では
少し長めの休憩をとることにした。
横尾避難小屋前で休憩していると、同世代の女性独りが休憩していたので話かけてみると、今朝、
東京から夜行バスで来たという。このシーズンは新宿から毎晩直行便が出ており、一昨日に見た上
高地の天気予報が良いと知って、急遽、休みを取って来たという。また、単独行で涸沢にテント泊
をすると言うではないか。何という行動派。すごい!
山ガールは流行っているが、こういう人こそ本物の山ガールだ。
こんな言い方は失礼だが、こんなきゃしゃな女性ができるのだから、来年はテントをしょって八
ヶ岳あたりを縦走してやるぞという強い思いにも駆られる。
横尾は穂高と槍の交差点と言われているが、今日の横尾にいる大半の登山者は横尾大橋を渡って
穂高方面に向かっている。槍ヶ岳方面に向かう登山者はほとんどいない。
そのため、槍ヶ岳方面の登山道に入って行くときは、俺たちゃ槍まで行くんだぜ〜、ワイルドだ
ろ〜 ってな感じでちょっとした優越感を感じたりしながら横尾を後にした。
槍沢ロッヂまでの道のりは、槍見河原の横を歩く。槍見河原では初めて槍ヶ岳の穂先を見ること
ができるはずなのだか、恐らく雲がかかっているのだろう。全く見えない。
槍ヶ岳の穂先は見えないが、道は梓川の源流に沿うようにして続いており、渓流の心地よい水の
音を聞きながら涼しく歩くことができる。
横尾を出発して槍沢ロッヂまでの間にすれ違った下山者は5組程度。この時期は紅葉の季節な
のに槍ヶ岳への登山者は少ないのだろうか。それとも既に下山してしまったのだろうか。
槍沢ロッヂに着いたのは11時過ぎ。ここで少し早目の昼食休憩をとる。昼食はいつものコンビ
ニおにぎり。いつでも安くてお手軽でいろんな種類のおにぎりがあって助かる。しかも美味い。
お弁当を作って持ってきて美味しそうに食べている登山者もいた。やっぱおかずも欲しいと思う。
さきほど下山してきた3人組の登山者は槍沢ロッヂに入ってうどんを頼んでいた。中をのぞい
てみるとカレーライス、ラーメン、牛丼などがある。値段は少々高いが作りたてが食べられてこれ
また美味しそうである。決めた、帰りはカレーを食べよう。
槍沢ロッヂを過ぎるとこれまでの比較的平坦な道から一転、ところどころ傾斜の道になり、ガレ
場もでてくる。
大曲を過ぎると道は大きく左にカーブしながら傾斜がきつくなるが、山塊の間に広がる天狗原の
紅葉は絶景である。これまでの疲れも一気吹き飛ぶくらい感動した。
途中、下山してきたご夫婦に、今年は10年振りにきれいな紅葉なんですよと聞いて、偶然にも
この時期にこの場に来れたことをとても幸運に感じた。
天狗原分岐を過ぎると、さらに傾斜はきつくなり、間もなく森林限界を超え岩場となった。
しかも、間もなく山頂付近から厚く黒い雲がかかり、雨がちらついてきた。
ザックカバーをつけ、レインウェアを着た。しかし、雨は降ったり止んだり。
レインウェアを脱ぐこともできず、蒸し暑さによって汗がすごい。自分がどんどん汗臭くなるの
がわかる。今日はシャワーを浴びれないのからクールに登りたかったに。。。
寝不足、重いザック、きつい傾斜、ここまでの疲労によって体力の消耗が著しい。気力で登る。
殺生分岐に到着したのは15時過ぎ。14時半には着きたいと思っていたが、天狗原の傾斜はそん
なに甘くはなかった。
ここから短く見積もっても槍ヶ岳山荘までは後1時間ぐらいかかる。
前もって槍ヶ岳山荘に電話したときは、予約は必要ないので15時頃までには到着してください
と言われた。
槍ヶ岳山荘に泊まりたかったが、殺生ヒュッテに変更せざるをえないかと半ば諦めたが、悩んで
いても仕方がないので、槍ヶ岳山荘に電話してみることにした。
電話がつながり16時過ぎに着くが泊めてもらえるかと確認すると、今どこにいるのかと聞かれ
「殺生分岐」と答えると、「そんじゃ〜もうちょっとだね。お待ちしてま〜す。」・・・。
悩む必要はなかった。。。
槍ヶ岳山荘で泊まれると思うと気持ちは軽くなったが、足は軽くならない。何とか最後の力を振
り絞って歩き始めるが、道はガスっていて数十メートル先までしか見えない。そんななか、急にど
こからともなく雷鳥が現れた。道案内をしてくれていると言えば聞こえはいいが、自分の歩く方向
に逃げていくものだから、なんだか追い回しているような感じで申し訳ない。
ほどなく雷鳥もいなくなり、槍ヶ岳山荘に無事到着した。
山荘では、ここまで頑張った自分へのご褒美と、疲労しきった体をゆっくり休めるために個室を
とることにした。小部屋の個室は既に空いていないとのことから、大部屋の個室(8人)をとった。
おかげでお値段は倍になった。
部屋に入り、濡れたウェアを着替え干したりしていると、あっという間に17時になった。館内
放送で、夕食の案内があったので、早速、食堂に移動した。
夕食は酢豚だった。お腹が空いていたのでとても美味しかったが、量が少なかったのは残念だ。
5分で食べ終わってしまった。
食べ終わると山荘の外に出てみた。ガスはすっかりとれて槍ヶ岳がはっきりとその姿を現してい
た。
明日の天候が良いとは限らないことを考えると、今から登っておいたほうがよいか悩んだが、日
没までに下山できそうにないため断念した。山荘からの夕暮れの景色を満喫し、部屋に戻った。
日が暮れると、天候は急に悪化した。強い風と雨とガスで外は何も見えない。
明日の朝までに天候は回復するだろうか、やはり夕方に登っておくべきだったかと考え少し後悔
した。
部屋ではすることもないので早々と布団に入ったが、だんだん頭が痛くなってきた。どうやら天
候も悪化し、気圧が下がったせいかどうかはわからないが、高山病にかかってしまったようだ。倦
怠感もあり体が動かない。これは早く寝るしかないと思い、アルフェスタくんに自販機でビール1
本を買ってきてもらった。自分でも山荘で飲もうとサントリー山崎10年の小瓶を持ってきたが、
ウィスキーを飲む気分ではなく500円を払ってビールにした。
持ってきたつまみを食べながらちびりちびりと飲んだ。高度が高いので少しのお酒でいい気分に
なるかと思いきや、余計に頭が痛くなってきた。
一方、アルフェスタくんは全然元気で、山荘のなかを散策していた。
消灯時間は20時30分であったが、頭痛が治らないため、明日は4時起床、朝一番で槍ヶ岳を登
り早々に下山という予定を確認し、19時には就寝してしまった。
しかし、頭痛はとれず、1時間おきに目が覚めた。
この調子では槍ヶ岳に登れそうにないと思うほど体調は悪くなっていった。
【5日】
目覚ましの音で目が覚めることなく起きてしまった。
朝4時、天候は回復せず、依然、強い風と雨とガスで外は何も見えない。これでは登れない。
しばらく様子を見ることにした。
朝7時を過ぎた。天候は回復してない。とりあえずアルフェスタくんは朝食を食べに食堂に行っ
た。自分は吐き気がするので遠慮した。
アルフェスタくんが食堂から帰ってくると、既に他の宿泊客は朝食をとり、大半が山荘を後にし
たとのこと。
チェックアウトは9時まででよかったが、それを聞いて自分たちが余裕をぶっこぎすぎていたこ
とに気がつき、急いで出発準備を整える。
荷物をロビーに置いて、外に出た。
雨はそれほどでもないが、強風とガスはおさまっていない。さて、ここまで来たのだから登りた
いが、登れるだろうか。
ほどなく槍ヶ岳から下山してきた登山者が山荘に戻ってきたので状況を聞いてみた。
すると、山頂は思ったほど強風ではないため、ガスで岩や階段が濡れているが注意すれば登れる
とのこと。
これなら行けると判断し、天候が回復することを信じて山頂へ向け出発!
ガスで覆われた槍ヶ岳に向った。
さすがに登山者は少なく、自分のペースで慎重に登ることができた。
一応手袋は用意していたものの、素手の感覚のほうが安全かと思い登ったが、階段は氷のように
冷たく、かえって手の感覚を鈍らせた。
山頂までの道のりは、ガスで覆われていたせいもあって、それほど恐怖心も感じずに登れた。
山荘を出発してから20分足らずで山頂に到着。
北アルプスの名峰、念願の槍ヶ岳のてっぺんに立った。
景色はよくないが、登頂できただけで感動である。
今日は登れないで下山した多くの登山者の分も満喫感を味わった。
山頂でガスが取れるのを待ったが、帰りのことを考えると上高地バスターミナルにはシャトルバ
スの運行時間に余裕をもって着きたいので、これ以上待つことはできない。15分の滞在時間で下山
することにした。
下山開始から10分が経過したころ、ガスがとれ下界が見えてきた。残念(/ω\)
山頂でもう少し待っていれば360度の絶景を拝むことができたのに。
山頂に登りなおす登山者もいましたが、自分たちは今から山頂に登り直していてはバスに間に合
わない可能性があるため、諦めて下山します。
槍ヶ岳山荘に戻ってくる頃にはすっかり雲がとれ快晴になりました。本当に残念です。
山荘で僅かに軽くなったザックを背負い、9時20分、上高地に向け出発です。
シャトルバスの運行時間は17時まで、16時半までに到着するためには7時間以内で歩かなくて
はならない。因みに登山Map上の所要時間は休憩なしで8時間40分である。
下山は順調であっという間に天狗原まで到着。
朝、調子が悪くて食べられなかった朝食を、槍ヶ岳山荘のスタッフがお弁当にしてくれていまし
たのでいただきました。謝謝。綺麗な紅葉のなかで食べるお弁当は最高に美味かった。
素晴らしい紅葉に名残惜しつつも天狗原を後にする。
槍沢ロッヂではトイレ休憩のみ、先を急ぎます。
横尾に着いたのは13時過ぎ、ここで昼食休憩をとることにしました。
昼食は横尾山荘で待望のカレーを食べた。手作り感がないのは少し残念だったが、それでもボリ
ュームがそこそこあり、温かいルーとご飯はありがたかった。
ここまでの道中は登山者がまばらであったが、横尾からは涸沢からの下山者と合流になるため賑
やかとなった。横尾から上高地までの道はほぼ平坦のため歩きやすかったが、ときより遅い登山者
が横一列でゆっくり歩いているのには抜かすのに苦労した。
横尾から上高地バスターミナルまでは、徳澤でトイレ休憩したのみで、約10kmを約2時間で走
破した。
バスの出発時間は30分後、バス停留所には誰も並んでいない。恐らく先発便が出発してしまっ
たばかりと思われる。
時間に余裕があるのでお土産を買っていると、いつの間にかバス停は長い列、慌てて並ぶがかな
り後ろのほうになってしまった。これ本当に1台で乗れるのか?
バスが到着し順番に乗車をはじめるが、やはり自分たちより2組先で切られてしまった。この後
は自発便になるとの説明を受けた。駐車場までちゃんと帰れればよいので、特に急いではいないが、
上高地は紅葉シーズンで乗車するお客さんがこんなに多いのだから増便をだせばいいのにと思い、
ちょっとイラとした。
しかし、15分も並んでいるとバス会社の整理員がやってきて、松本への路線バスに空きがあるた
め沢渡を通過することから乗車してくださいと言われ誘導された。臨機応変な対応、やればできる
やん。
バスは約30分程度で沢渡大橋に到着
今度はいつ来られるか分からないが、もうちょっと歳をとって、もうちょっと時間的余裕を持っ
た工程で来ようと思った。
ジュリエッタくん、お疲れ様でした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する